#4.
① も く じ 80てきすと マグネシウムの総論 症例:低マグネシウム血症 ② 80てきすと マグネシウムの小ネタ ③ 80てきすと 症例:高マグネシウム血症 ④ 80てきすと ⑤ 最後に… まとめ 4
#5.
5 登場人物紹介 若手先生 ベテラン先生 内科志望の後期研修医 経験豊富な救急医
#6.
Mg総論 6 ・体内には平均24gのMgがあり様々な形態で存在する ・正常血清Mg濃度:1.6~2.4mg/dL ・◇換算式◇ Mg:1mEq=12.3mg=0.5mmol ・生体での役割 〇ATPやDNA合成など酵素反応の補助 これらは、体内のMgで 〇神経伝達、筋収縮・弛緩の制御 唯一の生理活性を持つ 〇骨形成に寄与 イオン化Mgの役割 ● Anesthesiology. 2011; 114: 971-93. J Emerg Med. 1996; 14: 187-91.
#7.
Mg総論 7 ・体内のMgは、細胞内に99%、細胞外に1%存在する 細胞外 1% 1% の内訳 イオン化Mgとして存在:約50% 陰イオンか蛋白と結合:約50% 細胞内 99% Anesthesiology. 2011; 114: 971-93. Rev Endocr Metab Disord 2003; 4:195-206. 99 骨:約60% % の内訳 筋肉:約20% 軟部組織:約20%
#8.
Mgの吸収/分泌のメカニズム 8 1日Mg摂取量:300㎎ 体内Mgの50~60% は骨にある 吸収:120㎎ 実質の腸管吸収:100㎎ 排出:20㎎ 非吸収Mg:180㎎ Rev Endocr Metab Disord 2003; 4:195-206. 細胞外液中には 1%しかない 腎排泄:100㎎ (80~90%は再吸収する)
#9.
Mgの吸収/分泌のメカニズム 9 1日Mg摂取量 Mgの腸管における吸収は フレキシブル Mg摂取量が増加すれば吸収量は低下する Mg摂取量が低下すれば吸収量は増加する 吸収(主に小腸で行われる) ただし、 排出 腸管の状態が通常と異なっていると吸収率は変わる 非吸収Mg 腸管内の炎症、腸閉塞、腸管穿孔 では吸収は増加する Rev Endocr Metab Disord 2003; 4:195-206.
#10.
Mgの吸収/分泌のメカニズム 10 1日Mg摂取量:300㎎ 腎臓は人体のMg排泄の 要 吸収:120㎎ 実質の腸管吸収:100㎎ 排出:20㎎ 非吸収Mg:180㎎ Rev Endocr Metab Disord 2003; 4:195-206. 高度腎障害がなければ 高Mg血症は来しにくい 腎排泄:最大で200~300㎎ =排泄能が非常に高い!
#11.
Mgで困るのは、どんな場合?低Mg?高Mg マグネシウム(Mg)で困るのって、僕の経験では、『低Mg血症』がほとんど です。Mgを低下させる利尿剤を使って、不整脈が出たりするパターン。 そうですね。臨床で多く経験するのは低Mg血症です。ただ、重症化しやすいの は高Mg血症の方です。最重症だと、呼吸筋麻痺とか心停止するので。 えっ、そうなんですか?!そんな重症例には出会ったことがありません そもそも正直に言うと、Mgって他の電解質よりあまり意識して来なかったです。 11
#12.
Mgで困るのは、どんな場合?低Mg?高Mg 確かに、NaやKの方がメジャーな電解質ですが、臨床医ならMgについても、 知っておくべきです。まず低Mg血症から見ていきましょう。 はい!よろしくお願いします! 12
#13.
低Mg血症の原因 ・消化管と腎臓、どちらから喪失するかに注目すると整理しやすい 13
#14.
低Mg血症の原因 14 ・消化管と腎臓、どちらから喪失するかに注目すると整理しやすい 病態 原因 消化管からの喪失 低栄養、慢性下痢、アルコール中毒、下剤、脂肪便、PPI、 短腸症候群、潰瘍性大腸炎、クローン病、急性膵炎 腎臓からの喪失 アルコール多飲、細胞外液量増加、高Ca血症 薬剤(利尿薬、アミノグリコシド、シスプラチンなど) 尿細管機能異常(Barter/Gitelman 症候群、移植腎など) 原発性副甲状腺機能亢進症、原発性アルドステロン症 その他 Anesthesiology. 2011; 114: 971-93. 枠で囲った病態は、外来や救急でよくみる疾患だね。こういう患者さんでは、 Hungry bone syndrome、高血糖 「Mgは下がってないのかな?」と注意が必要。薬は、主に利尿剤とPPIをチェック。
#15.
