#4.
復習:偽物の高K血症(Pseudohyperkalemia) ✔ Serum K>Plasma (>0.4が定義、通常は0.2程度) 通常こんなことは気にされていないはず ✔ 白血球(>7万)、血小板(>50万) こんなのは高K血症の前に気づくはず(Am J Kidney Dis. 2019 Nov;74(5):682-695) ✔ 採血の「にぎにぎ」でも+0.5-1.5mEq/L N Engl J Med. 1990 May 3;322(18):1290-2 ✔ 家族性偽性高K血症(Familial Pseudohyperkalemia) 逆に低K血症はホンモノが多い 4
#5.
身体の中のカリウムの分布 ⮚ 体重あたり 50〜60 mEq(50〜60 mEq/kg) 60 kg の人: 3,000〜3,600 mEq 筋肉:2,500 mEq 赤血球 骨 (筋肉のプールが大きい) 250 mEq 300 mEq 細胞 細胞 外液 内液 60mEq 15mEq ここが不足しないと低K血症にならない 細胞外液(12L)、K=4.5mEq/Lとする
#6.
低K血症になるための条件 ➢ 持続的にK排泄>K摂取(圧倒的に多い) 基本的Kフリーの尿を出すことはできない(Naフリーもできない) 印象としては3週間以上極端な事をしないと中々低K血症まではならない(体格小さい人だと体内のKが減りやすく、低K血 症なりやすいが、早く良くなり易い印象はある) ➢ 細胞外→細胞内 周期性四肢麻痺がこれ、ただし基本レア疾患
#7.
持続的にK排泄>K摂取→低K血症 ➢ 嘔吐下痢 →そんなに急性期では起こらないが、、、 ➢ アルドステロン過剰 →例えば甘草のグリチルリチン酸、コルチゾール過剰でも鉱質コルチコイド作用でも起こる(副腎皮質過形成など、でもレア) ➢ 利尿薬 →ループ利尿薬、サイアザイド系利尿薬(低Na血症)を伴う ➢ 摂食不良 → アルコール中毒、神経性やせ症 ➢ 腎臓からのカリウム喪失 → Type1 RTA(シェーグレン症候群)、Barter、Gitleman まずは、常識的な問診が必要。そのあとに尿中K濃度をチェックする
#8.
尿中K濃度(urinary K concentration) ➢ 腎外(腸管)でのK喪失→腎臓で絞る →uK↓ ➢ 腎臓からの喪失 →uK↑ ➢ ただし、uK値に明確なカットオフはない。 論文などでは=13-15mEq/Lくらいとなっている事が多い uK<10mEq/Lだと少ない印象はもつ 低K血症なのにuK>20-30mEq/Lは多い印象は持つ
#9.
腎外喪失(or摂取不足) ➢ 嘔吐・下痢 ➢ 摂食不良 →uK<10mEq/Lが多い (この場合は大体、uNa,uUNなど全部低い) それ以前に病歴で気付くはず! 尿電解質は答え合わせとして使う 特にアルコール依存症、神経性やせ症などは低P血症、低Mg血症も合併していることが あるのでリフィーディングに注意が必要!
#10.
腎からの喪失(腎排泄亢進) ➢ アルドステロン過剰 →原発性アルドステロン症(通常は高血圧+低K血症。アルカローシス) ➢ 利尿薬 →体液量過剰のループ利尿薬使用の時(次のページ) ➢ 腎臓からのカリウム喪失 →Type I RTA(アシドーシスを伴うCl↑大体はシェーグレン)、これは別のスライドで解説 ➢ AKIの利尿期、腎後性腎不全の解除 →質の良い尿が作れずK排泄がコントロールできない ※ただし何らかの理由で摂取が不足した場合にはuKが低めに出るし、補液・食事の影響は大きい(スポット尿で判断することは難 しい、というか無理)利尿薬が入っている場合には判断はほとんど不可
#11.
