#4.
生体の電解質分布 陽イオン 生体においてKは細胞外には約4 mEq/L、細胞内には約130 mEq/Lの濃度で存在し、ほとんどは細胞内に分布している。
#5.
生体の電解質分布 血漿に存在するKの量は20-25 mmol(750-1000 mg)であり、一回の食事で摂取するKの量程度しか存在していない。 カリウムの体内分布 N Engl J Med. 373:60-72, 2015. 陽イオン
#6.
生体の電解質分布 この大きな膜透過性K+の細胞内:細胞外比は、
神経インパルスの伝達(活動電位)
筋収縮の伝播
心調律の維持
のために必要である。 N Engl J Med. 373:60-72, 2015. 陽イオン カリウムの体内分布 血漿に存在するKの量は20-25 mmol(750-1000 mg)であり、一回の食事で摂取するKの量程度しか存在していない。
#7.
一回の食事分しか血漿中にK+が存在しないということは、食事のKが吸収され血中に入ると血清K+濃度は食後に倍になってしまい、すぐ高K血症になってしまう。
#8.
どうやって、食事のK負荷による血中濃度上昇を抑えているのでしょう? 一回の食事分しか血漿中にK+が存在しないということは、食事のKが吸収され血中に入ると血清K+濃度は食後に倍になってしまい、すぐ高K血症になってしまう。
#9.
Kの恒常性維持機構
#10.
細胞外Kの恒常性維持機構 Annu Rev Physiol. 71:381-401, 2009. 1.食事でKを摂取。 細胞内K+
(~99%) 食後や運動後の取り込み 空腹時や運動中の放出 糸球体での濾過や尿細管での分泌 尿細管での
再吸収 便中に5 mEq/日排泄 尿中に75 mEq/日排泄 食事
80 mEq/日摂取 細胞外K+
70 mEq
(2%) ※食事での摂取量は細胞外に存在するK量とほぼ同じ。
#11.
細胞外Kの恒常性維持機構 Annu Rev Physiol. 71:381-401, 2009. 1.食事でKを摂取。 細胞内K+
(~99%) 食後や運動後の取り込み 空腹時や運動中の放出 糸球体での濾過や尿細管での分泌 尿細管での
再吸収 便中に5 mEq/日排泄 尿中に75 mEq/日排泄 食事
80 mEq/日摂取 細胞外K+
70 mEq
(2%) ※食事での摂取量は細胞外に存在するK量とほぼ同じ。 2.約6%程度が便中に排泄。
#12.
細胞外Kの恒常性維持機構 Annu Rev Physiol. 71:381-401, 2009. 1.食事でKを摂取。 細胞内K+
(~99%) 食後や運動後の取り込み 空腹時や運動中の放出 糸球体での濾過や尿細管での分泌 尿細管での
再吸収 便中に5 mEq/日排泄 尿中に75 mEq/日排泄 食事
80 mEq/日摂取 細胞外K+
70 mEq
(2%) ※食事での摂取量は細胞外に存在するK量とほぼ同じ。 2.約6%程度が便中に排泄。 3.吸収されたKは運動やインスリンなどのホルモンの影響で細胞内に移動し緩衝される。
#13.
細胞外Kの恒常性維持機構 Annu Rev Physiol. 71:381-401, 2009. 1.食事でKを摂取。 細胞内K+
(~99%) 食後や運動後の取り込み 空腹時や運動中の放出 糸球体での濾過や尿細管での分泌 尿細管での
再吸収 便中に5 mEq/日排泄 尿中に75 mEq/日排泄 食事
80 mEq/日摂取 細胞外K+
70 mEq
(2%) ※食事での摂取量は細胞外に存在するK量とほぼ同じ。 2.約6%程度が便中に排泄。 3.吸収されたKは運動やインスリンなどのホルモンの影響で細胞内に移動し緩衝される。 4.空腹時や安静時にじょじょに細胞内から血中にシフトし、腎臓で余分なKが排泄される。
#14.
細胞外Kの恒常性維持機構 Annu Rev Physiol. 71:381-401, 2009. 細胞内K+
(~99%) 食後や運動後の取り込み 空腹時や運動中の放出 糸球体での濾過や尿細管での分泌 尿細管での
再吸収 便中に5 mEq/日排泄 尿中に75 mEq/日排泄 食事
80 mEq/日摂取 細胞外K+
70 mEq
(2%) Medical Physiology, 3rd Edition, Elsevier, 2017. 食事によりわずかにKは上昇するものの、巨大なKのプールである細胞内への移行という緩衝を介して血中濃度の恒常性は保たれている。
#15.
Kの腎での排泄機構
#16.
腎でのK排泄機構 食事に関係なく、糸球体で濾過されたKの90%がヘンレの上行脚までで再吸収される。
K排泄の調整は主に遠位曲尿細管以降のネフロンセグメントで行われる。 N Engl J Med. 372:1349-58, 2015. Distal convoluted tuble
#17.
