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ER・一般外来のよくある疾患 きちんと診断できますか【その⑤:過換気症候群】

投稿者プロフィール
小栗太一

独立行政法人労働者健康安全機構旭労災病院

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投稿した先生からのメッセージ

診断学って難しくて苦手というイメージはありませんか?皆さんが診断推論を面白くて好きだと言ってもらえることを目指しています。

(ロジックツリー診断推論の基本について解説したスライドは以下URL参照) https://slide.antaa.jp/article/view/157a375028884d9a

概要

当院で毎月1回行われている総合内科勉強会の資料のスライドです。

本スライドの対象者

医学生/研修医/専攻医/専門医

参考文献

投稿された先生へ質問や勉強になったポイントをコメントしてみましょう!

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テキスト全文

過換気症候群の基本的理解と診断の重要性

#1.

旭労災病院総合内科 小栗太一

#2.

よくある疾患をきちんと診断するには 1.その疾患の典型的な経過を覚えておく 2.その疾患に似た重篤な疾患を除外できる 3.本当にその疾患でよいかを常に疑う ちゃんと全体像を覚えておくことが大事なんだね。

過換気症候群の心理的要因と症状の特徴

#3.

よくある疾患その⑤:過換気症候群 主に心理的要因(ストレス、不安)で誘発される 過剰な換気により呼吸性アルカローシスを呈する病態

#4.

1.その疾患の典型的な経過を覚えておく 2.その疾患に似た重篤な疾患を除外できる 3.本当にその疾患でよいかを常に疑う

#5.

①心理的ストレス   や不安が誘因 ③呼吸を整えると    短時間で軽快 ②頻呼吸による呼吸性 アルカローシス 過換気症候群:Hyperventilation Syndrome (HVS)の特徴 ストレス 心理的ストレスや不安などが誘因となり自律神経の過剰反応を引き起こし、頻呼吸が発生。 呼吸性アルカローシスによる イオン化Caの低下から、テタニー、 口周囲・四肢のしびれが生じる。 腹式呼吸や深呼吸で数分~数十分以内に改善する。(紙袋法は酸素飽和度低下のリスクがあり現在は推奨されない。)

過換気症候群の診断フローと器質的疾患の除外

#6.

過換気症候群の典型的な症状 クボスティック徴候(Chvostek's Sign) 耳介前を叩くと顔面筋がピクピクと収縮する現象。低カルシウム血症で顔面神経が過敏になる場合に見られる。 トルソー徴候 (Trousseau's Sign) 血圧計のカフで上腕を圧迫すると手が掌屈・屈曲して助産師の手を呈する現象。低カルシウム血症に関連する。 ピクピク

#7.

過換気症候群(HVS)では『器質的疾患を伴わない』ことが重要! 過換気 ➤肺胞換気が過剰となり、動脈血中の二酸化炭素分圧(PaCO₂)が35 mmHg以下に低下する状態 器質的疾患を伴う過換気 ➤呼吸器や循環器、神経系、代謝系などの器質的疾患や病態が背景に存在し、それによって過換気が引き起こされる状態 器質的疾患を伴わない過換気 ➤機能的または心因性の原因によって  引き起こされる過換気 ➤過換気症候群 器質的疾患を伴わないことが前提 器質的疾患の有無を いかに鑑別するかがポイント ストレス

#8.

過換気症候群(HVS)の診断の流れと特徴 ①過換気あり ③精神疾患の合併は? ②心因性でOK? (器質的疾患を除外) 器質的 HVS (心因性)     HVS (心因性)     パニック障害

過換気症候群と器質的疾患の鑑別ポイント

#9.

過換気症候群と 器質的疾患による過換気はどうやって見分けるの?

#10.

除外すべき器質的疾患による過換気の病態別分類

#11.

過換気症候群(HVS)と器質的疾患はどう見分ける? ポイント① 誘因 ポイント③ 身体所見と検査 HVS:明確な心理的トリガー 器質的疾患:身体的トリガー ポイント②   時間経過 HVS:急性発作型で短時間で軽快 器質的疾患:持続性または進行性 ストレス HVS:身体所見がほぼ正常、検査で呼吸性アルカローシスのみ 器質的疾患:低酸素血症や身体所見・検査異常を認める

問診による心理的誘因の確認と時間経過の重要性

#12.

