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COVID-19流行下のせん妄予防の概要
#1. COVID-19流行下のせん妄予防非薬物療法編 東京大学精神神経科 古川由己. Apr 28, 2020.
COVID-19流行下でもできるせん妄の非薬物療法をまとめました。本資料は上記ののQRコードからも入手できます。印刷して適宜お使い下さい。
ご意見・ご感想・アドバイスなどcovid19.delirium.jp@gmail.com
までいただけると幸いです。適宜アップデートします。
#2. せん妄とは せん妄とは、全身状態の悪化に伴って、一時的に意識状態が障害される状態です。炎症、電解質異常、ICU入院、脱水、疼痛、便秘、薬、環境変化などが原因になりえます。認知症などの基礎疾患があるとハイリスクです。
周囲から見ると、うとうとしたり、そわそわしたり、怒りっぽくなったり、暴れたり、幻覚が見えたりと、別人のように見えることがあります。
治療としては原疾患の治療、身体症状の緩和が重要です。薬物治療としては、ラメルテオン(ロゼレム®)、スボレキサント(ベルソムラ®)などの睡眠薬や抗精神病薬が用いられますが効果は限定的です。非薬物治療として見当識補助、家族面会、早期離床などが重要です。
COVID-19で重症化する方は高齢者・基礎疾患がある方が多く、そこにさらに炎症・ICU入院などが重なるため、せん妄を起こすリスクが高いです。また、感染予防のため、家族面会などの非薬物療法の多くが行えないのが現状です。
そのような中でも、できるだけ患者さんのためになるよう、工夫していきます。ご家族の皆様にもご理解・ご協力いただけると幸いです。 ご家族・スタッフ用
せん妄対策に役立つアイテム
#3. 役に立つかもしれないもの 以下のものがあると、せん妄対策に役立つかもしれません。病棟によって持ち込めるもの・持ち込めないものがある場合がございます。また、感染予防の観点から持ち帰ることができない可能性もございます。予めスタッフにご確認ください。
補助器具(補聴器、メガネ、拡大鏡など)
タブレット・スマホ・携帯電話など(もし本人が使えれば。ビニール袋に入れて)
エクササイズバンド、握るためのストレスボール
鉛筆/ペン/色鉛筆、メモ帳など
耳栓、アイマスク
ハーブティーなどリラックスできるもの(ご本人の好きなもの)
カレンダー、日めくりカレンダー、時計
家族の写真など見慣れたもの ご家族用
入院中の患者への情報提供
寝たまま体操と睡眠の重要性
リラックス法と脳トレの提案
非薬物療法の効果と実施例
家族関与の重要性と効果
ストレス発散のための道具紹介