腎でのK排泄機構 Kidney Int. 97:42-61, 2020. DCT:遠位曲尿細管、CD:集合管、NCC:Na-Cl共輸送体、ENaC:上皮型Naチャネル 遠位ネフロンの模式図 細胞基底側膜でのNa-K ATPaseによる細胞内へのKの流入。 Ⅰ ※インスリンとアルドステロンはNa-K ATPase機能を亢進させる。
#18.
腎でのK排泄機構 Kidney Int. 97:42-61, 2020. 遠位ネフロンの模式図 細胞基底側膜でのNa-K ATPaseによる細胞内へのKの流入。 上皮型Naチャネル(ENaC)を介した尿細管からのNa+の再吸収
Ⅱ Ⅰ DCT:遠位曲尿細管、CD:集合管、NCC:Na-Cl共輸送体、ENaC:上皮型Naチャネル
#19.
腎でのK排泄機構 Kidney Int. 97:42-61, 2020. 遠位ネフロンの模式図 細胞基底側膜でのNa-K ATPaseによる細胞内へのKの流入。 上皮型Naチャネル(ENaC)を介した尿細管からのNa+の再吸収
Ⅱ Ⅰ Na+の尿細管から細胞内の移動により尿細管内に陰性起電が発生する。 DCT:遠位曲尿細管、CD:集合管、NCC:Na-Cl共輸送体、ENaC:上皮型Naチャネル
#20.
腎でのK排泄機構 Kidney Int. 97:42-61, 2020. 遠位ネフロンの模式図 細胞基底側膜でのNa-K ATPaseによる細胞内へのKの流入。 上皮型Naチャネル(ENaC)を介した尿細管からのNa+の再吸収
Ⅱ Ⅰ Na+の尿細管から細胞内の移動により尿細管内に陰性起電が発生する。 この管腔内の陰性起電を駆動力としてK+が尿細管内に排泄される。 DCT:遠位曲尿細管、CD:集合管、NCC:Na-Cl共輸送体、ENaC:上皮型Naチャネル
#21.
腎でのK排泄機構 Kidney Int. 97:42-61, 2020. 遠位ネフロンの模式図 細胞基底側膜でのNa-K ATPaseによる細胞内へのKの流入。 上皮型Naチャネル(ENaC)を介した尿細管からのNa+の再吸収
Ⅱ Ⅰ Na+の尿細管から細胞内の移動により尿細管内に陰性起電が発生する。 この管腔内の陰性起電を駆動力としてK+が尿細管内に排泄される。 Ⅱが亢進する影響として、
①アルドステロン
②遠位尿細管内のNa+流入量増加がある。 DCT:遠位曲尿細管、CD:集合管、NCC:Na-Cl共輸送体、ENaC:上皮型Naチャネル
#22.
Kの排泄調節機構
#23.
K摂取によるK排泄機構 Annu Rev Physiol. 71:381-401, 2009. 血中K濃度が上昇した場合、アルドステロンなどのFeedback機構が働き、K排泄を促す。
#24.
K摂取によるK排泄機構 Annu Rev Physiol. 71:381-401, 2009. 再掲 しかし、食事でのK上昇はわずかであり、高カリウム血症をきたす前に細胞内への移行やKの排泄は実際には始まっている。
#25.
K摂取によるK排泄機構 Annu Rev Physiol. 71:381-401, 2009. 食事によるK負荷では、食物中に含まれるKが吸収されると、腸管でKの再吸収を感知して素早く腎でのK排泄が始まる。
※これをFeedforward controlという。 再掲
#26.
K摂取によるK排泄機構 Annu Rev Physiol. 71:381-401, 2009. 再掲 この食事に反応した腎でのK排泄は、血清Kの上昇とは独立した機序で行われる。
門脈でのK上昇を感知したり、グルカゴンを介した機序が説明されているが、詳しい機序は不明。
食事によるK負荷では、食物中に含まれるKが吸収されると、腸管でKの再吸収を感知して素早く腎でのK排泄が始まる。
※これをFeedforward controlという。
#27.
食事のK負荷による尿中排泄はどのように行われるのでしょう?
#28.
K摂取によるK排泄機構 遠位ネフロンに存在するENaCの阻害薬であるアミロライドを投与した群としない群を比較してK摂取による血清K濃度と尿中カリウム排泄量を調べた。 Kidney Int. 97:42-61, 2020.
#29.
