#4.
薬局から疑義がきたときどうするの? ✔ 用量の問題→腎機能に合わせて調整 ✔ 明らかな禁忌→余りお勧めしない メリット>>デメリットであればありだと個人的は思っているが、なんかあったときのエクスキューズは厳しい ✔ 代替薬を考えておく 腎機能に影響しない薬をしっていると楽 4
#5.
「全てのもの」は腎機能障害を起こす可能性 ✔ 薬剤(内服、外用でも) 外用薬の胃潰瘍→Acute Med Surg, 8:e710, 2021、Scand J Gastroenterol, 53:120-123, 2018 外用ビタミンDで高Ca血症→透析会誌 2012;45:63-68、湿布によるTIN&ATN Internal medicine 2020;59:2733-2736 ✔ 食物 バルカン腎症やChinese herb tea syndromeなどのアリストロキア酸腎症などが有名。キノコなどによる間質性腎炎はあり得る。 透析患者におけるスギヒラダケ脳症は、前のページの腎機能障害時に注意するものとなる ✔ サプリメント、健康食品 最近では紅麹などが有名になったが、何が起こるかは誰も分からない ✔ プロならば余すことなく、問診することが重要 というよりは医師は上記をするのは基本だと思う 5
#6.
薬剤性腎機能障害のパターン ✔ 間質性腎炎 ✔ 結晶誘発性腎炎 ✔ 急性尿細管壊死 他にも糸球体腎炎やTMAなどもある ✔ 上記があるが、臨床上は色々な形でくる 腎炎、ネフローゼ症候群、RPGNやAKI、ゆっくり進行するCKDもある 6
#7.
間質性腎炎とは ✓ 間質に炎症の主座 炎症=細胞浸潤がある ✓ 結晶誘発性腎炎 結晶や円柱による尿細管の閉塞→これによる炎症 上記があるが、臨床情報から病型鑑別はかなり困難 7
#8.
間質性腎炎 ✔ (TIN:Tubulo Interstitial Nephritis) 間質に炎症がおこる 糸球体腎炎に体して、糸球体に腎炎の所見が軽微だがが間質がメインに炎症があるというイメージ(糸球体にある程度炎症があるばあいはそちらを優先すること が多い) ✔ 教科書的には皮疹、発熱、好酸球増多が有名。ただし、 それぞれの頻度は15%、27%、23%、三徴候が揃う のは10%しかない→つまり非特異的 Nephrol Dial Transplant. 2004;19:8-11. ✔ 尿沈渣の好酸球は25-35%程度 そもそも感度に問題がある、結構慣れた臨床検査技師が必要だし、余り一般的ではない染色が必要 Kidney Int. 2010;77:956-61 Nephrol Dial Transplant. 2004;19:2778-83. Kidney Int. 2008;73:940-6. 8
#9.
TIN起こしやすい薬剤(個人的見解多め) イメージとしてはこの順 ✔ NSAIDs(MCNS合併する事もある) ✔ 抗菌薬(ペニシリン系、セフェム系、リファンピシン、ST合剤) ✔ ビタミンD+Ca製剤(脱水による腎前性だけではなく、Ca塩沈着によるTINもある) ✔ アロプリノール ✔ PPI ✔ ✔ H2ブロッカー まれに(大量)ビタミンCによるoxalate nephropathyなどがある 抗がん薬(免疫チェックチェックポイント阻害薬、VEGF阻害薬)での場合は様々なパターンで腎 障害を起こすので別に考えた方が良い 急性尿細管壊死、間質性腎炎、糸球体腎炎、TMAなど 9
#10.
間質性腎炎ってどうやって診断? ✔ 臨床的には尿所見の乏しい、Cr上昇 だから、ルーチンにベースラインとして尿検査しておくことがお勧め ✔ 完璧に診断するなら腎生検(右図) 腎生検なくTINの診断は炎上するから学会では出さない事を勧める ✔ Gaシンチは陽性ならTINっぽいが、陰性でも否定できない Clin Kidney J. 2016;9:76-81. Clin Exp Nephrol. 2023;27:251-261 10
#11.
