#4.
今回伝えられないこと 慢性経過の間質性肺炎について。
頻度の低いびまん性肺疾患。
治療を開始してからの長期的なフォローアップについて。
#5.
今回参考にした書籍 その他各種ガイドライン
#6.
Contents びまん性肺疾患と間質性肺疾患の定義
どういう状況で間質性肺疾患の可能性を検討する?
患者背景別の頻度の高い急性・亜急性のびまん性肺疾患
びまん性肺疾患で行う検査
鑑別の進め方
治療
#7.
Contents びまん性肺疾患と間質性肺疾患の定義
どういう状況で間質性肺疾患の可能性を検討する?
患者背景別の頻度の高い急性・亜急性のびまん性肺疾患
びまん性肺疾患で行う検査
鑑別の進め方
治療
#8.
びまん性肺疾患って何?
#9.
びまん性肺疾患の定義 「胸部X線写真や胸部CT画像上において両側肺野に
びまん性の陰影が広がる」疾患群。 特発性間質性肺炎 診断と治療の手引き2022 J Med Case Rep. 2024 Jul 13;18(1):318 COVID-19罹患後に多発肺化膿症をきたした自験例↑
#10.
びまん性肺疾患の鑑別疾患 感染症でも心不全でも
両肺に陰影を呈すれば
びまん性肺疾患
#11.
間質性肺疾患とは 「肺の間質と呼ばれる肺胞隔壁の炎症や線維化を起こす」疾患群。 間質性肺疾患 特発性 膠原病関連 薬剤性 過敏性肺炎 etc
#12.
びまん性肺疾患と間質性肺疾患 間質性肺疾患 特発性 膠原病関連 薬剤性 過敏性肺炎 etc びまん性肺疾患 感染症 心不全 肺胞出血 肺がん
#13.
Contents びまん性肺疾患と間質性肺疾患の定義
どういう状況で間質性肺疾患の可能性を検討する?
患者背景別の頻度の高い急性・亜急性のびまん性肺疾患
びまん性肺疾患で行う検査
鑑別の進め方
治療
#14.
急性or亜急性のびまん性肺疾患でどういう状況で間質性肺疾患を検討する?
#15.
大前提びまん性肺疾患であっても感染症が最多 間質性肺疾患 特発性 膠原病関連 薬剤性 過敏性肺炎 etc びまん性肺疾患 感染症 心不全 肺胞出血 肺がん
#16.
細菌感染症と間質性肺疾患の特徴 私見
#17.
CT読影の基本
#18.
区域性と非区域性 区域性の陰影とは? 陰影が放射状に広がり葉間は超えにくい陰影。
感染症は気道から侵入し末梢
気道やKohn孔を経由して炎症
が波及するので区域性に
なりやすい。 非区域性の陰影とは 葉間を超えて横に進展していく
様な陰影。
間質性肺疾患で見られやすい。 間質性肺疾患診療マニュアル 第3版
#19.
区域性 非区域性
#20.
CT読影の基本
#21.
間質性肺疾患は肺が縮む病気(下葉優位では)X線で横隔膜が上がる 細菌性肺炎 非特異性間質性肺炎 特発性間質性肺炎 診断と治療の手引き2022
#22.
びまん性肺疾患の画像で用いられる用語で肺が収縮している事を必ずしも意味しないのは? ①スリガラス陰影
②牽引性気管支拡張
③蜂巣肺
#23.
A. ① ①スリガラス陰影
多くは急性経過を示唆し、必ずしも縮んでいない②牽引性気管支拡張
数日〜週単位以上での収縮性変化を示唆する③蜂巣肺
月〜年単位での収縮性変化を示唆する
#24.
スリガラス陰影 浸潤影との違いは、血管影が透見できるかどうか
#25.
牽引性気管支拡張 静脈瘤様に不規則な拡張を示す気管支のことを指し、周囲肺に
生じた器質化や線維化などによる容積減少によって形成される
#26.
蜂巣肺 径3~10mmの密集した嚢胞状の気腔で、通常胸膜直下に
厚さ1~3㎜の明瞭な壁が観察されるもの。
#27.
Contents びまん性肺疾患と間質性肺疾患の定義
どういう状況で間質性肺疾患の可能性を検討する?
患者背景別の頻度の高い急性・亜急性のびまん性肺疾患
びまん性肺疾患で行う検査
鑑別の進め方
治療
#28.