補足:プロトンポンプ阻害薬が低Mg血症を起こす プロトンポンプ阻害薬(PPI)を複数年使用している場合は、副作用と して低Mg血症を発症し、Mgの腸管吸収低下が主因と報告されている。 日本人の透析患者において、PPI内服患者は、H2ブロッカー内服患者 や制酸薬を使用していない患者と比較して、有意に低Mg血症を起こす と報告された。 PPIによる『症候性』低Mg血症の発症は稀と推察されていますが、PPIは 汎用される薬なので、『Mgを下げるかも』という意識はしておきましょう。 N Engl J Med. 2006 Oct 26; 355(17):1834-6. PLoS One. 2015 Nov 30; 10(11):e0143656. 15
#16.
低Mg血症の症状 16 電解質・代謝 低Ca血症、低K血症 心血管系 心電図異常、不整脈(TdP型心室頻拍) 神経筋症状 けいれん、筋力低下、気管支収縮 なかなか改善しない低Ca、低K血症の症例で、実は血清Mgが低く、 Mgを補正したら改善したというケースがありますね。低Mg血症で最も 恐ろしいのは不整脈、TdP(トルサード・ド・ポワンツ)型の心室頻拍です。 Anesthesiology. 2011; 114: 971-93.
#17.
低Mg血症の治療 ・無症候性:意見が分かれるところ。内科や腎臓内科と相談して決定する。 ・症候性:痙攣や不整脈が出たときはMg補充を行う。 硫酸マグネシウム(硫酸Mg補正液1mEq/mL)を静注する場合が最も多い。 妊婦の子癇発作などの重症例では静注用マグネゾール、 軽症例では酸化マグネシウム錠の内服を行い、外来でフォローアップする。 実は、静注用マグネゾールは『低マグネシウム血症』に保険適応がなく、 『重症妊娠高血圧症候群における子癇の発症抑制および治療』のみ適応。 硫酸Mgしかない病院が多いですが、自分の病院のMg製剤は一度チェック Anesthesiology. 2011; 114: 971-93. 17
#18.
症例:低Mg血症 18 37歳女性:妊娠中に溶連菌感染と急性腎不全を発症した。手足の痺れ やトルソー兆候が出現し、血清Ca値が2.6meq/Lと低値で、グルコン酸 Caを投与したが低Ca血症は改善しなかった。痙攣も出現し、気管挿管 を行った。血清Mg値は1.2mg/dLで、硫酸Mgの静注により、血清Mg 値は上昇し、血清Ca値も上昇した。痙攣は消失し、抜管できた。 80歳男性:横行結腸癌で、結腸切除術と人工肛門造設術を行った。術後 に痙攣を発症し、血清Mg値が1.2 mg/dLであり、硫酸Mgの投与により 改善し、痙攣も収まった。消化管の吸収障害などが原因と考えられた。 日救急医会誌 1996; 7:197-201. 日集中医誌 2023; 30:21-22.
#19.
症例:低Mg血症 19 59歳女性:絞扼性イレウスで広範小腸切除後、短腸症候群となり、慢性 下痢を呈していた。全身倦怠感で受診し、血清K値 2.5meq/L、Ca値 4.3mg/dLで、KとCaの補充を行ったが改善せず、血清Mgを測定する と0.4㎎/dLであった。Mgを経静脈的に補充し、KとCaの投与も継続し、 最終的にすべての電解質異常は改善され、症状は改善し退院した。 83歳女性:動悸を主訴に来院し、心電図で多型性心室期外収縮が頻発し、 QTc 580msecと著明に延長していた。血清K値 2.3meq/L、Mg値 1.6 ㎎/dLであり、電解質補正により、心室性不整脈とQTc延長は改善した。 日腎会誌 2012;54(8):1197-1202. 心臓 2015; 47(Suppl.1):50-54.
#20.
