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聖路加国際病院
和歌山県立医科大学血液内科で主催している感染症セミナーからの抜粋です。今回は「尿路感染症」について取り上げています。
免疫不全者のワクチン
#免疫不全 #ワクチン #IDSA
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血液腫瘍と感染症
#発熱性好中球減少症 #感染症 #白血病 #リンパ腫 #骨髄腫
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HIV感染症
#感染症 #HIV #AIDS #ART
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No more 耐性菌!!初期研修医が知っておきたい尿路感染症の適切なアプローチ
#無症候性細菌尿 #尿中亜硝酸陽性 #CVA叩打痛 #急性腎盂腎炎
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戦略的な抗菌薬選択に、たった1つの大切なこと〜宇宙との訣別 ZERO(原点)〜
#腸内細菌群 #病原微生物 #ブドウ糖非発酵菌群
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尿閉の診察~カテーテルの抜去を目指して~アプローチの方法
#膀胱肉柱 #前立腺肥大 #尿閉 #畜尿機能障害 #膀胱カテーテル #水腎症 #排尿機能障害
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【SSCG2021準拠】最新の敗血症診療のまとめ【2022年7月最新版】
#救急外来 #救急 #敗血症 #医学生 #研修医 #感染症科 #救急科 #敗血症性ショック #知識をつなぐ2020 #みんなの救命救急科
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初期研修医が知っておきたい入院患者が発熱した時のアプローチ
#抗菌薬選択
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ステロイド副作用管理~潰瘍/感染/骨/血圧/血糖/コレステロールのoverview
#ステロイド #糖尿病 #高血圧 #脂質異常症 #骨粗鬆症 #ニューモシスチス肺炎 #潰瘍
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【2020年最新ガイドライン参照】成人BLSの改訂点まとめ
#BLS #AED #救急外来 #研修医 #CPR #心肺蘇生教育 #心肺蘇生 #みんなの救命救急科 #死戦期呼吸 #除細動
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抗菌薬を使用する前に培養をとろう!尿培養編
#感染症 #尿路感染症 #尿沈渣 #腎盂腎炎 #尿培養 #尿定性 #前立腺炎 #膀胱炎
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歴史から学ぶ関節リウマチ診療
#関節リウマチ #間質性肺炎 #皮膚筋炎 #リウマチ膠原病
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アルコールの問題を抱える患者さんにであったら
#精神科 #コンサルテーション #アルコール依存症 #飲酒量低減治療 #SBIRT #CAGE #AUDIT-C #ブリーフ・インターベンション #陰性感情 #飲酒日記
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諦めないで、その痛み 緩和ケアに役立つ放射線治療
#緩和ケア #放射線科 #オピオイド #癌性疼痛 #骨転移 #緩和的放射線治療 #Oncologic Emergency #緩和照射 #ラジウム223
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女性の鼠径部ヘルニア、どうします?〜女性の鼠径部膨隆を見たら何を考えるか〜
#産婦人科 #消化器外科 #鼠径ヘルニア #鼠径部ヘルニア #Nuck管水腫 #鼠径部子宮内膜症
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救急外来に発熱の赤ちゃんが来られましたー どう対応しますか? ー
#予防接種後発熱 #Step-by-Step法 #うつ熱 #3か月以降の発熱
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【公式】Antaa Slideの投稿方法
#お知らせ
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和歌山医大感染症セミナー② 〜尿路感染症〜
感染症診療の原則 患者背景 感染臓器 微生物 抗菌薬選択 適切な経過観察
発熱の原因 感染症 髄膜炎/脳炎/脳膿瘍/中耳炎 副鼻腔炎/ 咽頭炎/喉頭炎/扁桃周囲膿瘍/咽後膿瘍 肺炎/気管支炎/肺結核縦隔炎 心外膜炎/心筋炎/感染性心内膜炎 胆管炎/胆嚢炎肝炎/肝膿瘍/SBP/PID CD腸炎/虫垂炎/ 憩室炎/肛門周囲膿瘍 感染性腸炎/ 非閉塞性腸管虚血(NOMI) 尿路感染症(腎盂腎炎・前立腺炎) 腸腰筋膿瘍/硬膜外膿瘍/椎体炎 手術部位感染(SSI) 蜂窩織炎/壊死性筋膜炎 /化膿性関節炎 仙骨部等褥瘡感染 カテーテル関連血流感染 シャント感染/CAPD腹膜炎 胃瘻/VPシャント/ペースメーカー/ 人工関節感染 感染症以外 脳外科術後/頭部外傷後(中枢性) 甲状腺クリーゼ 肺塞栓症 間質性肺炎/ARDS/ 無気肺 心筋梗塞 無石性胆嚢炎 急性膵炎 炎症性腸疾患 副腎不全 痛風/偽痛風/Crowned dens症候群 深部静脈血栓症 血腫吸収熱 血管炎/Still病/SLE等の膠原病 薬剤熱/Infusion reaction/ 悪性症候群/輸血 侵襲熱 腫瘍熱(固形腫瘍・血液腫瘍) 熱射病
抗菌薬の選択 経験的治療 ・重症度の軸 ・感染臓器、微生物をつめるという軸 最適治療 培養結果や臨床経過を基に De-escalationを行う 抗菌薬は 必ず2回選ぶ !
