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投稿者

kotobuki@血液専門医

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テキスト全文

  • #1.

    APTT/PT異常をみつけたら 1 kotobuki@血液専門医

  • #2.

    本スライドの対象  術前検査などで、APTT/PT をルーチンに測定することも多いと思います そのような場面で、異常を見つけたときに読むスライドです  ビタミン K 欠乏症以外の凝固異常疾患が疑われる際は、基本的に専門医に 紹介したほうが無難です 2

  • #3.

    Take Home Message  術前 APTT あるいは PT の延長を見た時、まず行うべきは以下の確認 1) 検体採取が適切であったか 2) 抗凝固薬の使用  PT 延長を見た際は、まずビタミン K 欠乏症を考える → その場合、ビタミン K 投与で容易に改善が見込める  成人で比較的頻度の高い凝固異常疾患は、抗リン脂質抗体症候群・ von Willebrand 病・後天性血友病である 3

  • #4.

    まず考えるべきこと(1) -検体は適切か 術前 APTT あるいは PT 延長を見つけた際に、まず考えるべきことは「採血検体不良」! 採血検体量不足  右図のように、凝固機能検査用スピッツにはクエン酸(液体)が入っていて、 上のほうに採取採血量を示す線が入っている  この線よりも検体量が少ないと、検体が希釈され、相対的に凝固因子が減少し、 ラインまで 必ず採取する APTT/PT ともに延長する ヘパリンの混入  ヘパリンロックされたラインや透析回路からの採血では特に注意 抗凝固剤 (クエン酸) 4

  • #5.

    まず考えるべきこと(1) -検体は適切か 術前 APTT あるいは PT 延長を見つけた際に、まず考えるべきことは「採血検体不良」! 測定までの時間超過  凝固因子の中でも特に第 VIII 因子は失活しやすく、検体採取から長時間放置されると、 APTT/PT とも延長する。4時間以内には測定するようにしよう 温度による変化  室温であれば通常問題ないが、PC など機械のそばに置いておくと予想以上の高温にさらされる ことがあり、それによって凝固因子が失活し、APTT/PT とも延長することがある 5

  • #6.

    まず考えるべきこと(2) -抗凝固薬 術前 APTT あるいは PT 延長を見つけた際に、2 番目にまず考えるべきことは「抗凝固薬」! ワルファリン  ワルファリンを内服すれば PT 延長する、これは当たり前のことだが、他院から処方されている 場合には見逃されていることがあるので今一度確認を DOAC  DOAC は APTT/PT によるモニタリングを要さないことから意外と見逃されがちだが、 実は DOAC 内服は APTT/PT に影響する。しかも、  内服後どのポイントで採血するかにより APTT/PT データが大きく変わる(2-3時間後がピーク)  プラザキサ🄬🄬は APTT、イグザレルト🄬🄬は PT に影響しやすいなどDOACの種類によって APTT/PT への 影響が変化する  使用する検査試薬によっても APTT/PT 結果が変わる など、ある程度安定する結果の出るワルファリンと比較し、非常に厄介である 6

  • #7.

    凝固異常の分類  1) 検体が適切か 2) 抗凝固薬の影響はないか の 2 点を除外できたら、いよいよ本格的に診断に進もう  その際、APTT/PT のそれぞれの延長について以下の3つのパターンにわけて考えよう APTT PT パターン 1 延長 正常 パターン 2 正常 延長 パターン 3 延長 延長 7

  • #8.

    APTT 延長 / PT 正常 APTT 延長 / PT 正常 ループスアンチコアグラント(LA)、抗カルジオリピン抗体、抗 β2 グリコプロテイン I 抗体(抗 β2GPI 抗体) 陽性 陰性 vWF 活性/抗原、第 VIII/IX/XI/XII 因子 vWF 活性低下 第 VIII/IX/XI/XII 因子低下 交差混合試験 欠損症パターン (下に凸) 抗リン脂質抗体症候群の 診断基準を参照 von Willebrand 病 ▶ スライド P12 参照 ▶ スライド P13 参照 先天性凝固因子欠損症 血友病 A/B、 先天性 XI/XI I因子欠乏症など インヒビターパターン (上に凸) 後天性凝固因子欠損症 後天性血友病、 XI/XII 因子インヒビターなど ▶ スライド P14 参照 8

  • #9.