ディスカッション 最初は低Mg血症を疑っていなくて、臨床経過からMgを遅れて測定する パターンも結構ありますね。たしかに、Mgってルーチンで測定しないもんな~。 Mgが外注でしか測定できない施設もありますよね。QT延長など緊急を要する 例では、検査結果を待たずに、低Mg血症を疑って補正することもしばしば。 そうなりますよね。なので、『どういうケースでMgが低下しやすいか?』を把握 して、『この症例Mg低いんじゃないの?』と動けるようになるのが大事ですね。 20
#21.
ディスカッション 施設によっては、血液ガスの測定項目にMgが入っているので、血液ガスを 測定するだけでMg値がわかります。 え、いいなぁ。リアルタイムで測定できるなら、ベストですよね。低Mg血症の 診断と、補正前後のMgの数値も出したいですもんね。あとはコストの問題か。 注意点としては、血液ガスで測定できるのはイオン化Mgなので、単位がmg/dL ではなく、mmol/Lという点です。正常範囲は0.45 ~ 0.60 mmol/Lです。 21
#22.
22 血液ガスのイオン化Mg測定が有効であった例 絞扼性イレウス術後の78歳男性 VPCが散発し、循環不安定 ルーチンの動脈ガス測定で イオン化Mg低値と判明 硫酸Mg投与し、VPCは消失し、循環安定した (補正後のイオン化Mg値:0.60mmol/L) スムーズ!
#23.
23 小ネタ①Mgが多く含まれる食品 食品 Mg含有量(mg/100g) 干しひじき 640 真昆布 510 ピュアココア 440 インスタントコーヒー 410 カットわかめ 410 いりごま 360 さくらエビ 今日の臨床サポート 煮干し 310 焼きのり 300 大豆 296 アーモンド 290 乾燥そば(※) 190 玄米 110 いくら 95 ほうれん草 69 (※)ゆでると27㎎
#24.
小ネタ② 胃全摘後の患者さんへの酸化Mgは無効? 24 酸 化 M g ( M g O ) は 胃 酸 ( H C l ) と 反 応 し 、 塩 化 M g ( M g C l 2) と な る 。 MgO+2HCl→ M g C l 2 +H₂O この塩化Mgが腸内で浸透圧を高め、水分を腸管内に引き込んで 便を柔らかくする。胃酸が不足すると、MgOが十分に塩化Mgに 変換されず、薬効が低下する。つまり、胃全摘術後の患者さんには 酸化Mgの下剤効果が期待できない。 ずーっと酸化Mg処方されてる患者さんいるよね。手術歴は要チェック! Eur J Clin Pharmacol. 2014; 70:921-924. .
#25.
小ネタ③ SGLT2阻害薬はMg値を上昇させる? いくつかの研究で、SGLT2阻害薬投与後に血清Mg濃度の軽度上昇 が観察されている。それは、次のメカニズムによる可能性がある。 ①尿中Mg排泄の低下:Na排泄の増加が、Mgの再吸収を促進 ②炎症改善:SGLT2阻害薬の抗炎症作用が、腎臓のMg代謝を改善 ③体液バランス変化:利尿作用による血液濃縮で、血清Mg濃度が上昇 これは、面白い作用ですね。臨床的には高Mgより低Mgの患者さんの方 が多いので、有益な気がしますね。今後の追加報告に期待します。 さて、次は高Mg血症を見ていきましょう。 Diabetologia. 2016; 59(12):2546-2551. 25
#26.
高Mg血症の症状 26 血清Mg濃度(mg/dL) 2.5~5.0 5.0~7.0 7.0~12 12~ Rev Endocr Metab Disord 2003; 4:195-206. Intern Med. 2005;44: 448-52. 臨床症状 無症状 悪心・嘔吐、皮膚紅潮、倦怠感、 意識障害、深部腱反射低下 傾眠、血圧低下、徐脈、 深部腱反射消失、低Ca血症 完全房室ブロック、心停止、 呼吸筋麻痺、四肢麻痺、昏睡
#27.
高Mg血症の治療法 27 血清Mg濃度(mg/dL) 2.5~5.0 5.0~7.0 7.0~12 12~ 臨床症状 無症状 悪心・嘔吐、皮膚紅潮、倦怠感、 意識障害、深部腱反射低下 治療適応なし 症状に応じて入院 傾眠、血圧低下、徐脈、 深部腱反射消失、低Ca血症 完全房室ブロック、心停止、 呼吸筋麻痺、四肢麻痺、昏睡 Mg製剤内服中で腎機能正常なら、内服中止で高Mg血症は改善することが多い。 Rev Endocr Metab Disord 2003; 4:195-206. Intern Med. 2005;44: 448-52.
