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コロナ肺炎のマネジメントまとめ

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19

2020/5/30
2020/8/18 更新
瀬口 京介

亀田総合病院

NEJM clinical practiceとJAMA insightsをメインに関連する論文をまとめてみました。


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コロナ肺炎のマネジメントまとめ

  1. Clinical Management of COVID-19 pneumonia May 28 th 2020 Post Graduate Year 2: Kyosuke Seguchi, M.D. Kameda General Hospital

  2. 累積確定症例の世界分布 (Johns Hopkins corona resource centerより引用) https://coronavirus.jhu.edu/map.html

  3. 世界における1日の確定症例数 (Johns Hopkins corona resource centerより引用) 120k 100k 80k 60k 2019年末にWuhan, Chinaで最初に報告 Total Confirmed:5,695,968例(5月28日時点) Global death:355,701人(5月28日時点) 40k 20k https://coronavirus.jhu.edu/map.html

  4. Topics 1. Clinical Course 2. Pathophysiology 3. Management

  5. Clinical Course

  6. 臨床症状 症状や検査所見 頻度の高い症状 発熱,咳嗽,全身倦怠感,食欲不振,筋肉痛,下痢¹⁾ 重症例での症状 低酸素血症を伴う呼吸困難,リンパ球減少,中枢/末梢神経 障害,不整脈,横紋筋融解症,凝固障害,ショック²⁾ 稀にある症状 サイトカイン放出症候群様の臓器障害³⁾ 1. Centers for Disease Control and Prevention. Interim clinical guidance for management of patients with confirmed coronavirus disease (COVID-19). 2020. 2. Lancet 2020;395:1054-1062. 3. Lancet 2020;395:1033-1034.

  7. 臨床経過の特徴 潜伏期間 発熱 咳嗽 全身疲労感 食欲低下 筋肉痛 下痢 症状発現までの 日数の中央値 発症者の5%で 致死的転帰 発症者の14%で 重症化 発症者の40%で呼吸困難 初期症状発症からの日数の中央値 発症 Centers for Disease Control and Prevention. Interim clinical guidance for management of patients with confirmed coronavirus disease (COVID-19). 2020.

  8. Pathophysiology

  9. これまでの流れ • ARDSのBerlin定義を満たし、重症低酸素血症があるにも関わ らず、肺のコンプライスが正常に近い症例が報告. • SARS-CoV-2の感染という単一の病因に起因するにも関わらず、 多種多様な臨床症状を呈する. → COVID-19のphenotypeに関する仮説の登場 Surviving Sepsis Campaign: guidelines on the management of critically ill adults with Coronavirus Disease 2019 (COVID-19). Intensive Care Med.

  10. Phenotypeに関する仮説@ICM Intensive Care Med 2020, Editorial.

  11. A ボ ク セ ル 数 Type L CT値 B ボ ク セ ル 数 Type H CT値

  12. Type L & H Type L 肺傷害の進行 (ウイルス感染+自己誘発性肺傷害) Type H 吸気努力と浮腫 ↓ ↓ ↓ ↓ 弾性 V/Qミスマッチ 肺重量 リクルータビリティ ↑ ↑ ↑ ↑ 弾性 右左シャント 肺重量 リクルータビリティ

  13. Gattinoniらの仮説 • 胸膜下間質性浮腫と血管麻痺→重症低酸素血症 →吸気時陰性胸腔内圧の増大 ※肺コンプライアンスは正常 →呼吸困難を伴わない低酸素血症(Silent hypoxemia)で来院. • 陰性胸腔内圧の上昇と炎症による血管透過性亢進が肺傷害を進 行させる(patient self-inflicted lung injury, P-SILI) →ウイルス感染と自己誘発性肺傷害がメインの病態

  14. Phenotypeに関する仮説@ERJ

  15. Phenotype 1 発熱,頭痛,軽度の呼吸器症状. 胸部レントゲンは正常で、低酸素血症なし. Type L Phenotype 2 低酸素血症と胸部レントゲンで陰影あり. ※急性増悪の可能性あり、呼吸数と酸素飽和度のモニタリングが必要. Phenotype 3 著明な酸素化低下と呼吸数の増加. ※IL-6上昇を伴う事がある. 肺コンプライアンス良好で呼吸仕事量も低く、人工呼吸器までは必要としない. Phenotype 4 挿管が必要な重症低酸素血症.CTでは下葉に浮腫. 低酸素性血管収縮が特徴的. Phenotype 5 急性に肺傷害が進行したタイプ. 肺コンプライアンス低下も伴いARDSに準じてマネジメントを行う. Type H

  16. 肺病理 Intensive Care Med 2020.

