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2023年の必読感染症論文の概要と選定基準
#1. 2023年の必読感染症論文 神戸市立医療センター中央市民病院感染症科
黒田浩一 IDATEN感染症オンラインセミナー2023 2023.12~
#2. 2023年1月~11月に発表された興味深い論文トータル95編(COVID-19以外38編、COVID-19関連31編、総説・ガイドライン26編)の紹介です
「感染症に携わる医師なら読むべき学術論文」というよりは、「発表者が興味を持った」「(おそらく)皆さんが興味深いと思う」「明日からの臨床に役立つ可能性がある」「(なるべく)オープンアクセス論文である(手軽に手に入るもの)」という点を重視して論文を選びました
各論文の内容の詳細な吟味は、実際に読んで各自でご検討ください 本日の内容
#3. Original Articles
- COVID-19以外
- COVID-19関連
総説・ガイドライン
本日の内容
COVID-19以外の感染症に関する論文の紹介
MSSA菌血症と複雑性S. aureus菌血症の治療研究
#7. MSSA菌血症 ホスホマイシンの追加効果なし ホスホマイシン 3g 6時間おき(4時間点滴)
7日間併用
PE(day 7時点の治療成功):同等
SE:死亡・有害事象同等
day 3の血液培養陰性率のみ併用群で良い Nat Med. 2023;29(10):2518-2525. doi:10.1038/s41591-023-02569-0
#8. 複雑性S. aureus菌血症 Ceftobiprole RCT 二重盲検RCT、非劣性試験
複雑性S. aureus菌血症(MRSA 24%)
Ceftobiprole vs Daptomycin 6 mg/kg/d(10mg/kg/dまで増量可)
皮膚軟部組織感染症が約60%
PE:70日時点の治療成功(=生存、血液培養陰性化、症状改善、新規SAB合併症なしなど)同等
SE:死亡などすべて同等
有害事象:同等、消化器症状が多かった N Engl J Med. 2023;389(15):1390-1401. doi:10.1056/NEJMoa2300220
#9. 修正Duke基準の改訂 ・血液培養のtypical bacteriaがいくつか追加、人工弁がある場合はさらに追加・血液培養の採取間隔の削除
・いくつかの稀な細菌の検査方法の追加(PCRなど)
・疣贅の証明方法:エコーだけでなく、PET-CTと心臓CTが追加
・minor criteriaのpredispositionが増加(かつ、詳細な記載) Clin Infect Dis. 2023;77(4):518-526. doi:10.1093/cid/ciad271
#10. 修正Duke基準の改訂 Clin Infect Dis. 2023;77(4):518-526. doi:10.1093/cid/ciad271
尿路感染症によるGNR菌血症の管理と治療法
#11. UTIによるGNR菌血症に対する内服βラクタム Antimicrob Steward Healthc Epidemiol. 2023;3(1):e148. doi:10.1017/ash.2023.435 後ろ向き多施設観察研究@米国の3つの病院
尿路感染症由来の腸内細菌目細菌菌血症患者を対象
IV治療後(中央値4日)に、内服スイッチ(中央値7日)
高用量セファレキシンor高用量アモキシシリン(1g×3/日) vs 標準治療(FQ or ST合剤)を比較
入院期間同等(median 5日)
PE(30日以内の菌血症再発+死亡) βラクタム 1.3% vs 標準治療 1.7%
#12. 非複雑性GNR菌血症の管理 総説 ※2021年 Open Forum Infect Dis. 2021;8(10):ofab434. doi:10.1093/ofid/ofab434
#13. 腸内細菌目細菌菌血症 IV 3-5日後に経口へ 腸内細菌目細菌菌血症の治療
多施設共同オープンラベルRCT、非劣性試験
3-5日 IV治療してから、内服抗菌薬にスイッチ(βラクタム/FQ/ST合剤) vs IV治療継続
条件:48時間以上無熱かつ循環動態安定、source control良好
治療期間は担当医が決定
PE(90日以内の治療失敗):IV 25.6% vs PO 21.7%で同等 ※この論文だけ全文が手に入りませんでした
本文が手に入る人は...
内服抗菌薬の種類・投与量・投与期間を確認 Clin Microbiol Infect. 2023;S1198-743X(23)00522-0.
doi:10.1016/j.cmi.2023.10.014
#14. 血液悪性腫瘍患者の緑膿菌菌血症の短期治療 Clin Infect Dis. 2023;ciad605. doi:10.1093/cid/ciad605 血液悪性腫瘍患者の緑膿菌菌血症を対象@中国の2つの病院
短期治療(median 8日;7-11日) vs 長期治療(median 15日;12-21日)
治療終了後30日以内の死亡or緑膿菌感染症の再発(部位は問わない) 3.9% vs 4.9%
90日以内の緑膿菌感染症の再発 9.8% vs 6.3%
約50%がfocus不明 治療終了基準:臨床的改善、血液培養陰性、source control良好、炎症マーカー正常化、好中球回復
両群とも約10%が好中球500未満で抗菌薬終了
全患者PICC留置中
routineのフルオロキノロン予防内服なし
重症ツツガムシ病と梅毒の治療に関する研究
#15. 非複雑性膀胱炎に対するセファレキシン 1日2回 Open Forum Infect Dis. 2023;10(9):ofad430.
