テキスト全文
妊娠中の画像検査の考え方と自己紹介
#1. 妊娠中に画像検査が必要なときの考え方 有吉彰子(画像診断専門医 / 医療学習デザイナー / コーチングドクター) について、ぎゅうっとまとめました! 柴田綾子(編)
『女性診療のエビデンスをぎゅうっとまとめました』に関連して、
#2. CONTENTS 妊娠中の画像診断の考え方
CT・MRIの使い分け
造影剤をどう考えるか
迷った時の相談先 自己紹介:有吉彰子 大学で画像診断専門医 総合診療もやりました 今は公衆衛生と
医学教育やってます
急性腹症における画像検査の選択
#3. 妊娠中の画像検査に関して、以下のうち、CTより先にMRIを検討しても良いものはどれか?(必要な超音波検査や単純X線検査は済ませているものとします)
A)活動性出血が疑われる外傷
B)全身状態が比較的安定した急性虫垂炎疑い
C)肺血栓塞栓症疑い QUIZ(1)
#4. 全身状態が比較的安定した急性腹症→超音波検査を行い、単純MRIを検討
重症外傷・活動性出血→CTを優先
肺血栓塞栓症→造影CT等を検討
MRIの撮像or読影が難しい→待てないならCTを検討 答え:B 妊娠かどうかで検査を決めるのではなく、
病態や緊急度、検査・治療閾値などで考えていきます A)活動性出血が疑われる外傷
B)全身状態が比較的安定した急性虫垂炎疑い
C)肺血栓塞栓症疑い
CTと造影CTの胎児への影響
#5. 単純CTの胎児への影響 妊娠中の胎児への影響は時期と線量に依存し、以下の2つに大別することができる
確定的影響(奇形など)100mGy以下は増加が報告されていない
確率的影響(発がんリスクなど)線量に応じてわずかに増える可能性がある 一般的な1回のCT検査では50mGyを下回るが、
多相CTや、反復される検査では個別評価が必要 安全を見込んで
50mGyとしている
ガイドラインもあります
#6. 造影CTの胎児への影響 ・CTで使用するヨード造影剤で 明確な胎児への有害性は証明されていない →診断に必要なら使用可能
・ただし、造影CTが考慮される時点で 放射線部に相談を推奨します 遅延相を省く、被ばく低減プロトコルで撮影するなど
様々な可能性を主治医とともに検討していきます
妊娠中のMRIと造影剤の使用について
#7. MRIの胎児への影響 ・単純MRI:妊娠時期にかかわらず必要なら実施可能
・造影MRI:原則避ける
ガドリニウム造影剤は安全性が十分確立しておらず、
観察研究で有害な可能性が報告されている 単純MRIは基本的にいつでも可能
造影MRIは婦人科悪性腫瘍など、特殊な場合に限られる
#8. 妊娠中の造影剤について、最も適切なのはどれか?
A)ヨード造影剤、ガドリニウム造影剤とも絶対禁忌
B)ヨード造影剤は必要なら使用可能だが、 ガドリニウム造影剤は原則避ける
C)どちらも非妊娠時と同様に自由に使用できる QUIZ(2)
#9. 妊娠中の造影剤について、最も適切なのはどれか?
A)ヨード造影剤、ガドリニウム造影剤とも絶対禁忌
B)ヨード造影剤は必要なら使用可能だが、 ガドリニウム造影剤は原則避ける
C)どちらも非妊娠時と同様に自由に使用できる 答え:B
放射線被ばくと検査の正当化・最適化
#10. 放射線被ばくに関する情報提供 流産や先天異常などには、画像検査とは関係なく一定の自然発生率があるため、リスク説明では「検査による追加リスク」と「背景リスク」を分けて説明する
院内に相談窓口を設置している病院が多いのでうまく活用して
患者向けの第三者機関の相談窓口として、医療被ばく個別相談センターもありますhttps://www.jart.jp/general/hibakusoudan.html
AIで作成
#11. CTは必要なら撮る、でも最適化する
医療被ばくの大原則は、正当化と最適化
正当化→検査による利益>被ばくによるリスク
最適化→必要な情報を得られる範囲で、 合理的にX線量を低くする CTをむやみに避けるのではなく、必要な症例はきちんと撮る。ただし、画質を担保しつつ、できるだけ被ばくを減らす必要があり、
そのための専門職が放射線部スタッフです。 正当化 最適化 主治医 放射線部
#12. 事前質問 MRIをCTより先に行う場合
全身状態が安定した妊婦の急性腹症では
まず病歴・身体診察・血液検査などの所見
→超音波検査・単純X線検査
ここまでやってさらに画像検査が必要なら、MRIを検討
ただし、以下の場合はCTを優先しうる
・全身状態が不安定 ・活動性出血、穿孔などを疑う
・緊急手術・IVRの可能性がある
・迅速なMRIの撮影・読影ができない
検査まとめと参考文献
#14. 参考&おまけ
・日本医学放射線学会 画像診断ガイドライン2021年版
・日本産科婦人科学会 産婦人科診療ガイドライン産科編2026
・急性腹症診療ガイドライン2025 第2版
・ACR Manual on MR Safety 2026
・ACR Manual on Contrast Media 2026 画像診断専門医の私も、総合内科外来で患者さんの画像検査で困ったら
放射線部によく相談していました。あまり構えすぎず、相談してみてください
授乳中の造影剤使用と注意点
#15. 追加質問 授乳中の造影剤は?
造影剤投与後に授乳を行ったとしても
児が吸収する造影剤は極めて微量とされており
多くのガイドラインで「授乳制限なし」です。
とは言え、母親が悪影響を心配している場合は、検査後24-48時間の授乳制限は検討しても良い
ただし、制限中の栄養摂取(ミルクなどの使用)も含めて予め相談が必要です。
#16. ・妊娠だけを理由に必要なCTを差し控えるべきではありません
・全身状態が比較的安定している急性腹症は
超音波検査→単純MRIを検討
・造影CTは必要時に、 造影MRIは原則避ける
・迷ったら検査をしないのではなく、 早めに放射線部へ相談しましょう Take home message エビぎゅう本もAntaa Slideもよろしくお願いいたします!