#28.
高Mg血症の治療法 28 血清Mg濃度(mg/dL) 2.5~5.0 5.0~7.0 入 院 7.0~12 12~ 臨床症状 無症状 悪心・嘔吐、皮膚紅潮、倦怠感、 意識障害、深部腱反射低下 傾眠、血圧低下、徐脈、 輸液、昇圧剤 深部腱反射消失、低Ca血症 グルコン酸Ca 完全房室ブロック、心停止、 TPM、PCPS 人工呼吸器 昏睡、呼吸筋麻痺、四肢麻痺 腎臓内科と相談し、緊急血液透析を検討する。重症例はICUで入院管理する。 Rev Endocr Metab Disord 2003; 4:195-206. Intern Med. 2005;44: 448-52. TPM 一時的ペースメーカー PCPS 経皮的心肺補助装置
#29.
高Mg血症の危険因子 高Mg血症の危険因子 高度腎機能障害 消化器病変 Mg製剤過剰摂取(下剤、制酸薬) リチウム内服 ミルク摂取 悪性腫瘍 Addison病 重症熱傷 副甲状腺機能亢進症 甲状腺機能低下症 29 特に危険!! over dose Magnesium. 1985; 4: 165-167.
#30.
高Mg血症ではアニオンギャップが低下する? 30 Mgが増加すると、それに対応する陰イオン(Cl⁻やHCO3⁻)が 増加するが、アニオンギャップ(AG)の計算式にはMgが含まれて いないため、陰イオンの増加分しか計算に含まれず、AGが低下する。 AG=(Na⁺)−(Cl⁻ + HCO3⁻) Mg正常の場合 高Mgの場合 ・Na⁺ = 140 mmol/L ・Na⁺ = 140 mmol/L(変化なし) ・Cl⁻ = 100 mmol/L ・Mg²⁺ =増加(計算に含まれない) ・HCO₃⁻ = 26 mmol/L ・Cl⁻ = 105 mmol/L(増加) AG=140-(100+24)=14 Am J Nephrol. 1992; 12: 336-43. ・HCO₃⁻ = 29 mmol/L(増加) AG=140-(105+29)=6
#31.
31 症例:高Mg血症 【現病歴】80歳男性。誤嚥性肺炎で入院中に貧血を認め、上部内視鏡 検査で活動性出血なく、待機的に下部内視鏡検査の方針となった。 内視鏡施行前日に、前処置としてクエン酸Mg散を用法・用量通り (クエン酸Mgとして34g)に内服した。内服から約3時間後に急激に ショックとなり、ICU入室した。 【既往歴】胃潰瘍 高血圧 糖尿病 【薬剤歴】ボノプラザンフマル酸塩錠 テルミサルタン ボグリボース
#32.
症例:高Mg血症 Na K CL BUN Cre CK Alb Ca Mg P CRP 32 血液検査 (mEq/L) (mEq/L) (mEq/L) (mg/dL) (mg/dL) U/L (mg/dL) (mg/dL) (mg/dL) (mg/dL) (mg/dL) 入室24時間前 144 2.9 113 49 0.83 63 1.3 7.9 2.3 2.3 0.3
#33.
症例:高Mg血症 Na K CL BUN Cre CK Alb Ca Mg P CRP 33 血液検査 (mEq/L) (mEq/L) (mEq/L) (mg/dL) (mg/dL) U/L (mg/dL) (mg/dL) (mg/dL) (mg/dL) (mg/dL) 入室24時間前 144 入室3時間前 147 2.9 113 49 2.9 113 47 0.83 63 1.3 0.96 52 1.2 7.9 2.3 9.6 10.7 2.3 0.3 4.3 1.0
#34.
症例:高Mg血症 入院後経過 ICU入室後、細胞外液輸液し、NADを開始した。高Mg血症に対して 持続的濾過透析(CHDF)を開始した。CHDF開始6時間後には Mg5.9mg/dLまで低下し、循環は安定傾向になった。腹部造影CT、 下部内視鏡で異常なく、腸管由来の高Mg血症は否定的であった。 第2病日にMg4.3mg/dLまで低下し、NADは終了し輸液を減量した。 第3病日には意識は清明となり、CHDF終了した。 第4病日のMg2.3㎎/dLと正常範囲まで低下し、全身状態安定して おりICU退室して一般病棟に移動した。 34
#35.