ポイント① 誘因 HVS:明確な心理的トリガー 器質的疾患:身体的トリガー

#13.

問診で心理的誘因(ストレスや不安)と身体的誘因(運動負荷や体位変化)による発症・憎悪の因果関係をチェックすることが重要。 ‣「症状が出たとき何をしていましたか? ‣「発症直前にストレスを感じる出来事はあ   りましたか?」 ‣「過去に同様の発作はありましたか?」 特徴的な比喩は 身体的苦痛と心理的苦痛の両方を反映している。

#14.

ポイント②   時間経過 HVS:急性発作型で短時間で軽快 器質的疾患:持続性または進行性

過換気症候群の身体所見と検査結果の解釈

#15.

過換気症候群の症状の時間経過は まるでジェットコースター! 数分後 ケロッ

#16.

ポイント③ 身体所見と検査 HVS:身体所見がほぼ正常、検査で呼吸性アルカローシスのみ 器質的疾患:低酸素血症や身体所見・検査異常を認める

#17.

HVSは原則的に大きな 身体所見・検査異常はない! 呼吸苦がありSPO2 100%はHVSを疑う。 (健常者ではSpO₂ 98~99%程度が正常)

器質的疾患の除外と精神疾患の確認の重要性

#18.

HVSと器質的疾患による過換気の血液ガス所見の違い

#19.

器質的疾患を除外したから、もう安心だね! ゴゴゴゴゴ…

#20.

器質的疾患が除外できても、 背景に隠れた 精神疾患の確認は忘れない! HVS    

過換気症候群に潜むパニック障害の見逃し防止

#21.

ちょっと待って! この患者さんのカルテを見ると同様の発作で、過去に3回ERを受診しているよ? 予期不安も訴えてるしパニック障害の可能性が高いんじゃないかな。 若い女性の方ですが突然の息苦しさと動悸で来院。SpO₂ 100%、血ガスは呼吸性アルカローシス。 胸部X線や心電図も異常ないし器質的疾患は否定的なので過換気症候群で帰宅でいいですか? え?過換気は器質的疾患が否定できれば問題ないんじゃ…? パニック障害が背景にある場合は、放置すると高率に慢性化して広場恐怖やうつ病に進行するよ。社会的孤立やアルコール依存、自殺リスクにも繋がるんだ。 「心因性の過換気なら大丈夫」はダメ! どうすればいいですか? 過換気が落ち着いたら、もう一度丁寧に病歴を聞きなおして心療内科の受診をすすめよう。

#22.

過換気症候群の裏に潜むパニック障害を見逃さない! 1. HVSでも軽いパニック様の症状は起こるが、頻回の発作や強い恐怖感・回避行動があればパニック障害を疑う 2. 両者の診断にはまず器質的疾患を除外することが基本。特に褐色細胞腫はパニック発作と酷似するため要注意(検査:血漿メタネフリン・尿中カテコールアミンなど) 3.放置するとうつ病を高率に合併して社会生活にも悪影響あり (社会的孤立/アルコール依存/自殺リスクの増加) 放置すると うつ病に!

#23.

また発作が起きたらどうしよう…。 パニック障害に特徴的な症状「予期不安」 今度発作が起こったら、誰も助けてくれなくて死んじゃうかも。 この場所、前に発作が起きたからまた起きそうで怖い…。 予期不安とは、過去に発作を経験した人が、また同じ症状が起こるのではないかという過度な不安から実際にパニック発作を再び引き起こす状態。 やっぱり発作が起きた! 苦しい~ッ。 ハァ ハァ

過換気を引き起こす器質的疾患の鑑別診断

#24.

1.その疾患の典型的な経過を覚えておく 2.その疾患に似た重篤な疾患を除外できる 3.本当にその疾患でよいかを常に疑う

#25.

