#4.
目次 ① Refeeding症候群について ② リスクのある患者を見つける ③ 注意すべき要素 水、カロリー、電解質、ビタミン、その他 ④ 具体的な戦略
#5.
① Refeeding症候群について • 低栄養状態にある患者への不適切な栄養投与で起きる病態 急激な循環 血漿量の増大 末梢の浮腫 臓器障害 電解質の急落 Rio, et al. BMJ Open 2013 PMID 23315514 K、Mg、P
#6.
② リスクのある患者を見つける BMI 体重減少(3-6ヶ月) 絶食 A <14 kg/m2 >20 % >15 日 B <16 kg/m2 >15 % >10 日 C <18.5 kg/m2 >10 % >5 日 ・Aのいずれかがあれば Very High Risk ・B1つ以上またはC2つ以上で High Risk ・C1つで Low Risk その他 治療前の 低 K/P/Mg 酒、特定の薬物※ ※ インスリン、化学療法、 制酸薬、利尿薬 ※ NICEの基準にvery high riskを追加したもの Natalie, et al. Nutrition 2018, PMID 29429529
#7.
③ 注意すべき要素 水分、Na 栄養再開による水分・Na貯留傾向により、浮腫・心不全・臓器 うっ血などをもたらす カロリー 飢餓状態における特殊な代謝から、栄養再開による通常の代謝への 変化により、急激に電解質やビタミンなどが消費され、不整脈や 臓器障害などをもたらす 電解質 ビタミン その他 特にK、P、Mgが、栄養再開後の代謝による消費や細胞内移行 (インスリン分泌)により急速に枯渇し、これらの電解質不足による 合併症をもたらす 栄養再開後の代謝時に、特にビタミンB1が消費される 銅、亜鉛、セレンなどの補充。鉄の補充時期に注意
#8.
④ 具体的な戦略 水分、Na in-outに注意しながら、水/Naを制限する カロリー リスクに応じて少量から漸増していく 電解質 ビタミン その他 「下がってから補充」では遅く、検査値をみながら 積極的に補充していく 十分に補充する(特にビタミンB1) 十分に補充するが、鉄は1週間ほどは補充しない 出来るだけ腸管を使っていく
#9.
再栄養1~3日目 ※ 少し古いですが、ESPENの2011年の Blue bookをベースに解説しています (Basics in clinical nutrition, 4th ed.) 水分、Na 水は20–30 mL/kg/日に制限する(過剰とならないように) Naは 1 mEq/kg/日に制限する(浮腫が出るなら更に制限) カロリー 10 kcal/kg/日から開始し、ゆっくり15 kcal/kg/日まで増量 ※ very high riskなら5 kcal/kg/日からでも 電解質 K、P、Mgは開始前の値が高値でなければ補充開始する ビタミン Vit.B1 200–300 mg/日、その他ビタミン1日推奨量の2倍 その他 K:1.0–2.2 mmol/kg/日、P:0.5–0.8 mmol/kg/日、Mg:0.3–0.4 mmol/kg/日 その他微量元素などを、1日推奨量(鉄補充は待つ) ※ カロリーは、可能なら炭水化物50–60%、脂質30–40%、蛋白質15–20%
#10.
再栄養4~6日目 水分、Na 水は25–30 mL/kg/日に制限する ※尿量をみながら、水分バランスが維持されるように カロリー 15–20 kcal/kg/日と、ゆっくり増量していく 電解質 ビタミン その他 検査値が正常範囲に入るよう補充を継続する ビタミン類を、1日推奨量の2倍 その他微量元素などを、1日推奨量(鉄補充はまだ待つ)
#11.
再栄養7~10日目 水分、Na 水は30 mL/kg/日に制限する カロリー 20–30 kcal/kg/日と、ゆっくり増量していく 電解質 ビタミン その他 検査値が正常範囲に入るよう補充を継続する ビタミン類を、1日推奨量の2倍 その他微量元素などを、1日推奨量 必要に応じて鉄補充を開始する
#12.
以下のスライドの注意 • ここから、実際の栄養療法の具体例を提示します。 • あくまで筆者の”Opinion”で、正解というわけではありません。 • 実際には患者の個別性が高いのでそのまま流用したりせず、 あくまで「参考」に留めてください。 • 実際には血液検査の結果や尿量などを見ながら、調整する ことが必要です。
#13.