    APTT 正常 / PT 延長 APTT 正常 / PT 延長 ビタミン K 不足はあるか? 可能性あり 可能性なし 第 VII 因子 ビタミン K 補充 第 VII 因子低下 ビタミン K 補充して改善 交差混合試験 欠損症パターン (下に凸) ビタミン K 欠乏 ▶ スライド P11 参照 先天性 VII 因子欠乏症 インヒビターパターン (上に凸) VII 因子インヒビター 9

  • #10.

    APTT 延長 / PT 延長 ※ 血小板が減っていたら DIC や肝疾患の可能性あり APTT 延長 / PT 延長 ビタミン K 不足はあるか? 可能性あり 可能性なし フィブリノゲン(FNG)、第 II/V/X 因子 ビタミン K 補充 FNG 低下 第 II/V/X 因子低下 ビタミン K 補充して改善 交差混合試験 欠損症パターン (下に凸) ビタミン K 欠乏 ▶ スライド P11 参照 無 FNG 血症 FNG 欠乏症/異常症 先天性 II/V/X 因子欠乏症 インヒビターパターン (上に凸) II/V/X 因子インヒビター 10

  • #11.

    ビタミン K 欠乏  ビタミン K 不足によって、ビタミン K 依存性凝固因子とされる 第 II/VII/IX/V 因子 が減る → その結果、PT が延長し、さらに重症化すると APTT も延長する 「肉納豆」で 国試時に覚えましたね!  新生児におけるビタミン K 不足が有名だが、成人でも起こることがあり、 特に 1) 肝・胆道系疾患、2) 抗菌薬長期投与 の患者さんでは比較的よく見る  検査所見:  PT 延長  APTT 正常〜延長  PIVKA-II(第 II 因子の前駆体)増加  治療:成人ではケイツー🄬🄬 10-20 mg を静注 → 投与後 2-4 時間後に PT/APTT の改善が認められれば診断確定である 11

  • #12.

    抗リン脂質抗体症候群  APTT 延長をきたすが、臨床的には凝固亢進し、血栓症が問題になる <診断基準> 臨床基準の 1 項目以上が存在し、かつ検査項目のうち 1 項目以上が存在するとき、抗リン脂質抗体症候群とする 臨床所見 (1) 血栓症 - 画像検査や病理検査で確認が可能な動脈または静脈血栓症(血管のサイズや部位は問わない、血管炎や表層性の静脈炎は除外) (2) 妊娠合併症 - 妊娠 10 週以降の胎児奇形のない子宮内胎児死亡 - 妊娠高血圧もしくは胎盤機能不全による妊娠 34 週以前の早産 - 3 回以上つづけての妊娠 10 週以前の流産(ただし、母体の解剖学異常、内分泌異常、父母の染色体異常を除く) 検査基準 (1) 国際血栓止血学会ガイドラインに従った測定法による、ループスアンチコアグラント(lupus anticoagulant:LAC)が 12 週以上の間隔をおいて 2 回以上陽性 (2) 中等度以上の力価(40 GPL または MPL 以上、あるいは 99% タイル以上)の IgG あるいは IgM 型抗カルジオリピン抗体が 12 週以上の間隔をおいて 2 回以上陽性 (3) 中等度以上の力価(99% タイル以上)の IgG あるいは IgM 型抗 β2GP1 抗体が 12 週以上の間隔をおいて 2 回以上陽性 抗リン脂質抗体症候群改訂診断基準(Sydney revised Sapporo criteria) 2006 年改訂 12

  • #13.

    von Willebrand 病  フォン・ヴィレブランド病(von Willebrand disease:vWD)は、常染色体優性遺伝疾患である  フォン・ヴィレブランド因子(vWF)の量的あるいは質的異常により、血小板粘着能が低下する → 1 型(量的異常)、2 型(質的異常)、3 型(完全欠損)のサブタイプに分けられる  vWF は第 VIII 因子と結合し安定化させるため、vWF が欠乏すると 2 型はさらに 4 病型に 細分化される 第 VIII 因子が減少し、これも出血傾向に関与する  皮膚・粘膜出血、あるいは抜歯・手術時の止血困難、月経過多などをきたすが、 出血傾向を示さないケースもある  抜歯・手術時には、デスモプレシンあるいは vWF 含有血液凝固第 VIII 因子製剤の投与を 検討する 13

  • #14.