復習:1型RTA ➢ 尿細管からの酸の排泄障害 ➢ 1型:集合管での H+ の排泄障害 → なので遠位尿細管アシドーシスと呼ばれる、ここが低K血症に関係してくるのだが超難しい。 Am J Physiol 1992;262:449-53.J Clin Invest. 2013 ;123(10):4219-31、Nature Reviews Nephrology 2023;19: 384–400 ➢ H+ の排泄障害を反映して、尿の pH>5.5 → NH4+ を負荷しても尿中の pH が下がらない(診断に使う) 臨床的には「両側腎実質石灰化でシェーグレン症候群などを想定」するキッカケになる、ドライ アイ、齲歯が多いなどがある
#12.
利尿薬での低K血症 ➢ ループ利尿薬が多い →長く使うのであれば、低K血症、低Mg血症必発(補充、あるは間欠的投与、@@kg以上の時内服) ➢ サイアザイド系利尿薬も多い →大体は低Na血症、低Cl血症を合併、高Ca血症を来す事もあり ※病歴から明らかだが、利尿薬を使う意義を考える、モニタリングは必要。漫然と利尿薬は使わない に限る。 ここでは関係ないが両者とも尿酸値があがるので痛風に注意(とくにループは体液量減少+UA↑で痛 風発作になりやすい)
#13.
AKI後など ➢ AKIの利尿期 ➢ 腎後性腎不全の解除後(Post obstructive diuresis) →尿が出ているだけで安心せずに電解質をモニタリングする ➢ 腎不全=質の良い尿が作れない病態とらえておく →再吸収ができずに低K血症、K排泄されずに高K血症などどっちでも転びうる ※これらのときはモニタリングは必要(尿電解質を連日追うと、だんだん生理的に正しい尿電解質になってきます)
#14.
原発性アルドステロン症 ➢ アルドステロン過剰 →原発性アルドステロン症(通常は高血圧+低K血症) ➢ 安静にしてレニンアルド比測定→低レニン・高アルド →Na-Cl=40程度になる事も多い(通常は32くらい)、アルカローシスを示唆) ➢ どのような患者を専門医に送るかは地域の実情を確認 →アルドステロンの測定法とカットオフ値が様々です(専門医の数など医療資源の問題もある)
#15.
低K血症で気にすること ➢ 不整脈 →低K血症は不整脈を誘発しやすい。 ➢ 心不全 →心臓に基礎疾患がある場合にはトラブルが多い ➢ 脱力 →麻痺ではないが、「しびれる」「力が入らない」という訴えで来院することもある ➢ 便秘 →腸管の動きが悪いのだと思うとおもう いまどきジギタリスは使わないと思うが、、、低K血症の時でジギタリス中毒↑はある
#16.
低K血症の治療→原疾患の治療が優先 ➢ 原発性アルドステロン症 →手術?手術できない場合にはアルドステロン受容体拮抗薬など ➢ 嘔吐・下痢 →あまり特異的な治療はなさそうだが、、、、とりあえず支持療法 ➢ 薬剤 →原因薬剤の中止(本当に必要な利尿薬か?は常に考える。芍薬甘草湯も本当に必要?)
#17.
低K血症の治療→補充 ➢ 医療安全が優先! →恐らく投与濃度(<40mEq/L)、1時間あたり(<M10mEq/L)、1日あたりの上限があるはず。薬剤部とルールを確認。 そんなに急いで補充する状況は余りない、Kだけ良くすれば解決する不整脈などは少ない(大体は重篤な基礎心疾患がある) ➢ 通常内服が優先 →私は内服KCLが好み、グルコン酸Kは治りが遅い。 ➢ 食事はオススメしない →経験上良くならない、K値を動かしたいのならば細胞外液に分布するKCLが優先、野菜・果物だと一過性にはあがるが、持続 して上がらない。(高K血症のスライドも確認) ➢ 突然上がるのでモニタリングが必要 →細胞内が満タンになると急速にKが上がる、筆者は一日で2mEq/L→6mEq/Lの経験あり
#18.
