#4.
陣痛による有害事象 交感神経 刺激↑ 陣痛 過換気、 呼吸性アル カローシス 全身性の鎮痛、 鎮静薬投与に よる低換気 Free Fatty acid↑ 高血糖 代謝性 アシドーシス 子宮血管 収縮 胎児代謝性 アシドーシス 胎盤血流↓ 母体の酸素 解離曲線の 左方シフト 胎児の 低酸素血症 母体低酸素 陣痛の痛みを和らげることは母児ともに 有害事象を避けることができる
#5.
陣痛を緩和する方法はさまざま ★薬剤を使用する方法 硬膜外麻酔・CSEA(脊髄くも膜下硬膜外併用麻酔) 医学的なgold standard 鎮痛薬の静注・筋注 亜酸化窒素(笑気) ★薬剤を使用しない方法 アロマテラピー 温罨法 マッサージ・指圧 呼吸法(ラマーズ法など) パートナーによるサポート
#6.
無痛分娩のメリット ⚫お産に対する不安や恐怖心を緩和 ⚫痛みによって引き起こされる有害事象から患者を守る 血圧, 脈拍上昇/ 過呼吸/ 合併症の増悪/ 精神的ストレス過多 etc… ⚫緊急帝王切開になったときにも硬膜外カテーテルから麻酔を確立できる ⚫出産後の回復が早い? 6
#7.
分娩中の痛みの変化と伝達経路 Th 10~L1 S2~S4 分娩第Ⅰ期 子宮収縮・頸管拡張 交感神経を介す 分娩第Ⅱ期 会陰・骨盤の伸展 陰部神経を介す 広い範囲の鎮痛を長時間確保する必要がある
#8.
無痛分娩の方法 1. 硬膜外麻酔 2. DPE: Dural Puncture Epidural 3. 脊髄くも膜下麻酔・硬膜外麻酔併用 (CSEA: Combined Spinal-Epidural Analgesia) 硬膜外麻酔 硬膜外腔 髄液 • 効いてくるまでに時間がかかる(15-20分) • 循環動態の変動が少ない • • • • • 脊髄くも膜下麻酔 2−3分で効果が現れる、広がりも早い S領域の鎮痛が良好 カテーテルは入れられない 血圧の低下に注意 遷延性一過性徐脈に注意(導入後約30分)
#9.
DPEとは 1.硬膜外腔に針を 進める 2. Spinal針を くも膜下腔に 進め、逆流を確認 3. Spinal針を抜き、 硬膜外腔に カテーテルを挿入 4. 硬膜外カテーテルの 薬液がくも膜下腔にも 漏れて 効果をもたらす メリット ⚫ 硬膜外麻酔単独より効果が出るのが速い可能性 ⚫ S領域の鎮痛効果が硬膜外麻酔より高い可能性 ⚫ 確実に正中をとらえられ、穿刺の信頼性が高まる
#10.
麻酔導入後のトラブルシューティング 左右差はないか?→カテーテル位置調整の必要性 高位麻酔? →合併症の可能性 アルコール綿(or アイスノン)を使用したコールドテストで 麻酔範囲を確認 ⇒カテーテルが正常に留置されたかを判断する
#11.
無痛分娩の維持 PCA(patient-controlled analgesia) ➢ 痛い時に患者本人がボタンを押して薬剤を追加 ➢ 低濃度局所麻酔薬+少量フェンタニル ➢ ボーラス 例)5ml/回 ➢ 鎮痛不十分な時は麻酔科医が対応 ➢ 1〜2時間おきに麻酔科医が回診 PIB(Programmed Intermittent Bolus)という 設定も組み合わせて使うことがあり、 効果範囲が狭くならないよう工夫されている
#12.
Breakthrough Pain :突出痛 無痛分娩導入後、いきなり痛みの増強を訴えたら… ➢分娩の急激な進行 ➢回旋異常 ➢子宮破裂や常位胎盤早期剝離の除外 などを考慮して早めに対応が必要 ⇒これらがなく、麻酔が有効でない場合 カテーテルの入れ直しが考慮されることもある 12
#13.
無痛分娩からの帝王切開 ➢硬膜外カテーテルに局所麻酔薬を入れて手術のための麻酔ができる (施設の体制による) ➢超緊急の帝王切開でも、全身麻酔を避けられる可能性 →気道確保のリスクを回避できる 妊婦に全身麻酔するリスク 気道確保が難しい 低酸素に陥りやすい 誤嚥性肺炎のリスク 児に全身麻酔薬が移行する(sleeping baby)
#14.
妊娠中の気道合併症に関する 生理学的・解剖学的リスク因子 気道浮腫 体重増加 挿管操作が難しい 乳房組織の発達 酸素消費量の増加 低酸素になりやすい 下部食道括約筋の弛緩 分娩中の胃内容排出時間の延長 誤嚥がおこりやすい 妊婦に全身麻酔をかけるのはハイリスク
#15.