びまん性肺疾患における時間経過の分類 急性:1ヶ月以内
亜急性:1〜3ヶ月
慢性:3ヶ月以上
>通常の臨床医の感覚とは異なる事に注意が必要。
例)間質性肺炎の急性増悪の急性は1ヶ月以内と定義
急性経過の疾患+亜急性にも急性にもなる疾患を説明します。 特発性間質性肺炎 診断と治療の手引き2022
#29.
お断り:急性間質性肺炎(AIP)について 急性経過の特発性間質性肺炎の中に
急性間質性肺炎(acute interstitial pneumonia)があります。
ARDSと同じ病理像であり、原因不明の難治性疾患。
全てのびまん性肺疾患を除外した後で診断がつく病名で
ARDSと共にいきなり飛びつかない様に心がけましょう。
←特発性間質性肺炎 診断と治療の手引き2022 ↑UpToDate: Acute interstitial pneumonia
#30.
頻度の多い急性・亜急性のびまん性肺疾患 ①若年(40歳くらいまで)で基礎疾患なし
②中年以降・高齢者で免疫不全なし
③全ての年齢+免疫不全(主に細胞性)
に分けて考えていきます。
#31.
若年で基礎疾患なし 細菌性肺炎/ 非定型肺炎
ウイルス性肺炎(インフルエンザ・COVID-19など)
急性好酸球性肺炎
慢性好酸球性肺炎
非線維性過敏性肺炎
器質化肺炎
薬剤性肺障害
心不全
#32.
若年で基礎疾患なし 細菌性肺炎/ 非定型肺炎
ウイルス性肺炎(インフルエンザ・COVID-19など)
急性好酸球性肺炎
慢性好酸球性肺炎
非線維性過敏性肺炎
器質化肺炎
薬剤性肺障害
心不全
#33.
急性好酸球性肺炎 予後◎ 直近での喫煙開始が誘引になるが、患者は隠す事も多い。
その他の誘引は、吸入薬剤(コカイン等)や寄生虫感染等。
若年者かつ急性経過の広範な両側肺炎で想起する。
呼吸不全が重篤な事もあり、重症感染症と見誤る事もある。
採血で好酸球数は通常上がっていない。胸水を伴う事も多い。 UpToDate: Idiopathic acute eosinophilic pneumonia
#34.
若年で基礎疾患なし 細菌性肺炎/ 非定型肺炎
ウイルス性肺炎(インフルエンザ・COVID-19など)
急性好酸球性肺炎
慢性好酸球性肺炎
非線維性過敏性肺炎
器質化肺炎
薬剤性肺障害
心不全
#35.
慢性好酸球性肺炎 予後○再発多い 慢性という名前だが、週単位の発熱や呼吸器症状で来院される。
気管支喘息やアレルギー性鼻炎、アトピーの併存が多い。
採血で好酸球数は通常上昇しており、疾患の想起は簡単。
続発性など原因を考慮するのが重要。 自験例
#36.
若年で基礎疾患なし 細菌性肺炎/ 非定型肺炎
ウイルス性肺炎(インフルエンザ・COVID-19など)
急性好酸球性肺炎
慢性好酸球性肺炎
非線維性過敏性肺炎
器質化肺炎
薬剤性肺障害
心不全
#37.
非線維性過敏性肺炎の原因は「鳥」?「(主に家の)カビ」?
#38.
非線維性過敏性肺炎 予後◎ Trichospron(カビ)が原因になる夏型過敏性肺炎が70%以上。
鳥関連で起きる過敏性肺炎は、「線維性過敏性肺炎」が多い。
※鳥関連の非線維性過敏性肺炎もありますが頻度が下がる。
問診が非常に重要。冬は加湿器関連(特に超音波式)が多い。
肺炎を短期間で繰り返す場合に強く疑う。 過敏性肺炎診療指針2022
#39.
若年で基礎疾患なし 細菌性肺炎/ 非定型肺炎
ウイルス性肺炎(インフルエンザ・COVID-19など)
急性好酸球性肺炎
慢性好酸球性肺炎
非線維性過敏性肺炎
器質化肺炎
薬剤性肺障害
心不全
#40.
器質化肺炎 予後○再発多い 間質性肺疾患の中で最も高頻度で遭遇する疾患。
画像上気管支透亮像を伴う浸潤影を呈する事が多く、細菌性肺炎
として治療して改善しない時に第一に疑うべき疾患。
ステロイドは多くの場合奏功する。
二次性の評価は必須で、ステロイドが効きにくい時に特に疑う。
特発性間質性肺炎 診断と治療の手引き2022
#41.