DLST(リンパ球刺激試験)はTINの診断に有用? ✔ 根拠となるのは10例のケースシリーズ Am J Nephrol. 1990;10:222-30. ✔ TINの頻度の高い薬と同時に飲んでいた場合に頻度の低い 薬を飲んでいた薬を被疑薬とするのは厳しい(私見) 腎生検所見は非特異的である ex:アロプリノール,NSAIDs, α-グルコシダーゼ阻害薬(α-GI)などを一緒に飲んでいる場合、DLSTがアルプリノール、NSIADsでは陰性 で、α-GIが陽性だった場合に、「本当にα-GIを被疑薬にしていいのか?」となると悩ましい。薬1つだけならばシンプルだが、、 11
#12.
結晶誘発性間質性腎炎もある ✔ 尿細管(たまに沈渣)で結晶が見られる 面白いのが多い”urine sediment crystal“で調べて見て! 多いのが下記 ✔ ✔ ✔ ✔ アシクロビル/バラシクロビル MTX 補液で利尿がつくまで待つが 炎症に対してステロイドを使う事がある (ただし専門家レベル) 核酸アナログ(テノホビル)など 抗凝固関連腎症(この場合は円柱) 薬剤ではないが、下記によるものもある ✓ ✓ アミロイドーシス 多発性骨髄腫、MGRS(腫瘍の直接浸潤、結晶円柱による腎後性など様々、近位尿細管に沈着 してFanconi症候群という事もある) ✓ 抗がん治療による腫瘍崩壊症候群(尿酸結晶や、リン酸結晶による) 12
#13.
ヨード造影剤によるATN(CIN:contrast induce nephropathy) 歴史的経緯 • 浸透圧の問題(昔は高浸透圧のものが使われていた) • 造影剤量の問題(テクニカルに未成熟だったため) • 心臓カテーテル広がりと共に報告が増えてきた 知っておくべきこと • 動脈内投与>>静脈内投与 • 全身状態不良でおきやすい • 安定した静脈内投与では余りおきないのでは?と考えられてきている JAMA Intern Med. 2021 Jun 1;181(6):767-774 Intensive Care Med. 2023 Jan 30. doi: 10.1007/s00134-022-06966-w
#14.
造影剤によるAKIの頻度 • 救急外来に来た患者でAKI 造影CTあり 造影CTなし 10.2% 10.9% 結晶誘発性間質性腎炎 • リスクファクター 高血圧 糖尿病 CKD うっ血性心不全 Ann Emerg Med, 69:577-586.e4, 2017
#15.
CINの投与回数と投与経路 • 外傷で造影CT後にAKI 糖尿病でRR 高血圧でRR 2.67(2.44-2.94) 1.62(1.46ー1.81) 結晶誘発性間質性腎炎 • 外傷で造影剤使った後のAKI 造影CTでRR 1.49(1.37-1.62) 血管造影でRR 4.33(3.53-5.33) 造影CT+血管造影でRR 5.35(4.65ー6.12) A National Trauma Databank analysis. Surgery, 171:1085-1091, 2022 基礎疾患がある人が状態悪いときに複数回の検査でおきやすい(でも、その場合は腎臓を 優先的に守る状況とは考えにくい)
#16.
MRIのガドリニウム造影剤は? • 現在日本で使われている、Gd造影剤でNFS(腎性全身性線維症(NFS:nephrogenic systemic fibrosis)はほとんどない 安定性の低い直鎖型ガドリニウム剤が使われた時代の話。現在主に使われているのは下記 • 世界的には遠慮なく使うべきだという意見が出始めている。 4931例でゼロ。JAMA Intern Med. 2020 Feb 1;180(2):223-230. 結晶誘発性間質性腎炎
#17.
2024年学会からの提言(2024年5月20日) 日本医学放射線学会・日本腎臓学会より 可能な限りガドリニウム造影剤の投与を避け、他の検査法で代替することが望ましい 病態として以下のものがある。 1)長期透析が行われている終末期腎障害 2)非透析例で eGFR 結晶誘発性間質性腎炎 が 30ml/min/1.73m2未満の慢性腎不全 3)急性腎不全 他の検査法で代替困難な場合は、NSF のリスクを考慮し、ガドリニウム造影剤の適 正使用量を守る、繰り返し使用する必要がある場合は可能な限り間隔を空ける*など、 十分に注意して投与する *ESUR のガイドラインでは 7 日以上の間隔を空けることが理想的であるとしている 禁忌でなくなったことが大きい!
