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循環器内科
救急科
勤医協中央病院
循環器薬の選び方・使い方を循環器内科医目線で解説するシリーズ。
今回は心不全の利尿薬について、機序別に具体的かつ感覚的に解説します。
<本スライドの目次>
心不全とは
フロセミド(ラシックス)
アゾセミド(ダイアート)
スピロノラクトン(アルダクトン)
エプレレノン(セララ)
トリクロルメチアジド(トリスメン)
トルバプタン(サムスカ)
カルペリチド(ハンプ)
強心薬の利尿作用
利尿剤の指標
急性期の利尿薬の選び方
利尿薬の内服と注射の違い
利尿剤多剤併用の力!
フロセミドは何mgまで使える?
最後の砦、マンニトール~まとめ
音声つきの解説動画は、以下のYouTubeで視聴できます
「循環器薬の選び方・使い方」シリーズ一覧
https://slide.antaa.jp/tagsearch/844
「ペースメーカー丸わかり」シリーズ一覧
https://slide.antaa.jp/tagsearch/751
「循環器疾患解説」シリーズ一覧
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#2 肺血栓塞栓症【病態から外来診療まで】
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#6 ペースメーカー患者が自分の外来にきたら?【ペースメーカー丸わかりシリーズ】
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具体的・感覚的に 循環器医が解説します 心不全の利尿薬の 使い方 循環器内科医 “うし先生”の 循環器薬の選び方・使い方シリーズ
注釈 【自己紹介】 某市中病院勤務の循環器内科医師のうしです。 だいたい中堅くらいです。 【動画のモットー】 細かいデータ<フィーリング 【ペット】 オカメインコ いいねやチャンネル登録お願いします!
今回は研修医・内科医師だけでなく 全職種向けに 利尿剤の実際の使い方を 説明します! 薬剤ごと+質問
心不全とは 心臓のポンプ機能がうまく働かず 全身の血液の循環が滞ってしまう状態! 体液は少なからず貯留し、利尿剤が必要 尿量を増加させる薬
フロセミド(ラシックス) ・ヘンレ上行脚を阻害(Na,K再吸収阻害) ・利尿薬(体液貯留時)の基本 ・安定時は1T(20mg)/日で内服開始 入院時は1A(20mg)/日で注射開始 ・心不全の予後改善効果はなし (だいたい腎前性?腎不全になる) 体液貯留ある場合は最小量で随時使用 糸球体 遠位尿細管 ヘンレ上行脚 ヘンレ下行脚 集合管 低Na,低Kに注意 症状みて調整 尿量みて調整 ループ利尿薬 Last six (6時間作用続く)
アゾセミド(ダイアート) 腸管浮腫やゆっくり利尿させたいときなど! 糸球体 遠位尿細管 ヘンレ上行脚 ヘンレ下行脚 集合管 ・ヘンレ上行脚を阻害(Na,K再吸収阻害) ・フロセミドの長期作用型 ・安定時は1T(30mg)/日で内服開始 ・腸管浮腫でも吸収されやすい? HOCM、高齢者など ループ利尿薬 低Na,低Kに注意 症状みて調整
スピロノラクトン(アルダクトン) ・遠位尿細管に作動する(別名抗アルドステロン薬) ・1T(25mg)/日から開始 ・心不全の予後改善効果(EF 35%以下は特に) ・女性化乳房に注意 ・K保持性で高K血症気味になる(腎不全に注意) 高度腎不全や高Kなければ 心不全にはとりあえず導入が無難 糸球体 遠位尿細管 ヘンレ上行脚 ヘンレ下行脚 集合管 カリウム保持性利尿薬 原発性アルドステロン症にも これのみ高K血症になる 利尿作用は弱め
エプレレノン(セララ) スピロノラクトンで副作用出たときに使用? 糸球体 遠位尿細管 ヘンレ上行脚 ヘンレ下行脚 集合管 ・遠位尿細管に作動する(別名抗アルドステロン薬) ・0.5T(25mg)/日で開始 ・心不全の予後改善効果(EF 35%以下は特に) ・スピロノラクトンより選択性高い ・添付文章が厳しい 副作用出にくい 腎不全やK製剤併用で禁忌 利尿作用は弱め 原発性アルドステロン症にも カリウム保持性利尿薬 これのみ高K血症になる