若年で基礎疾患なし 細菌性肺炎/ 非定型肺炎
ウイルス性肺炎(インフルエンザ・COVID-19など)
急性好酸球性肺炎
慢性好酸球性肺炎
非線維性過敏性肺炎
器質化肺炎
薬剤性肺障害
心不全
#42.
薬剤性肺障害 予後は×〜◎まで どの薬でもいつでもどんな陰影でも取りえるものの、
高頻度の原因薬剤として、抗癌剤・抗リウマチ薬・生物学的製剤
漢方薬・アミオダロンからおさえる。
漢方では小柴胡湯が有名で黄芩・桂皮を含むものの報告が多い。
消炎鎮痛薬など処方頻度が高いものは因果関係が明確にならない。
サプリメントやOTCまで聴取する。
DLST(薬剤リンパ球刺激試験)は
あくまで参考所見。
薬剤性肺障害の診断・治療の手引き第3版2025
#43.
若年で基礎疾患なし 細菌性肺炎/ 非定型肺炎
ウイルス性肺炎(インフルエンザ・COVID-19など)
急性好酸球性肺炎
慢性好酸球性肺炎
非線維性過敏性肺炎
器質化肺炎
薬剤性肺障害
心不全
#44.
心不全 予後は原因による 治療、検査が大きく異なるので、鑑別疾患にいれておく事が重要。
BNP高値(>500pg/mL)でも感染症+心不全や
ベースの心不全+間質性肺疾患もあり得る事に留意する。
BNP正常でも、急性の弁膜症(原因として感染性心内膜炎含む)は
考慮。急性MRによる心不全は右肺片側の陰影の事も多い。
急性弁膜症やACSを除けば、BNP<100pg/mL
で浮腫、心疾患の既往が無ければ考えすぎない。
Cureus. 2022 Sep 12;14(9):e29078.
#45.
ここまでが基礎疾患がない若年のびまん性肺疾患の症例で鑑別すべき疾患とtipsについてでした。
#46.
中年以降で免疫不全なし 細菌性肺炎/ 非定型肺炎
ウイルス性肺炎(インフルエンザ・COVID-19など)
慢性好酸球性肺炎
非線維性過敏性肺炎
特発性器質化肺炎
薬剤性肺障害
心不全
非特異性間質性肺炎(NSIP)
特発性肺線維症の急性増悪(背景に慢性のIPがある時)
ARDS
放射線性肺炎
肺胞出血
#47.
中年以降で免疫不全なし 細菌性肺炎/ 非定型肺炎
ウイルス性肺炎(インフルエンザ・COVID-19など)
慢性好酸球性肺炎
非線維性過敏性肺炎
特発性器質化肺炎
薬剤性肺障害
心不全
非特異性間質性肺炎(NSIP)
特発性肺線維症の急性増悪(背景に慢性のIPがある時)
ARDS
放射線性肺炎
肺胞出血
#48.
非特異性間質性肺炎(NSIP) 予後○ 臨床経過は亜急性から慢性の経過なので、呼吸器の専門外来に
受診する事が多い。
COVID-19の陰影も同様の陰影を取るので注意。
器質化肺炎と同様に二次性の評価が必要(特に膠原病)。 特発性間質性肺炎 診断と治療の手引き2022 間質性肺疾患診療マニュアル 第3版
#49.
中年以降で免疫不全なし 細菌性肺炎/ 非定型肺炎
ウイルス性肺炎(インフルエンザ・COVID-19など)
慢性好酸球性肺炎
非線維性過敏性肺炎
特発性器質化肺炎
薬剤性肺障害
心不全
非特異性間質性肺炎(NSIP)
特発性肺線維症の急性増悪(背景に慢性のIPがある時)
ARDS
放射線性肺炎
肺胞出血
#50.
特発性肺線維症の急性増悪 予後× 蜂巣肺を含めた慢性経過のIPが背景にある事が必須。
慢性IP+両側スリガラスで免疫不全/心不全ない時に強く疑う。
感染症も初診時点では除外できないので、ステロイドパルス
に併用する形で抗菌薬も投与を併用する事が多い。 特発性間質性肺炎診断と治療の手引き 2022
#51.
特発性肺線維症の急性増悪による呼吸不全に対して人工呼吸を行った場合の死亡率は?
#52.