グラム染色 陽性球菌 陽性桿菌 陰性球菌 陰性桿菌 ブドウ状 連鎖状 黄色ブドウ球菌 表皮ブドウ球菌 αレンサ球菌 βレンサ球菌 肺炎球菌 腸球菌 嫌気性菌 上 下 ペプトストレプトコッカス フゾバクテリウム バクテロイデス クロストリジウム 市中 院内 腸内細菌科 大腸菌 クレブシエラ プロテウス インフルエンザ桿菌 緑膿菌 アシネトバクター シトロバクター エンテロバクター セラチア 腸内細菌科 ブドウ糖非発酵菌 淋菌 髄膜炎菌 モラキセラ
ペニシリン系 [PCG] [ABPC] [AMPC] [PIPC] [ABPC/SBT] [PIPC/TAZ]
セフェム系 [CEZ] [CTM] [CMZ] [CTRX] [CTX] [CAZ] [CFPM] GNR 第4世代 = 第1 + 第3 GPC Pseudomonasのカバーあり
キノロン系 ・緑膿菌に対する抗菌作用は最も優れる ・GPCのカバー良好 ・異型肺炎にも抗菌作用を示す ・肺炎球菌に対する抗菌活性は LVFXより優れる ・緑膿菌にはあまり効かない
呼吸器感染症 尿路感染症 中枢神経感染症 皮膚・軟部組織感染症 骨・関節の感染症 消化器感染症 循環器・血流感染症 発熱性好中球減少症 真菌感染症 HIV感染症
尿路 感染症
32歳女性 「発熱,嘔気,右腰背部痛」 特に既往のない32歳女性. 来院5日前より頻尿と残尿感を自覚していた.来院前日より嘔気および右腰背部痛を認め, 当日より悪寒戦慄を伴う39℃の発熱が出現したため, 独歩にて当院救急外来受診した.
意識清明 体温39.3℃, 血圧120/70mmHg, 脈拍108/分, 呼吸数20/分, SpO2 96%(室内気) 身体所見 右CVA叩打痛陽性, 著明な右腎把握痛あり 血液検査 WBC 11500/µl, CRP 15.6mg/dl BUN 38.2mg/dl, Cr 1.0mg/dl 尿検査: WBC(2+), Nitrite(+)
尿グラム染色
UTI起炎菌のグラム染色像
急性腎盂腎炎 発熱, 悪寒(戦慄), 側腹部痛±下部尿路症状が典型的. 悪心・嘔吐など消化器症状が強く出ることが多く,消化器疾患との鑑別を考慮する. 起炎菌は大腸菌, クレブシエラ, プロテウス属が一般的である. 男性や高齢者の腎盂腎炎は複雑性尿路感染症と考える.
N Engl J Med. 2012 Mar 15;366(11):1028-37.
治療 軽症, 外来治療 CPFX 400mg 1日2回 (内服) LVFX 500mg 1日1回 (内服) ST合剤 4錠分2 (内服) 中等症以上 CTRX 2g 24時間ごと (点滴) CTX 1-2g 8時間ごと (点滴) CFPM 1g 8時間ごと (点滴) AZT 2g 8時間ごと(点滴) AmpC産生菌 CFPM 1g 8時間ごと ESBL産生菌 MEPM 1g 8時間ごと
Lancet. 2012 Aug 4;380(9840):484-90.
76歳男性 「発熱,排尿困難」 繰り返す尿路感染症の既往のある76歳男性. 来院3日前より肛門周囲の不快感および37℃前半の発熱を認めていた. 来院前日 より排尿困難感が出現したため, 心配になり当院救急外来を受診した.
意識清明 体温38.3℃, 血圧130/80mmHg, 脈拍80/分, 呼吸数20/分, SpO2 98%(室内気) 身体所見 CVA叩打痛なし, 腎把握痛もはっきりせず 血液検査 WBC 14800/µl, CRP 18.0mg/dl, BUN 36.4mg/dl, Cr 1.12mg/dl 尿検査 WBC(+), Nitite(-) 直腸診 前立腺の著明な腫脹と圧痛あり
尿グラム染色
急性前立腺炎 男性のUTIでは腎盂腎炎なのか前立腺炎なのか膀胱炎なのか精巣上体炎なのかを区別することが大切. できる限り直腸診を行い, 圧痛を確認する. ※FNや敗血症では禁忌. ニューキノロン系やST合剤は前立腺への移行が良いが, 急性前立腺炎の初期は強い炎症で あるためβラクタム薬でも治療可能である.
48歳女性 「発熱,全身倦怠感」 2型糖尿病に対して近医通院中. 来院2日前から発熱と全身倦怠感が続き, 我慢できないほど症状が持続したため 救急要請し当院救急外来受診した.
意識レベル JCSⅠ-2 体温38.9℃, 血圧118/50mmHg, 脈拍112/分, 呼吸数30/分, SpO2 98%(室内気) 身体所見 左CVA叩打痛あり, 左腎把握痛あり 血液検査 WBC 17800/µl, CRP 5.6mg/dl BUN 29mg/dl, Cr 1.01mg/dl 動脈血液ガス pH 7.31, pCO2 28Torr, pO2 72Torr HCO3 13.5mEq/l, Lac 6.5mmol/l 尿検査 WBC(3+), Nitrite(+)
尿グラム染色
エコー検査 R L
敗血症について 敗血症の定義が2001年以来, 15年ぶりに改定. 旧定義における「重症敗血症」という用語は消失. 新定義では臓器障害を伴う病態のみを「敗血症」とした. JAMA. 2016 Feb 23;315(8):801-10.
敗血症について 循環不全の指標としてLactate値が有用。 「血圧」だけではなく血液ガス検査で Lactate値を評価することが非常に重要.
SOFAスコア 週刊医学界新聞より引用
JAMA. 2016 Feb 23;315(8):801-10.