過換気を起こす器質的疾患 各病態の鑑別ポイント 🔹 低酸素血症 症状: 息苦しさ、顔色不良、胸痛、チアノーゼ、SpO₂ <95% 検査: 胸部X線/エコー → 肺炎・気胸・肺塞栓・心不全を除外 🔹 代謝性アシドーシス 症状: Kussmaul呼吸、吐き気、腹痛、糖尿病・腎不全の既往 検査:血液ガス(pH↓, HCO₃⁻↓, アニオンギャップ↑) 🔹 中枢性疾患 症状:息苦しさ+意識障害、脳神経症状、クッシング現象、髄膜刺激徴候 検査: CT/MRI、神経学的評価、腰椎穿刺(必要時) 🔹 循環不全(ショック) 症状: sBP <90mmHg、四肢冷感、意識混濁、乏尿、リベド 検査:心電図、心エコー、乳酸値、貧血の評価 🔹 薬物・毒物 症状: 大量服薬・薬物使用・CO曝露歴+錯乱、発汗、幻覚 検査: 薬物検査、COHb測定 🔹 内分泌・代謝異常 症状: 動悸、体重減少、手の震え(←甲状腺機能亢進症の症状) 検査: FT3/FT4/TSH測定

#26.

低酸素血症による過換気 ・低酸素血症→ 末梢化学受容体が刺激され換気が促進される ・急性の低酸素血症は肺塞栓・気胸・急性心不全・肺炎からまず鑑別する (まずはABG,エコー,ポータブル胸部X線などで迅速に評価) ・ABGではA-aDO₂(肺胞-動脈酸素分圧較差)で病態をさらに分類する  A-aDO₂正常or低値 → 低換気  A-aDO₂上昇 → ガス交換障害 (拡散障害や換気血流比不均等など)

診断エラーを防ぐためのアプローチと参考文献

#27.

代謝性アシドーシスの代償 ・血中H⁺↑(pH↓)を呼吸性アルカローシスで代償 → Kussmaul呼吸 ・主にDKA、AKA、乳酸アシドーシス、尿毒症の4つを鑑別する 乳酸↑

#28.

・延髄・橋の病変が呼吸中枢を直接刺激し過換気を誘発 ・意識障害、神経徴候があれば脳卒中、脳炎・髄膜炎、脳腫瘍を考慮 ・ 頭部CT/MRIや髄液検査で病因を検索する 中枢性疾患による 過換気 血圧↑ 脈拍↓

#29.

循環不全による過換気 ・ショックは急性の全身循環不全 により臓器・細胞への血流・酸素供給が不足した状態 ・血圧低下だけでなく臓器低灌流のサイン(乏尿・末梢冷感・意識障害・リベドなど)を確認 ・CVP(頸静脈で代用)と末梢皮膚温、聴診所見から4つに分類できる(左図) ▲研修医のための魔法のロジカル診断学(じほう)  よりショックのロジックツリー CVP↓なら 末梢皮膚温 CVP↑なら 聴診所見 頸静脈所見 でCVPを分類

#30.

薬物・毒物 による刺激 ・サリチル酸・アンフェタミンは中枢刺激、一酸化炭素は組織低酸素で過換気 ・服薬歴・曝露歴を詳細に聴取し、血中薬物濃度やCOHb測定で原因特定 ・サリチル酸中毒では初期に呼吸性アルカローシスが見られ、後期に代謝性アシドーシスに進行する

#31.

内分泌・代謝性 因子による過換気 ・甲状腺機能亢進、妊娠などが呼吸中枢を刺激 ・甲状腺機能亢進では代謝↑+交感神経↑、妊娠は生理的PaCO₂低値 眼球突出 甲状腺腫大 頻脈・動悸 発汗 振戦 腹痛・下痢 体重減少

#32.

1.その疾患の典型的な経過を覚えておく 2.その疾患に似た重篤な疾患を除外できる 3.本当にその疾患でよいかを常に疑う

#33.

診断エラーを防ぐためには?

#34.

簡単に読めて、網羅的な鑑別診断の考え方をマスターできる診断学の入門書です。 ロジックツリーを使用して分析的に考える 意見の共有とフィードバック 参考: 当院の診断推論カンファレンスの流れ マインドフルネス 呼吸と身体感覚に意識を集中。10分やるだけでもスッキリ。 丹田呼吸や54321法と組み合わせるのもオススメです。 診断エラーを防ぐためには?

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