特発性肺線維症の急性増悪と人工呼吸 急性増悪に対して人工呼吸管理を行った場合の死亡率は80-90%
と報告されている。
進行したIPFでは、人工呼吸は救命につながらない可能性が高く、
ガイドラインでも限られた症例で検討されるとの位置付け。
私の説明:人工呼吸を使う様な場合、そこから救命できる事は
ほどんど無い事が知られています。人工呼吸は体に大変負担が
かかるものですので、救命が難しければ苦痛の緩和に徹しましょう。 Respir Med. 2008 Oct;102(10):1355-9. Am J Respir Crit Care Med. 2011 Mar 15;183(6):788-824.
#53.
中年以降で免疫不全なし 細菌性肺炎/ 非定型肺炎
ウイルス性肺炎(インフルエンザ・COVID-19など)
慢性好酸球性肺炎
非線維性過敏性肺炎
特発性器質化肺炎
薬剤性肺障害
心不全
非特異性間質性肺炎(NSIP)
特発性肺線維症の急性増悪(背景に慢性のIPがある時)
ARDS
放射線性肺炎
肺胞出血
#54.
ARDS 予後× 肺炎や敗血症、急性膵炎など急性期疾患罹患中に呼吸不全と
びまん性陰影を認める時に疑う。
呼吸不全を伴う多くのびまん性肺疾患で下記定義を満たすため
AIPと同様、診断に飛びつかず他疾患を適切に鑑別する事が重要。 日本内科学会雑誌. 2021; 110(9): 1947 JAMA. 2012; 307(23): 2526-33.
#55.
中年以降で免疫不全なし 細菌性肺炎/ 非定型肺炎
ウイルス性肺炎(インフルエンザ・COVID-19など)
慢性好酸球性肺炎
非線維性過敏性肺炎
特発性器質化肺炎
薬剤性肺障害
心不全
非特異性間質性肺炎(NSIP)
特発性肺線維症の急性増悪(背景に慢性のIPがある時)
ARDS
放射線性肺炎
肺胞出血
#56.
放射線性肺炎 予後○ 放射線照射後1-3ヶ月以内が多いが半年程経過してからもある。
照射部位に一致した陰影が特徴的だが、照射野外にも出得る。
ステロイドが奏功するので、外来で管理している事も多い。 UpToDate: Radiation-induced lung injury
#57.
中年以降で免疫不全なし 細菌性肺炎/ 非定型肺炎
ウイルス性肺炎(インフルエンザ・COVID-19など)
慢性好酸球性肺炎
非線維性過敏性肺炎
特発性器質化肺炎
薬剤性肺障害
心不全
非特異性間質性肺炎(NSIP)
特発性肺線維症の急性増悪(背景に慢性のIPがある時)
ARDS
放射線性肺炎
肺胞出血
#58.
肺胞出血 予後△〜× 喀血が主訴で来院し、両肺にびまん性陰影がある時に疑う。
ANCA関連血管炎など免疫学的異常による肺胞出血は
大量喀血により窒息をきたすリスクがあり、緊急性高い。
心不全や感染症、薬剤性など非免疫学的な原因の方が頻度は高い。
腎障害(尿検査異常含む)や紫斑、末梢神経障害など随伴症状を
伴えば夜間でもコンサルト必要。 Intern Med. 2025 Mar 8. doi: 10.2169/internalmedicine. 4960-24. Online ahead of print.
#59.
頻度の多い急性・亜急性のびまん性肺疾患 ①若年(40歳くらいまで)で免疫不全なし
②中年以降・高齢者で免疫不全なし
③全ての年齢+免疫不全(主に細胞性)
に分けて考えていきます。
#60.
全ての年齢+免疫不全(主に細胞性) 誰でもかかりうる感染症
:定型/非定型肺炎、COVID-19、インフルエンザ
日和見感染
:CMVやニューモシスチス肺炎、抗酸菌感、放線菌、
アスペルギルスなど。
治療関連の有害事象:薬剤性肺炎、放射線肺炎、心不全
背景が腫瘍の場合には、腫瘍の浸潤(癌性リンパ管症含む)
背景が膠原病の場合には、膠原病関連の間質性肺炎
#61.
免疫不全がある時の診療の難しさ① 誰でもかかりうる感染症
:定型/非定型肺炎、COVID-19、インフルエンザ
日和見感染
:CMVやニューモシスチス肺炎、抗酸菌感、放線菌、
アスペルギルスなど。
治療関連の有害事象:薬剤性肺炎、放射線肺炎、心不全
背景が腫瘍の場合には、腫瘍の浸潤(癌性リンパ管症含む)
背景が膠原病の場合には、膠原病関連の間質性肺炎 利尿薬・抗菌薬・
ステロイドを使用しても
改善しない疾患が多い!
