医師・医学生のためのスライド共有

Antaa Slide
診療科
特集

お知らせ

ログイン
肺炎球菌ワクチンの基本 L001.png

関連テーマから出会おう。

閲覧履歴からのおすすめ

Antaa Slide
CDI overview

CDI overview

長谷川耕平

続けて閲覧
60分でわかる感染症診療の基本

60分でわかる感染症診療の基本

林紘太郎

続けて閲覧

1/49

関連するスライド

皮膚軟部組織感染症 overview

皮膚軟部組織感染症 overview

長谷川耕平

192302

430

グラム陽性球菌

グラム陽性球菌

UkaiKohei

69279

280

感染性心内膜炎のまとめ

感染性心内膜炎のまとめ

長谷川耕平

389591

614

肺炎球菌ワクチンの基本

投稿者プロフィール
黒田浩一

神戸市立医療センター中央市民病院

139,556

233

概要

肺炎球菌ワクチンの効果と適応について、現在(2018年7月31日)までのエビデンスをもとに、まとめました。busyなスライドが多いことはご容赦ください。外来患者さんへの、よりよい予防医療の提供に役立てていただければ幸いです。

本スライドの対象者

研修医

投稿された先生へ質問や勉強になったポイントをコメントしてみましょう!

0 件のコメント

コメントするにはログインしてください

関連するスライド

皮膚軟部組織感染症 overview

皮膚軟部組織感染症 overview

長谷川耕平

長谷川耕平

192,302

430

グラム陽性球菌

グラム陽性球菌

UkaiKohei

UkaiKohei

69,279

280

インフルエンザUpDate -2019/2020シーズン-

インフルエンザUpDate -2019/2020シーズン-

黒田浩一

黒田浩一

714,750

409

感染性心内膜炎のまとめ

感染性心内膜炎のまとめ

長谷川耕平

長谷川耕平

389,591

614


黒田浩一さんの他の投稿スライド

すべて見る


テキスト全文

肺炎球菌ワクチンの基本と効果

#1.

肺炎球菌ワクチンの基本 効果や適応について真剣に考えてみました 亀田総合病院感染症科 黒田浩一 作成:2018年7月31日

#2.

要点 肺炎は日本人の死因の第3位 肺炎球菌ワクチンは、PPSV23とPCV13がある PPSV23は、侵襲性肺炎球菌感染症(IPD)を減らす PPSV23は、肺炎球菌性肺炎を減らす可能性がある PPSV23+インフルエンザワクチンは、市中肺炎を減らす PSV13は、肺炎球菌性肺炎、IPDを減らす 高齢者は、PCV13を接種し、1年後にPPSV23を接種 PPSV23を先に接種する場合は、1年後にPCV13を接種 PPSV23は基礎疾患によって、1-3回接種(5年以上の間隔)

肺炎の疫学と死因の位置

#3.

肺炎はcommon diseaseその中でも肺炎球菌は最多

#4.

肺炎:日本人の死因第3位

肺炎球菌ワクチンの種類と接種方法

#5.

11万9566人

#6.

肺炎球菌は市中肺炎で最多 Intern Med 2013;52:317-324

#7.

別の報告でも最多 Am J Respir Crit Care Med 2013;188:985–995

#8.

肺炎は予防が大事 肺炎球菌ワクチン インフルエンザワクチン 手洗い・うがい 口腔内ケア

#9.

肺炎は予防が大事 肺炎球菌ワクチン インフルエンザワクチン 手洗い・うがい 口腔内ケア

#10.

肺炎球菌ワクチン ここからが本題

肺炎球菌ワクチンの歴史と承認

#11.

肺炎球菌ワクチン PPSV23  23 価肺炎球菌莢膜ポリサッカライドワクチン  商品名:ニューモバックスNP PCV13  13 価肺炎球菌結合型ワクチン  商品名:プレベナー13

#12.

肺炎球菌ワクチンの歴史 2009年10月 PCV7が承認 2010年11月 5歳未満の小児にPCV7の公費助成開始 2013年4月 PCV7が定期接種化(小児) 2013年4月 感染症法で、IPDが全数報告対象 2013年11月 小児の定期接種がPCV7からPCV13に変更 2014年6月 成人にPCV13接種可能となる 2014年10月 PPSV23が定期接種(65歳以上) IPD:invasive pneumococcal disease(侵襲性肺炎球菌感染症)

ワクチンの使い分けと血清型の分布

#13.

使い分けは?

#14.

