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OpenEvidenceを用いたEBM実践の概要
#1. 若手医師のための 臨床EBM実装ガイド OpenEvidence でEBMを実践する ― 臨床疑問を PICO に変換し、目の前の患者に応用する ― コツは臨床疑問を EBM の形に変換すること。 一宮西病院 総合内科 竹之内盛志
#2. CONCLUSION ─ まず結論から 理想のプロンプトは「PICO に従う」 Q A OpenEvidence の理想的なプロンプトとは? 「プロンプトを上手く書くこと」ではなく、臨床疑問を EBM の形(PICO)に変換すること なぜ PICO なのか ガイドライン は メタ解析 の連続から作られ、その メタ解析 の多くは RCT の集合。 つまり OpenEvidence が拾うデータの多くは、PICO の形式で始まった論文の集合体 。だから PICO で問えば、当たる。 OpenEvidence × EBM 02
良いプロンプトの設計と例
#3. PROMPT DESIGN ─ 問い方の違い 同じ疑問でも、問い方で答えは変わる NG プロンプト Good プロンプト メトトレキサートで寛解しなかった RA に対して、JAK 阻 害薬 は TNF 阻害薬と比較して 、寛解率 を上げられ るか? 「関節リウマチ に JAK 阻害薬はどうですか?」 – 比較対象がない – 評価するアウトカムが曖昧 POINT ✓ しっかり比較する(I と C を置く) ✓ アウトカム(O)を明確に設定する 「比較」と「アウトカム」を入れるだけで、漠然とした質問が検索可能な PICO になる。 OpenEvidence × EBM 03
#4. PROMPT DESIGN ─ 完成形の例 「良いプロンプト」の完成形 この1文に EBM が畳み込まれている 実際に入力するプロンプト 71歳男性、Cre 9.5 で MPO-ANCA 陽性の 顕微鏡的多発血管炎。導 入療法に対して、リツキシマブとエンドキサンではどちらが寛解率が高 いか。 1 以下に従ってまとめてください: ・ボトムライン ・メジャーなガイドライン ・キー文献と最新文献 ・Unknown area ・専門医が誤解しやすいところ 2 P/I/C 患者・介入・比較を1文に凝縮 O 「寛解率」で成否を測る 3 構成指定 答えの型(枠組み)まで指示する ※ 答えの「型」を指定すると、返答が EBM のステップに沿って整う。 OpenEvidence × EBM 04
EBM実践におけるOpenEvidenceの役割
#5. OVERVIEW ─ 今日の話の大枠 EBM 実践における OpenEvidence の役割 役割 ① 役割 ② PICO を完成させる 患者を P にして検索する 漠然とした臨床疑問を、検索できる形(PICO)に組み立てる。 まず「何を問うべきか」を確定させる段階。 OpenEvidence × EBM 目の前の患者を P に据えて PICO を設定し、そのまま文献 検索へ。「この患者にどう当てはめるか」を探す段階。 05
#6. FOUNDATION ─ 土台は同じ EBM の 5 ステップは、変わらない 1 2 3 4 5 Clinical Question エビデンス検索 批判的吟味 患者へ適用 評価 結果の妥当性を評価する 目の前の患者に当てはめる ①〜④を振り返る 臨床疑問を立てる PICO に落とし込んで論文を読 む これまで“難しかった”のは、この2か所 ① Clinical Question を PICO に落とし込むこと OpenEvidence × EBM ② 落とし込んだ PICO で論文を探すこと 06
PICOの完成とその重要性
#7. WHAT CHANGED ─ 変わったのは“距離” CQ から一次文献までの距離が縮んだ これまで 落とし込みも検索も、手間がかかっていた Clinical Question PICO PubMed いま 目の前の患者 Clinical Question OpenEvidence で PICO へ昇華 OpenEvidence で ガイドライン・メタ解析・ RCT を検索 ガイドライン・メタ解析・ランドマーク RCT・最新 RCT が、PICO ひとつですぐ揃う。 さらに 出てきた文献を ChatGPT など他の AI で批判的に吟味し、患者に適応できるかまで分析できたらさらに素晴らしい OpenEvidence × EBM 07
#8. STEP 1 まず PICO を完成させる 知識がないと、臨床疑問を PICO に置き換えるのは難しい。 だからこそ、まずは 他の AI や OpenEvidence を使って 、その患者にふさわしい PICO を考える ところから始める。 上級者は、このステップを省略できる。 (頭の中で PICO が組めるなら、いきなり検索へ) OpenEvidence × EBM 08
PICO作成の具体的な手法
#9. STEP 1 ─ PICO の作り方 OpenEvidence に PICO を作らせる 共通のペルソナ:「あなたはリウマチ膠原病の専門医です」/「基礎→応用の順に PICO を 5 つ作ってください」 パターン A パターン B P を不特定にする(テーマ学習) P を目の前の患者にする 「関節リウマチに対するサリルマブを学びたい。このテーマを理 解するための PICO を作って」 「75歳女性の間質性肺炎合併の関節リウマチに対するサリルマ ブを学びたい。…PICO を作って」 今回の症例で実際に投げるプロンプト 71歳男性、Cre 9.5 で MPO-ANCA 陽性の MPA がいます。この患者の治療を理解するための PICO を、基礎→応用の順に 5 つ作ってください。 OpenEvidence × EBM 09
