テキスト全文
急性腹症のCTにおける基本概念と検査方法
#2. Air 遊離ガス (肺野条件F5を並べて検索する、気胸・後腹膜気腫も一緒に確認)
Bowel 腸管 (腸管拡張:小腸3・結腸6・盲腸9cm以上、先細り像の有無)
Dirty fat 脂肪織濃度上昇 (左右差がないか確認する、加えて腹水などの液体貯留も)
Obturator 閉鎖孔ヘルニア (痩せてる女性の腸閉塞で要注意、鼠径部も確認)
Mune 肺・心臓 (下肺野は肺野条件F5で気胸・胸水を検索、心臓は心嚢水の有無)
Ischemic 腸管虚血 (疑わしければ造影されている腸管と比較、早期後期の比較も)
Nephro 腎臓・尿路 (尿管結石・腎盂拡張の有無を確認、腎梗塞による造影不良領域)
Artery 大動脈・SMA解離/塞栓 (偽腔形成、SMAの分枝が追えるか)
Lady 婦人科疾患 (卵巣の造影不良、周囲の脂肪織濃度上昇があるか) 急性腹症のCT:ABDOMINAL ※腹腔内液体貯留のCT値
腹水:0-15HU 血性腹水:20-40HU 血腫・凝血塊:40-70HU 活動性出血:85-350HU 肺野条件・単純・造影早期・造影後期 並べて読影
4画面モードで[Shift]を押しながら各画面を選択 → スクロールが連動する
患者の既往歴と内服歴の重要性
#3. 77歳 女性 主訴:腹痛・腹部膨満 既往歴
糖尿病性腎症(血液透析導入後)
高血圧症
内服歴
エクア(経口血糖降下薬)
カンデサルタン(ARB)
ランソプラゾール(proton pump inhibitor)
アミティーザ
フェブリク 腹部膨満
全般痛
#5. ※ 既に血液透析を導入されている患者では造影CTを施行して構いません。
以前に使用されていた高浸透圧性造影剤の場合は血管内容量増大に伴う
心不全などのリスクがあり検査後に緊急透析を行われていたようですが、
最近は低浸透圧性造影剤なのでそのようなリスクは少なく、
透析スケジュールは変更不要とされています。 Supplement
腹部CTにおける造影効果の評価
#6. 画像 大量腹水 肺野条件 造影後期 造影早期 単純
#7. 画像 小腸拡張あり 上部小腸は造影効果あり 肺野条件 造影後期 造影早期 単純 強 弱 早期相:強→後期相:弱
#8. 画像 下部小腸は造影効果減弱あり 肺野条件 造影後期 造影早期 単純 強 弱 早期相:弱→後期相:強
閉塞性腸管の造影所見と診断
#9. 画像 造影後期 上部小腸
造影効果が残存 下部小腸
造影効果が減弱
#10. 画像 closed loop Caliver
change 拡張 虚脱 虚脱 拡張
#11. 画像 closed loop Caliver
change 拡張 虚脱 closed loop
絞扼性腸閉塞の診断と手術適応
#13. 診断 緊急手術が必要であったが対応できず近医に緊急搬送。
絞扼性腸閉塞・腸管壊死の診断で大量小腸切除を要した。
#14. Take home message ・絞扼性腸閉塞は造影効果が保たれていても手術適応。
単純CTと造影CT(早期・後期)の“比較“が大切。
・何よりもclosed loopを見つけることが重要。(気力が必要)
①口側の拡張した腸管
②腸管の先細り像(caliver change) ×2
③肛門側の虚脱した腸管
上記を見つければ絞扼起点が近い。
・最低限、大量腹水貯留と小腸拡張は読影できなければならない。