使い分けについてのEvidenceはない 以下を参考にして、接種方法を決定 血清型の分布(各ワクチンのカバー率) 各ワクチン単独のエビデンス 各ワクチン接種による抗体価の上昇 専門家の意見

#15.

血清型の分布 2013年4月から2014年3月の成人IPDの菌株 - PCV13カバー率 46% - PPSV23カバー率 60% 2006-2007(小児PCV7導入前)の成人IPD  PCV13カバー率61.5%, PPSV23カバー率85.4% 小児でPCV定期接種開始後、カバー率は低下傾向 市中肺炎のdataでもほぼ同等のカバー率(IASR 2014:35:238-239) IPD(invasive pneumococcal disease:侵襲性肺炎球菌感染症) Epidemiol Infect 2010;138:61-68 IASR 2014;35:236-238

#16.

Serotype Replacement 小児にPCV7が導入されてから  成人のIPDにおける血清型の置換が起こっている  もちろん、小児のIPDでも同様の傾向である 諸外国でも同様の報告 毎年肺炎球菌のSerotypeは変わっていくと予想される PPSV23では、Serotype replacementの報告はない Epidemiol Infect 2010;138:61-68, IASR 2014;35:229-230 Lancet Infect Dis 2011;11:760-68, J Infect Dis 2010;201:32–41 J Infect Dis 2008;197:1016-27, N Engl J Med 2003;348:1737-46 IPD(invasive pneumococcal disease:侵襲性肺炎球菌感染症)

血清型置換と集団免疫の影響

#17.

5歳以下のIPD→Serotype Replacement J Infect Dis 2010;201:32–41 結合型ワクチンが導入されると - 含まれている血清型が減少 - 含まれていない血清型の割合が増加

#18.

65歳以上のIPD→Serotype Replacement J Infect Dis 2010;201:32–41 小児にPCVを接種すると 高齢者のワクチンの血清型も減少(血清型置換)する →herd immunity 集団免疫

#19.

今後も血清型カバー率は変化する 小児の肺炎球菌ワクチンが2013年11月に PCV7→PCV13に変更になった このワクチンの集団免疫効果がどの程度あるのか? 継続的な血清型の調査が必要 2015年 肺炎球菌性肺炎で PCV13のカバー率 33.3%、PPSV23のカバー率 50% という産業医科大学からの報告あり(さらにカバー率低下) J Infect Chemother 2017;23:301-6

#20.

つまり... ワクチンカバー率は年々変化 ワクチンカバー率は国によって異なる ワクチン効果は年々変化 ワクチン効果は国によって異なる ベストなワクチン接種方法を決定するのは困難 そんな中、疫学データ・臨床試験結果などから、専門家が、最良と思われる方法を提案している

PPSV23の効果と再接種の意義

#21.

PPSV23の効果

#22.

PPSV23の効果 65歳以上の高齢者の肺炎球菌菌血症を約40%減少 市中肺炎全体は減少しなかった 菌血症を伴わない肺炎球菌性肺炎についての検討はなし 65歳以上の高齢者を対象 インフルエンザワクチン併用の効果を調べた研究  スウェーデンからの報告では   市中肺炎による入院が減少   侵襲性肺炎球菌感染症による入院が減少  香港からの報告では   全死亡、全肺炎、肺炎球菌性肺炎、虚血性心疾患、入院が減少 Eur Respir J 2004;23:363–368, Clin Infect Dis 2010;51:1007-1016 N Engl J Med 2003;348:1747-55

#23.

PPSV23の効果 老人保健施設でのRCT 両群とも99%以上がインフルエンザワクチンを接種している 肺炎球菌性肺炎とそれによる死亡が減少した 日本からのdata(65歳以上の高齢者を対象) - 23価ワクチンでカバーしている肺炎球菌性肺炎 - 肺炎球菌性肺炎全体(27.4%) いずれも減少した報告がある IPDを除く肺炎球菌性肺炎への効果は、報告によって結果が異なっている(効果に否定的な報告もある) Lancet Infect Dis 2017;17(3):313-21 BMJ 2010;340:c1004 N Engl J Med 1993;325(21):1453-1460, CMAJ 2009;180(1):48-58

#24.

PPSV23の効果のまとめ 侵襲性肺炎球菌感染症を減少させる 肺炎全体・全死亡を減らす強い根拠はない インフルエンザワクチンと併用すると... 市中肺炎全体 老人保健施設入所者の肺炎球菌性肺炎 が減少する 肺炎球菌性肺炎は減る「可能性」がある Cochrane Database syst Rev 2013;(1);CD000422

PCV13の効果とCAPiTA研究

#25.

