Antaa Slide

医師・医学生のためのスライド共有

お知らせ

ログイン

すでにアカウントをお持ちの方はこちら

柴田綾子

1/23

授乳婦への薬の処方 何に気をつけるべきか?

  • 産婦人科

  • 産婦人科
  • 産科
  • 小児科

11,874

74

更新

シェア

ツイート

柴田綾子

淀川キリスト教病院

内容

授乳婦へ薬を処方する際に、気をつけるべきことはなんでしょうか?

添付文書だけではなく、国立成育医療研究センターの「妊娠と薬情報センター」や、アメリカ国立衛生研究所の「LactMed」も情報源として活用することが大切です。

本スライドでは、授乳婦に安全に使用できる薬の調査や、実際に薬を処方する際の説明の方法、各学会の参考資料についてご紹介します。

◆参考文献(抜粋)

国立成育医療研究センター 妊娠と薬情報センター 

https://www.ncchd.go.jp/kusuri/lactation/druglist_yakkou.html

Drugs and Lactation Database (LactMed), NIH

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/books/NBK501922/

The Transfer of Drugs and Other Chemicals Into Human Milk:PEDIATRICS, 108(3):776-789, 2001

DOI: https://doi.org/10.1542/peds.108.3.776

The Transfer of Drugs and Therapeutics Into Human Breast Milk: An Update on Selected Topics:PEDIATRICS, 132(3):e796-e809, 2013

DOI: https://doi.org/10.1542/peds.2013-1985

※本スライドは、Antaaウェブサイト上に掲載されたバックナンバー記事を再編集して作成されました。

本スライドの対象者

研修医/専攻医

0 件のコメント

コメントするにはログインしてください >

内容

授乳婦へ薬を処方する際に、気をつけるべきことはなんでしょうか?

添付文書だけではなく、国立成育医療研究センターの「妊娠と薬情報センター」や、アメリカ国立衛生研究所の「LactMed」も情報源として活用することが大切です。

本スライドでは、授乳婦に安全に使用できる薬の調査や、実際に薬を処方する際の説明の方法、各学会の参考資料についてご紹介します。

◆参考文献(抜粋)

国立成育医療研究センター 妊娠と薬情報センター 

https://www.ncchd.go.jp/kusuri/lactation/druglist_yakkou.html

Drugs and Lactation Database (LactMed), NIH

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/books/NBK501922/

The Transfer of Drugs and Other Chemicals Into Human Milk:PEDIATRICS, 108(3):776-789, 2001

DOI: https://doi.org/10.1542/peds.108.3.776

The Transfer of Drugs and Therapeutics Into Human Breast Milk: An Update on Selected Topics:PEDIATRICS, 132(3):e796-e809, 2013

DOI: https://doi.org/10.1542/peds.2013-1985

※本スライドは、Antaaウェブサイト上に掲載されたバックナンバー記事を再編集して作成されました。

本スライドの対象者

研修医/専攻医

柴田綾子さんの他の投稿スライド

明日からできる!緊急避妊ピルの正しい処方の仕方!

#産婦人科 #避妊 #ピル #オンライン配信

12

186

最終更新:2019年10月3日

緊急避妊ピルについて 知っておいてほしいこと

#避妊 #ピル #オンライン配信 #性器出血 #カンフェデ

60

61,896

最終更新:2021年1月4日

ゼロから始めるHPVワクチン

#産婦人科 #女性診療 #HPVワクチン #ヘルス #子宮

44

17,756

最終更新:2022年9月19日

もっと見る

関連するスライド



診療科ごとのスライド

内科(364)

消化器内科(55)

循環器内科(77)

呼吸器内科(78)

血液内科(32)

糖尿病内分泌代謝内科(46)

腎臓内科(29)

アレ膠リウマチ内科(28)

脳神経内科(93)

総合診療科(151)

救急科(345)

外科(33)

消化器外科(2)

呼吸器外科(3)

乳腺外科(0)

整形外科(81)

脳神経外科(16)

泌尿器科(21)

形成外科(19)

皮膚科(25)

眼科(19)

耳鼻咽喉科(13)

歯科口腔外科(8)

リハビリテーション科(8)

心臓血管外科(5)

小児科(48)

産婦人科(47)

精神科(61)

放射線科(51)

麻酔科(12)

緩和ケア科(23)

感染症科(200)

産業医(8)

初期研修医(333)

医学生(6)

その他(298)


授乳婦への薬の処方 何に気をつけるべきか?

  • 1.

    授乳婦への薬の処方 何に気をつけるべきか? 薬の情報の調べ方、患者説明のポイントを解説 柴田 綾子(淀川キリスト教病院 産婦人科)

  • 2.

    プロフィール 柴田 綾子(しばた あやこ) • 淀川キリスト教病院 産婦人科 • 院内に留まらず各地での後進教育に携わる。性/妊娠/ 出産について悩む人を減らしたいと、LINEボットを 作成し一般に向けた発信も積極的に行う。 • 著書に「女性の救急外来 ただいま診断中」「産婦人 科研修ポケットガイド」がある。 • Twitter:@ayako700 • HP:ラッコの妊娠相談室 (https://happymint.wixsite.com/raccobot ) Lavoon 女性の応援隊 (https://lavoon.com/) 2

  • 3.