    後天性血友病  凝固因子に対して自己抗体ができて、凝固が阻害され、止血困難になる疾患 多くは血液凝固第 VIII 因子に対して抗体ができる「後天性血友病 A」である  高齢者に多く、自己免疫疾患や腫瘍などの基礎疾患を持つ人もいるが、持たない人もいる  第 VIII 因子低下および第 VIII 因子インヒビター検出、交差混合試験で補正されない パターン(上に凸)を示す  致死率が高いため、疑った時点で PSL 1 mg/kg 投与を開始する  重篤な出血がある場合は、バイパス治療の投与を検討する  遺伝子組換え活性型凝固第 VII 因子製剤  活性型プロトロンビン複合体製剤 14

  • #15.

    Take Home Message  術前 APTT あるいは PT の延長を見た時、まず行うべきは以下の確認 1) 検体採取が適切であったか 2) 抗凝固薬の使用  PT 延長を見た際は、まずビタミン K 欠乏症を考える → その場合、ビタミン K 投与で容易に改善が見込める  成人で比較的頻度の高い凝固異常疾患は、抗リン脂質抗体症候群・ von Willebrand 病・後天性血友病である 15

  • #16.

    参考文献  朝倉英策編著. 臨床に直結する血栓止血学 第2版. 中外医学社. 2018  脇本直樹. “血液疾患もどき”鑑別症例帖. メジカルビュー. 2022.  樋口敬和. 血液検査×総合診療 非血液専門医ジェネラリストのためのBasic & Practical 血液診療. 診断と治療社. 2022.  渡邉純一. 血液内科ただいま診断中!. 中外医学社. 2017. 16

APTT/PT異常をみつけたら

  • 内科

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  • APTT
  • APTT延長
  • 後天性血友病
  • vonWillebrand病
  • 抗リン脂質抗体症候群
  • ビタミンK欠乏
  • PT延長

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投稿者プロフィール
kotobuki@血液専門医

総合病院

概要

術前検査などで、APTT/PT をルーチンに測定することも多いと思います。

そのような場面で、異常を見つけたときに読むスライドです。

◎目次

・本スライドの対象

・Take Home Message

・まず考えるべきこと(1) -検体は適切か-

・まず考えるべきこと(2) -抗凝固薬-

・凝固異常の分類

・APTT 延長 / PT 正常

・APTT 正常 / PT 延長

・APTT 延長 / PT 延長

・ビタミン K 欠乏

・抗リン脂質抗体症候群

・von Willebrand 病

・後天性血友病

本スライドの対象者

研修医/専攻医

テキスト全文

  • #1.

    APTT/PT異常をみつけたら 1 kotobuki@血液専門医

  • #2.

    本スライドの対象  術前検査などで、APTT/PT をルーチンに測定することも多いと思います そのような場面で、異常を見つけたときに読むスライドです  ビタミン K 欠乏症以外の凝固異常疾患が疑われる際は、基本的に専門医に 紹介したほうが無難です 2

  • #3.

    Take Home Message  術前 APTT あるいは PT の延長を見た時、まず行うべきは以下の確認 1) 検体採取が適切であったか 2) 抗凝固薬の使用  PT 延長を見た際は、まずビタミン K 欠乏症を考える → その場合、ビタミン K 投与で容易に改善が見込める  成人で比較的頻度の高い凝固異常疾患は、抗リン脂質抗体症候群・ von Willebrand 病・後天性血友病である 3

  • #4.

    まず考えるべきこと(1) -検体は適切か 術前 APTT あるいは PT 延長を見つけた際に、まず考えるべきことは「採血検体不良」! 採血検体量不足  右図のように、凝固機能検査用スピッツにはクエン酸(液体)が入っていて、 上のほうに採取採血量を示す線が入っている  この線よりも検体量が少ないと、検体が希釈され、相対的に凝固因子が減少し、 ラインまで 必ず採取する APTT/PT ともに延長する ヘパリンの混入  ヘパリンロックされたラインや透析回路からの採血では特に注意 抗凝固剤 (クエン酸) 4

  • #5.

