テキスト全文
#2. 四肢外傷
=タニケット止血
本当に正しい…?
#3. Primary Survey
ABCDEアプローチ 出血に伴うCの異常はあるか?
#4. 外出血における止血プロトコル(病院前) タニケットの真の適応は限られている! 参考)Up To Date® Initial management of moderate to severe hemorrhage in the adult trauma patient
#5. タニケット使用時の注意点 ●駆血は2時間以内(止血処置ができるまで外さない)
●解除時の注意
再出血・ショックへの対応
再灌流障害への対応(モニタリング、除細動等)
●合併症(最大の予防策:圧迫止血可能な時に使用しない)
疼痛(→鎮痛)
神経麻痺・組織損傷(→適切な幅)
血栓
コンパートメント:不十分な駆血圧による静脈駆血
筋損傷・横紋筋融解(→時間管理)
参考)Up To Date® Initial management of moderate to severe hemorrhage in the adult trauma patient
#6. Major 四肢切断かも…と思ったら 再建を急げ!
再血行化まで受傷後
4-6時間以内がタイムリミット
Hossny A. J Vasc. Surg 2004.40; 61-6 筋肉の壊死を防ぐ
#7. 各科で協力し再建を急ぐことが大切 救急医 外傷整形外科医 ヘリの連絡を共有しよう
造影CTは必須かな…? 上肢不全切断…!
オペ室に連絡しておこう
#8. 一刻も早い再建を目指す 外傷Gへ情報共有
各種検査オーダー 手術室連絡・手術申し込み
インプラント確認・連絡 上肢切断
かも…! 外傷整形外科医 救急医 0:00 オペ室出棟 〔時間:分〕 受傷 病着 2:20 2:10 1:53 CT 離陸 現着 原発 0:17 00:51 接触 01:03 01:19
#9. 遅延ない再建のためのためには… 阻血の兆候を
見逃さない 再建を急げ!
再血行化まで受傷後
4-6時間以内がタイムリミット
Hossny A. J Vasc. Surg 2004.40; 61-6 筋肉の壊死を防ぎたい
#10. 血流評価の早期診断 Hard sign
Soft sign
#11. Hard sign(血管損傷の確率>90%)
➡再建を急げ! ●活動性の外出血
●急速に拡大する血腫
●スリルの触知
●血管雑音の聴取
●阻血の5兆
(脈拍触知不能・蒼白・疼痛・感覚低下・麻痺)
Feliciano DV. J Trauma. 2011; 70: 1551–1556
Evans C. Emerg Med Clin North Am. 2018; 36(1):181–202
#12. Soft sign(血管損傷の確率3-25%)
➡見られれば造影CT考慮 ●動脈近傍の貫通創や鈍的外傷
●動脈性出血のエピソード
●動脈近傍の拍動性のない血腫
●動脈近傍を走行する神経所見の異常
●Capillary Refillの遅延
●健側比で脈拍の減弱
※骨折は全例Soft sign(+)
Feliciano DV. J Trauma. 2011; 70: 1551–1556
Evans C. Emerg Med Clin North Am. 2018; 36(1):181–202
#13. 四肢外傷の血流評価 ●健側と患側の末梢動脈の触れが同程度
➡主要動脈損傷は否定的
●カラードップラーでの評価も有用
●Arterial Pressure Index (API)
患側の末梢の血圧/健側の上腕の血圧
API<0.9=血管損傷あり
➡感度/特異度95% (rule outに)
Feliciano DV. J Trauma. 2011; 70: 1551–1556)
#14. 上肢の触診 尺骨動脈 橈骨動脈 尺側手根屈筋 橈側手根屈筋 画像)ネッター解剖学 原書第7版より一部引用
#15. 下肢の触診 足背動脈 後脛骨動脈 長母指伸筋腱 後脛骨筋腱
長趾屈筋腱 画像)ネッター解剖学 原書第7版より一部引用
#16. 主要血管損傷の評価➡造影CT(CTA) ●外傷部位との位置関係・損傷範囲・全体像
●血管造影と同程度の正確性
●簡便でコストも安く、第一選択
Feliciano DV. J Trauma. 2011; 70: 1551–1556 ●ショックの際に評価をしても正確な評価になり得ない
➡必ずショック離脱後に撮影
(Evans C. Emerg Med Clin N Am 2018 36 181–202)
●骨折・脱臼の血管損傷疑いは整復後に再評価
#17. Take home message ●外出血止血の基本は圧迫止血!
●血管損傷の評価にはhard signやsoft sign
エコーが有用!阻血を見逃さない!
●血管損傷を伴う四肢外傷は特に緊急度が高い
チームで連携をしつつ再建を急ぐ!