  17. 肺病理 a) ・肺胞へのリンパ球浸潤と浮腫(細). ・変性を伴うⅡ型肺胞上皮過形成(太). b) ・細気管支内の管腔内疎性結合組織(細). ・気管支上皮(太). c) ・肺胞管内の器質化肺炎(細). ・フィブリンボール(太). d) ・血管内皮障害. ・内皮細胞の細胞質空胞化 病理所見からは血管内皮障害や凝固亢進が病態に関連

  18. 新しい仮説 ① 呼吸ドライブ(respiratory drive)の上昇 ・呼吸努力による強いストレインとストレス→P-SILI ② 血管内皮障害 ・肺血管調整の破綻→換気血流不均衡による低酸素血症 ・血栓形成の亢進 肺保護換気+vascular sideへのアプローチ

  19. 新しい仮説 肺傷害の進行 (ウイルス感染+自己誘発性肺傷害) Type L +血管内皮障害による血管調整の破綻 Type H 吸気努力と浮腫 ↓ ↓ ↓ ↓ 弾性 V/Qミスマッチ 肺重量 リクルータビリティ ↑ ↑ ↑ ↑ 弾性 右左シャント 肺重量 リクルータビリティ

  20. VILI vortex 自己誘発性肺傷害の増悪モデル COVID-19 → 血管麻痺 呼吸努力 低酸素 VILI 血管ストレス Baby lungの縮小 ストレス増強 浮腫

  21. Management

  22. NEJM Clinical Practice JAMA Insights

  23. まずはじめに感染対策 ・患者はサージカルマスクの着用 ・医療従事者はPPE着用 特に注意が必要な場面:エアロゾル曝露リスクが高い時. 挿管/抜管,気管支鏡,サクション,ネブライザー,NFNC, NIV, bagmask換気時など → N95マスクを含むPPEかつ陰圧室で行う事が推奨 早期よりACPに関する話し合いを進めておく事も重要

  24. 進行に沿った呼吸アプローチ Type L Non-invasive support Type H Early intubation Late intubation

  25. 進行に沿った呼吸アプローチ 進行度 目的 挿管前 十分なガス交換 P-SILIの防止 酸素投与,CPAP, NIV, HFNC 覚醒下腹臥位療法 呼吸努力が肺傷害に繋がる. 人工呼吸器下 VILI vortexの防止 PEEP, RR, TVを最小化 酸素需要の抑制,ECMOを考慮 経肺圧や血管ストレスによる 増悪. 挿管後 肺ストレスの最小化 Type L: 一回換気量とPEEPの不適が死 腔を生み、血流減少を起こす. 肺/血管ストレスの減少 と再分配 Type H: 典型的なARDSに則る. SBTは十分なweaning後 強い自発努力は酸素需要, 浮腫 を増加し、P-SILIを促進. Weaning段階 VILIや浮腫による悪化防止 呼吸サポートの選択肢 lower PEEP, liberal TV. 腹臥位療法を考慮 higher PEEP, lower TV. 腹臥位療法の実施 rationale

  26. 酸素投与 • 目標:SpO₂ 90ー96%(鼻カヌラまたはventuriマスク) Alhazzani W, et al. Intensive Care Med 2020;46:854-887. • HFNCはある患者群にはよい適応. • NPPVはCOPD,心原性肺水腫,OSASで呼吸苦がある患者に制限. ※HFNCやNPPVは不適切な挿管の遅延や医療者のエアロゾル曝露のリスク あり推奨しないとするexpert opinionも. Ñamendys-Silva SA. Lancet Respir Med 2020;8(4):e18-e18.

  27. 覚醒下腹臥位療法 • 高濃度酸素投与下の患者に対してガス交換を補助. • 中等症から重症のARDS患者の死亡率を減少. • COVID患者の挿管を予防するかは明らかではない. ※COVID-19に関連しない非挿管ARDS患者を対象にした研究 注)緊急換気困難であり,急速増悪が見込まれる患者では避ける.