#62.
免疫不全がある時の診療の難しさ② 薬剤性肺炎リスクの高い薬剤の使用歴など特徴的な経過が
なければ問診・診察・通常の検査で診断つかないことが多い。
→気管支鏡での評価が重要。
ベースの状態が悪い場合やDNIの方針になっている事も多く
気管支鏡の閾値が高めに設定されがち。
#63.
Contents びまん性肺疾患と間質性肺疾患の定義
どういう状況で間質性肺疾患の可能性を検討する?
患者背景別の頻度の高い急性・亜急性のびまん性肺疾患
びまん性肺疾患で行う検査
鑑別の進め方
治療
#64.
尿検査とCT 尿検査は、血管炎や膠原病による間質性肺炎等の糸口になるので、
原因がすぐに分からないびまん性肺疾患で提出する。
血尿/蛋白尿陽性でも、感染症で一時的に蛋白尿が出ている事
の方が多いので引っ張られすぎない。
通常のCTは5mmの厚みだが、1mm以下の薄切り(HRCT)が
本格的に読影する場合には必要。 特発性間質性肺炎診断と治療の手引き 2022
#65.
KL-6やSP-D、SP-Aって? 全て日本で開発された間質性肺炎のマーカー。
KL-6は広島大学、 SP-D、SP-Aは札幌医科大学。
→海外では標準的には用いられていない。
慢性経過のIPで急性増悪しているかどうかの評価には役立つ。
数値の上昇まで日数を要する。
器質化肺炎や好酸球性肺炎等上昇しにくい間質性肺疾患もある。
KL-6の著明高値を認めた際には過敏性肺炎と肺胞蛋白症を想起。
#66.
気管支鏡検査のイメージ図 正常肺に多く存在するのはマクロファージ。
細菌性肺炎にかかると好中球が、
好酸球性肺炎にかかると好酸球が、
肺に浸潤する。
どんな細胞や細菌が肺に出現?:BAL(気管支肺胞洗浄)
組織学的な評価:TBLB(経気管肺生検法)
BAL→TBLBの順に実施する。
#67.
気管支鏡検査の意義と限界 急性のびまん性肺疾患においては、感染症の除外が最も重要。
確定診断が得られる可能性は、器質化肺炎や急性/慢性
好酸球性肺炎以外はそれ程高くはない。
優先度的には、BAL>>TBLB。
BALはどんなに上手くできなくても細菌学的評価は可能だが、
TBLBは何も情報が得られない可能性がある。
#68.
気管支鏡検査の合併症 気胸
出血
感染
麻酔関連の合併症
呼吸状態悪化のリスクを孕むため、呼吸状態不良の患者さんでは
気管挿管を要する可能性も含めて説明する必要がある。
#69.
気管支鏡のタイミング 例外や施設の違いもある ①通常の細菌性肺炎ではなさそうであるが、酸素0-3L/分と余裕は少しある。
→抗菌薬を使用して3-4日経過を見て改善無ければ実施。/膠原病関連など
特定の非感染症がかなり疑わしい場合などは早期に実施する事も。
②通常の細菌性肺炎ではなさそうで、マスク以上の酸素投与が必要
→気管挿管まで希望するなら、気管挿管した上で早めに実施。
(希望しないなら喀痰と血清学的検査を出した上で治療を開始)
③血痰/喀血があり、臨床的に血管炎による肺胞出血が疑われる
→急激に状態が悪化する事もあるので呼吸状態によらず早期の実施も検討。
#70.
どの位呼吸状態が悪いと気管支鏡は厳しい? 施設による。
BAL:人工呼吸を回避したい症例では経鼻カヌラ3-4L/分まで位。
リザーバーマスクでの酸素投与を要する症例に関しては、
BAL後の呼吸状態悪化で気管挿管のリスクが極めて高い。
TBLB:気胸のリスクがあるので、経鼻カヌラ1-2L/分でも
BAL後のバイタル次第では控える事もあり。
#71.
Contents びまん性肺疾患と間質性肺疾患の定義
どういう状況で間質性肺疾患の可能性を検討する?
患者背景別の頻度の高い急性・亜急性のびまん性肺疾患
びまん性肺疾患で行う検査
鑑別の進め方
治療
#72.
