#2. 超高齢社会を迎えた我が国において、がん、慢性心不全、慢性呼吸器疾患、脳血管疾患後遺症、整形外科疾患、さらには認知症など の患者数は増加の一途をたどっています。これらの患者さんに、住み慣れた環境でその人らしく過ごしていただくためにはどのよう な支援が求められるのか、一人ひとり考える必要があります。 「健康」であることは理想といえますが、単に病がないことだけが「健康」ではありません。身体的要因に加えて、心理的要因、社会環境的要因な どが加わったうえで、その人が満足できる状態が「健康」であると言えます。さらに健康は、医師ひとりで考えることではなく患者 さんも含めた多職種チームで模索していくことになります。当法人は、開設当初より心不全患者さんに対する在宅医療に強みを発揮 してきました。開設10年 を経て、多様な疾患や重症度の患者さんを紹介していただけるようになり、一貫して多職種チームで手をあ て続けております。 また医療・介護・福祉が連携した包括的支援は、昨今の地域医療における重要な要素であるといえます。在宅医療の対象となる高齢者の多くは、フレイルにより 日常生活自立度が低下した状態であり、ジェネラリストとしての対応が求められます。一方で、重症心不全や神経難病など医療依存度の高い症例においては、スペシャリスト として専門性の高い医療が求められます。そのため、「地域医療こそが最前線だ」という気概を持って、様々な領域の最先端を学び続けることができる組織を目指すこと が重要であると考えています。 当法人に勤務するスタッフは、年齢やこれまでの経験、専門領域、働き方など、多様性に富んだ集団です。共通の理念のもと、各人が地域医療にかかわる標準的な知識や技能 を備えたうえで、それぞれが構築してきた専門性にとらわれることなく、さらに高度な知識や技能を習得できるようにYUMINO Education Program を策定いたしま した。このプログラムを活用し、一人でも多くのスタッフが、疾患管理のみならず一人ひとりの生活、人生すなわち「LIFE」に寄り添い続け、地域医療で活躍し てくれることを願っています。