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肺アスペルギルス症 IPA・CPA【診断編】

投稿者プロフィール
番場祐基
Award 2023 受賞者

新潟大学医歯学総合病院

13,433

42

投稿した先生からのメッセージ

2026年のお年玉企画第一弾!

呼吸器内科、感染症内科の先生はもちろん、血液内科や集中治療科の先生のお役に立てれば幸いです。

概要

肺アスペルギルス症は多彩な病態を持つ感染症で、適切な診断と治療が求められます。本稿では、肺アスペルギルス症(侵襲性肺アスペルギルス症(IPA)と慢性肺アスペルギルス症(CPA))をそのスペクトラムから理解し、病態や特に血清学的診断について解説します。

本スライドの対象者

専攻医/専門医

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テキスト全文

肺アスペルギルス症の診断と背景

#1.

肺アスペルギルス症の診断 スペクトラムで考える 新潟大学医歯学総合病院 高次救命災害治療センター/呼吸器・感染症内科 番場祐基 IPA・CPA 2026

#2.

2 序文

#3.

3 医真菌 真菌:推定種類数は約150万種 既知の種だけで7万種程度 医真菌:ヒトに病原性を有するなど、臨床的に重要なもの MycoLabo https://mycolabo.co.jp/note/classification-of-fungi/ ゲノムに基づく再分類・再命名が行われている (コロコロ名前が変わるのでよくわからなくなる…)

アスペルギルスの重要性と病態

#4.

4 感染部位による真菌症の分類 表在性真菌症 深部皮膚真菌症 深在性真菌症(日和見) 深在性真菌症(風土病) 血流感染症(カンジダ、アスペルギルス、トリコスポロン、クリプトコックスなど) 肺(気道)真菌症(アスペルギルス、ムーコル、クリプトコックス、ニューモシスチスなど) 中枢神経感染症(クリプトコックスなど) その他、播種性

#5.

5 なぜ、アスペルギルスが重要?

#6.

6 なぜ、アスペルギルスが重要? Anatomy of the Human Body (1918) Henry Gray アスペルギルスは、環境中に広く存在し、吸入によって肺に侵入する 通常は感染することなく排除されるが、宿主側の免疫状態に応じて多彩な病態を呈する

#7.

Med. Mycol. J. Vol. 58(No. 3), 2017 より作図 日本の剖検例における深在性真菌症の推移

#8.

Medical Mycology, 2020, 0, 1–8 日本の剖検例における深在性真菌症の推移 (白血病+MDS症例) アスペルギルスが最も多く、次いで混合感染としてカンジタ、ムーコルが続く

#9.

Medical Mycology, 2020, 0, 1–8 肺真菌症で重要なのは、アスペルギルスと接合菌症(カンジダは播種性病変)

#10.

10 なぜ、アスペルギルスが重要? 病態が多彩なので、 スペクトラムとして理解すると 整理しやすいです というお話

肺アスペルギルス症のスペクトラム

#11.

11 1 2 3 肺アスペルギルス症のスペクトラム 肺アスペルギルス症の診断 肺アスペルギルス症の治療 INDEX 肺アスペルギルス症

#12.

12 1 2 3 肺アスペルギルス症のスペクトラム 肺アスペルギルス症の診断 肺アスペルギルス症の治療 INDEX 肺アスペルギルス症

#13.

13 肺アスペルギルス症のスペクトラム 侵襲性肺 アスペルギルス症 IPA 単純性肺 アスペルギルス症 SPA アレルギー性 気管支肺 アスペルギルス症 ABPA 深在性真菌症の診断・治療ガイドライン2014 慢性進行性肺 アスペルギルス症 CPPA 慢性肺 アスペルギルス症 CPA

アスペルギルス症の分類と診断

#14.

14 肺アスペルギルス症のスペクトラム Med Mycol. 2023;61(8):myad074. Lancet Infect Dis . 2025;25(3):312-324.

#15.

15 肺アスペルギルス症のスペクトラム Med Mycol. 2023;61(8):myad074. Lancet Infect Dis . 2025;25(3):312-324. 境界領域? クリアカットに 分類できる?

#16.

16 肺アスペルギルス症のスペクトラム 背景疾患・病態をスペクトラムで理解する

#17.