Published 2023 Aug 11.
doi:10.1093/ofid/ofad430
#16. 下肢蜂窩織炎のnatural history 軽症~中等症の片側の下肢蜂窩織炎
5日までに局所所見は改善傾向となるが、10日以上炎症所見が残存することもある:下腿周囲長、皮膚温、病変面積、疼痛
WBC:約3日で安定化、CRP:5-10日で正常化 ※抗菌薬投与期間
研究参加から
:7日間(7-9.5日)
参加前の治療期間
:0.5日 Open Forum Infect Dis. 2023;10(10):ofad488. Published 2023 Sep 29. doi:10.1093/ofid/ofad488
#17. 重症ツツガムシ病 Doxy+AZM併用の効果 ・臓器障害を伴う重症ツツガムシ病
・二重盲検RCT@インド
・Doxy vs AZM vs 併用(静注、7日間)
・PE:composite outcome(28日以内の全死亡+5日時点の発熱+7日時点の臓器障害)で有意差あり
・28日死亡は同等(11~13%)
・Day 7時点の臓器障害の改善は併用群でよい傾向 N Engl J Med. 2023;388(9):792-803. doi:10.1056/NEJMoa2208449
#18. 梅毒の治療:AMPC 1500mg/日単剤でも? ・HIV感染者の梅毒(妊婦・神経梅毒は除外)
・早期梅毒が86.6%を占めた
・AMPC 500mg×3/日
vs AMPC 1g+プロベネシド 250mg×3/日
・投与期間は、early 14日、late 28日
・12ヶ月以内のserological cure:90.6% v 94.4% Clin Infect Dis. 2023;77(5):779-787. doi:10.1093/cid/ciad278
ウイルス感染症とその治療に関する最新の知見
#20. カンジダ血症での眼病変の発生率は比較的高い カンジダ眼病変 10.7%
カンジダ眼内炎(硝子体病変を伴う脈絡網膜炎) 3.1%
厳密な定義(concordant)を用いた研究では、1.83% vs 0.9%(先行文献)
アジア(3.6%)は、欧州・アメリカ大陸(1.4%)より眼内炎の頻度が高かった
カンジダ眼内炎のリスク因子: TPN(OR 6.92)、C. albicans血症(OR 3.02) Clin Infect Dis. 2023;76(10):1738-1749.
doi:10.1093/cid/ciad064
JAMA Ophthalmol. 2019;137(6):698-710. doi:10.1001/jamaophthalmol.2019.0733
#21. AIDS/クリプトコッカス髄膜炎 ART開始時期 Clin Infect Dis. 2023;77(1):64-73. doi:10.1093/cid/ciad122 ARTは、治療開始4-6週間後から開始することが推奨されている(アフリカのデータに基づく)
北米・欧州(高所得国)で行われた観察研究
6か月死亡 早期ART(14日以内) 13% vs 遅延群(14-56日) 18%で同等だった
#22. non-HIV PCPに対する低用量ST合剤 多施設・後ろ向き観察研究
基礎疾患は、主にリウマチ疾患
ST合剤 12.5mg/kg/d未満 vs 12.5-20 mg/kg/d
PE:30日死亡同等
SE:180日死亡同等
有害事象(低Na、吐き気)は低用量群で少なかった Chest. 2023;S0012-3692(23)05269-8.
doi:10.1016/j.chest.2023.08.009
新型コロナウイルス感染症に関する治療ガイドライン
#24. オセルタミビルは入院を減らさない JAMA Intern Med. 2023;e230699. doi:10.1001/jamainternmed.2023.0699 外来インフルエンザ患者を対象としたRCTのメタ解析
オセルタミビル群 vs プラセボまたは無治療群
全体、高齢者、高リスク者すべてで入院減少効果を認めなかった
製薬会社主導の研究に限定すると入院は減少した
吐き気、嘔吐は増加したが、重篤な有害事象の増加はなかった
症状の改善については未検討
#25. バロキサビルはオセルタミビルより優れている? 2つのRCTと2つの観察研究のSR/メタ解析
バロキサビル vs オセルタミビル
バロキサビルのほうが...
- 入院患者の死亡が少ない傾向?(観察研究2つ)
- 入院期間が短縮?(観察研究1つ)
- 症状の改善は同等
- day 2までのウイルス量の減少が大きい
- 有害事象少ない
私の解釈:このデータからはバロキサビルのほうが優れているとは言えない J Infect Chemother. 2023;S1341-321X(23)00262-3. doi:10.1016/j.jiac.2023.10.017
#26. オズウイルス Oz virus 感染症 ・オズウイルスによる世界初のヒトへの感染事例の報告:発熱、倦怠感などで受診、血小板減少、肝障害、腎障害、CRP上昇、CK上昇、フェリチン高値、単純CTは正常。心筋炎からの心室細動で死亡。全血、血清、尿、生検検体、解剖検体からウイルスが検出された。
・トゴトウイルス属、マダニが媒介する
・西日本から東日本の一部の野生動物(ニホンザル、イノシシ、シカ)から抗OZV抗体が検出されているが、これまで動物での発症は報告されていない。狩猟者で抗体陽性者がみつかった報告はある(国内)。
・原因不明の心筋炎症例や、節足動物媒介感染症が疑われる発熱症例等では、OZV感染症を鑑別にあげ検索を実施することが望まれる Emerg Infect Dis. 2022;28(2):436-439.
doi:10.3201/eid2802.211270
抗菌薬の投与方法とその効果に関する研究
#28. 敗血症患者へのMEPMの持続投与 vs 間欠投与 JAMA. 2023;330(2):141-151.
