テキスト全文
本番での緊張と向き合う方法
#1. Report 本番で最高の自分を出す ためのヒント 精神科医の視点から考える、緊張と向き合うメンタルTips
#2. Main highlights 学会発表 専門医試験 (国試) 心理的負荷 のかかる 手技 あらゆる「ここぞ」の瞬間に活かせる心理学の知見
#3. はじめに:なぜ「本番」で緊張するのか? 「頭が真っ白になる」「実力が出せない」といった経験は誰にでもある、 普遍的な反応かもしれません 医療従事者にも経験される「本番」の緊張感:学会発表前、専門医試験や 国家試験前、大手術前、患者さんへの説明時など 緊張のメカニズム:適度な緊張はパフォーマンスにプラスに働くことも、 過度な緊張がマイナスに作用することも 【知見の応用】アスリートが極限のプレッシャーとどう向き合ってきた か、その知見もヒントになるかもしれません
緊張を和らげる呼吸法とルーティン
#4. Growth 4-7-8 緊張・不安を「味方」にする即効性Tips:呼吸法 呼吸法のご紹介: 秒で吸い、 7 秒止めて、 8 秒で 吐く(これを数回繰り返す) 深い呼吸によって副交感神経を 優位にし、即時的な不安の軽減 が期待できるかもしれません 4 「吸う:吐く=1:2」 の呼吸法のご紹介: 吐く息を長くすることで、 リラックス反応を促す考え方 例:4秒吸って8秒吐く ポイント: 「今すぐ試せる心の筋トレ」。 習慣化することで、本番での効果も期待できます。
#5. ルーティン化:集中モードへの「心 のスイッチ」 決まった行動をすることで、脳を集 中状態に切り替える(例:発表前の ルーティン、試験前の準備) セルフトーク(自己対話): ポジティブな声かけで自信を維持 「大丈夫、落ち着いて」「練習通りや ればできる」など、自分を励ます言葉 を用いてネガティブな思考を打ち消す イメージトレーニング: ミスからの切り替え: 「失敗は次への 成功イメージで本番慣れ 糧」と捉える認知の再評価 本番での成功体験を具体的に想像し、 小さなミスを引きずらず、気持ちを切 脳内でリハーサルを繰り返すことで、 り替える心の技術として過度な完璧主 本番への適応力を高める 義からの脱却
睡眠とストレスマネジメントの重要性
#6. 「ここぞ」のパフォーマンスを支える 根本TIPS:睡眠 睡眠不足がパフ ォーマンスに与 える影響 集中力低下、判断ミ ス、反応速度の低下、 体調不良、イライラ (睡眠不足は認知機能や 身体パフォーマンスを低 下させることが知られて います [3]) 不規則な生活や ストレスが睡眠 に与える影響 試験前や発表準備期間 の夜更かし、不安によ る不眠 睡眠の質を高め る習慣:睡眠衛 生の重要性 ・規則正しい睡眠時 間、寝る前のカフェ イン・アルコール制 限、寝室環境の整備 短時間仮眠 (ナップ)や睡眠 貯金の活用 昼間の短時間仮眠 (20分程度)で 集中力回復 連日多忙な時期は、 事前に少し多めに寝 ておく「睡眠貯金」 も有効
#7. メンタル疲労・プレッシャーに打ち勝つために ストレスマネジメント としての マインドフルネス : 「今ここ」に意識を集中し、 雑念にとらわれない心の状態 不安の軽減、集中力の向上、 冷静な判断力の寄与が期待さ れます ( メタ解析による不安軽 減効果 )** [2]** 「緊張は敵ではない」と捉え直す 認知の視点が重要です : 緊張を「体が本番に向けて準備 OK の サイン」と前向きに捉え直すアプロ ーチ 認知行動療法の基本的な考え方の一 つです
メンタルTipsの実践と参考文献
#8. まとめ:メンタル Tips を日常に活かす 「心の筋トレ」は誰もが取り組める技術と捉えることができます 本番に強い心を作るための、日々の習慣化の重要性 小さな Tips から実践し、ご自身に合った方法を見つけることをお勧めします もし、過度な緊張や不安が長く続く、日常生活に支障をきたす場合は、専門 家への相談も一つの有効な選択肢です
#9. 参考文献 [1] Reardon CL et al. Mental health in elite athletes: International Olympic Committee consensus statement. BJSM 2019. (PMID: 31097450) [2] Si XW et al. A meta-analysis of the intervention effect of mindfulness training on athletes' performance. BMC Sports Sci Med Rehabil 2024. (PMID: 38939219) [3] Walsh NP et al. Sleep and the athlete: narrative review and 2021 expert consensus recommendations. Br J Sports Med 2020. (PMID: 33144349)