    まず考えるべきこと(1) -検体は適切か 術前 APTT あるいは PT 延長を見つけた際に、まず考えるべきことは「採血検体不良」! 測定までの時間超過  凝固因子の中でも特に第 VIII 因子は失活しやすく、検体採取から長時間放置されると、 APTT/PT とも延長する。4時間以内には測定するようにしよう 温度による変化  室温であれば通常問題ないが、PC など機械のそばに置いておくと予想以上の高温にさらされる ことがあり、それによって凝固因子が失活し、APTT/PT とも延長することがある 5

  • #6.

    まず考えるべきこと(2) -抗凝固薬 術前 APTT あるいは PT 延長を見つけた際に、2 番目にまず考えるべきことは「抗凝固薬」! ワルファリン  ワルファリンを内服すれば PT 延長する、これは当たり前のことだが、他院から処方されている 場合には見逃されていることがあるので今一度確認を DOAC  DOAC は APTT/PT によるモニタリングを要さないことから意外と見逃されがちだが、 実は DOAC 内服は APTT/PT に影響する。しかも、  内服後どのポイントで採血するかにより APTT/PT データが大きく変わる(2-3時間後がピーク)  プラザキサ🄬🄬は APTT、イグザレルト🄬🄬は PT に影響しやすいなどDOACの種類によって APTT/PT への 影響が変化する  使用する検査試薬によっても APTT/PT 結果が変わる など、ある程度安定する結果の出るワルファリンと比較し、非常に厄介である 6

  • #7.

    凝固異常の分類  1) 検体が適切か 2) 抗凝固薬の影響はないか の 2 点を除外できたら、いよいよ本格的に診断に進もう  その際、APTT/PT のそれぞれの延長について以下の3つのパターンにわけて考えよう APTT PT パターン 1 延長 正常 パターン 2 正常 延長 パターン 3 延長 延長 7

  • #8.

    APTT 延長 / PT 正常 APTT 延長 / PT 正常 ループスアンチコアグラント(LA)、抗カルジオリピン抗体、抗 β2 グリコプロテイン I 抗体(抗 β2GPI 抗体) 陽性 陰性 vWF 活性/抗原、第 VIII/IX/XI/XII 因子 vWF 活性低下 第 VIII/IX/XI/XII 因子低下 交差混合試験 欠損症パターン (下に凸) 抗リン脂質抗体症候群の 診断基準を参照 von Willebrand 病 ▶ スライド P12 参照 ▶ スライド P13 参照 先天性凝固因子欠損症 血友病 A/B、 先天性 XI/XI I因子欠乏症など インヒビターパターン (上に凸) 後天性凝固因子欠損症 後天性血友病、 XI/XII 因子インヒビターなど ▶ スライド P14 参照 8

  • #9.

    APTT 正常 / PT 延長 APTT 正常 / PT 延長 ビタミン K 不足はあるか? 可能性あり 可能性なし 第 VII 因子 ビタミン K 補充 第 VII 因子低下 ビタミン K 補充して改善 交差混合試験 欠損症パターン (下に凸) ビタミン K 欠乏 ▶ スライド P11 参照 先天性 VII 因子欠乏症 インヒビターパターン (上に凸) VII 因子インヒビター 9

  • #10.

    APTT 延長 / PT 延長 ※ 血小板が減っていたら DIC や肝疾患の可能性あり APTT 延長 / PT 延長 ビタミン K 不足はあるか? 可能性あり 可能性なし フィブリノゲン(FNG)、第 II/V/X 因子 ビタミン K 補充 FNG 低下 第 II/V/X 因子低下 ビタミン K 補充して改善 交差混合試験 欠損症パターン (下に凸) ビタミン K 欠乏 ▶ スライド P11 参照 無 FNG 血症 FNG 欠乏症/異常症 先天性 II/V/X 因子欠乏症 インヒビターパターン (上に凸) II/V/X 因子インヒビター 10

  • #11.

    ビタミン K 欠乏  ビタミン K 不足によって、ビタミン K 依存性凝固因子とされる 第 II/VII/IX/V 因子 が減る → その結果、PT が延長し、さらに重症化すると APTT も延長する 「肉納豆」で 国試時に覚えましたね!  新生児におけるビタミン K 不足が有名だが、成人でも起こることがあり、 特に 1) 肝・胆道系疾患、2) 抗菌薬長期投与 の患者さんでは比較的よく見る  検査所見:  PT 延長  APTT 正常〜延長  PIVKA-II(第 II 因子の前駆体)増加  治療:成人ではケイツー🄬🄬 10-20 mg を静注 → 投与後 2-4 時間後に PT/APTT の改善が認められれば診断確定である 11

  • #12.