doi:10.1001/jama.2023.10598 二重盲検RCT
4か国31のICU
持続投与 vs 間欠投与(30-60分)
28日死亡・多剤耐性菌の出現:同等
90日死亡:同等
#29. CFPM vs PIPC/TAZ 安全性を比較 JAMA. 2023;e2320583. doi:10.1001/jama.2023.20583 ・オープンラベルRCT@米国
・来院から12時間以内にCFPMまたはPIPC/TAZの開始が検討された成人患者(腹腔内感染症、肺炎、皮膚軟部組織感染症など)
・バンコマイシンは両群とも約80%で併用(期間の中央値2日)
・AKIの発生頻度は同等
・せん妄・昏睡comaは、CFPM群でわずかに多かった
#30. CTRXとランソプラゾールの併用は避ける? 観察研究
CTRXとランソプラゾールの併用
・QT延長のリスク
・CTRXと他のPPIとの併用と比較
- 心室性不整脈/心停止 1.7%増加
- 院内死亡 7.4%増加 JAMA Netw Open. 2023;6(10):e2339893. Published 2023 Oct 2. doi:10.1001/jamanetworkopen.2023.39893
市中肺炎に対するステロイド治療の効果
#31. 血液透析患者のCTRXは2g 透析後投与でOK 血液透析中の患者に対するCTRXの投与量(透析後ゆっくり静注)
・透析後2g投与(週3回)で、MIC≦1の細菌による感染症の治療は可能
・総Bilが10µmol/L(=0.6 mg/dL)を超える場合は、1gずつの投与でよい J Antimicrob Chemother. 2023;78(8):1963-1973. doi:10.1093/jac/dkad190
#32. 日本のマクロライド処方状況 マクロライドの処方量は増加
クラリスロマイシンが60%を占める
主に、急性気道感染症・アレルギー性鼻炎・慢性副鼻腔炎・ざ瘡に使用されている PLoS One. 2023;18(6):e0287297. doi:10.1371/journal.pone.0287297
#34. 重症市中肺炎に対するハイドロコルチゾン 主要評価項目
28日死亡 介入群 6.2% vs プラセボ群 11.9%(5.6%低下、95% CI -9.6~-1.7) ・多施設共同研究、二重盲検プラセボ対照RCT
・対象:ICU入室した市中肺炎
重症=MV、NIV、HFNC(FiO2 50%以上でP/F 300未満)、PSI 130以上
・28日以内の気管挿管も減少
・消化管出血・院内感染の増加なし N Engl J Med. 2023;388(21):1931-1941. doi:10.1056/NEJMoa2215145
HIV患者の結核性髄膜炎に対する治療法
#35. 市中肺炎に対するステロイド RCTのメタ解析 15のRCTを対象とした
30日全死亡は減少(subgroup解析では重症またはICU入室患者に限定)
ARDS発症は減少
臨床的安定が1.5日早かった
再入院・ICU入室は同等
有害事象全般・2次感染・消化管出血は同等
高血糖は増加 Clin Infect Dis. 2023;ciad496. doi:10.1093/cid/ciad496
#36. 呼吸器疾患におけるステロイド Pulm Ther. 2023;9(3):329-344. doi:10.1007/s41030-023-00227-x COVID-19(呼吸不全)、重症市中肺炎、ARDS
septic shock、間質性肺疾患、COPD、喘息発作
#37. リステリア髄膜炎に対するステロイド EClinicalMedicine. 2023;58:101922. doi:10.1016/j.eclinm.2023.101922
Lancet Infect Dis. 2017;17(5):510-519. doi:10.1016/S1473-3099(16)30521-7 リステリア髄膜炎に対するデキサメタゾン(初回抗菌薬と同時または4時間以内に10mg q6h 4日間)は神経予後(退院時のGlasgow Outcome Scale 1~4)を改善し、死亡を減らした。ゲンタマイシンは結果に影響を与えなかった。
※MONALISAでは、24時間以内にDexa併用開始した中枢神経Listeria症患者の死亡は増加(Dexa投与群 48% vs 非投与群 27%) 前向きコホート研究、オランダ、162例
#38. HIV患者の結核性髄膜炎 Dexa予後改善せず N Engl J Med. 2023;389(15):1357-1367. doi:10.1056/NEJMoa2216218 ・プラセボ対照RCT@東南アジア
・HIV関連結核性髄膜炎(ART未施行 49%、CD4<50 約50%)
・標準的結核治療に、デキサメタゾン(静注 3-4週間→内服 3-4週間、漸減) or プラセボを追加
・PE:12か月以内の全死亡同等
・安全性:同等(6か月以内の神経学的なIRIS同等)
手術におけるSSI予防のための抗菌薬の使用
#40. 人工関節置換術の術前抗菌薬 CEZ vs CEZ+VCM N Engl J Med. 2023;389(16):1488-1498. doi:10.1056/NEJMoa2301401 ・プラセボ対照RCT@Australia
・MRSA感染症/保菌歴のない患者
・CEZ 2g、VCM 1.5g
・表層・深部・臓器/体腔SSIの発生頻度は、いずれも同等であった
#41. 膵頭十二指腸切除術の術前PIPC/TAZ JAMA. 2023;329(18):1579-1588. doi:10.1001/jama.2023.5728 オープンラベルRCT@米国・カナダ
PIPC/TAZ(3.375 or 4.5g)
vs セフォキシチン(2g)
PE:30日以内のSSI 19.8% vs 32.8%
SE:30日死亡は同等(1.3% vs 2.5%)
ope後sepsis減少(4.2% vs 7.5%)
膵液瘻減少(12.7% vs 19.0%)
CDI減少(0.3% vs 3.5%)
#42. SSI予防のための抗菌薬のタイミング JAMA Netw Open. 2023;6(6):e2317370.