  28. 挿管のタイミングの判断 臨床上の判断 ・差し迫った気道塞栓 ・維持不可能な呼吸仕事量 ・難治性低酸素血症 ・高二酸化炭素血症もしくはアシデミア ・脳症もしくは不十分な気道保護 その他の考慮事項 ・病状悪化が予想されるか ・気管内挿管困難が予想されるか ・血行動態が不安定か ・処置や移動の安全性が改善するか ・感染制御とスタッフの安全を改善するか

  29. 気管挿管 ・不慣れなPPE,感染リスク,重症の低酸素血症など 挿管の難易度は高い. →最も熟練した人が行う. ・pre-oxygenation後にRSIで導入. ・抗ウイルスフィルターをairway circuitに取り付ける. ・ビデオ喉頭鏡でできるだけ距離をとって挿管. ・挿管確認はカプノメーターで.聴診は行わない. ※挿管方法は1回で成功できるよう術者の慣れている方法で.

  30. 挿管時の飛沫対策 Barrier Enclosure with the box N Engl J Med 2020; 382:1957-1958

  31. 人工呼吸器設定 • 典型的なARDSとは異なるが、重症患者においては 過去のARDSの治療trialに参加しているpopulationと近い. →重症例ではARDSに則り、治療を進めるよう推奨 • 肺胞の過伸展,低酸素,周期的な肺胞虚脱を避ける事で ventilator-induced lung injury(VILI)を予防する事。

  32. ① Tidal volumeに関して ・Type L:7-8ml/kg PBW. 高い分時換気量→再吸収性無気肺や高炭酸ガス血症の防止 ・Type H:6ml/kg PBW. ※プラトー圧<30㎝H₂O, 駆動圧<15㎝H₂O (VILI protection) ② PEEP設定に関して ・Type L:8ー10cm H₂O. ・Type H:≦15cm H₂Oで高めに設定.

  33. 難治性低酸素血症 ■腹臥位療法 適正PEEP,FiO2:0.6で PF比<150 ・難治性低酸素血症を伴う挿管後ARDS患者を対象としたRCT →1日16時間の腹臥位療法で酸素化改善と死亡率低下. Guérin C, et al. N Engl J Med 2013;368:2159-2168. ■肺血管拡張薬吸入 ・NO吸入が難治性呼吸不全における酸素化を改善する可能性 ・非COVIDー19のARDSにおける有効性は不明. Alhazzani W, et al. Intensive Care Med 2020;46:854-887. ■ECMO ・難治性呼吸不全に対するrescueとして使用される. ・cytokine stormやhypercoagulopathyに関する有効性は不明. ・pandemic settingではresource面の制限がある. Ramanathan K, et al. Lancet Respir Med 2020;8:518-526. Zeng Y, et al. Crit Care 2020;24:148-148.

  34. 抗凝固療法 ・凝固異常合併例は死亡率上昇と関連 Tang N, et al. J Thromb Haemost 2020;18:844-847. 抗凝固療法に関して • 低用量ヘパリン予防投与でも約1/3の症例で臨床的に著明な静脈/動脈血栓症. Klok FA, et al. Thromb Res 2020 April 10. • full doseヘパリンでも致死的血栓症を発症している例がある. Helms J, et al. Intensive Care Med 2020 May 4.

  35. 抗凝固療法 P:NYの大学関連病院入院中の2773名 E:抗凝固療法あり(経口,皮下注,iv等) C:抗凝固療法なし O:院内死亡率(29.1% vs 62.7%) 出血事象:3% vs 1.9% Association of Treatment with In-Hospital Survival Among Hospitalized Patients with COVID-19 https://www.onlinejacc.org/content/early/2020/05/05/j.jacc.2020.05.001

  36. ステロイド① Fang X et al. 研究方法 患者数 ステロイド群 対照群 結果 査読前論文 Wang Y et al. 後ろ向き研究 後ろ向き研究 78名 49名 40㎎/日以下 1ー2㎎/㎏/日×5ー7日 介入なし 介入なし 臨床上のインパクトなし ステロイド群で酸素投与終了までの期間 が短縮(中央値8vs14日, p<0.001) Fang X et al. J Infect. April 2020. Wang Y et al. Early, low-dose and short-term application of corticosteroid treatment in patients with severe COVID-19 pneumonia https://www.medrxiv.org/content/10.1101/2020.03.06.20032342v1

  37. ステロイド② 201名の後ろ向き研究のサブグループ解析 201名の後ろ向き研究のサブ グループ解析 P:ARDS発症した84名 0.5 E:ステロイド(50名) C:ステロイドなし(34名) 10 25 O:生存期間中央値は左図 (HR:0.38, 95%CI:0.20-0.72, P=0.03) Chaomin Wu, et al. JAMA Intern Med. Published online March 13, 2020.

  38. 謝辞:集中治療科 軽米先生/山本先生

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