    抗リン脂質抗体症候群  APTT 延長をきたすが、臨床的には凝固亢進し、血栓症が問題になる <診断基準> 臨床基準の 1 項目以上が存在し、かつ検査項目のうち 1 項目以上が存在するとき、抗リン脂質抗体症候群とする 臨床所見 (1) 血栓症 - 画像検査や病理検査で確認が可能な動脈または静脈血栓症(血管のサイズや部位は問わない、血管炎や表層性の静脈炎は除外) (2) 妊娠合併症 - 妊娠 10 週以降の胎児奇形のない子宮内胎児死亡 - 妊娠高血圧もしくは胎盤機能不全による妊娠 34 週以前の早産 - 3 回以上つづけての妊娠 10 週以前の流産(ただし、母体の解剖学異常、内分泌異常、父母の染色体異常を除く) 検査基準 (1) 国際血栓止血学会ガイドラインに従った測定法による、ループスアンチコアグラント(lupus anticoagulant:LAC)が 12 週以上の間隔をおいて 2 回以上陽性 (2) 中等度以上の力価(40 GPL または MPL 以上、あるいは 99% タイル以上)の IgG あるいは IgM 型抗カルジオリピン抗体が 12 週以上の間隔をおいて 2 回以上陽性 (3) 中等度以上の力価(99% タイル以上)の IgG あるいは IgM 型抗 β2GP1 抗体が 12 週以上の間隔をおいて 2 回以上陽性 抗リン脂質抗体症候群改訂診断基準(Sydney revised Sapporo criteria) 2006 年改訂 12

  • #13.

    von Willebrand 病  フォン・ヴィレブランド病(von Willebrand disease:vWD)は、常染色体優性遺伝疾患である  フォン・ヴィレブランド因子(vWF)の量的あるいは質的異常により、血小板粘着能が低下する → 1 型(量的異常)、2 型(質的異常)、3 型(完全欠損)のサブタイプに分けられる  vWF は第 VIII 因子と結合し安定化させるため、vWF が欠乏すると 2 型はさらに 4 病型に 細分化される 第 VIII 因子が減少し、これも出血傾向に関与する  皮膚・粘膜出血、あるいは抜歯・手術時の止血困難、月経過多などをきたすが、 出血傾向を示さないケースもある  抜歯・手術時には、デスモプレシンあるいは vWF 含有血液凝固第 VIII 因子製剤の投与を 検討する 13

  • #14.

    後天性血友病  凝固因子に対して自己抗体ができて、凝固が阻害され、止血困難になる疾患 多くは血液凝固第 VIII 因子に対して抗体ができる「後天性血友病 A」である  高齢者に多く、自己免疫疾患や腫瘍などの基礎疾患を持つ人もいるが、持たない人もいる  第 VIII 因子低下および第 VIII 因子インヒビター検出、交差混合試験で補正されない パターン(上に凸)を示す  致死率が高いため、疑った時点で PSL 1 mg/kg 投与を開始する  重篤な出血がある場合は、バイパス治療の投与を検討する  遺伝子組換え活性型凝固第 VII 因子製剤  活性型プロトロンビン複合体製剤 14

  • #15.

    Take Home Message  術前 APTT あるいは PT の延長を見た時、まず行うべきは以下の確認 1) 検体採取が適切であったか 2) 抗凝固薬の使用  PT 延長を見た際は、まずビタミン K 欠乏症を考える → その場合、ビタミン K 投与で容易に改善が見込める  成人で比較的頻度の高い凝固異常疾患は、抗リン脂質抗体症候群・ von Willebrand 病・後天性血友病である 15

  • #16.

    参考文献  朝倉英策編著. 臨床に直結する血栓止血学 第2版. 中外医学社. 2018  脇本直樹. “血液疾患もどき”鑑別症例帖. メジカルビュー. 2022.  樋口敬和. 血液検査×総合診療 非血液専門医ジェネラリストのためのBasic & Practical 血液診療. 診断と治療社. 2022.  渡邉純一. 血液内科ただいま診断中!. 中外医学社. 2017. 16

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