PPSV23の再接種の意義 臨床的な意義はよくわかっていないが、免疫不全者などでは、5年以上あけて再接種することが推奨されている 再接種によって、抗体価は上昇する 害はそれほどない 再接種時は、局所反応が増加 J Infect Dis 2010;201:516–24 J Infect Dis 2010;201:525-33, Vaccine 2011;29(12):2287-95 Clin Infect Dis 2005;40:1730–5 MMWR 2015;64:944-947

#26.

PCV13の効果

#27.

PCV13の効果 免疫原性が高い オプソニン化貪食活性  ワクチンの効果を示すsurrogate makerのひとつ  PCV13→PPV23 > PPV23→PCV13 市中発症の肺炎球菌性肺炎・IPDを減らす(CAPiTA) 成人における臨床dataは少ない Vaccine 2013;31:3594-3602, Vaccine 2013;31:3585-3593 Vaccine 2014;32:2364-2374

#28.

CAPiTA study:市中発症のワクチン血清型の肺炎・IPDが減少 肺炎球菌性肺炎全体でも減少・IPDも減少した ただし肺炎全体(すべてのbacteria)は減少させなかった N Engl J Med 2015;372:1114-25.

各ワクチンの適応と接種方法

#29.

各ワクチンの適応 ACIPの推奨を参考にしています ACIP:Advisory Committee on Immunization Practices 米国予防接種諮問委員会

#30.

PPSV23の接種対象 65歳以上 慢性心疾患、慢性肺疾患、アルコール依存 慢性肝疾患、糖尿病、喫煙 髄液瘻、人工内耳 脾機能低下 免疫不全者(詳細は、PCV13の接種対象のスライドを参照) MMWR 2012;61:816, MMWR 2014;63:822

#31.

PPSV23の再接種対象 5年後に再接種が推奨されている患者群  脾機能低下・免疫不全者 ワクチン接種歴に関係なく、65歳以上で1回接種 つまり、免疫不全/脾摘後などであれば、最高3回接種まで推奨されている(例:20歳で脾摘→20歳、25歳、65歳の3回)。 上記は、米国の推奨だが、脾臓摘出後患者に対して、5年に1回のPPSV23接種(回数制限なし)を推奨している専門家もいる MMWR 2012;61:816, MMWR 2014;63:822 Lancet 2011;378:86–97, Br J Surg 2008;95(3):273-280

#32.

PCV13の接種対象 65歳以上 髄液瘻、人工内耳 脾機能低下  Sickle cell disease、脾臓摘出後、無脾症 免疫不全者  AIDS、先天性免疫不全疾患  慢性腎不全、ネフローゼ症候群、ML、白血病  ホジキン病、悪性腫瘍、固形臓器移植、MM  免疫抑制薬・ステロイドの使用 MMWR 2012;61:816, MMWR 2014;63:822 PPSV23の適応から、「慢性心疾患、慢性肺疾患、アルコール依存、慢性肝疾患、糖尿病、喫煙」を除いたもの

#33.

PCV13とPPSV23どのように接種する? 片方だけ? 両方ならどちらが先?

#34.

PCV13がよい? PCV13:  IPDと肺炎球菌性肺炎が減少する PPSV23:  IPDは減少する  しかし、肺炎球菌性肺炎は「?」(報告によって異なる結果) PCV13のほうが免疫原性が高い PCV13を先に接種したほうが、2種類接種する場合、オプソニン化貪食活性が上昇する

接種間隔と国別の推奨の違い

#35.

PPSV23がよい? PCV13よりPPSV23の方が、エビデンスが蓄積 - PCV13は、CAPiTAのみ - PPSV23は、効果を示した大規模研究が数多く存在 PCV13よりPPSV23のほうがカバー率が高い

#36.

PCV13 Firstが米国の主流 どちらも接種 PCV13→PPSV23 既存のevidenceと疫学情報などを検討して上記を推奨 しかし... 「2種類とも接種」の臨床効果を示したdataはまだない MMWR 2014;63:822-825

#37.

MMWR 2015;64:944-947

#38.

MMWR 2015;64:944-947

#39.

基礎疾患によって接種間隔異なる MMWR 2015;64:944-947

#40.