トリクロルメチアジド(トリスメン) 降圧目的でないなら利尿剤としては後の方 糸球体 遠位尿細管 ヘンレ上行脚 ヘンレ下行脚 集合管 サイアザイド系利尿薬 ・遠位尿細管を阻害(Na,K再吸収阻害) ・降圧剤の第一選択の1つ(塩分感受性に良い) ・0.5T(1mg)/日から開始 ・心不全の予後改善効果はなし (だいたい腎前性?腎不全になる) スピロノラクトンと阻害する輸送体が違う
トルバプタン(サムスカ) ・集合管(水の再吸収)に作用・阻害 ・新しい薬、薬価が高い(1000-2000円/1T) ・1T(7.5mg)/日から使用 ・尿崩症や高Na血症リスクあり(1週間ほど入院) ・心不全予後改善効果はない (長期/高容量フロセミドよりは併用がいいらしい) 低Na血症、全身性浮腫、フロセミド反応✗には併用◎ 糸球体 遠位尿細管 ヘンレ上行脚 ヘンレ下行脚 集合管 これのみ高Na血症になる その後割りと安定 使用はフロセミドと併用が基本 内服のみ
カルペリチド(ハンプ) ・心房筋からのhANPで利尿作用 ・腎保護作用?心保護作用? ・降圧+利尿というイメージ (フロセミド+ニトログリセリンみたい) ・0.025γくらいで使うことが多い (2V(2000)+注射水10ml+5%ブドウ糖40ml 2ml/hr) 使用はフロセミド反応✗+内服不可±血圧高値くらい? 糸球体 遠位尿細管 ヘンレ上行脚 ヘンレ下行脚 集合管 注射薬のみ 日本で発明 あまり量変えない? 1V 1700円くらいと高め
ここからはコラム的な!
強心薬の利尿作用 ・強心薬単剤でも利尿作用! ・血圧upしたら利尿薬も使用しやすい ・ドブタミン 2γくらい~ (100mg 3A + ブドウ糖35ml 1ml/hr) ・オルプリノン(コアテック) 0.1γ~ (5mg 2A + ブドウ糖40ml 1.5ml/hr) 低心機能の利尿には強心薬も検討を! β阻害薬使用していると効きにくい 腎不全あると使用しにくい
利尿剤の指標 ・左心不全→肺うっ血(肺が湿る感じ) →レントゲンでのうっ血、酸素化、呼吸数が指標 ・右心不全→胸水(肺が水に浮いてる感じ) →レントゲンでの胸水、体重、下腿浮腫 + 急性期は-バランスに!(2000ml/日も尿あると安心) 尿量に加え、その人の指標がどれか確認を!
急性期の利尿薬の選び方 ・基本はフロセミド(ラシックス) ・フロセミド40mgで×なら100mg or トルバプタン ・低Na血症あればトルバプタン併用 低K血症あればソルダクトン併用(+K補充) 初期治療はとりあえずフロセミド スピロノラクトンの静注薬
利尿薬の内服と注射の違い ・フロセミドは1T(20mg) ≒ 0.5A(10mg) ・スピロノラクトンは換算表ないらしい ・急性期は腸管浮腫あり吸収悪い ・注射の方が効果判定は当然早い 入院した急性期はとりあえず注射がよい 元々の内服は一旦止めて調整しても、 注射と併用しながらでもどちらでも良い
利尿剤多剤併用の力! ・利尿薬の導入順としてはだいたい以下 スピロノラクトン →フロセミド →トルバプタン →トリクロルメチアジド(サイアザイド系) めちゃくちゃ利尿することがある! 全ての受容体blockすると最後の利尿に期待!? 糸球体 遠位尿細管 ヘンレ上行脚 ヘンレ下行脚 集合管
フロセミドは何mgまで使える? ・腎不全あれば特に高容量必要 ・500mg/日(原液を持続投与)までしたことある ・200mg/日超えるのは少しイマイチ ・往診で100mg静注も見たことがある 高容量は使用できるが他剤も考慮を!
最後の砦、マンニトール 【内服薬】 フロセミド、スピロノラクトン トリクロルメチアジド、トルバプタン 【注射薬】 フロセミド、スピロノラクトン、カルペリチド マンニトールという注射薬もある 挿管中は胃管から? 注射開発中 ただし適応外使用 それならCHDF(持続透析の方がよさそうだ)
まとめ ・心不全急性期はフロセミド(ラシックス)だが とりあえず尿が安全に出ればよい ・スピロノラクトンはない理由はない ・トルバプタン(サムスカ)やSGLT2阻害薬に期待 ・質問あればコメント欄にお願いします! いいねやチャンネル登録も…