doi:10.1001/jamanetworkopen.2023.17370 多施設共同後ろ向き観察研究@スイス
SSI予防のための術前抗菌薬の投与開始タイミングで効果を比較
11の手術を対象、セフロキシム 2g投与(Metronidazole追加可)
切開の61-120分前、31-60分前、0-30分前を比較
30-55分前(準備室)と10-25分前(ope室)を比較
PE:30日以内のすべてのSSI →0-30分前と31-60分前は、61-120分前よりSSI少ない(それぞれ15%, 9%)。10-25分前は、30-55分前よりSSI少ない(11%)
高齢者に対するRSVワクチンの効果と安全性
#44. 高齢者に対するRSVワクチン① 下気道感染症↓ N Engl J Med. 2023;388(16):1465-1477. doi:10.1056/NEJMoa2213836 ・プラセボ対照RCT
・60歳以上の免疫不全のない高齢者に対して1回接種
・ファイザー 66.7% 85.7%
#45. 高齢者に対するRSVワクチン② 下気道感染症↓ RSV下気道感染症:82.6%減少
重度のRSV下気道感染症:94.1%減少(仕事を休むレベル) RSV急性気道感染症:71.7%減少 ・プラセボ対照RCT
・60歳以上の免疫不全のない高齢者に対して1回接種
・GSK N Engl J Med. 2023;388(7):595-608. doi:10.1056/NEJMoa2209604
#46. 妊婦に対するRSVワクチン 乳児の罹患減少 ・プラセボ対照RCT
・24~36週の妊婦に1回接種
・90日・180日以内の受診が必要な重症下気道感染症:81.8%・69.4%減少
・90日・180日以内の入院:67.7%・56.8%減少
・妊婦・乳児に対する安全性は確認された(ただし、研究の規模は小さい) N Engl J Med. 2023;388(16):1451-1464. doi:10.1056/NEJMoa2216480
感染対策と予防に関する最新のガイドライン
#47. アミカシン吸入によるVAP予防 RCT N Engl J Med. 2023;10.1056/NEJMoa2310307. doi:10.1056/NEJMoa2310307 二重盲検プラセボ対照RCT(AMIKINHAL試験)
フランスの19のICU
人工呼吸器管理開始後72-96時間後の患者
アミカシン 20mg/kg 1日1回吸入 vs プラセボ
3日間投与
PE:28日以内のVAP 15% vs 22%
SE:死亡・ICU入室期間は同等
重大な有害事象は同等、耐性菌増加なし
#48. ST合剤によるノカルジア症の予防効果 70% Clinical Microbiology and Infection DOI: 10.1016/j.cmi.2023.10.008 固形臓器移植後
ノカルジア症の予防効果は約70%
breakthrough感染の90%以上はST合剤感性
#49. ユニバーサルマスキングとウイルス性気道感染症 Infect Control Hosp Epidemiol. 2023;1-3. doi:10.1017/ice.2023.200 米国の小児病院、単施設観察研究
2022年11月にユニバーサルマスキング終了(医療従事者は患者対応時のみマスク着用)
ウイルス性気道感染症の院内発生事例が増加した
ライノウイルス・エンテロウイルス・アデノウイルス・SARS-CoV-2・RSVなど ユニバーサルマスキング終了 Asymptomatic screening終了
感染症における血液培養の重要性と手法
#51. ICUでの血液培養 A line採血でもよい Chest. 2023;164(1):90-100. doi:10.1016/j.chest.2023.01.030 汚染率 A採血 0.34% vs V採血 0.70%
#52. 特発性CD4陽性Tリンパ球減少症 N Engl J Med. 2023;388(18):1680-1691. doi:10.1056/NEJMoa2202348 原因不明のCD4陽性Tリンパ球数 300 /µL未満
頻度の高い日和見感染症
・ヒトパピローマウイルス関連疾患(29%)
・クリプトコッカス症(24%) 大半が髄膜脳炎
・伝染性軟属腫(9%)
・非結核性抗酸菌症(5%)
・PCPは少ない(1%) ※67%が予防内服 CD4 数低値(<100 /µL)
・日和見感染症のリスクが高い(OR 5.3)
・浸潤癌リスクが高い(OR 2.1)
・自己免疫疾患のリスクが低い(OR 0.5)
COVID-19 mRNAワクチン 2回接種でS抗体陽性化 64%
COVID-19関連の新しい治療法とその効果
Long COVIDのリスク因子とその管理
#59. 重症化リスクは年齢・基礎疾患に影響される BMJ. 2023;381:e072976. Published 2023 Jun 21. doi:10.1136/bmj-2022-072976
BMJ. 2020;371:m3731. Published 2020 Oct 20. doi:10.1136/bmj.m3731 (supplementalに化学療法の分類について記載あり) ・オミクロン流行期の英国(入院1.5%、死亡0.3%)
・左図は女性のCOVD-19による死亡のリスク
・感染歴→死亡50%減少、ワクチン4回以上→死亡90%減少
・化学療法の強度は、FN/リンパ球減少リスクによって分類された
#61. 28日以内の入院:
55%減少(0.9% vs 1.4%)
28日死亡:
85%減少(0.1%未満 vs 0.2%) Lancet Infect Dis. 2023;23(6):696-705. doi:10.1016/S1473-3099(23)00011-7 オミクロン流行期における入院・死亡を減らす 対象患者
・ワクチン2回以上 約75%