国によってPCV13の推奨が異なる カナダ IPDのhigh risk者(米国と同様)に、PPSV23接種から1年以上あけて1回接種 65歳以上の健常者には推奨していない(PPSV23のみ推奨) オーストラリア IPDのhigh risk者(脾摘後・免疫不全・人工中耳)は、PCV13接種してから、2か月後にPPSV23を接種 65歳以上の健常者には推奨していない(PPSV23のみ推奨) http://www.immunise.health.gov.au/internet/immunise/publishing.nsf/Content/Handbook10-home~handbook10part4~handbook10-4-13 https://www.canada.ca/en/public-health/services/publications/healthy-living/canadian-immunization-guide-part-4-active-vaccines/page-16-pneumococcal-vaccine.html#risk-factors

ワクチン接種の基本ルールと今後の展望

#41.

ワクチン接種の基本ルール 接種回数  PCV13は1回接種  PPSV23は基礎疾患と初回接種年齢によって1-3回接種 接種間隔  PCV13→PPSV23:1年以上(特定の基礎疾患:2か月以上)  PPSV23→PCV13:1年以上  PPSV23→PPSV23:5年以上 接種方法  どちらのワクチンも筋注 - 各ワクチン接種の適応 - ワクチン接種の基本ルール を守れば、あとは自由に接種してよい

#42.

小児期にPCV13を4回接種している場合 PCV13をさらに1回接種する必要があるか? NEJMの総説では、PCV13は接種不要とされている カナダ・オーストラリアの政府の推奨では、5-18歳の場合(IPDのリスクが高い場合)、小児期のPCV13接種歴があれば、PCV13の追加接種不要(接種歴ない場合→1回接種) ACIPのPCV13の推奨は、19歳以上が対象(2012年時点)のため、PCV13を小児期に接種している人を対象としていない MMWR 2012;61:816 N Engl J Med 2014;371:349-56

#43.

日本ではどうする? 日本では、肺炎球菌ワクチンは2014年に65歳以上で定期接種化された しかし...助成の対象となっているのは、ほとんどの自治体でPPSV23のみ PCV13は、添付文書上、65歳以上の高齢者と6歳未満の小児にのみに適応がある(つまり、6-64歳の免疫不全者などに適応がない) 日本のローカル・ルール

#44.

日本ではどうする?(私案) 強い根拠はないが、現状では2015年のACIPの推奨に従う 今年定期接種ではない健康な高齢者(or 65歳未満のIPD high risk群)  - PPSV23接種歴がある場合   1年あけてPCV13を接種  - PPSV23接種歴がない場合   PCV13を接種して、1年後(2か月後)にPPSV23を接種 今年定期接種の健康な高齢者  PPSV23を接種して、1年後にPCV13を接種(助成を受けるため) PPSV23の再接種の適応があれば、それに応じて再接種 IPD high risk群は、添付文書上の適応はないが、65歳未満でも接種する(説明と同意の上)

#45.

順番にこだわるよりも... 実際には臨床dataに乏しいため - PCV13→PPSV23 - PPSV23→PCV13 いずれでも問題はない(健康な高齢者の場合) それよりも... インフルエンザワクチン接種! 今後の国内での肺炎球菌の血清型の推移を観察

#46.

実は未だにわかっていない 本当に両方とも接種したほうがよいのか 本当はどちらを先に打った方がよいのか 小児でPCV13が定期接種化されているので...成人でもさらにSerotype Replacementが起こると推測される(PCV13のカバー率が低下すると予想される)。日本の肺炎球菌のワクチンカバー率の推移から日本独自の検討が必要。 ACIPは、2018年にワクチン接種の方針を再検討する予定

#47.

肺炎球菌ワクチンの要点 肺炎球菌ワクチンは、PPSV23とPCV13がある PPSV23は、侵襲性肺炎球菌感染症(IPD)を減らす PPSV23+インフルエンザワクチンは、市中肺炎を減らす PSV13は、肺炎球菌性肺炎、IPDを減らす 高齢者は、PCV13を接種し、1年後にPPSV23を接種 PPSV23を先に接種する場合は、1年後にPCV13を接種 PPSV23は基礎疾患によって、1-3回接種(5年以上の間隔) 現時点では、最適な接種方法は不明だが、2018年にACIPで最適なワクチン接種方法について再検討される予定

#48.

これだけは! PCV13は、1回接種する PPSV23は、1-3回接種する 正直、順番はあまり重要ではない 接種開始年齢、PPSV23の投与回数、ワクチンの投与間隔は、基礎疾患によって決まる インフルエンザワクチンを毎年接種する

Antaa Slide

医師・医学生のためのスライド共有

投稿者インタビュー
Antaa QA

医師同士の質問解決プラットフォーム

App StoreからダウンロードGoogle Play Storeからダウンロード

会社概要

Antaa, Inc. All rights reserved.

Follow us on Facebook
Follow us on Twitter