テキスト全文
#1. 目の前の人に「死にたい」と打ち明けられたら 内田 直樹
#2. このスライドで学べること 自殺のリスクを評価することができるようになる
自殺のリスクが高い人に接した際に適切な対応を取ることができるようになる
#3. 「死にたい」と打ち明けられた時の、よくある不十分な対応 「なぜそう思うのか」と尋ねる
とにかくその人の話を聞く
聞かなかったことにする
「自殺はダメ」と諭す
「家族が悲しむ」と伝える
命の大切さについて話す
これらはいずれも不十分な対応である
#4. 福岡県自殺未遂者支援マニュアル このスライドは、福岡県自殺未遂者支援マニュアルがもとになっています
マニュアルには、自殺のリスク評価のチェックシートや、精神科医療機関紹介時のスクリーニングシートなどものっています
ぜひご覧ください
#5. 自殺に関する用語の定義 自殺企図 自殺既遂と自殺未遂が含まれる
自殺未然 自殺行動をしていることを止められること
自傷 死ぬつもりがなく自らを傷つけること
自殺念慮 具体的な方法は考えてないけど死にたい
希死念慮 自殺はしたいと思わないが、死んだら楽になると思う
#6. TALKの原則 「死にたい」という気持ちを持った人と接する時に、しっかり向き合うための対応としては、TALKの原則が役に立つ
TALKはTell、Ask、Listen、Keep safeの頭文字
#7. Tell 「あなたのことを心配している」と伝える まず、はっきり言葉に出して「あなたのことを心配している」と伝える
誠実な態度で話すことが重要だが、ここで諭すように話しすぎないことも重要である。
#8. Ask 死にたいと思っているかどうかを率直に尋ねる 次に、死にたいと思っているかどうかを率直に尋ねる
死にたいと思っている人に死や自殺を話題にして、これによって自殺行動が惹起されるということはなく、むしろ自殺行動のブレーキとなる
決して見て見ぬふりをしない
#9. Lisen 相手の絶望的な気持ちを徹底的に傾聴する つづいて、相手の絶望的な気持ちを徹底的に傾聴する
絶望的な気持ちを一生懸命受け止めて聞き役にまわる
とりあえず10分間はしっかり聞くということが一つの目安
死にたい気持ちを持つ人は、10分間話を聞いてもらったことがないことが多い
#10. Keep safe 安全を確保する ここまでの対応を行ったうえで、やはり自殺のリスクが高いと判断すれば、まず本人の安全を確保して、周囲の人の協力をえて適切な対処を行う
ここで、大変な時には周囲の人の協力を得るのだということを実際にやってみせるということも重要である
#11. 自殺の危険が心配になったら、しなければならない3つのこと 心理状態(自殺念慮の振り子モデル、心理的視野狭窄、焦燥感)を確認する
自殺の危険因子を確認する
できることから積極的に働きかけ、自殺行動にブレーキをかける
#12. 自殺念慮の振り子モデル 自殺念慮は一定ではなく振り子のように両極を揺れ動いて、死にたいと生きたいをいったりきたりしており、場合によっては両方の気持ちを同時に持つこともある
行動に移った段階では考えるレベルを超えており、話せる状態にすることが目標となる 福岡大学医学部精神医学教室 衞藤暢明先生作成
#13. 心理的視野狭窄 普段の状態なら解決策やブレーキをかけることを考えるが、心理的視野狭窄状態になると自殺しかみえなくなる
視野が狭くなった人の視野を広くすることを目指す
「自殺をやめましょう」ではなく、具体的な解決先について考えていく。例えば、お金の問題なら司法書士に相談してみる、など
#14. 焦燥感 外からのプレッシャー、心の痛み、焦燥感、が極まった時に自殺が起きるという自殺に関する理論的立方体モデル*がある
この3つの中で、焦燥感は本人に聞かなくても他覚的に評価できるため意識して確認する
そわそわして落ち着かない、動き回る、怒りっぽい
*Shneidman, E ; Suicide as Psyche
#15. 自殺の危険因子を確認するSAD PERSONSスケール Sex 男性
Age 年齢(高齢者と思春期)
Depression うつ病
Previous attempt 自殺企図歴
Ethanol abuse アルコール、薬物の乱用
Rational thinking loss 合理的思考の欠如
Social support deficit 援助の欠如
Organized plan 練られた計画
No spouse 配偶者の欠如
Sickness 慢性の病気
#16. 自殺の危険因子を確認する 自殺の危険の評価に基づき可能な限り自殺の危険性を減らす、変えられる危険因子から変える、変えられない場合は心理状態を安定させる、という視点が必要になる
自殺の原因はこれ!と特定しがちだが、直線的な考え方は馴染まない
自殺の原因を問わない、自殺に関わる複数の要因を探る、そして要因をできるだけ減らすことを考える
#17. できることから積極的に働きかけ、自殺行動にブレーキをかける 自殺の手段を遠ざける、心理状態を安定させる、を行なった上で、危険因子を減らす
自殺をしない約束をすることの有効性は低そうだというのが専門家の見解
自殺の危険が高いと根拠をもって言える時には守秘義務は問われない
#18. 私たちに求められること 「孤立しない、孤立させない」
危機的な状況では、わずかな支援が大きな力になることを自覚する
「希望を持ち続ける」
私たちが生き残る
#19. あらためて、 このスライドは、福岡県自殺未遂者支援マニュアルがもとになっています
マニュアルには、自殺のリスク評価のチェックシートや、精神科医療機関紹介時のスクリーニングシートなどものっています
ぜひご覧ください