※ 添付文書上、適応外となる 可能性があるものも含みます 具体例(参考) 例:体重30kg、Refeeding症候群のHigh risk患者、飲酒なし 初療時のK 少し低め、P/Mg正常範囲、内服・食事困難 1~3日目 4~6日目 7~10日目 ① [アミノ酸配合点滴 210kcal/500mL] ① [アミノ酸配合点滴 210kcal/500mL] ① [アミノ酸配合点滴 210kcal/500mL] + [K 10mEq] ±[硫酸Mg 20mEq] + [K 10mEq] ± [硫酸Mg 20mEq] + [K 10mEq] ± [硫酸Mg 20mEq] + [ビタメジン 3V] + [ビタメジン 2V] + [ビタメジン 2V] ± [高カロリー輸液用微量元素製剤] ± [高カロリー輸液用微量元素製剤] ± [高カロリー輸液用微量元素製剤] ② [3号液 100kcal/500mL] + [K 10mEq] + [リン酸Na 10mmol] ② [3号液 100kcal/500mL] + [K 10mEq] + [リン酸Na 10mmol] ③ [脂肪製剤(20%) 200kcal/100mL] 毎日採血、心電図モニタ PとMgの補充は連日だと上がり過ぎる ことも多く、検査値を見ながら調整を 2~3日ごと採血 ② [アミノ酸配合点滴 210kcal/500mL] + [K 10mEq] ③ [脂肪製剤(20%) 200kcal/100mL] 週1回以上採血 まだ腸管が使えないならTPNも…
#14.
※ 添付文書上、適応外となる 可能性があるものも含みます 具体例(参考) 例:体重30kg、Refeeding症候群のHigh risk患者、飲酒なし 初療時のK 少し低め、P/Mg正常範囲、内服・食事困難 1~3日目 4~5日目 6~7日目 ① [アミノ酸配合点滴 210kcal/500mL] ① [3号液 100kcal/500mL] ① [3号液 100kcal/500mL] ± [硫酸Mg 20mEq] ± + [ビタメジン 3V] ± [高カロリー輸液用微量元素製剤] + ② [ GFO 30kcal/1包+水100mL]×3 + ホスリボン3–9包 [硫酸Mg 20mEq] [ビタメジン 2V] ② エレンタール [40g + 水200mL]×2 + 塩化カリウム 3-9g (適宜調整) Pが急速に下がることが多く、この場合点滴で 補充を(混注する点滴は3号液などへ変更を) ± + [硫酸Mg 20mEq] [ビタメジン 2V] ② エレンタール [80g + 水250mL]×2 8~10日目 エレンタール [80g + 水250mL]×3 + 水 50~100 mL ×3 + ビタミン剤内服 通常の経腸栄養剤へ ± パンビタン1-2g Mg補充は連日でなくて良く、 検査値を見ながら追加する (正常下限以下で投与、など)
#15.
※ 添付文書上、適応外となる 可能性があるものも含みます 具体例(参考) 例:体重40kg、Refeeding症候群のHigh risk患者、飲酒問題あり 初療時のK/P/Mg低値、内服・食事可能 1~3日目 ① [3号液 100kcal/500mL] 4~5日目 6~7日目 ① [3号液 100kcal/500mL] ① [3号液 100kcal/500mL] ± [硫酸Mg 20–40mEq] ± + [ビタメジン 3–6V] + ± [高カロリー輸液用微量元素製剤] ② 牛乳 250kcal/2本/400mL [硫酸Mg 20mEq] ± [ビタメジン 3V] ② 食事 500kcal 程度 + 牛乳 130kcal/本/200mL + [硫酸Mg 20mEq] [ビタメジン 3V] ② 食事 900kcal 程度 + 牛乳 130kcal/本/200mL 8~10日目 ② 食事 1200kcal 程度 + 牛乳 130kcal/本/200mL + ビタミン剤内服 急変に備え、 ルートを残したい + ホスリボン、塩化カリウム(適宜調整) ± パンビタン1-2g + ベンゾジアゼピン系薬剤 牛乳100mLにホスリボン1包分弱のP含有。 その他ビタミン・微量元素も豊富。 飢餓にはミルク! ( スジャーター) ※アルコール絡みの患者さんなどでは 食事をしっかり食べられることが多く、 制限するのに労力が必要なことも
#16.
Tips Mg P ・Mgの点滴補充は2~4日に1回程度で良いことが多い ・アルコール依存がある場合、Mgの低下が顕著でなかなか上がらず、 多め、長期間、頻繁な補充が必要になることも少なくない ・治療開始1-2日目で急激に低下することが多く、初回が正常範囲内でも補充する ・Pの点滴補充は連日必要になることはあまり多くないが、 頻繁に行う場合は、低Caに注意が必要 →Pの補充は(内服してくれるなら)内服をベースにして、 下がり過ぎるなら点滴で足す、という方が安全 ・Pの点滴補充は時間をかけて投与。配合変化も多い(CaやMg)! ・ホスリボンは10包/日以上使うこともあるが、Na負荷に注意(4mEq/包) ・ビタミンB1点滴は、アリナミンFの場合、浸透圧に注意が必要 ・経鼻栄養チューブを使えると、全体的に調整しやすい その他 ・急速な電解質の変化時はカロリー量を落とす、増量を止めるなどが必要 ・BUNが高くても、循環が保たれていれば補液負荷を我慢する