症例:高Mg血症 35 入院後経過 CHDF 人工呼吸管理 NAD(MAX 0.3μg/kg/min) SBP(mmHg) HR (bpm) 100 SBP 120 90 HR 90 80 腹部造影CT:特記所見なし 8.5 60 下部内視鏡:特記所見なし 70 10.7 150 尿量 Mg 血中濃度 (正常 1.8~2.4mg/dL) 5.9 尿量 (ml/6hr) 尿中Mg:16.4mg/dL (正常値:3.3~11.4mg/dL) 1000 4.3 2.7 2.3 ICU退室 0 6 12 18 24 30 Time 36 42 48 (hr) 3 4 (day)
#36.
考察 36 高Mg血症の危険因子 高度腎機能障害 本症例 なし 消化器病変 Mg製剤過剰摂取(下剤、制酸薬) リチウム内服 なし なし なし ミルク摂取 悪性腫瘍 Addison病 なし なし なし 重症熱傷 副甲状腺機能亢進症 甲状腺機能低下症 Magnesium. 1985; 4: 165-167. なし PTH未測定 病歴が合わない 甲状腺機能亢進症(経過良好) 本症例は血清Mgが上昇する危険因子が特に無かったが、 Mg下剤の通常量・単回投与で致死的な高Mg血症を呈した
#37.
37 考察 この症例は、『腎機能正常で腸管に異常がない』のに、『Mg製剤を用法・用量 通りに単回投与した』だけで、Mgの血中濃度が著明に上昇したんですね。怖い。 似たような症例報告があります。 89歳男性(腎機能正常)。腹痛あり、レントゲンで著明な腸管拡張を認めた。 マグコロールⓇ34g(本症例と同一量)内服し、翌日内視鏡検査予定であった。 翌日ショックとなり、著明な高Mg血症(12.6mg/dL)を呈し、最終的に死亡した。 怖! Intern Med. 2006; 45: 207-10.
#38.
38 考察 私が以前に経験した、こんな症例もありますよ。 65歳の健康な男性。便秘で、酸化Mg 1g/日を1か月前から内服していた。大量 の下痢、ショックで搬送された。来院時の血液検査で血清Mg 12.4mg/dL、CTで 著明な腸管拡張あり、下部内視鏡で大腸が壊死しており、緊急手術を行った。 術後に透析を行い、Mgは正常値まで低下した。第80病日に自宅退院した。
#39.
39 考察 うわ~。この症例は、酸化Mgを飲んで高Mg血症になり、循環不全を起こした 結果、腸が虚血になり壊死したということですか?(腸管壊死の原因が高Mg) そうかもしれませんし、イレウスから腸管壊死となった結果、細胞崩壊により 高Mg血症を起こした可能性もありますね。(腸管壊死の結果が高Mg) なるほど~。高Mg血症は、腸管壊死の『原因』と『結果』、両方ありうるんですね。 高Mg血症では腸管壊死を、腸管壊死では高Mg血症を念頭におく。
#40.
最後に… 40 実はこんな報告があります。 Mgを含む電解質検査を行った患者1033例で、487例でMg低値、59例でMg高値 を認めた。内科医がMg異常を予測できたのは、Mg低値の10%、Mg高値の13% しかなかった。この論文では、電解質の異常を疑った際には、Mg濃度測定を ルーチンに行うことを推奨している。 ええ…。予測正解率10%って 疑った際は、と言うけど、そんなに正解率低い なら、いっそ全例で測定する方がいいんじゃないですか? まあ、無症候性の低Mg血症とか、発見しても治療適応ない人もいるし、悩みま すね。でも急患、急変、重症患者の初療ではルーチン測定もありかもですね。 JAMA. 1990 Jun 13;263(22):3063-4.
#41.
41 ま と め ① てきすと Mgは見落とされやすい電解質だが、知識がないとNG!危険です。 注目すべきポイントは『腎臓』『腸管』『薬剤』。 ② てきすと ③ ④ 低/高Mg血症、各々の特徴と治療法を把握して、実戦で活かそう。 てきすと 診断が難しいので、初療ではMgをルーチンで測定するのもありかも。