気道浮腫 軟部組織の浮腫増加→口腔内、咽頭部分の容積の減少 挿管操作の難易度があがる Mallampati分類のスコアは分娩中にも悪化する 出血や分泌物の増加も起こりやすく、条件が悪くなりやすい
#16.
誤嚥性肺炎 aspiration pneumonia aspiration pneumonitis →Mendelson 症候群 ・無菌性 ・咽頭反射低下時に胃内容物流入 →急性呼 吸促迫症候群(acute respiratory distress syndrome: ARDS) へと重症化しやすい ・絶食時間、胃内容物(液体か?固形物か?)でリスクが異なる ⇒全身麻酔を避けられる無痛分娩は危険を回避するためにも有効!
#17.
無痛分娩のデメリット ★デメリット ⚫医療行為なので合併症が存在する ⇒神経学的合併症、導入直後の児心音異常に注意が必要 ⚫お産の進行に影響を与える (分娩第二期の延長、器械分娩の増加) 17
#18.
麻酔導入後の児心音異常 麻酔導入から30分は要注意 胎児への間接的な影響 • 母体血圧の低下による胎盤血流の減少 • 遷延性一過性徐脈(過強陣痛) 痛み 血中カテ コラミン 過強陣痛 CSEAで導入時特に注意 (硬膜外でも油断は禁物!) 遷延性 一過性徐脈
#19.
導入後の遷延一過性徐脈 一過性のことが多いが、 緊急帝王切開となる事も
#20.
児心音異常の対応:子宮内胎児蘇生 ➢母体体位変換、側臥位 ➢酸素投与 ➢陣痛促進剤の中止 ➢急速輸液 ➢低血圧の是正 ⇒これらで改善しなければ帝王切開も検討される
#21.
無痛分娩の合併症 ★麻酔による合併症 ✓硬膜穿刺後頭痛(PDPH) ✓発熱 ✓全脊髄麻酔 total spinal ✓局所麻酔中毒 ★排尿障害 ★下肢神経障害 カテーテルの 迷入によっておこる 麻酔をしなくてもしばしば起こる →麻酔をするとどちらが原因かわからなくなる どちらにしても永久に残ることは少ない
#22.
PDPH (post dural puncture headache) 症状 ➢ 前頭部から後頭部にかけての 拍動性頭痛 (側頭部は稀) ➢ 立位で増悪 ➢ 多くは穿刺後48時間以内に⽣じる (95%は1週間以内に症状消失)
#23.
カテーテル迷入からの合併症 硬膜外麻酔に用いる局所麻酔薬は 脊髄くも膜下麻酔に必要な量の約10倍 クモ膜下腔迷入⇒全脊椎麻酔 血管内迷入⇒局所麻酔中毒
#24.
全脊髄麻酔 total spinal 下肢が動かない etc 早期発見が危機的 な有害事象を防ぐ 24
#25.
局所麻酔薬中毒 早期発見が危機的 な有害事象を防ぐ 25
#26.
局所麻酔薬中毒 疑った時の対応は?
#27.
局所麻酔薬中毒の対応 脂肪乳剤の投与 日本麻酔科学会ホームページ 27
#28.
カテーテルの位置異常を疑う症状 高位脊椎麻酔 ➢気が遠くなる感じ ➢気持ち悪くて吐きそう 局所麻酔薬中毒 ➢ 舌や唇がしびれる ➢ 口の中に金属の味がする ➢ 見え方や聞こえ方がおかしい ➢動悸、胸の痛み ➢呼吸が苦しい ➢手がしびれて動きにくい ➢突然足が動かなくなった カテーテルが抜けた、その他 合併症 ➢ 突然痛みが強くなった ➢ 痛みの波がなくずっと強い痛みがある
#29.
分娩施設による違い 緊急時の対応やNICUの有無だけでなく、無痛分娩の方法にも 施設ごとの違いがある ⚫麻酔導入のタイミング 計画分娩なら誘発前?陣発後? ⚫夜間、休日の無痛分娩対応 麻酔施行医師の対応可能時間は? 麻酔施行医師は麻酔科医?産婦人科医? 分娩に至らず、無痛分娩中に夜になった時は? ⚫無痛?和痛? 目標とする痛みのレベル 事前に分娩施設の無痛に対する考え方を知っておくことが重要
#30.
無痛分娩開始のタイミング 無痛分娩をいつ開始するかの 判断材料 ➢ 陣痛発来か?前駆陣痛か? ➢ 子宮開大度 ➢ 展退度 ➢ 児頭下降度 ➢ 痛みの程度 ➢ 陣痛間隔 ➢ 初産か?経産か? お産の経過のうち、いつ麻酔を開始するかは 分娩施設のシステムによりさまざま ⚫痛くなってから or 痛くなる前に始める ⚫24時間対応可能か?日中のみで、計画分娩が必要か
#31.
まとめ ⚫無痛分娩最大のメリットは母児のストレスを抑えること ⚫無痛分娩のデメリットは神経学的合併症や分娩の進行に 影響を及ぼすこと ⚫カテーテルの位置異常による重要な合併症が存在する ⚫事前に分娩施設のシステムと無痛分娩に対する考え方を 理解しよう