#4.
ILD を⾒た時に CTD を⾒落とさないことの重要性 Ø 診断が変わる可能性がある(IIPs or CTD-ILD) 当然ですね Ø 膠原病疾患による他臓器病変を⾒落とさない Ø 治療⽅針が変わる ü IIPs の治療戦略では、NSIP パターンや OP パターンではステロイドや免疫抑制剤、IPF では抗線維化薬が主体です ü ⼀⽅で CTD-ILD では、線維化機転の上流に 炎症・免疫病態の存在 が想定されます そのため、ステロイドや免疫抑制剤などによる免疫抑制療法が主体となることが多いです Ø 指定難病、重症度分類を意識する ü ILD を合併する CTD の多くは 指定難病 です ü 医療費助成を受けるために診断基準を満たし、重症度分類に照らし合わせた評価 が重要です 特発性間質性肺炎 診断と治療の⼿引き 2022 特発性肺線維症の治療ガイドライン 2023 Raghu G,et al. AIRCCM 2015;192:e3-19
#5.
CTD-ILD 診療のフローチャートと評価⽅法 ILD を疑う兆候・ILD 発症のリスク因⼦の評価 スクリーニング 診断 ü 持続する呼吸器症状 乾性咳嗽、呼吸困難の有無 ü CTD ⾃体がリスクになる ü 持続する胸部聴診(fine crackles)、胸部 X 線、胸部 HRCT → 画像精査は 胸部 HRCT が望ましい ü HRCT、除外診断としての気管⽀肺胞洗浄 (診断がつかない場合は定期的なスクリーニングを⾏う) 重症度評価・進⾏リスク・予後予測 薬物療法の要否判断・治療薬の選択 ü 病理組織学的評価、Multidisciplinary discussion(MDD) p HRCT p 呼吸機能検査(FVC、DLco) p SpO2 p 修正 MRC 息切れ質問表スケール p KL-6 p SP-D p 動脈⾎液ガス分析 p 6分間歩⾏テスト ü 急性進⾏・増悪リスクがある場合は 1〜3 ヶ⽉ごとの画像フォロー 疾患進⾏のモニタリング・合併症の管理 ü 進⾏が認められない場合には 6〜12 ヶ⽉ごとのフォロー ü 画像とともに KL-6・SP-D 測定を考慮 ü 1 年ごとの FVC(可能なら Dlco も)測定 Kuwana M et,al.Expert Rev Respir Med.2023;17:71-80, 膠原病に伴う間質性肺炎 診断・治療指針2025より
#6.
ここは⾒ておけ︕ ⾝体所⾒のポイント 膠原病全般でみる所⾒ 間質性肺炎でみる所⾒ p 胸部関節痛や関節炎の有無 p 頸部の中斜⾓筋の肥⼤(呼吸補助筋) p ⼿指のこわばり・腫脹 p fine cracklres の聴取 p レイノー現象 p 持続する呼吸器症状 p ⽖郭⽑性⾎管異常・⽖周囲の紅斑 (乾性咳嗽、呼吸困難) 膠原病に伴う間質性肺炎 診断・治療指針2025 より
#7.
スクリーニングでみる⾃⼰抗体検査項⽬は︖ 推奨される抗体 抗核抗体(ANA) RF、ACPA 抗 SS-A/Ro 抗体 抗 ARS 抗体 MPO-ANCA、PR3-ANCA その他 SLE、混合性結合組織病(MCTD)、全⾝性硬化症(強⽪症、SSc)は陽性であることがほぼ必須 関節リウマチ(RA)の可能性 シェーグレン症候群の可能性 多発性筋炎/⽪膚筋炎(PM/DM)の可能性 ANCA 関連⾎管炎の可能性 膠原病に伴う間質性肺疾患 診断・治療指針2025. より ※抗 ARS 抗体と抗 MDA-5 抗体は抗核抗体では検出されない ※抗 ARS 抗体陽性例では ILD が筋炎に先⾏して発症する症例があるため、スクリーニングにされるべきとガイドラインでも明記されている 補⾜︓抗 MDA-5 抗体について ü 抗 MDA-5 抗体は DM 特異的⾃⼰抗体で、「DM」の確定診断の元で保険適応となります ü ガイドライン上、ルーチンで⾏われるべき検査ではないとされていますが、典型的な⽪膚や筋症状なく ILD が先⾏する症例の 報告もあり、検査のタイミングについては議論が必要であると触れられています Sakamoto N,et al. Intern Med. 2019; 58:837-41
#8.