17 肺アスペルギルス症のスペクトラム=境界線は明確に引けない Immunocompromised Immune dysfunction Normal Immune hyperactivity 造血幹細胞移植後 血液悪性腫瘍 免疫抑制薬 自己免疫性疾患 肺局所免疫の低下・構造改変 COPD/間質性肺炎/肺NTM症 アレルギー 喘息 IPA CPA ABPA sub-acute IPA (CNPA) CCPA CFPA Aspergilloma Aspergillus Nodule Severe Asthma with fungal sensitization (SAFS)

#18.

18 肺アスペルギルス症のスペクトラム 診断から治療まで At a glance Immunocompromised Immune dysfunction Normal Immune hyperactivity 造血幹細胞移植後 血液悪性腫瘍 免疫抑制薬 自己免疫性疾患 肺局所免疫の低下・構造改変 COPD/間質性肺炎/肺NTM症 アレルギー 喘息 IPA CPA ABPA sub-acute IPA (CNPA) CCPA CFPA Aspergilloma Aspergillus Nodule Severe Asthma with fungal sensitization (SAFS) GM抗原      アスペルギルスIgG抗体    (アスペルギルスIgE抗体)    抗真菌薬(アゾール系) ステロイド

#19.

19 肺アスペルギルス症のスペクトラム Immunocompromised Immune dysfunction Normal Immune hyperactivity 造血幹細胞移植後 血液悪性腫瘍 免疫抑制薬 自己免疫性疾患 肺局所免疫の低下・構造改変 COPD/間質性肺炎/肺NTM症 アレルギー 喘息 IPA CPA ABPA sub-acute IPA (CNPA) CCPA CFPA Aspergilloma Aspergillus Nodule Severe Asthma with fungal sensitization (SAFS)

#20.

20 肺アスペルギルス症のスペクトラム IPAからCPA IPA sub-acute IPA (CNPA) CCPA CFPA Lancet Infect Dis 2015 Eur Respir J 2016 <1ヶ月 1-3ヶ月 3ヶ月< 免疫抑制 肺の構造改変 IPAかCPAか「分類」するよりも、病態として「どっち寄り?」かを考える

肺アスペルギルス症の診断方法

#21.

21 小括1 肺アスペルギルス症の「スペクトラム」を意識すると理解しやすい

#22.

22 1 2 3 肺アスペルギルス症のスペクトラム 肺アスペルギルス症の診断 肺アスペルギルス症の治療 INDEX 肺アスペルギルス症

#23.

23 患者背景・リスク因子 症状・身体所見・画像所見 微生物学的検査・血清学的検査 肺アスペルギルス症の診断

#24.

IPAの診断

IPAとCPAの診断基準

#25.

IPAの診断 微生物学的検査 病理学的検査 少なくともいずれか EORTC/MTG診断基準  <Proven: 確定診断> 局所の培養か、組織培養or組織PCRが陽性=侵襲的検査(気管支鏡検査)が必要  Clin Infect Dis. 2020;71(6):1367-1376.

#26.

Clin Infect Dis. 2020;71(6):1367-1376.

#27.

27 肺CT所見 Angio-invasive Airway-invasive 結節、浸潤影壊死 “halo-sign” “reversed halo” “air crescent sign” 気管炎、気管支炎 (細)気管支肺炎 気管支周囲の斑状影 “tree in bud” 気管支拡張 肺アスペルギルス症の診断 Sub-acute 空洞性病変 免疫抑制 好中球減少 呼吸器疾患 Eur Respir J. 2016;47(1):45-68. Eur J Radiol. 2024:171:111290. 常にこの通りではない

#28.

28 EORTC/MTG基準の例外:IAPA、CAPA 肺アスペルギルス症の診断 IAPA Influenza-associatedpulmonary Aspergillosis CAPA COVID-19-associatedpulmonary Aspergillosis

#29.

29 EORTC/MTG基準の例外:IAPA、CAPA 肺アスペルギルス症の診断 Lancet Respir Med. 2024;12(9):728-742. ・重度のウイルス性肺炎により、アスペルギルスに対する免疫機能が低下 ・必ずしもEORTC/MTG基準にあるような基礎疾患を有さない

#30.