    はじめに • 授乳婦へ薬を処方する時に、気をつけるべきことはなんで しょうか? • 添付文書だけではなく、国立成育医療研究センターの 「妊娠と薬情報センター」や、アメリカ国立衛生研究所の 「LactMed」も情報源として活用することが大切です。 • 本スライドでは、授乳婦に安全に使用できる薬の調査、 実際に薬を処方する際の説明の方法、各学会の参考資料 についてご紹介します。 3

  • 4.

    さっそくですが「まとめ」です

  • 5.

    まとめ • 授乳中に内服してはいけない薬は限られている • セフェム系やペニシリン系の抗菌薬は使用可能 • NSAIDs(疼痛薬)や酸化マグネシウム(便秘薬)も使用可能 • むやみに授乳を止めると乳腺炎のリスクとなる • 授乳婦の薬情報はWEBサイト等で調べることができる

  • 6.

    添付文書は信じない!? • 原則として「授乳中に内服してはいけない薬」の数はそれ ほど多くありません。 • 日本の添付文書では、「ごくわずかでも」母乳中へ移行す る薬は、授乳を避けるように記載されています。 • 実際は母乳へ移行しても影響が少ない薬はたくさんあり、 それらは内服をしても授乳を続けることが可能です。 6

  • 7.

    方法① 「妊娠と薬情報センター」で調べる • 安全に使用できると思われる薬 は、国立成育医療研究センター の「妊娠と薬情報センター」に 表でまとめられています(表1)。 • 救急室で迷ったときはその場で 検索し、お母さんにも画面をお 見せすることで安心いただけま す。 出典:国立成育医療研究センター 妊娠と薬情報センター https://www.ncchd.go.jp/kusuri/lactation/druglist_yakkou.html 7

  • 8.

    表1. 授乳中に安全に内服できると思われる薬(ごく一部) 成分名 代表的な商品名 代表的な薬効分類 アセトアミノフェン カロナール® 解熱・鎮痛薬 アモキシシリン サワシリン®、パセトシン® 抗菌薬 セファレキシン ケフレックス® 抗菌薬 テオフィリン※ テオドール® 喘息治療薬 ドンペリドン ナウゼリン® 消化器官用薬 ファモチジン ガスター® 消化器官用薬 センナ・センノシド アローゼン®、プルゼニド® 消化器官用薬 硫酸マグネシウム 硫酸マグネシウム 消化器官用薬 ※テオフィリンは大量投与で赤ちゃんの癇癪が報告されている 出典:国立成育医療研究センター 妊娠と薬情報センター https://www.ncchd.go.jp/kusuri/lactation/druglist_yakkou.html 8

  • 9.

    方法② 「LactMed」で調べる • さらに詳しく調べたい人は、ア メリカ国立衛生研究所(NIH) の「LactMed」というサイト (またはアプリ)で授乳と薬の 情報が調べられるのでオススメ です。 出典:Drugs and Lactation Database (LactMed) https://www.ncbi.nlm.nih.gov/books/NBK501922/ 9

  • 10.

    授乳婦に薬を処方する際の説明の方法 • 授乳中の多くの母親が、薬を飲む際に「飲んだ薬が赤ちゃ んに悪影響を与えるのではないか」と心配をします。 • 不要な薬は処方せずに「治療に必要な薬」のみを処方する ことを原則とした上で、日本産科婦人科学会の産婦人科 診療ガイドラインでは「例外はあるが、授乳婦が服用して いる薬物が児に大きな悪影響を及ぼすことを示したエビデ ンスはない」と説明しています。 10

  • 11.

    • 母親が飲んだ薬がどれくらい児に摂取されるかを示す指標 RID(relative infant dose:相対的乳児薬物摂取量)が 10%以下であれば問題なく、事実、多くの薬がその範囲内 にあります。 • 授乳中の人へ薬を処方する際は、 次のような説明を行いましょう。 1. 母親の治療に必要な薬であること 2. 内服した薬が母乳に移行する割合は低く、児への影響は大きくないこと 3. (気をつけるべき点があれば)授乳後に観察するべき点 11

  • 12.

    1. 母親の治療に必要な薬であること 2. 内服した薬が母乳に移行する割合は低く、児への影響は大きくないこと 3. (気をつけるべき点があれば)授乳後に観察するべき点 • 通常の薬であれば、1と2を中心に説明すれば十分です。 • 3は、次スライド(表2)にまとめた「授乳中に内服を控えた ほうが良い薬」が治療上必要な際に説明します。 12

  • 13.

    表2. 授乳中に内服を控えたほうが良い薬(一部抜粋) 成分名 代表的な商品名 アミオダロン アンカロン® 理由 フェノバルビタール 児の摂取量がRID10%以上 プリミドン 児の摂取量がRID10%以上 リチウム 低体温、チアノーゼ ジアゼパム セルシン® 児の傾眠傾向、体重増加不良 アロプラゾラム コンスタン®、ソラナックス® Withdrawal syndrome ※ リン酸コデイン 総合感冒薬・咳止めなど 児のモルヒネ中毒 カルベゴリン カバサール® 母乳分泌低下 経口避妊薬 ピルなど 母乳分泌低下 ※Withdrawal syndrome:新生児薬物離脱症候群 13

  • 14.