・3回接種 約60%
#62. 入院した場合
- 入院期間短縮:投与群 3.4日 vs 非投与群 5.2日
- 重症化は少ない傾向
HFNC以上:8.2% vs 12.5% Lancet Infect Dis. 2023;23(6):696-705. doi:10.1016/S1473-3099(23)00011-7 入院が必要となった事例の重症度を下げる
新型コロナウイルス感染症の治療における最新の知見
#63. JAMA Netw Open. 2023;6(9):e2335077. doi:10.1001/jamanetworkopen.2023.35077 XBB流行期における入院・死亡を減らす ●ニルマトレルビル/リトナビルの効果
90日以内死亡:
- 84%減少(0.15% vs 1.05%)
- 65歳以上で84%減少(0.25% vs 2.42%)
90日以内の死亡+入院:37%減少
※変異体やワクチン接種に関係なく効果あり
#64. ●結果
特に死亡抑制効果が高かった
ワクチン接種歴に関係なく効果を認めた
2剤の差は明らかではなかった 免疫不全者の入院・死亡を減らす Clin Infect Dis. 2023;ciad504. doi:10.1093/cid/ciad504 オミクロン流行期に行われた観察研究で、免疫不全者(ワクチン2回以上接種 約75%、3回接種 約50%)に対するニルマトレルビル/リトナビルまたはモルヌピラビルの効果を、無治療群と比較した
#65. CEV1:重度免疫不全、CEV2:中等度免疫不全、CEV3:著明な基礎疾患(免疫不全ではない)、EXEL:CEV3を満たさない基礎疾患ある患者 基礎疾患・年齢が治療効果に影響する JAMA Netw Open. 2023;6(10):e2336678. Published 2023 Oct 2. doi:10.1001/jamanetworkopen.2023.36678 1.75% 3.42% 2.38% 3.71% 4.44% 3.42% オミクロン流行期@カナダ
28日以内のCOVID-19関連ER受診/入院+全死亡への効果を検討
#66. ●180日時点のPost–COVID-19 condition (PCC)
:26%減少(12.99% vs 17.51%) JAMA Intern Med. 2023;183(6):554-564. doi:10.1001/jamainternmed.2023.0743 Long COVID・死亡・入院を減らす効果
モルヌピラビルの効果とその承認状況
#68. 94%がワクチン3回以上接種
モルヌピラビル投与群 vs 非投与群
PE: 28日以内の入院+死亡 同等(0.8% vs 0.8%)
SE:症状改善までの日数 4.2日短縮(10.3日 vs 14.5日) Lancet. 2023;401(10373):281-293. doi:10.1016/S0140-6736(22)02597-1 オミクロンかつクチン接種者だと入院は減らない
#69. JAMA Netw Open. 2023;6(9):e2335077. doi:10.1001/jamanetworkopen.2023.35077 XBB流行期における入院・死亡を減らす ●モルヌピラビルの効果
90日以内死亡
- 77%減少(0.6% vs 1.57%)
- 65歳以上で76%減少(0.88% vs 3.46%)
90日以内の死亡+入院:41%減少
※変異体やワクチン接種に関係なく効果あり
#70. 180日目時点で
Long COVID 14%減少
絶対リスク低下:2.97%減少 BMJ. 2023;381:e074572. Published 2023 Apr 25. doi:10.1136/bmj-2022-074572 Long COVIDを14%減らした 診断から30日目以降のeventを評価@米国
レムデシビルの効果と免疫不全者への適用
#73. Clin Infect Dis. 2023;ciad460. doi:10.1093/cid/ciad460 免疫不全のある入院患者の死亡を減らす 免疫不全のある入院COVID-19患者に対するレムデシビルの効果を検討した大規模観察研究(N=約30000, 2020.12~2022.4)
どのvariant・呼吸状態でも、投与群は非投与群より死亡が少なかった
#74. 免疫不全者の難治性COVID-19の治療 Clin Infect Dis. 2023;76(5):923-925. doi:10.1093/cid/ciac847 Clin Infect Dis. 2023;76(5):926-929.
doi:10.1093/cid/ciac868 Clin Infect Dis. 2023;76(10):1864-1865. doi:10.1093/cid/ciad085 抗ウイルス活性のある薬剤の併用治療が検討されている
感染対策関連の新しい研究とその結果
#76. Clin Infect Dis. 2023;76(8):1403-1411. doi:10.1093/cid/ciac933 Day 4で感染性ウイルスはほぼ陰性化 感染性ウイルスviral titerの陰性化は早い
#77. 12の症状(鼻閉・鼻汁、咽頭痛、呼吸困難、咳、倦怠感、筋肉痛・体の痛み、頭痛、悪寒、発熱、吐き気、嘔吐、下痢)の総スコアの変化は治療群とプラセボ群で有意差なし
気道症状の改善が、治療群で早い傾向がみられた 気道症状の改善は早い傾向がみられる Clin Infect Dis. 2023;76(8):1403-1411. doi:10.1093/cid/ciac933
ウイルス量の推移と感染対策の重要性
#79. ウイルス量の推移 総説 Nat Rev Microbiol. 2023 Mar;21(3):147-161. doi: 10.1038/s41579-022-00822-w.