30 ICU入室患者における肺アスペルギルス症 肺アスペルギルス症の診断 Intensive Care Med. 2024;50(4):502-515. Clin Infect Dis. 2024:ciae633. これに加えて、ARDSと心臓手術後がリスク

CPAの診断と微生物学的検査

#31.

CPAの診断

#32.

32 肺アスペルギルス症の診断- CPA CCPA CFPA Eur Respir J 2016 免疫抑制 肺の構造改変 ・症状 ・画像所見 ・血清学的検査 ・微生物学的検査 ・背景、リスク(既存の肺構造の破壊)

#33.

33 結節のみ 組織浸潤なし 確定診断は生検でのみで得られる 非免疫不全患者で症状が軽度またはない 空洞病変が3ヶ月以上進行しない 微生物学的検査・血清学的検査で診断 背景(肺)疾患+空洞病変と症状の進行 微生物学的検査・血清学的検査で診断 肺アスペルギルス症の診断- CPA CCPA CFPA Aspergilloma Aspergillus Nodule CCPAが進行し、少なくとも肺の2葉に及ぶ重度の線維性破壊により、肺機能が著しく低下したもの

#34.

34 肺アスペルギルス症の診断 IPAもCPAも「微生物学的検査」が確定診断には重要 (比較的稀ではあるが)抗真菌薬耐性 抗真菌薬は高価かつ副作用の問題がある ・・・とはいえ、 しばしば検査は侵襲的+判断に困る(コンタミネーションの問題) 「上手に」血清学的検査を利用する

血清学的検査の重要性と注意点

#35.

35 肺アスペルギルス症の診断ー血清学的検査 Med Mycol. 2015;53(5):417-39より、引用改変

#36.

36 肺アスペルギルス症の診断ー血清学的検査 IPA sub-acute IPA (CNPA) CCPA CFPA 免疫抑制 肺の構造改変 GM抗原 アスペルギルスIgG抗体

#37.

37 ガラクトマンナン抗原の注意点 肺アスペルギルス症の診断ー血清学的検査 カットオフ値が異なる 偽陽性が多い 適切な運用 カットオフ値はODI=1.0 (メーカー推奨は0.5)FUNDICUでは0.5 BALFや髄液もODI≧1.0 輸液1,2)や血液製剤3)などの製造過程で混入する可能性 1)Clin Microbiol Infect. 2024;30(5):682.e1-682.e4 2)Sci Rep. 2024;14(1):2552. 3)Clin Microbiol Infect. 2020;26(11):1555.e9-1555.e14. 4)J Infect. 2022;84(1):80-86. スクリーニングには使用しない (有用4)とされているのは、急性白血病に対する化学療法導入とallo-HCT例くらい)

#38.

38 アスペルギルスIgG抗体 肺アスペルギルス症の診断ー血清学的検査 1)PLoS One. 2020;15(3):e0222738. 2)Mycoses. 2021;64(7):701-15. 3) Microbiol Spectr. 2023; 11: e0343522 4) Med Mycol J. 2024;65(3):41-47. 2022年5月に沈降抗体測定試薬が販売中止 2024年8月にアスペルギルス抗体(IgG, ELISA)が保険収載された 感度も特異度も高い1,2)検査であるが、 A. fumigatus以外のアスペルギルスによるCPAでは偽陰性3,4)が問題となる

#39.

39 患者背景・リスク因子 症状・身体所見・画像所見 微生物学的検査・血清学的検査 肺アスペルギルス症の診断-小括2 適正な運用と解釈が大事

肺アスペルギルス症の治療編への導入

#40.

40 肺アスペルギルス症のスペクトラム 診断から治療まで At a glance Immunocompromised Immune dysfunction Normal Immune hyperactivity 造血幹細胞移植後 血液悪性腫瘍 免疫抑制薬 自己免疫性疾患 肺局所免疫の低下・構造改変 COPD/間質性肺炎/肺NTM症 アレルギー 喘息 IPA CPA ABPA sub-acute IPA (CNPA) CCPA CFPA Aspergilloma Aspergillus Nodule Severe Asthma with fungal sensitization (SAFS) GM抗原      アスペルギルスIgG抗体    (アスペルギルスIgE抗体)    抗真菌薬(アゾール系) ステロイド

#41.

41 続きは治療編で

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