びまん性肺疾患のざっくりした鑑別の進め方 びまん性肺疾患と判定 検査で比較的簡便に
rule in/ outできる疾患を評価 特定の疾患を示唆する問診・身体診察・検査(CT)を探す 外注の膠原病マーカーや培養
出しつつ初期治療±気管支鏡 該当疾患疑いとしての
精査を追加 No Yes Yes 該当疾患疑いとしての
精査を追加 No 浸潤影/粒状影で区域性もあり
細菌/誤嚥性肺炎でも良さそう Yes 培養出して抗生剤開始 No
#73.
びまん性肺疾患のざっくりした鑑別の進め方 びまん性肺疾患と判定 検査で比較的簡便に
rule in/ outできる疾患を評価 特定の疾患を示唆する問診・身体診察・検査(CT)を探す 外注の膠原病マーカーや培養
出しつつ初期治療±気管支鏡 該当疾患疑いとしての
精査を追加 No Yes Yes 該当疾患疑いとしての
精査を追加 No 浸潤影/粒状影で区域性もあり
細菌/誤嚥性肺炎でも良さそう Yes 培養出して抗生剤開始 No
#74.
比較的簡便にrule in/outできるびまん性肺疾患 ウイルス性肺炎(インフルエンザ・COVID-19など)
→PCR検査陽性なら確定
慢性好酸球性肺炎
→好酸球>1000/μLなら、ほぼ慢性好酸球性肺炎
心不全
浮腫や体重増加などありBNP>500pg/ml→心不全っぽいが
間質性肺疾患+心不全や感染契機の心不全の可能性には注意
#75.
症例1:50歳代男性 主訴:発熱 <現病歴>高血圧と糖尿病の既往がある患者さん。
3日前に発熱があり、SARS-CoV-2 PCRが陽性であった。
パルスオキシメーターでSpO2 90%(RA)と低下したため救急搬送。
自験例
#76.
症例2:20歳代女性 発熱・咳嗽 <現病歴>
1年前から間欠的な咳嗽があり。1週間ほど前から発熱と喀痰も
増加して近医を受診した。両肺に浸潤影を認め精査目的に紹介。
<既往歴>花粉症、アレルギー性鼻炎
<内服薬>常用薬なし
<生活歴>喫煙 なし
<現症>
SpO2 97%(RA)、HR 80/分、BP 112/68mmHg、体温 36.4℃
#77.
<初診時の検査>
#78.
胸部X線 胸部CT 自験例
#79.
本症例での精査の方針 好酸球増多の原因は? アレルギー疾患の既往の確認
薬剤の使用歴
海外渡航歴
EGPA:他の臓器障害, ANCA
ABPM:高輝度の粘液栓
(HAM)あると疑う。 他の臓器に臓器障害起きていない? 末梢神経障害
心筋障害
消化器症状
など
上記を評価しつつ、慢性好酸球性肺炎
確定診断のための気管支鏡検査を検討
#80.
びまん性肺疾患のざっくりした鑑別の進め方 びまん性肺疾患と判定 検査で比較的簡便に
rule in/ outできる疾患を評価 特定の疾患を示唆する問診・身体診察・検査(CT)を探す 外注の膠原病マーカーや培養
出しつつ初期治療±気管支鏡 該当疾患疑いとしての
精査を追加 No Yes Yes 該当疾患疑いとしての
精査を追加 No 浸潤影/粒状影で区域性もあり
細菌/誤嚥性肺炎でも良さそう Yes 培養出して抗生剤開始 No
#81.
大前提びまん性肺疾患であっても感染症が最多 間質性肺疾患 特発性 膠原病関連 薬剤性 過敏性肺炎 etc びまん性肺疾患 感染症 心不全 肺胞出血 肺がん
#82.
びまん性肺疾患のざっくりした鑑別の進め方 びまん性肺疾患と判定 検査で比較的簡便に
rule in/ outできる疾患を評価 特定の疾患を示唆する問診・身体診察・検査(CT)を探す 外注の膠原病マーカーや培養
出しつつ初期治療±気管支鏡 該当疾患疑いとしての
精査を追加 No Yes Yes 該当疾患疑いとしての
精査を追加 No 浸潤影/粒状影で区域性もあり
細菌/誤嚥性肺炎でも良さそう Yes 培養出して抗生剤開始 No
#83.