CTD に伴う主な呼吸器病変を知っておく︕ Ø CTD では ILD だけでなく、肺胞出⾎・ ILD 気道病変(気管⽀拡張症・細気管⽀炎等) 肺⾼⾎圧・胸膜炎など多様な呼吸器疾患を 伴う可能性があることを理解し、 各疾患の頻度 を知っておく Ø 治療⽅針の決定、ILD 以外の肺病変評価、 合併症の評価などにおいて、 気管⽀肺胞洗浄や肺⽣検を検討する RA 慢性 亜急性 〜急性 ◯ △ SLE △ SSc ◎ PM/DM ◯ MCTD ◯ ⾎管炎 症候群 MPA SS ◯ ◯ 肺胞 出⾎ 気道 病変 肺⾼⾎ 圧症 ◯ △ △ 肺⾎栓 塞栓症 胸膜 炎 その他 △ ◯ リウマトイド結節 △ ◎ ◯ ◎ 膠原病に伴う間質性肺炎 診断・治療指針 2025 より ◯ ◯ 多発肺結節 (GPA) 気管⽀喘息 (EGPA) ◯ ◯ リンパ増殖性 疾患 ◎︓30%以上、◯︓10〜30%、△︓5%以下だが重要な症状 MPA︓顕微鏡的多発⾎管炎 GPA︓多発⾎管炎性⾁芽種症 EGPA︓好酸球性多発⾎管炎性⾁芽種症 膠原病に伴う間質性肺疾患 診断・治療指針2025. より作成
#9.
CTD-ILD の治療⽬標を理解する 包括的治療⽬標 Ø ※膠原病に伴う間質性肺疾患 診断・治療指針2025 作成委員会作成 引⽤ 現状の改善 Ø 症例のリスク低減 ① 症状、QOL の改善 ② 運動耐容能と⾝体活動性の向上 ① 疾患の進⾏、再燃、急性増悪の抑制 ② 併存症、合併症、治療薬副作⽤の予防 ③ ⽣命予後の改善 疾患・病態特異的な⽬標 Ø 各 CTD に特徴的な ILD パターンを理解し、疾患・病態ごとに治療⽬標を定める Ø 疾患挙動を意識し、発症様式と臨床経過が重要である 具体的⽬標/患者個⼈における治療⽬標 Ø 包括的治療⽬標と疾患・病態特異的な⽬標を達成するための具体的⽬標を設定する Ø 患者全体における総合的な障害・活動性評価を通じた治療⽬標の設定も重要
#10.
CTD-ILD の急性増悪について 病態 Ø IPF と CTD-ILD の急性増悪における異同については明らかでない Ø CTD-ILD においても、急激かつ広範囲な上⽪障害が根本的な病態と考える 診断基準 Ø 国際ワーキンググループ提唱の 急性増悪の新たな診断基準(2016年)に準じて診断 p 同時または並⾏して慢性経過の ILD を認める p 急性(1 ヶ⽉以内)に進⾏・または出現した呼吸困難 p CT で新規コンソリデーションやすりガラス影が出現 p ⼼不全や容量負荷で説明できない Collard HR,et al.Am J Respir Crit Care Med. 2016;194: 265-75
#11.
CTD-ILD の急性増悪について 治療 Ø 呼吸管理を⾏いつつ、ステロイドパルス療法、その後のステロイド投与、免疫抑制剤の併⽤などが ⼀般的に⾏われるが、⼗分なエビデンスのある治療は存在しない IPF 急性増悪との予後⽐較 Ø IPF の急性増悪と差がないという報告があり、予後は極めて不良 Suzuki A, et al.Respirology. 2020;25: 525-34 Ø Kamiya らのシステマティックレビューでは、背景の CTD にばらつきはあるが、 90 ⽇死亡率は 30〜58.3% と報告されている Kamiya H, et al.BMC Plum Med. 2021;21: 150
#12.
