#4.
ロジックツリーでもすぐに診断がつかなかった場合はどうする…? やっぱり、診断がわからない…。
#5.
突然ですがクイズです! またもや 投資すべきでしょうか?
#6.
答え:第一印象からだけでは判断できない
#7.
言葉遣いも、見た目も誠実な印象だなぁ。 あの通訳の人は○○選手を
献身的にサポートしていて、
素晴らしい人間性だ!
#8.
僕は最初から彼の言動は、
怪しいと疑っていたんだ! 裏で窃盗をしていたのか!
どうりで信用できない雰囲気だったわけだ。
#9.
後医は名医
(意味:あとからは何とでも言える)
#10.
昨日君が帰宅させた患者さん、今日外来に来て虫垂炎だったぞ!あんなの見たらすぐにわかるだろ! す…、すみません。
#11.
後医は名医
(意味:あとからは何とでも言える)
#12.
ロジックツリー診断推論は直線的になりがちな診断を、
樹形図状に拡張して網羅的に鑑別診断を広げる思考ツール 直感重視 Logic
Tree
#13.
だが、しかし
#14.
ボールかな?
箱かな?
物事は1つの視点からだけでは判断できない
#15.
鳥の目:鳥のように高い位置から俯瞰して全体像を見る視点
虫の目:虫のように細部を拡大して詳細を見る視点
魚の目:魚のように川の流れや潮の満ち引きなど「流れ」を読む視点
#16.
ロジックツリーの構造(例:3STEPの問診) 具体化 具体化 抽象化 鳥の目:全体像を見る視点 虫の目:詳細を見る視点 具体的
#17.
ロジックツリーには時間軸の概念(魚の目)が入っていない X軸 Y軸 Z軸(時間軸) 診断では流れ(時間経過)も重要である
#18.
中耳炎と腰椎ヘルニア以外は特に既往のない60歳代男性が,2週間前から続く発熱と咳嗽を主訴に近医内科を受診。
同院の胸部レントゲンにて肺野に多発の浸潤影を認め肺炎の疑いにて当院紹介受診。CTでは一部空洞影も伴っている。 小栗太一著/劇的に診断力が上がる! 診断推論×ロジックツリー(羊土社)より 症例1
#19.
一時点の情報だけでは
その瞬間に見える診断の構造しかわからない
#20.
病歴の時間軸を意識すると…何かが見えてきませんか? 病歴の経過を
タイムラインで視覚的に書くとわかりやすい
#21.
GPA(多発血管炎性肉芽腫症) ANCA 陽性!
#22.
20歳の男性が本日から発症した臍周囲の間欠的な鈍痛と軟便を主訴にERを受診。嘔気があるも,嘔吐はない。
身体診察では,右下腹部に圧痛は認めないが,臍周囲に軽度の圧痛がある。血液検査では軽度の炎症反応上昇あり。CT検査では、小腸全体が浮腫状に見え、虫垂の腫大も示唆されたが所見が不明瞭。
ERで時間軸を意識すると…? 胃腸炎? 虫垂炎?
#23.
典型的な胃腸炎の経過 「今」の確定診断にこだわるよりも、「未来」の複数の可能性を展開する! まだ内臓痛の段階? 体性痛に変化したタイミング
#24.
「診断」は時間経過も込みで「診断」
(類語:「遠足」は家に帰るまでが「遠足」)
#25.
家に帰るまでの過程が「遠足」 ➤診断も瞬間的な判断だけで終わるものではなく, 過去からの流れを踏まえて,経過観察や再評価
の過程までを含む包括的なプロセス
#26.
研修医がよく思う「診断」のイメージ ここも診断 ここも診断 膿尿があるからUTIだな。
CTMいれて終わりっと。 あれ?血培からGPC?? まあ、PMRっしょ。PSLを
抗炎症容量でいれときますわ。 ひょっとして、ML? フォローアップまでの過程が「診断」
#27.
症例2 20歳代女性。38度台の発熱と心窩部周囲の腹痛あり近医を受診。嘔気や嘔吐はなく排便は軟便が1回あったのみ。胃腸炎の診断で整腸剤などを処方され対症療法にて帰宅。症状改善にとぼしく発熱と心窩部痛が持続するため,3日後に当院の外来を初診で受診。
#28.
【既往歴】特になし
【常用薬】特になし
【生活歴】喫煙歴:なし 飲酒歴:週2回 缶チューハイ350mL程度
【アレルギー歴】なし
【月経周期】28日,整,最終月経7日前 【妊娠の可能性】なし
【来院時現症】
身長162cm 体重56.0kg
体温36.1℃ 血圧100/54mmHg 脈拍71bpmSPO2 98%(room air)
腹部所見:平坦,軟,心窩部に軽度圧痛あり
反跳痛や筋性防御などの腹膜刺激徴候は認めない
#29.
小栗太一 著 /研修医のための魔法のロジカル診断学(じほう)より 今回は持続的な鈍痛,
1週間以内の生肉・生卵・魚介類の摂取なし,
直近の海外渡航なし,黄疸なし,
シックコンタクトなし,妊娠の可能性100%なしと
#30.
来院時血液・生化学・尿検査・動脈血液ガス分析
総蛋白 7.7 g/dl
アルブミン 4.3 g/dl
総ビリルビン 0.6 mg/dl
アルカリフォスファターゼ 154 U/L
LDH 254 U/L
AST 22 U/L
ALT 12 U/L
γ-GTP 12 U/L
ナトリウム 138 mEq/L
カリウム 4.0 mEq/L
クロール 102 mEq/L
尿素窒素 8.5 mg/dl
クレアチニン 0.8 mg/dl
血糖 88 mg/dl
CRP 2.91 mg/dl
HDLコレステロール 66 mg/dl
LDLコレステロール 90 mg/dl
中性脂肪 43 mg/dl
アミラーゼ 464 IU/L
リパーゼ 1279 U/L
pH 7.432
PCO2 33.7 mmHg
PO2 94.8 mmHg
SaO2 97.6 %
HCO3- 22.0 mmol/L
COHb 1.3 %
tHb 14.4 g/dl
Na+ 134.5 mmol/L
K+ 3.7 mmol/L
Cl- 104 mmol/L
Ca++ 4.2 mg/dl
Anion Gap
#31.