特定の疾患を示唆する所見 臨床経過:薬剤変更→薬剤性肺炎、放射線治療→放射線肺炎
最近の喫煙→急性好酸球性肺炎、吸入歴/カビの暴露→過敏性肺炎
特徴的な身体所見(主に膠原病):
関節炎→RA、機械工の手/Gottron/ヘリオトロープ疹等→PM/DM
紫斑や末梢神経障害→肺胞出血 など
特徴的な画像所見:放射線肺炎は照射部位に一致
慢性IP+両側スリガラスで急性増悪疑う(感染・心不全除外の上)
#84.
症例3:80歳代女性 SpO2低下 <現病歴>認知症で施設入所中の患者さん。症状は全くないが
2日前からSpO2<90%(室内気)で改善せず。誤嚥性肺炎疑いで紹介。
<既往歴>アルツハイマー型認知症、高血圧、便秘
<内服薬>デュロキセチン、ドネペジル、アムロジピン、抑肝散
<生活歴>喫煙歴はなし
<現症>
SpO2 83%(RA)、HR 83/分、BP 137/78mmHg、体温 36.4℃
#85.
<初診時の検査>
#86.
胸部X線 自験例
#87.
胸部CT 両側・非区域性の
スリガラス陰影で
背景に蜂巣肺なし。 自験例
#88.
特定の疾患を示唆する所見 臨床経過:
2週間前に認知症の周辺症状悪化に対して抑肝散を開始。
放射線治療はなし。施設入所中なので喫煙も吸入もしない。
特徴的な身体所見(膠原病):
関節炎なし。機械工の手/Gottron等なし。紫斑や末梢神経障害なし。
特徴的な画像所見:特定の疾患は示唆されないが、
非線維性過敏性肺炎/薬剤性肺炎?。 診断:薬剤性肺炎疑い
気管支鏡検査後にステロイド治療を開始。
#89.
びまん性肺疾患のざっくりした鑑別の進め方 びまん性肺疾患と判定 検査で比較的簡便に
rule in/ outできる疾患を評価 特定の疾患を示唆する問診・身体診察・検査(CT)を探す 外注の膠原病マーカーや培養
出しつつ初期治療±気管支鏡 該当疾患疑いとしての
精査を追加 No Yes Yes 該当疾患疑いとしての
精査を追加 No 患者背景と画像パターンから
誤嚥性肺炎でも良さそう Yes 培養出して抗生剤開始 No
#90.
免疫不全なしのびまん肺で提出する項目
#91.
免疫不全のあるびまん肺で提出する項目
#92.
Contents びまん性肺疾患と間質性肺疾患の定義
どういう状況で間質性肺疾患の可能性を検討する?
患者背景別の頻度の高い急性・亜急性のびまん性肺疾患
びまん性肺疾患で行う検査
鑑別の進め方
治療
#93.
びまん性肺疾患の治療で知っておいてほしいこと 夜間帯は心不全でない事を評価した上で抗菌薬を入れておいて
くれれば十分。(抗生剤の選択は次のスライド)
原因疾患によってステロイドの量や期間は様々。
急性過敏性肺炎ならステロイドも不要なこともある。
基本的には、気管支鏡検査してからステロイドは入れたい。
MDA5陽性の間質性肺炎や肺胞出血など緊急性のある疾患を疑う
場合には、可能なら呼吸器内科に相談して治療を開始する。
#94.
びまん性肺疾患における抗菌薬選択 患者背景と原因菌を考慮して抗菌薬を選択するのが基本。
例えばCTRX単独で開始で改善しなかった時、
①非定型菌をカバーしていないから抗菌薬が効いていないか
②間質性肺炎など抗菌薬が不応の病態
が分からないので、非感染症を考慮する場合は最初から
非定型菌のカバーをお勧め。
例)CTRX+AZMやLVFX(結核否定的な時)等
#95.
どういう時に免疫抑制剤を併用する?
#96.
びまん性肺疾患に対するステロイドの効果判定 非線維性過敏性肺炎等ステロイドが効果的な疾患は翌日から
通常効き始める。
間質性肺炎の急性増悪や急性間質性肺炎等はステロイドが効く
までに時間を要し、長い時には経験的に1週間余り要する事も。
>細菌性肺炎と異なり、3-4日呼吸状態が改善しなくても諦めない。
患者さんにもその旨の共有が必要。
#97.
時間次第で最後にまとめ的な症例を検討
#98.