呼吸器内科からみた、CTD-ILD に対する抗線維化薬適応の視点 全⾝性強⽪症に伴う間質性肺炎 Ø SSc-ILD を対象にニンテタニブの有効性を検証した SENSCIS 試験で、 FVC の年間減少率を有意に抑制したことを⽰し、2019 年よりニンテタニブが承認されている Distler O, et al. N Eng J Med 2019; 380:2518-28 ニンテタニブ︓−52 ml、プラセボ︓−93 ml 進⾏性線維化を伴う間質性肺疾患(PF-ILD) Ø PF-ILD を対象にニンテタニブの有効性を検証した INBUILD 試験で、 ニンテタニブによる FVC の年間減少率の抑制効果が⽰され、2020 年よりニンテタニブが承認されている Ø この試験には CTD-ILD が 24.7% ほど含まれている Flaherty KR, et al. N Eng J Med 2019; 381:1718-27
#13.
進⾏性肺線維症(PPF)・進⾏性線維化を伴う間質性肺疾患(PF-ILD) PPF とは PF-ILD とは 過去1年間に下記のうち2つ認め、他の原因がない 過去1年間に下記の1つを認める p 呼吸器症状の悪化 p %FVC 低下 ≧ 10%(相対値) p ⽣理的な病勢の進⾏(下記のいずれか) p 5% ≦ %FVC 低下 < 10%(相対値)で a) %FVC 低下 ≧ 5%(絶対値) 下記のいずれか b) %Dlco 低下 ≧ 10%(絶対値、Hb 補正) a) 呼吸器症状の悪化 p 画像で線維化の進⾏を認める b) 画像で線維化変化の増加 p 呼吸器症状の悪化 +画像で線維化変化の悪化
#14.
進⾏性肺線維症(PPF)・進⾏性線維化を伴う間質性肺疾患(PF-ILD) Ø CTD-ILD の治療戦略は、「肺のみでなく他臓器を含めた膠原病としての治療」が重要な包括的 治療⽬標であることから、ステロイドや免疫抑制薬や分⼦標的薬が先んじて検討される場⾯が多いです Ø しかし、PF-ILD を呈する場合には、抗線維化薬の併⽤を検討するべき です → PF-ILD を呈する割合は、RA︓26%、SSc︓31%、その他膠原病︓24%ほどであるという報告があります Ø ニンテタニブは PF-ILD に対する有効性と安全性が報告され、⽇本でも承認されており、 そのため CTD-ILD においても条件を満たす場合には適応が考慮されます 補⾜︓⾔葉の定義について(PPF と PF-ILD) ü 現在、国際的には PF-ILD よりも「PPF」という⽤語・定義(ATS/ERS/JRS/ALAT)が主流となりつつあります ü ただし、ニンテタニブの現時点での保険収載疾患名は「PF-ILD」です ü なお、2025 年改訂ガイドラインでは進⾏性線維化を呈する ILD を「PPF(PF-ILD)」と総称しています
#15.
まとめ Ø ILD を疑った際に CTD を⾒落とさない ことが重要である Ø ⾝体診察では 膠原病全般でみる所⾒ 、間質性肺炎でみる所⾒ を意識する Ø スクリーニングでみる⾃⼰抗体検査項⽬を確認しておく Ø CTD-ILD の治療⽬標を理解する Ø CTD-ILD の急性増悪は、IPF 急性増悪と同様に予後不良 と報告されている Ø CTD-ILD において、抗線維化薬は「SSc-ILD」と「PF-ILD」を満たした場合に治療適応となる Ø CTD-ILD においても PPF(PF-ILD)を意識する p p p p p 抗核抗体 RF、ACPA 抗SS-A/Ro抗体 抗ARS抗体 MPO-ANCA、PR-3ANCA 2025 年度版のガイドラインからミニマムエッセンスとしてのスライドにしました 画像パターンや各論の治療薬などは割愛しています 全てを触れることはできず、また実際の症例では判断や鑑別が難しいことがたくさんあります そのため敷居を下げて呼吸器科、膠原病科、放射線科、病理科が連携し MMD ができることが望ましいです