低K血症の治療方の目安(安全第一) ➢ K<2.0mEq/L+症状 →持続モニタリングしながら、静脈注射での補正がお勧め、絶対にシリンジホンプで行う ➢ 無症状かつ<2.5mEq/L →出来るだけ、経口での補正がお勧め、静脈注射なら絶対にシリンジホンプ ➢ ≧2.5mEq/L →原則経口での補正(何らかの理由で経口摂取できないときは静脈注射)。データの改善と症状の改善は人による ➢ 繰り返しになるが突然上がる →K補充を日中だけにするどの工夫はあり。(24時間持続は怖いことがたくさんある。輸液ポンプミスしたり、クレンメはず れた、とか恐ろしいことは山程ある。(カテコラミンを混注なんてしないでしょ?)
#19.
低K血症みたら何したらいいの? ➢ 病歴 ➢ 採血にMgを追加 ➢ 尿電解質 ➢ 血液ガス(静脈でOK) アルカローシスの有無、尿細管性アシドーシスの有無 きちんとするには動脈血ガスでアニオンギャップをチェック
#20.
Mgの捉え方 ➢ Bartter症候群 →NKCC、フロセミドが効くところの異常(他のタイプもある)Mg→ そのためにループ利尿薬を長く使っているとpseudo Barterとなる(この場合はMg↓) ➢ Gitelman症候群 →NCCTの異常、Mg↓ただし、Mgだけで判断できない。日本では1000人に2人いるとい話題がある。(他の民族の200倍 程度?)Sci Rep 11, 16099 (2021). https://doi.org/10.1038/s41598-021-95521-6 などをつめて行く。子供だと成長障害などが問題になる。今は遺伝子検査が保険でできる(倫理的なことを考える必要は あり、施設要件あり)ただし、診断しても治療がカリウム、Mgの大量補充程度しかない
#21.
何故低Mg血症→低K血症 ➢ 良くわかっていないことも多い Mg→ヘンレループなどのROMK(Renal Outer Medullary K Channel) の防御因子(K再吸収する) Mgが欠乏すると上記が働かず、K排泄が亢進する為と言われている(昔はrefractory potassium repletionと言われていた。 Arch Intern Med. 1985;145(9):1686-9.) ➢ 低Mg血症→低K血症とはならない場合も多い 50%程度 JAMA. 1990;263(22):3063-4. 家族性低Mg血症では余り低K血症にならない Nat Genet. 2002 Jun;31(2):171-4. そもそも、血清Mg値は体内の1%程度なので、正常値でも補充して良いなんて話はある。(救急領域に多い印象) J Intensive Care Med. 2005;20(1):3-17.
#22.
全然分からない低K血症(極私見) ➢ いくら入れてもK上がらない病態が存在する →なんらかのチャネルに対しての抗体でもあるのか?と思うくらい 200-400mEq/日入れても全くKが上がらない。尿中に全部排泄される。(採血のタイミングが 不思議なのだが、血液透析になって無尿になっても血清K値が全く上がってこない。 このような症例に補充する意義どのくらいある? 腎臓のチャネルが壊れている??細胞内外プールの移動が壊れている? 現時点ではわからないです(知っている人いたら教えてください) 上記の様な症例たまに見かけますが、きわめて予後悪い印象を持っています。
#23.
低K血症について腕試しどうぞ 結構低K血症を用意しております。 10 低K血症──怖いし,ニセモノが少ない 力試しにどうぞ Case 9 潰瘍性大腸炎・SLEで多薬服用中に低K血症となった50歳代女性 Case 11 救急受診後の再診で低K血症を来していた40歳代女性 Case 12 低K血症を来したSjögren症候群の40歳代女性 Case 19 多発ニューロパチーに伴う低Mg血症を来した60歳代女性 Case 20 しびれ・こむら返りに伴う低Ca血症,低K血症を来した40歳代男性