    • ここで、医師同士の質問解決プラット フォーム「Antaa」に寄せられた質問 を元に、ケーススタディをしてみま しょう。 出典:Antaa https://antaa.jp/ 14

  • 15.

    Q. 授乳婦にプリンペラン®は使えるか? どのように判断しますか? 一緒に考えてみましょう。 15

  • 16.

    • 添付文書では次のような記載があります。 - 「授乳中の婦人への投与は避けることが望 ましいが、やむを得ず投与する場合は授乳 を避けさせること」 - 「授乳婦にメトクロプラミド10mgを経口投 与した場合、母乳中への移行が認められて いる」 • しかし、母乳へ移行しているだけでは、授 乳を避ける理由にはなりません。 出典:プリンペラン5錠 添付文書 16

  • 17.

    • LactMedでは、以下のように記載されています。 - 「母乳へ移行し、児の吸収量は10%以下であることが多い が、児の吸収量が多くなることもあり、その場合は児の血中 プロラクチン濃度上昇と消化器系の副作用の可能性がある」 - 「副作用として産後うつ病のリスクを上昇させる可能性が指 摘されているため、妊娠前にうつ病の既往があったり、産後 に長期に使用することは避けた方が良い」 出典:Drugs and Lactation Database (LactMed) - Metoclopramide https://www.ncbi.nlm.nih.gov/books/NBK501352/ 17

  • 18.

    • 国立成育医療研究センターの「妊娠と薬情報センター」 では、授乳中にも安全に使用できる薬として、プリンペラ ンと同じような効用の薬としてドンペリドン(ナウゼリン) が紹介されています。 • そのため、プリンペラン、ナウゼリンともに使用できる が、気分の落ち込みなど産後うつ病のリスクがある方には ナウゼリンを使用したほうがよさそうだ、とアドバイスす ることになります。 18

  • 19.

    各学会の授乳と薬についての参考資料 心疾患患者の妊娠・出産の適応,管理に 関するガイドライン(2018年改訂版) • 降圧薬・抗凝固薬・抗血小板薬の妊娠中・授 乳中の使用について表でまとめられています。 https://j-circ.or.jp/old/guideline/pdf/JCS2018_akagi_ikeda.pdf 腎疾患患者の妊娠:診療ガイドライン2017 • 腎疾患関連薬(主に降圧薬)で授乳中に禁忌となる 薬について解説されています。 https://cdn.jsn.or.jp/data/jsn-pregnancy.pdf 19

  • 20.

    さいごに • 母乳には、たくさんのエビデンスがあります。 • 母乳には母親の免疫や抗体が含まれており、乳幼児の体を 感染から守る働きをしています。その他にも、児の神経発 達、アレルギー疾患の予防、糖尿病や高血圧などの生活習 慣病の予防などの効果が示されています。 • 授乳を行っている母親への効果として、乳がんや卵巣が ん、子宮内膜症リスクの低下、骨粗しょう症リスクの低 下が報告されています。

  • 21.

    • 通常、母体は3〜4時間ごとに授乳するように母乳を産生し ており、定期的に授乳をしないと中で固まってしまいます。 • 薬を処方した際に無責任に「授乳は やめておいた方がいいですね」とア ドバイスしてしまうと、授乳を止め ることで乳汁うっ滞、乳腺炎を発症 させる可能性があるので注意が必要 です。 21

  • 22.

    参考文献 • 妊娠と薬情報センター(国立成育医療研究センター) • LactMed(National Institutes of Health) https://www.ncchd.go.jp/kusuri/ https://www.ncbi.nlm.nih.gov/books/NBK501922/ • 『日本産科婦人科学会診療ガイドライン産科編2020』 • 『妊娠と授乳 薬物治療コンサルテーション 第2版』(伊藤真也, 村島温子/編), 2014, 南山堂 • 『重篤副作用疾患別対応マニュアル 新生児薬物離脱症候群』, 平成22年3月(厚生労働省) https://www.mhlw.go.jp/topics/2006/11/dl/tp1122-1j17.pdf • 「プリンペラン5錠」添付文書 https://www.info.pmda.go.jp/go/pack/2399004F1200̲2̲01/ • The Transfer of Drugs and Other Chemicals Into Human Milk:PEDIATRICS, 108(3):776789, 2001 DOI: https://doi.org/10.1542/peds.108.3.776 • The Transfer of Drugs and Therapeutics Into Human Breast Milk: An Update on Selected Topics:PEDIATRICS, 132(3):e796-e809, 2013 DOI: https://doi.org/10.1542/peds.2013-1985 ※本スライドは、Antaaウェブサイト上に掲載された「Antaa×中外医学社」の共同企画記事を再編集して作成されました。 22

Antaa Slide

医師・医学生のためのスライド共有

App StoreからダウンロードGoogle Play Storeからダウンロード

会社概要

Antaa, Inc. All rights reserved.