#10. STEP 1 ─ 返ってきた PICO OpenEvidence が返した 5つのPICO #/テーマ 1 基礎 寛解導入 P(患者) I(介入) C(比較) O(アウトカム) 新規/再発の MPO-ANCA 陽性 MPA リツキシマブ + GC シクロホスファミド + GC 6か月時点の寛解率、重篤な有害 事象 重度腎障害 (Cre>3.4) を伴う MPO-ANCA 陽 性 MPA シクロホスファミド + GC リツキシマブ + GC 腎機能回復、透析離脱率、寛解率 3 応用 GC 減量 MPO-ANCA 陽性 MPA (GFR<50) 減量 GC レジメン (12週で7.5mg/日) 標準 GC レジメン (12週で20mg/日) 寛解率、重症感染症発生率 4 応用 血漿交換 重度腎障害 (Cre>3.4)/透析を要する MPA 標準免疫抑制療法 + 血漿交換 標準免疫抑制療法のみ 末期腎不全への進行、死亡、早期 腎機能回復 5 応用 維持療法 寛解導入後の MPO-ANCA 陽性 MPA リツキシマブ維持 (18か月) アザチオプリン + 低用量 GC (18か月〜4 再発率(主要/軽微)、有害事象 年) 2 基礎 重度腎障害 出典:OpenEvidence の回答(openevidence.com/ask/ecf7fccc…)/GC = グルココルチコイド OpenEvidence × EBM 10
PICOを用いた文献検索の方法
#11. STEP 1 ─ 論点を抽出し、自分の患者へ 5 つの PICO から論点を抜き出す 見えてくる論点 P I/C O 目の前の患者で書いた PICO 新規か再発か/重度腎障害かどうか リツキシマブ か シクロホスファミドか、 ステロイド減量レジメンか再発(標準)レジメンか P 57歳男性、Cre 9.0 の新規発症 MPA I リツキシマブ C シクロホスファミド O 寛解率と腎機能の予後 寛解率/腎機能予後/再発率/有害事象 OpenEvidence × EBM 11
#12. STEP 2 ─ その PICO で検索する 完成した PICO を、そのまま検索にかける プロンプトは EBM の 5 ステップに対応する 検索プロンプト 新規発症 MPO-ANCA 陽性 MPA、重症腎障害(Cr 9.0 mg/dL)。寛解導入 1 STEP 1 Clinical Question 2 STEP 2 エビデンスの検索 3 STEP 3 批判的吟味 4 STEP 4 患者への適用 5 STEP 5 ①〜④のフィードバック 療法としてリツキシマブとシクロホスファミドを比較してください。 アウトカム: 寛解率、腎予後、再発率、重篤有害事象 以下を提示してください: ボトムライン/主要ガイドライン/キー文献 (RCT・メタ解析・最新研究 )/ エビデンスの不確実性/この症例への適応可能性 OpenEvidence × EBM 12
EBMの効率化のためのTIPS
#13. STEP 2 ─ 何を答えさせるか プロンプトに入れると良い要素 ボトムライン 1 EBM のエビデンス・ピラミッド 「一言で言うと」。最重要の推奨をまず1つ。 ガイドライン ガイドライン → メタ解析 → 主要 RCT 2 EBM のピラミッドに従って一次文献まで(step 2) 批判的吟味と適応可能性 3 システマティックレビュー /メタ解析 ランドマーク RCT ・主要な一次文献 結果は妥当か、この患者に当てはまるか(step 3・4) 上から順に要約させると、答えが構造化される ※ 本格的な批判的吟味は、個別の文献ベースで行う。 OpenEvidence × EBM 13
#14. TIPS ─ 効率化のひと工夫 OpenEvidence の Dotflows を使う クエリバーに 「.(ドット)」 を入力するだけで、 お気に入りのプロンプトを瞬時に呼び出せる。 呼び出せるプロンプトの例 .succinct .cross_trial .avs 簡潔・高効率要約 試験の構造化比較 患者へのお土産 時間がないときに使用する 治療方針に迷ったとき、あるいはカンファレンス の準備 患者用に平易な言葉で整理される OpenEvidence × EBM 14
OpenEvidenceの活用とまとめ
#15. TIPS ─ そのまま使える登録テンプレ Dotflows 登録例 Return: 1. Bottom Line — the single most important clinical recommendation in 1–3 sentences. 2. Current Guideline Recommendations — summarize the most relevant guidelines; include recommendation strength & level of evidence. 3. Best Available Evidence — in order: Systematic Review / Meta-analysis, Landmark RCT(s), Recent RCT(s). For each: Journal, Year, Design, one-sentence takeaway. 4. Evidence Gaps & Uncertainty — key limitations & controversies. Do not speculate; if insufficient, state "Unknown." 5. Applicability to This Patient — is the evidence applicable? Which factors would materially change the recommendation? 6. Key Papers to Read — the three highest-yield primary papers, with one sentence each on why it's essential. OpenEvidence × EBM 15
#16. SUMMARY まとめ 1 OpenEvidence はEBM実践の最強のツールである 2 やることは 2 つだけ。 ① PICO を完成させる ② 目の前の患者を P にして検索する。 3 EBM の 5 ステップは変わらない。 変わったのは、CQ →PICO →一次文献 の距離が一気に縮んだこと。 ― 上手いプロンプトより、良い臨床疑問を。まずは目の前の一例で PICO を書いてみるところから。