#18.
Renalism にご注意 • AKI のリスクが懸念されるため、CKD 患者に適切な診断/治療的介入 を行わないこと 2004年くらいに提唱されて、現在もそれなりにホットな話題(だと思う)是非Pubmedで検索を! 結晶誘発性間質性腎炎 • 個人的な見解「全身を守る事が腎臓を守る事につながる」ために、 他の部分の治療が不十分だと困る CINを気にするような腎機能は長生きすれば、腎代替療法(RRT:Renal Replacement Therapy)になることが多いた めに、そのときに合併症がコントロールされている方がよほど患者の為になる。
#19.
腎障害早期発見のTips • 尿沈渣をみる! 軽視されている検査 • 尿細管上皮細胞(RTE:Renal Epitherial Cell)と顆粒円柱をみる 両方出ていない場合には(<10%)と余り心配ない 結晶誘発性間質性腎炎 両方でている場合にはAKIの懸念高い(60%) Clin J Am Soc Nephrol. 2010 Mar;5(3):402-8 • 沈渣を見ておいてキレイだとかなり安心 複数回検査を無侵襲低コストでできるし、沈渣が経時的に悪化していくと身構える必要がある。ただし、検体の質と検査技師の 力量(およびそれを判断できる医師の実力が必要)、
#20.
AKI予測の他のマーカーは? • β2MGやNAGは感度が高すぎる ちょっとした腎障害の存在で上昇するが、臨床的意義がないことが多い • AKIのマーカーは色々あるが、、、 結晶誘発性間質性腎炎 NGAL,L-FABPが保険で使える。他にもKIM-1、IL-18、TIMP-2、IFFBP7など、基本外注でAKIを予測する状況であれば尿量と Crの動きになってしまう(以前のスライドも参照) • 繰り返しできる尿沈渣がお勧め RTEと顆粒円柱がでたらフォローアップ期間短くするなど、血尿タンパク尿伴えばならば腎臓内科へ紹介
#21.
抗がん剤使用時の腎障害への対応 • 腎生検による診断にこだわり過ぎない 日本の「がん薬物療法時の腎障害診療ガイドライン2022ガイドライン」のP105-106に「不要なステロイド薬投与による副作用を抑制すること以外は腎生検実施によって得られ る利点は少ない可能性」とあり、尿所見ないCr上ならば先行ステロイドを考慮、血尿,タンパク尿あるならば腎臓内科紹介がお勧め • グレード2であれば、一時的にICI を休薬し、腎臓専門医にコンサルトする。 ICI 以外に原因がなければ、ICI を中止のまま、0.5〜1 mg/kg/日のプレド ニゾロンで開始、グレード1 以下になれば、4 週間以上かけて漸減中止 結晶誘発性間質性腎炎 がガイドラインの記載。これをたたき台にして、現場ですりあわせておくのが良いと思います。個人的には治療優先が良いと思います • 海外ではGrade 2までは腎生検なしでステロイドという意見もある J Clin Oncol. 2021;39(36):4073-126
#22.
仕組み作りが大事 • 腎機能チェックの際に「体重、検尿(試験紙+尿沈渣)」を組み込む 薬剤投与の時に体重が必要になるので、ここからCCrなどを計算できるようにしておく RTEと顆粒円柱で考える RTE、顆粒円柱なし・・・通常フォロー ⇅この間は、個別に判断 結晶誘発性間質性腎炎 RTE>5、顆粒円柱>10・・・一週間後フォロー • 電解質異常起こしやすい場合は尿電解質(特にシスプラチンなど) 抗がん薬投与前にハイドレーションをしているのであれば、uOsm<100mOsm/kg/H2Oになっているはず。(なっていなければハイドレー ションが甘いか、なんか問題があることが多い)ルーチンにとるならば、uOsm,uNa,uK,uCl