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生存曲線のミカタ

投稿者プロフィール
kotobuki@血液専門医

総合病院

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概要

治療成績を改善させるため最前線の臨床現場では研究が必ず行われており、がん領域の臨床研究においては生存曲線がつきものです。論文などでよく見る生存曲線の見方について、学生・研修医の先生を対象に説明します。

◎目次

・本スライドの対象者

・生存曲線とは

・生存曲線の描き方

・実際に生存曲線を読んでみよう

・がん臨床試験におけるエンドポイント

・最近はPFSが主流になりつつある

・生存曲線からみえること

・Take Home Message

本スライドの対象者

研修医/専攻医/専門医

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テキスト全文

  • #1.

    生存曲線のミカタ kotobuki@血液専門医

  • #2.

    本スライドの対象  治療成績を改善させるには、常に研究を行い、現状以上を目指すことが不可欠 です  従って、最前線の臨床現場では「研究」が必ず行われています  特にがん領域の臨床研究においては、「生存曲線」がつきものです  このスライドでは、論文などでよく見る生存曲線の見方について学生・研修医 の先生を対象に説明します

  • #3.

    生存曲線とは このヒゲはなんだろう? 曲線っていうのにカクカクしているね 1.0 生存割合 0.8 0.6 やっぱり時間がたつと急激に さがってしまうね。 多くの患者さんが一気に亡く なってしまったのかな? 0.4 0.2 0.0 0 12 24 36 48 時間(月)  生存曲線は、1958年に開発されたカプラン・マイヤー法によって描かれます

  • #4.

    生存曲線の描き方 (1)  ここでは、架空のデータを用いて生存曲線の描き方を学びましょう  6年間の臨床試験を行い、計5名(A~Eさん)が参加したとしましょう 死亡 A 死亡 B 打ち切り C 死亡 D 打ち切り E 0 1 2 3 4 時間(年) 5 6 打ち切り(censoring) 死亡することなく試験終了、 試験参加を拒否した場合、 消息不明になった場合など

  • #5.

    生存曲線の描き方 (2)  実際の臨床試験では、開始と同時に一気に患者さんが参加するわけではなく、参加時 期はまちまちです  生存曲線を描くには、まずスタートをそろえます 死亡 A A 死亡 B 打ち切り C 死亡 D 0 1 2 3 4 時間(年) 5 死亡 B 打ち切り C 死亡 D 打ち切り E 死亡 打ち切り E 6 0 1 2 3 4 時間(年) 5 6

  • #6.

    生存曲線の描き方 (3)  当たり前ですが、スタート時点では5名全員生存しており、生存割合は100%です。つまり、1 名あたり20%を担っていることになります  1年目にDさんが亡くなります(イベント発生)。これにより生存割合は20%下がります 死亡 100 打ち切り C 死亡 D 打ち切り E 80 60 イベント 全生存期間の場合 「イベント=死亡」です。 20×4=80% B 生存割合(%) 死亡 20×5=100% A 40 20 0 0 1 2 3 4 時間(年) 5 6 0 1 2 3 4 時間(年) 5 6

  • #7.

    生存曲線の描き方 (4)  2年目にEさんが打ち切りになりました。Eさんは亡くなってはいません。引っ越したりして通 院が途絶えてしまったり、患者さん自身が試験参加の意思を撤回したのかもしれません  死亡ではないので、生存割合は下がらず80%のままです。しかし人数は4→3名に減りますか ら、1人あたりが担う%が20%→26.6%に増えます 死亡 100 C 死亡 D 打ち切り E 60 40 26.6×3=80% 打ち切り 80 20×4=80% B 生存割合(%) 死亡 20×5=100% A 打ち切りの場合、ヒゲの ような印をつけることが 多いです。 20 0 0 1 2 3 4 時間(年) 5 6 0 1 2 3 4 時間(年) 5 6

  • #8.

    生存曲線の描き方 (5)  3年目にBさんが死亡しました。死亡なので生存割合は下がります。1人あたりが担 う%は26.6%になっていましたから、26.6%下がって53.2%になります  同じ1名の死亡でも、Dさんの時とは下がる%の幅が変わります! 死亡 C 死亡 D 打ち切り E 60 40 26.6×3=80% 打ち切り 80 20×4=80% B 生存割合(%) 死亡 20 0 0 1 2 3 4 時間(年) 5 6 0 1 2 26.6×2=53.2% 100 20×5=100% A 3 4 時間(年) 5 6

  • #9.