#80. 1回目の感染より2回目のほうが早く陰性化 Nat Commun. 2023;14(1):6206. Published 2023 Oct 5. doi:10.1038/s41467-023-41941-z 初回感染と比較して、2回目の感染はウイルスクリアランス(PCR陰性化)が早かった(9.2日 vs 6.3日)
2回目の感染のウイルスクリアランスまでの時間は、ワクチン接種回数による影響を受けなかった
1回目の感染で早期に陰性化した患者は、2回目の感染でも早く陰性化する傾向を認めた
#81. BA.5対応2価ワクチンで入院・死亡減少 BA.5対応2価ワクチン(ファイザー)による入院・死亡予防効果を検討した観察研究@イスラエル(65歳以上を対象、ほとんどの患者が基礎疾患あり)
BA.5とBQ.1が流行していた時期に行われた
2価ワクチン接種の効果:入院72%減少(左図)、死亡68%減少(どちらも統計学的有意差あり) Lancet Infect Dis. 2023 Aug;23(8):914-921.
doi: 10.1016/S1473-3099(23)00122-6.
#82. BA.5対応2価ワクチンで感染・入院・死亡減少 N Engl J Med. 2023;388(19):1818-1820. doi:10.1056/NEJMc2302462 接種後6週間は感染予防効果20-30%
その後減衰し、3ヶ月でほぼ効果消失 BA.5流行期とBQ.1.1とXBB流行期で効果の差はない
COVID-19ワクチンの効果とそのガイドライン
#83. 高齢者施設での感染予防効果:短期的には30% ・米国の高齢者施設(2022.11.20~2023.1.8)
・BA.5~BQ.1.1が流行中
・ワクチン接種最新の状態 vs 最新ではない状態
・最新状態:感染が31.2%減少(3ヶ月未満のf/u期間) MMWR Morb Mortal Wkly Rep. 2023;72(25):690-693.
doi: 10.15585/mmwr.mm7225a4.
#86. CO2センサーの目標値 1000 ppm未満がよい Environ Sci Pollut Res Int. 2023 Jun 7;1-14. doi: 10.1007/s11356-023-27944-9. 外来セッティングでの空気感染予防
感染者と非感染者がどちらも...
・マスク着用なし
:感染拡大を防ぐために620ppm以下
・サージカルマスク着用
:感染拡大を防ぐために1000ppm以下
※接触・飛沫感染は考慮していない
入院前PCR検査の必要性とその影響
#87. 入院前SARS-CoV-2スクリーニング検査 ・SHEA(the Society for Healthcare Epidemiology of America、米国医療疫学学会)は、医療機関への入院前または手術前に無症状の人にSARS-CoV-2スクリーニング検査を一律に行うことを推奨していない
・スクリーニング検査の必要性の検討
- 地域の流行状況
- 患者背景
血液内科病棟、造血幹細胞移植病棟(重症化リスクが高い)
精神科病棟(症状の訴え・感染対策が難しい→感染伝播リスク高い)
- 施設のレイアウト:大部屋、精神科病棟(共有スペースがある) Infect Control Hosp Epidemiol. 2023 Jan;44(1):2-7. doi: 10.1017/ice.2022.295. ・基本的な感染対策が十分に実施されている場合の有用性は不明である
・患者に不利益がある可能性がある
#88. 入院前PCRは不要な可能性がある Infect Control Hosp Epidemiol. 2023;1-4. doi:10.1017/ice.2023.66 入院前PCRスクリーニング検査終了前後の院内クラスターについて検討
終了前の波(第7波):クラスター7件 vs 終了後の波(第8波):クラスター9例
第8波でindex caseが患者で、入院48時間以内に発症した事例は1件のみ→これのみ検査で防ぐことができた?