腹部単純・造影CT検査 膵腫大と膵周囲の炎症性変化あり➤IgG4上昇なし,AIPにしては腹痛も強く年齢も合わない
#32.
診断:急性膵炎
#33.
上腹部の急性腹痛発作と血中膵外分泌酵素の上昇,CT画像所見にて膵腫大と膵周囲の炎症性変化を認めたことより急性膵炎と診断。原因としてはアルコール多飲歴や胆石を認めず特発性と考えられた。入院の上,補液とガベキサートメシル酸点滴にて治療を開始した。
#34.
入院後は腹痛改善傾向であったが、入院第5病日に嘔気・嘔吐あり。
顔色不良となり,Kussmaul呼吸を呈していた。
#35.
何が起こっているのか?
#36.
DKA発症までが急すぎる 入院時血糖正常,
通常インスリン分泌は保たれる 慢性膵炎が多い 病歴から否定的,
入院時はpH正常 入院後はバイタル安定 敗血症性ショックではないKussmaul呼吸は無理がある 尿量は確保されていた
#37.
もしかして…
#38.
総蛋白 7.7 g/dl
総ビリルビン 0.4 mg/dl
LDH 256 U/L
AST 19 U/L
ALT 12 U/L
γ-GTP 13 U/L
ナトリウム 125 mEq/L
カリウム 6.3 mEq/L
クロール 95 mEq/L
尿素窒素 34.1 mg/dl
クレアチニン 1.4 mg/dl
血糖 939 mg/dl
CRP 1.93 mg/dl
HDLコレステロール 37 mg/dl
LDLコレステロール 81 mg/dl
中性脂肪 95 mg/dl
アミラーゼ 187 IU/L
HbA1C(NGSP) 6.2 %
抗GAD抗体 <1.3 U/ml
抗IA-2抗体 <0.4 U/ml
畜尿CPR 2.1 μg/day
pH 7.084
PCO2 9.2 mmHg
PO2 143.4 mmHg
SaO2 98.5 %
HCO3- 2.7 mmol/L
COHb 0.83 %
tHb 13.9 g/dl
Na+ 127.6 mmol/L
K+ 5.4 mmol/L
Cl- 103 mmol/L
Ca++ 4.6 mg/dl
Anion Gap 27.30 mm
#39.
入院時の血糖値は正常であるにも関わらず,第5病日には血糖939mg/dl,尿ケトン体3+,動脈血液ガス分析にてpH 7.084と糖尿病ケトアシドーシスを併発していた。尿中CPR 2.1μg/日とインスリン分泌枯渇していたこと,HbA1C(NGSP)6.2%であったことより,劇症1型糖尿病による糖尿病ケトアシドーシスと診断。
抗GAD抗体,抗IA-2抗体などの膵島関連自己抗体は陰性であり,急性膵炎の治療に加えて同日よりインスリン持続静注を開始した。
その後は血糖値・アシドーシスは正常化し,自覚症状も改善,強化インスリン療法に切り替えCSII導入後に退院となった。
#40.
最終診断:劇症1型糖尿病
#41.
劇症1型糖尿病とは 劇症1型糖尿病診断基準(2012)
下記1~3のすべての項目を満たすものを劇症1型糖尿病と診断する。
1.糖尿病症状発現後1週間前後以内でケトーシスあるいはケトアシドーシスに
陥る(初診時尿ケトン体陽性、血中ケトン体上昇のいずれかを認める。)
2.初診時の(随時)血糖値が288 mg/dl (16.0 mmol/l) 以上であり、かつHbA1c値
(NGSP)<8.7 %である。
3.発症時の尿中Cペプチド<10 µg/day、または、空腹時血清Cペプチド<0.3 ng/ml
かつ グルカゴン負荷後(または食後2時間)血清Cペプチド<0.5 ng/ml である。
<参考所見>
A) 原則としてGAD抗体などの膵島関連自己抗体は陰性である。
B) ケトーシスと診断されるまで原則として1週間以内であるが、1~2週間 の症例も存在する。
C) 約98%の症例で発症時に何らかの血中膵外分泌酵素(アミラーゼ、リパーゼ、エラスターゼ1など)が
上昇している。
D) 約70%の症例で前駆症状として上気道炎症状(発熱、咽頭痛など)、消化器症状
(上腹部痛、悪心・嘔吐など)を認める。
E) 妊娠に関連して発症することがある。
F) HLA DRB1*04:05-DQB1*04:01との関連が明らかにされている。
#42.
初期診断 最終診断 初診 症状の変化 尿糖陽性の違和感? 急性膵炎? 代謝性アシドーシスの原因は? 劇症1型糖尿病! 「診断」は時間経過も込みで「診断」
#43.
おまけ
#44.
僕と一生ずっと一緒にいてください! あなたの人間性は一時点じゃ判断できないわ。
#45.
ガーン…
#46.
Time-based Logic treeの考え方ができれば…
#47.
でも、それって時間をかけたらOKってことだよね? 一時点の情報に頼らず、時間軸全体を考えることで、ポジティブな結論にたどり着けます!
#48.
おしまい
#49.
ロジックツリーで
分析的な診断の思考を鍛えよう! 今日からTime-based Logic Treeで時間軸を味方にしてください!