COVID-19治療薬「レムデシビル」のエビデンス(特例承認にあたって)

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大塚 勇輝

岡山大学病院

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厚生労働省は2020年5月新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対する治療薬としてレムデシビル(ベクルリー®)を特例承認しました。国内でも期待が高まる同薬について5月12日時点での最新知見をまとまています。

【1】薬理学・ウイルス学的な作用機序【2】in vivo/in vitroでの実験成果【3】COVID-19に対する臨床的使用成績(最新文献の要旨)【4】日本での特例承認に関する内容

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COVID-19治療薬「レムデシビル」のエビデンス(特例承認にあたって)

1. レムデシビルに関する最新知見 <特例承認にあたって> 2020/5/12 岡山大学病院 総合内科・総合診療科 大塚 勇輝/萩谷 英大
2. 内容 1. レムデシビルの作用機序 2. in vitro/in vivoでの効果 3. COVID-19に対する使用成績(最新文献) 4. 日本での特例承認に関して
3. COVID-19の原因ウイルス • SARS-CoV-2: Severe Acute Respiratory Syndrome Coronavirus-2 • コロナウイルス属に属する エンベロープを持つ一本鎖RNAウイルス
4. SARS-CoV-2の増殖 放出 吸着・侵入 組立て 脱殻 RNA複製 Sanders JM et al. Pharmacologic Treatments for Coronavirus Disease 2019 (COVID-19): A Review. JAMA, 2020.
5. SARS-CoV-2のRNA複製を阻害 主な薬品名(商品名) 主な適応 ファビピラビル(アビガン®) 新型・再興 インフルエンザ レムデシビル(ベクルリー®) エボラ出血熱 ロピナビル・リトナビル(カレトラ®) HIV リバビリン(レベトール®、コペガス®) C型肝炎 イベルメクチン(ストロメクトール®) 寄生虫感染症 その他、多くの抗ウイルス・レトロウイルス薬が該当
6. レムデシビルの薬理 • レムデシビル(GS-5734) はヌクレオシドアナログ • 細胞内に取り込まれると 活性型のGS-441524に代謝 GS-5734 • RNA依存性RNAポリメラーゼ (nsp12)によって合成され るRNA鎖に、ATPの類似体と して取り込まれる • RNA鎖の伸長が中止される (詳細は未解明) GS-441524 Agostimi ML et al. Coronavirus susceptibility to the antiviral remdesivir (GS-5734) is mediated by the viral polymerase and the proofreading exoribonuclease. Mbio, 2018.
7. レムデシビルの歴史 • 2015年10月 米国陸軍感染症医学研究所(USAMRIID)が アカゲザルのエボラウイルス感染における有用性を発表 Warren TK et al. Therapeutic efficacy of the small molecule GS-5734 against Ebola virus in rhesus monkeys. Nature, 2016. • その後in vitroで、マールブルグ、MERS、SARSなどの 各種RNAウイルスに対する有効性が次々と報告 Kichael KL et al. GS-5734 and its parent nucleoside analog inhibit Filo-, Pneumo-, and Paramyxoviruses. Sci Rep, 2017.
8. in vivoでの効果 • SARSウイルス感染マウスに投与 →ウイルス量が減量し、臨床症状が改善 Sheahan TP et al. Broad-spectrum antiviral GS-5734 inhibits both epidemic and zoonotic coronaviruses. Sci Transl Med, 2017. • MERSウイルス感染アカゲザルに投与 →発症前に投与することで予防効果あり 発症後の投与でも、臨床症状や重症度が改善 Wit E et al. Prophylactic and therapeutic remdesivir (GS-5734) treatment in the rhesus macaque model of MERS-CoV infection. PNAS, 2020.
9. COVID-19に対する使用成績 ①最初の臨床的知見(53例のコホート研究) 2020/4/10 NEJM Grein J et al. Compassionate Use of Remdesivir for Patients with Severe Covid-19. N Engl J Med, 2020. ②最初の二重盲検RCTの報告 (236例) 2020/4/29 Lancet Wang Y et al. Remdesivir in adults with severe COVID-19: a randomised, double-blind, placebo-controlled, multicentre trial. Lancet, 2020. ③大規模臨床研究の結果 (1063例) 2020/4/29 NIHプレスリリース https://www.niaid.nih.gov/news-events/ nih-clinical-trial-shows-remdesivir-accelerates-recovery-advanced-covid-19
10. ① NEJM(2020/4/10) • 未承認薬レムデシビルの重症COVID-19患者に 対する人道的使用に関するコホート研究 • 解析対象:53例 対象群なし (米国22、日本9,欧州21,カナダ1) Grein J et al. Compassionate Use of Remdesivir for Patients with Severe Covid-19. N Engl J Med, 2020.
11. 治療開始前の酸素投与の患者数(%) 酸 素 投 与治 の療 患後 者の 数 (%) • 68%(36/53例)で酸素需要の改善あり • 死亡率は13%(7/53例)と低い →臨床的有用性を示唆すると結論 ただし、少数・短期間で対象群なし Grein J et al. Compassionate Use of Remdesivir for Patients with Severe Covid-19. N Engl J Med, 2020.
12. ② Lancet (2020/4/29) • 武漢10病院のCOVID-19入院患者を対象とした 二重盲検ランダム化比較試験:236人が解析対象 • レムデシビル静注(初回200mg、その後100mg 24時間毎投与9日間)群とプラセボ群で比較 Wang Y et al. Remdesivir in adults with severe COVID-19: a randomised, double-blind, placebo-controlled, multicentre trial. Lancet, 2020.
13. 累 積 改 善 率 • 臨床的改善までの 期間に有意差なし • 死亡率にも有意差なし 14% vs 13% Wang Y et al. Remdesivir in adults with severe COVID-19: a randomised, double-blind, placebo-controlled, multicentre trial. Lancet, 2020.
14. 累 積 改 善 率 • ただし発症から10日以内に治療開始した症例では レムデシビル群で臨床的改善が早かった ※ハザード比 1.52(95%CI: 0.95-2.43)と有意差はなし • 武漢市内での流行収束が予想より早かった →必要症例数が不足し、検出力が十分ではなかった Wang Y et al. Remdesivir in adults with severe COVID-19: a randomised, double-blind, placebo-controlled, multicentre trial. Lancet, 2020.
15. ③ ACTT試験(2020/4/29) • 米国NIH傘下 国立アレルギー・感染症研究所 (NIAID)の二重盲検RCTの予備解析結果 • レムデシビル群とプラセボ群 計1063例を登録 • 回復までの日数は中央値11日 vs 15日 (p<0.001) • 死亡率は8% vs 11.6%と有意差なし (p=0.059) https://www.niaid.nih.gov/news-events/ nih-clinical-trial-shows-remdesivir-accelerates-recovery-advanced-covid-19
16. 日本での特例承認 • 2020/5/1 米国FDAが緊急使用を許可 • 2020/5/4 ギリアド・サイエンシズ社 日本法人が申請 • 2020/5/7 薬事・食品衛生審議会が特例承認 2010年の新型インフル治療薬に次いで2例目
17. ベクルリー®添付文書 適応:SARS-CoV-2感染症
18. 使用に伴う副作用 • 特に腎障害、肝機能異常は注意が必要 • 添付文書上、毎日血液検査を行うこと • 知見が少ないため、未知なる反応に注意