    生存曲線の描き方 (6)  4年目にAさんが死亡しました。死亡なので生存割合は下がります。1人あたり が担う%は26.6%になっていましたから、26.6%下がって26.6%になります 死亡 死亡 D 打ち切り E 60 40 20 0 0 1 2 3 4 時間(年) 5 6 0 1 2 3 4 時間(年) 26.6×1=26.6% C 26.6×3=80% 打ち切り 80 20×4=80% B 生存割合(%) 死亡 26.6×2=53.2% 100 20×5=100% A 5 6

  • #10.

    生存曲線の描き方 (7)  6年目にCさんが打ち切りとなりました。この「打ち切り」は、死亡しないまま試験が 終了したことを意味します  ここで曲線も終わりになります 死亡 死亡 D 打ち切り E 60 40 26.6×2=53.2% C 26.6×3=80% 打ち切り 80 20×4=80% B 生存割合(%) 死亡 20 0 0 1 2 3 4 時間(年) 5 6 0 1 2 26.6×1=26.6% 100 20×5=100% A 3 4 5 6

  • #11.

    実際に生存曲線を読んでみよう  ここまで学べば生存曲線は理解できます  ヒゲは「打ち切り」ですね 1.0  左図では、100か月の時点で大幅に下がっていま すが、これは一気にイベントが起きてしまった わけではありませんね 生存割合 0.8 0.6  この時点で、すでに2名しか残っておらず、1名 あたりの受け持つ%が大きくなっているので、1 名のみにイベントが起きても一気に下がってし まうのです(赤い矢印は同じ1名分です) 0.4 0.2  最近の論文では、その時点でどのくらいの人が 0.0 0 20 40 Number at risk 19 17 13 60 80 100 120 11 6 2 1 時間(月) 残っているのか、図の下に表示されていること が多くなっています(左図ではNumber at risk)

  • #12.

    がん臨床試験におけるエンドポイント  全生存期間(OS)以外にも様々なエンドポイントがあります エンドポイント イベント(いずれか早いもの) 全生存期間 Overall survival (OS) あらゆる死亡 無増悪生存期間 Progression-free survival (PFS) あらゆる死亡 増悪/再発 無再発生存期間 Relapse-free survival (RFS) あらゆる死亡 再発 無病生存期間 Disease-free survival (DFS) あらゆる死亡 再発 二次がん 治療成功期間 Time to Treatment Failure (TTF) あらゆる死亡 増悪/再発 治療中止 死亡は、死因を問いません!がんによる死亡以外も含みます

  • #13.

    最近はPFSが主流になりつつある  生存の延長はがん治療の最大の目的であり、全生存期間(OS)の延長は王道です  しかしOSをみるには、お金も時間もかかります。したがって、最近はPFSなど他のエ ンドポイントで代用することが主流です  「病気の進行を遅らせること自体にそもそも意味があるのか」という批判もあります が、例えばリンパ腫では、PFSがOSの代用になりうることが示されています1) 長所 短所 OS 王道(文句言えない) 研究終了まで時間がかかる PFS 研究終了までの時間が比較的短い 「病気の進行を遅らせること」にそ もそも意味があるのか 1) Maurer MJ et al., Ann Oncol. 2018;29:1822-1827.

  • #14.

    生存曲線からみえること A) OS PFS  A)ではOSとPFSがほぼ重なっていますが、B)ではOSがPFS を大きく上回っています  つまり、A)のがんは「がんの進行≒死亡」ですが、B)のがん B) OS では「がんの進行≠死亡」であることを意味します。あるい は、他の治療法によって救命されているのかもしれません PFS C) PFS  C)ではPFSが平坦(プラトー)になっています。これはこの 治療法が根本的治療(=治癒を目指せる治療)となりうるこ とを意味します D)  一方、D)ではPFSは時間経過とともに下がり続けています。 PFS これはこの治療法が、多くの患者さんで根本的治療にはなら ないことを意味します

  • #15.

    Take Home Message  生存曲線では、イベントと打ち切りを理解しよう  がん治療領域の臨床研究の王道は、全生存期間(OS)であった。 しかし時間とお金の問題から、他のエンドポイントで代用され ることが多く、現在は無増悪生存期間(PFS) が使用されるこ とが多い  全生存期間(OS)と無増悪生存期間(PFS)を見比べるとがん あるいはその治療の特徴がわかる

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