症例4:80歳代男性 発熱・咳嗽 <現病歴>来院4日前から発熱と咳嗽があり、近医を受診して
肺炎と診断された。CTRX・CAMで外来治療を行っていたが
呼吸状態が悪化したため救急搬送された。
<既往歴>高血圧、高尿酸血症、前立腺肥大症
<内服薬>アロプリノール、カンデサルタン、プラバスタチン
<生活歴>喫煙 past
<現症>
SpO2 91%(6L/分マスク)、HR 90/分、BP 137/73mmHg
体温 38.1℃
#99.
胸部X線 自験例
#100.
<初診時の検査> 12誘導心電図:正常範囲内
#101.
胸部CT 両側・非区域性の
スリガラス陰影で
背景に蜂巣肺なし。 自験例
#102.
Q. どんな問診や検査を追加する? 問診で聞いておきたい事項
身体診察で確認しておきたい事項
追加したい採血項目
気管支鏡検査は実施できそう?
いつからどんな治療をする?
#103.
特定の疾患を示唆する所見 臨床経過:薬剤変更→薬剤性肺炎、放射線治療→放射線肺炎
最近の喫煙→急性好酸球性肺炎、吸入歴/カビの暴露→過敏性肺炎
特徴的な身体所見(膠原病):
関節炎→RA、機械工の手/Gottron/ヘリオトロープ疹等→PM/DM
紫斑や末梢神経障害→肺胞出血 など
特徴的な画像所見:放射線肺炎は照射部位に一致
慢性IP+両側スリガラスで急性増悪疑う(感染・心不全除外の上)
#104.
症例4:80歳代男性 発熱・咳嗽 呼吸困難のため詳しい病歴は取れず。
<既往歴>高血圧、高尿酸血症、前立腺肥大症
既知の肺疾患や癌の指摘はなし。胸部X線で異常を指摘された事もない。
<内服薬>アロプリノール、カンデサルタン、プラバスタチン
漢方薬やサプリメントはなし
<家族歴>膠原病の家族歴なし
<生活歴>喫煙 past 電子タバコもしない
自宅の環境:築30年前後の一軒家。風通しは良くカビは見える範囲にない。
仕事は元学校教員で現在は退職。粉塵やガスを吸う趣味はない。
#105.
症例4:80歳代男性 発熱・咳嗽 <現症>
SpO2 91%(6L/分マスク)、HR 90/分、BP 137/73mmHg、体温 38.1℃
全身状態は呼吸状態に比して良い
頭頚部 眼球結膜黄染(-)、眼瞼結膜貧血(-)、リンパ節腫大(-)
胸部 心音S1→S2→S3(-)S4(-)、両側吸気でfine cracklesを聴取
腹部 平坦軟、圧痛(-)
四肢 下腿浮腫(-)、関節痛(-)、筋肉痛(-)、筋力低下(-)
皮膚 皮疹(-)、機械工の手(-)、Gottron (-)、Raynaud (-)
#106.
気管支鏡検査 呼吸状態不良につき、施行せず。
※BAL(気管支肺胞洗浄)もTBLB(経気管支肺生検)も
呼吸状態悪化のリスクを伴う。挿管を避けたい様な症例では
実施できない事も多い。
#107.
患者さんを診療した時の私の脳内 感染症:ウイルス性肺炎はありえる。非定型肺炎もありえる。
通常の細菌性肺炎は無さそう。日和見感染も普通は考えない。
非感染症:問診や診察、検査からこれという病名が付けられない。
急性間質性肺炎(AIP)というゴミ箱診断するしかない??
DNIの方針になったから気管支鏡は呼吸状態的にできないし、
抗菌薬の反応を見る余裕もないから、
ステロイドパルスと広域抗菌薬で治療開始
#108.
<後から結果の出た検査>
#109.
その後の経過 HFNCで呼吸サポートしつつ抗菌薬(CTRX+LVFX)と
ステロイドパルス>維持療法を実施。
呼吸状態は徐々に改善。転院後に自宅退院し、ステロイドは
漸減して中止。
半年程問題なく推移していたが、去年と同じ時期に発熱と
呼吸不全を契機にびまん性陰影を指摘され再度入院。
>呼吸状態が良かったので無治療で経過を見たが、改善し
「加湿器肺(過敏性肺炎の1種)」が疑われた。
#110.
目標は達成されましたでしょうか? 両側肺炎を見た時に細菌性以外を疑う臨床状況について知る。
患者背景別に考えた、頻度の高いびまん性肺疾患を覚える。
気管支鏡検査やKL-6等の検査の意義と限界について知る。
実際の症例が来た時に対応する流れを理解する。
両側肺炎が来てもビビらずに診療できる