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クリスマスと小児救急受診数の関係
#1. クリスマスはサンタが来るから小児救急受診数少ないのでは? 市立福知山市民病院 総合内科
住吉 翔元
#2. クリスマスにプレゼントがもらえる ▼サンタクロース(以下サンタ)はクリスマスに
小児のもとに訪問しプレゼントを渡す。
▼12月24日深夜から12月25日早朝にかけてサンタ
がプレゼントを置いていくと推測されている。
#3. クリスマスはベッドにいたいはず ▼サンタクロースは眠っている小児のもとへ訪問する。(筆者が筆者親から聴取)
⇀睡眠中にしか訪れないサンタを迎えるためには、
サンタが来る時間にベッドにいる必要がある。
ベッド以外の場所で起きていることは、年1回の機会を
損失するハイリスクであると仮にサンタを見たくとも、
小児は考えるはずである。
サンタの訪問時間と影響
#4. クリニカルクエスチョン クリスマスはプレゼントをもらうために
何としても家にいたいと考える小児が多い?
⇀多少の症状なら我慢してしまう小児が相次ぎ
クリスマスの救急外来は受診数が少ない
可能性があるのでは?
#5. 調べる前に決めておきたいこと ▼サンタは何時にプレゼントを置くか?
▼サンタに影響される年齢は?
小児の就寝時間とサンタの影響
#9. サンタは22時から6時までに訪問する ▼小学生はだいたい22時に就寝、6時30分に起床
⇀サンタは22時頃から低年齢の小児のもとに訪問を始め、
遅くとも朝6時までにはプレゼントを配り終える
と聡明な小児なら辿り着くはず。
▼21時以降受診すると帰宅が22時を超えるリスクあり。
⇀救急外来を21時から6時に受診すると
プレゼントをもらえないハイリスクである
#10. サンタに影響される年齢は? ▼筆者のもとには10歳以降サンタが訪問しなかった
▼筆者の周囲では12歳を境目にサンタが訪問しなく
なった例が多い
▼あまり低年齢だと、サンタのことを深く考慮しない
可能性がある
⇀サンタに影響されるのは小学生(6-12歳)と仮定する。
クリスマスの救急外来受診数の調査方法
#11. これまでの考察をベースに当院でのクリスマスの救急外来を検討した
#12. 目的 クリスマス(12月24日深夜帯)の
小児救急外来受診数を、他の日と比べることで、
サンタが影響する小児救急受診控えがあるか
検討する
#13. 方法 サンタの影響を受ける、21時から6時の受診
を深夜帯とする
例:12月21日深夜帯⇀21日 21時から22日 6時
小児科、その内 小学生1-6年生の数を計測
#14. 方法 ウイルス性上気道炎の流行状況などもあり、
なるべく近い日付を対象とした。
年末年始にかかり、帰省中の小児受診数増などのバイアスが生じることを懸念し、
クリスマスとの比較は、その直近でクリスマスを含む、12/21-27の7日間で行う。
#15. 方法 単施設カルテレビュー(市立福知山市立病院)
2006年から2020年の計15年間の
12月21日から27日の期間
小児科 深夜帯救急受診数を計測(外科含む)
クリスマスの受診数の結果と考察
#16. 結果 2006-2020年の夜間(21時-翌朝6時)小児救急受診数 12月24日 他の日より受診数多い??
#18. 考察 ・対象の小学生の群に統計学的有意差は指摘できず。
全体ではクリスマスはむしろ受診数増の可能性あり
・病院に行った小児にプレゼントを渡さない、という
サンタがそもそもいない可能性あり。
⇀小児は受診控えまで考えないかもしれない
・症例数の少なさ、12/23の祝日が含まれている、都会と田舎の違いなどさまざまなバイアスが挙がる。
#19. 結論 ▼わが街 福知山市ではクリスマスのサンタに
よる小児救急受診控えは考えなくともよい、
むしろ多い可能性あり
▼都会の病院など、受診数の多い施設での検討
が必要である。