#89. 入院前PCR検査をやめると院内発生増加する? JAMA Intern Med. 2023 Jun 5;e231261. doi: 10.1001/jamainternmed.2023.1261. 入院前スクリーニング検査を終了した後(2022.8~9)、院内発症COVID-19が増加した
- イングランド 26%増加
- スコットランド 41%増加
市中感染1000名あたりの1週間の新規院内発症事例を評価した(分母を「市中発症COVID-19患者の入院1000例」にしても同様の結果)
Long COVIDの病態生理と治療法
#91. Long COVIDのリスク因子 ●リスク上昇
女性
高齢
BMI高値
喫煙
基礎疾患
入院・ICU入室
●リスク低下
ワクチン接種 JAMA Intern Med. 2023;183(6):566-580. doi:10.1001/jamainternmed.2023.0750
#92. Long COVIDで想定されている病態生理 Nat Rev Microbiol. 2023;21(3):133-146. doi:10.1038/s41579-022-00846-2
#93. Long COVIDの病態・症状・治療 Signal Transduct Target Ther. 2023;8(1):416. Published 2023 Nov 1. doi:10.1038/s41392-023-01640-z
特定の微生物に関する総説とガイドライン
#96. グラム陽性球菌菌血症 いつIE検索する? Clin Microbiol Infect. 2023;S1198-743X(23)00410-X. doi:10.1016/j.cmi.2023.08.027 IEのリスク
・菌血症:菌種、単一菌菌血症、陽性セット数、陽性までの時間が短い、治療開始48-96時間後の血液培養が陽性(S. aureus)
・患者背景:市中発症、focus不明(S. aureus, E. faecalis)、Duke criteriaのminor criteria
#97. グラム陽性球菌菌血症 いつIE検索する? Clin Microbiol Infect. 2023;S1198-743X(23)00410-X. doi:10.1016/j.cmi.2023.08.027
#98. グラム陽性球菌菌血症 いつIE検索する? Clin Microbiol Infect. 2023;S1198-743X(23)00410-X. doi:10.1016/j.cmi.2023.08.027
重症緑膿菌感染症の治療に関する最新の知見
#99. 重症緑膿菌感染症の治療 総説 重症例では併用治療で開始し、標的治療は単剤で行う
再燃例では、初回と異なる抗菌薬で開始する
標的治療は、セフタジジムがよいかもしれない(耐性化しにくい)
経過のよい血流感染症・VAPは、7日間の短期治療でよい
フルオロキノロンの効果は高いが、耐性化リスクも高い
DTR-R. aeruginosaの治療
セフトロザン/タゾバクタム・イミペネム/シラスタチン/レレバクタム
セフタジジム/アビバクタム±アズトレオナム+ ・cefiderocol
初回投与量は、腎機能による調整は行わない
βラクタム系抗菌薬は、長時間投与または持続投与を検討する Curr Opin Infect Dis. 2023;10.1097/QCO.0000000000000981. doi:10.1097/QCO.0000000000000981
#100. カルバペネム耐性アシネトバクターの治療 ・各薬剤のエビデンスをレビュー
・推奨:スルバクタム+in vitro活性のある抗菌薬1つ以上(cefiderocol、ポリミキシンB、tigecycline)
・MINOやコリスチンも候補となる
・基本は2剤併用治療で、3剤目は再燃例や臨床的改善が緩徐な場合に考慮する
・治療の個別化が必要(感受性試験/MIC、PK/PDデータ、感染臓器、local epidemiology)
・sulbactam-durlobactamの認可待ち Clin Infect Dis. 2023;76(Suppl 2):S179-S193. doi:10.1093/cid/ciad094
#101. Stenotrophomonas maltophilia感染症 Curr Opin Infect Dis. 2023;10.1097/QCO.0000000000000975.
doi:10.1097/QCO.0000000000000975 各薬剤のPK/PD dataは不足している
ST合剤が基本治療薬であるが副作用が多い
LVFXは耐性化しやすい
MINOの適切なbreakpointは4未満の可能性がある
#102. ブドウ糖非発酵菌に対する新規抗菌薬治療 総説 Curr Opin Infect Dis. 2023;10.1097/QCO.0000000000000984.
doi:10.1097/QCO.0000000000000984 まだ海外でも認可されていない抗菌薬
神経梅毒に関する総説とその診療ガイドライン
#103. ブドウ糖非発酵菌に対する新規抗菌薬治療 総説 Curr Opin Infect Dis. 2023;10.1097/QCO.0000000000000984. doi:10.1097/QCO.0000000000000984
#104. 神経梅毒 総説 natural history Clin Infect Dis. 2023;ciad437. doi:10.1093/cid/ciad437 髄膜炎 無症候性 無症候性 meningovascular
- 主に5~12年程度
Parenchymatous
- 主に15年以上
- general paresis
- tabes dorsalis
#105. 神経梅毒 総説 腰椎穿刺の適応 1. 神経症状・所見
2. 第3期梅毒(ゴム腫・心血管梅毒)
3. 治療後のRPR上昇
4. RPRの低下が乏しい
5. 再感染ではない
6. 治療後のRPR値 Clin Infect Dis. 2023;ciad437. doi:10.1093/cid/ciad437
#106. 神経梅毒 総説 Clin Infect Dis. 2023;ciad437. doi:10.1093/cid/ciad437
感染症に関する新しいガイドラインと提言
#107. Mucormycosisの総説 Curr Opin Infect Dis. 2023;10.1097/QCO.0000000000000976. doi:10.1097/QCO.0000000000000976 リスク、診断(培養、病理、PCR)、予後
治療
- L-AMB
- ポサコナゾール
- イサブコナゾール
- 外科的手術
- 局所治療:アムホテリシンBの眼内投与 etc
抗微生物薬適正使用の手引きとその重要性
#113. IEの診療ガイドライン(WikiGuideline Group) JAMA Netw Open. 2023;6(7):e2326366. Published 2023 Jul 3. doi:10.1001/jamanetworkopen.2023.26366 経験的抗菌薬治療について言及している
内服抗菌薬へのスイッチを推奨している
そのタイミングと内服薬の投与量の詳細が提示されている
Staphylococcus属のPVEにおけるGMとRFPの効果に懐疑的
supplementalの内容が豊富(総説)
#114. ESCの感染性心内膜炎診療ガイドライン改訂 Eur Heart J. 2023;44(39):3948-4042. doi:10.1093/eurheartj/ehad193
ICUにおける新規発熱の評価と管理
#115. DFIの診療ガイドライン(米国) Clin Infect Dis. 2023;ciad527. doi:10.1093/cid/ciad527
#116. DFIの診療ガイドライン(米国) 重症例の特徴
入院を検討すべき状況
骨髄炎を疑う状況 Clin Infect Dis. 2023;ciad527. doi:10.1093/cid/ciad527
#117. DFIの診療ガイドライン(米国) Clin Infect Dis. 2023;ciad527. doi:10.1093/cid/ciad527
#118. ICUの成人患者の新規発熱の評価 Crit Care Med. 2023;51(11):1570-1586. doi:10.1097/CCM.0000000000006022 体温測定、解熱薬、画像検査、培養検体の採取方法、PCR検査、炎症マーカーについて
脳膿瘍の診療ガイドラインと治療法
#119. 脳膿瘍の診療ガイドライン@欧州 Clin Microbiol Infect. 2023;S1198-743X(23)00399-3. doi:10.1016/j.cmi.2023.08.016 診断と治療に関する推奨が、それぞれ3・7ずつ(下記はその一部を紹介)
・診断は、造影CTより頭部造影MRIを推奨、培養陰性時は核酸増幅検査など検討する
・市中発症の経験的治療 CTRX+Metronidazole、重度免疫不全者 broad spectrum
・培養結果で治療を最適化(口腔内細菌が検出された場合は嫌気性菌カバー継続)
・治療期間:6-8週間が基本
・内服スイッチについてのエビデンスは限定的であり、推奨は出していない
#120. 脳膿瘍の治療において内服スイッチは可能? Clin Microbiol Infect. 2023;29(9):1139-1143.
doi:10.1016/j.cmi.2023.04.026 ・早期の内服抗菌薬への変更を検討した研究はすべてバイアスの大きい観察研究である
・RCTが必要である Trials. 2021;22(1):796. Published 2021 Nov 12. doi:10.1186/s13063-021-05783-8
#122. augmented renal clearanceの総説 Front Pharmacol. 2023;14:1137975.
Published 2023 Jul 26. doi:10.3389/fphar.2023.1137975 主な抗菌薬のPK/PDについて記載されている
・PIPC/TAZ、AMPC/CVA
・セフトロザン/タゾバクタム
・CFPM、CTRX、CEZ
・MEPM
・VCM、LZD、ダプトマイシン
・フルオロキノロン
・アミノグリコシド、コリスチン
手指衛生と感染対策に関する最新のガイドライン
#123. 抗菌薬の常識を疑ってみる Clin Infect Dis. 2023;77(8):1120-1125. doi:10.1093/cid/ciad357 ・セファゾリンは中枢神経感染症に使用不可→PK/PD研究では8~10g/日持続or間欠投与で治療可能である
・LZDはSSRI内服中は避けなくてはならない→セロトニン症候群は極めて稀(0.1%程度)
・腎不全患者でLZDの投与量調整は不要→eGFR 60未満は300mg 12時間おきがbetter(血小板減少が減少)
・Staphylococcus属によるPVEに対してRFP+GMは必須→臨床効果を示した研究はない、副作用は増加
・その他、4つのテーマについて議論されている
#124. 髄膜炎に対するセファゾリン 8-10g/日 Pharmacotherapy. 2023;43(1):85-95. doi:10.1002/phar.2750 セファゾリンの投与量
・1回2g 6時間おき
・8-10g/日 24時間持続投与
・高用量の安全性は確認されている
・腎不全患者に対する過剰投与で脳症のリスクあり
#126. 手指衛生についてのSHEAのガイダンス Infect Control Hosp Epidemiol. 2023;44(3):355-376. doi:10.1017/ice.2022.304 Infect Control Hosp Epidemiol. 2014;35 Suppl 2:S155-S178. の改訂版
・basic practice→essential practice
・手袋について、シンクなどに関連した環境汚染対策について言及している
中心静脈カテーテル関連感染症の予防策
#127. CA-UTI予防のSHEAの戦略 Infect Control Hosp Epidemiol. 2023;44(8):1209-1231. doi:10.1017/ice.2023.137
#128. CA-UTI予防のSHEAの戦略 Infect Control Hosp Epidemiol. 2023;44(8):1209-1231. doi:10.1017/ice.2023.137
#129. 中心静脈カテーテル関連血流感染症の予防 総説 N Engl J Med. 2023;389(12):1121-1131.
doi:10.1056/NEJMra2213296
#130. RCTで効果が示されたSSI予防策は6つ
- 除毛にカミソリを使用しない
- 高リスク手術(心臓・人工関節手術)におけるS. aureusの除菌(鼻腔・皮膚)
- 皮膚の消毒にアルコールベースのグルコン酸クロルヘキシジンを使用
- 術中に正常体温を保つ(深部体温36℃以上)
- 周術期の血糖管理(110~150 mg/dL)
- 陰圧創傷治療
ガイドラインは、適切な予防的抗菌薬(タイミング=皮膚切開前60分以内・種類・投与量・術中再投与、術後の投与は推奨されない)の投与を推奨している(RCTなし)
SSIの予防についての総説(JAMA) JAMA. 2023;329(3):244-252. doi:10.1001/jama.2022.24075
CAR-T細胞療法後の感染症に関する総説
#132. CAR-T細胞療法後の感染症 総説 Transpl Infect Dis. 2023;e14157. doi:10.1111/tid.14157 CAR-T療法30日以内の感染症 CD19 CAR-T細胞療法
#133. CAR-T細胞療法後の感染症 総説 Transpl Infect Dis. 2023;e14157. doi:10.1111/tid.14157 各時期に多い感染症
予防内服
フルオロキノロン
抗真菌薬
ST合剤
HSV/VZV
CMV、HHV-6などについての解説
ワクチン