K摂取によるK排泄機構 Am J Physiol Regul Integr Comp Physiol. 301: R421–R429, 2011. ① ② ① ② ① 1%K食 + アミロライド ②1%K食 遠位ネフロンに存在するENaCの阻害薬であるアミロライドを投与した群としない群を比較してK摂取による血清K濃度と尿中カリウム排泄量を調べた。 血清K濃度 (mM) 尿中K排泄 (μmol/hr) Kidney Int. 97:42-61, 2020. アミロライドと一緒に高K食を投与した群では、血清K濃度が上昇し、尿中K排泄増加がみられなくなっていた。
#30.
K摂取によるK排泄機構 遠位ネフロンに存在するENaCの阻害薬であるアミロライドを投与した群としない群を比較してK摂取による血清K濃度と尿中カリウム排泄量を調べた。
K摂取によるK排泄亢進は、最終的には遠位ネフロンのENaCを介した機構で行われる。 Kidney Int. 97:42-61, 2020. Am J Physiol Regul Integr Comp Physiol. 301: R421–R429, 2011. ① ② ① ② ① 1%K食 + アミロライド ②1%K食 血清K濃度 (mM) 尿中K排泄 (μmol/hr)
#31.
K摂取によるK排泄機構 K摂取により、WNK-SPAKのNCC活性化経路が抑制されることにより、遠位曲尿細管でのNa+吸収が抑制される。
集合管へ届くNa+が増加し、ENaCを介したNa+の再吸収が増加。
尿細管の電気的陰性荷電を起動力として
K+排泄が増加する。 Kidney Int. 97:42-61, 2020. I. NCCを介した経路
#32.
K摂取によるK排泄機構 K摂取により、WNK-SPAKのNCC活性化経路が抑制されることにより、遠位曲尿細管でのNa+吸収が抑制される。
集合管へ届くNa+が増加し、ENaCを介したNa+の再吸収が増加する。
尿細管の電気的陰性荷電を起動力として
K+排泄が増加。 Kidney Int. 97:42-61, 2020. K摂取によりアルドステロンが亢進する。
アルドステロン亢進はENaC発現を増加させ、 ENaCを介したNa+の再吸収が増加させる。
同上 I. NCCを介した経路 II. アルドステロンを介した経路 この二つが腎でのK排泄亢進の中心的な機序と考えられる。
#33.
K摂取によるK恒常性維持まとめ Pflugers Arch. 474:853-867, 2022.
#34.
K摂取の生体への影響
#35.
カリウム負荷の限界は? Kidney Int. 38:942-7, 1990. Plasma K Aldosterone Urine K 6人の健康なボランティアに100 mmol/日のKを摂取してもらったのち、400 mmol/日の食事を20日間摂取した。
[mEq/L] [pmol/L] [mmol/day]
#36.
カリウム負荷の限界は? Kidney Int. 38:942-7, 1990. Plasma K Aldosterone Urine K [mEq/L] [pmol/L] [mmol/day] 6人の健康なボランティアに100 mmol/日のKを摂取してもらったのち、400 mmol/日の食事を20日間摂取した。
尿中のK排泄は2日で300 mmolを越えて増加、20日目にはほぼ400 mmol近くに達している。
#37.
カリウム負荷の限界は? Kidney Int. 38:942-7, 1990. Plasma K Aldosterone Urine K 6人の健康なボランティアに100 mmol/日のKを摂取してもらったのち、400 mmol/日の食事を20日間摂取した。
尿中のK排泄は2日で300 mmolを越えて増加、20日目にはほぼ400 mmol近くに達している。
血液中のK濃度はBaselineの3.75⇒4.22とわずかな上昇に留まっていた。 [mEq/L] [pmol/L] [mmol/day] Urine K 排泄が正常であれば、基本的に経口によるK負荷では高K血症にはならない。
#38.
排泄正常でもK摂取により高K血症になる場合 例外として報告されているのは塩化カリウムの過量服薬である1)。
腎機能正常でK排泄障害をきたす薬剤の内服もないが、塩化カリウム徐放性製剤の大量内服により、K:11.6 mEq/LとなりPCPSを施行し救命された症例報告がある。
塩化カリウムはカリウムのイオン毒性と溶解後の高浸透圧により粘膜障害を引き起こすため胃粘膜障害にも注意が必要となる。 1) JJAAM. 23: 799-80, 2012.
#39.
カリウム摂取と生体への影響 1)WHO. Guideline: potassium intake for adults and children. 2012. 2)BMJ. 346: f1378, 2013.
3)Mayo Clin Proc. 91:496-508, 2016. 4) Kidney Int. 86:1205-12, 2014. 5) N Engl J Med. 371:612-23, 2014. 世界保健機関はカリウムの摂取量を成人には1日あたり3,510mg以上と提案している.1)
摂取を推奨する理由は、カリウム摂取により様々な健康上のメリットがあるためである。 収縮期血圧低下 ~5 mmHg2) 脳卒中の
リスク 24%低減2) 全死亡率の
低下5) 骨粗しょう症予防3) 腎結石のリスク低減3) CKD進行抑制4)
#40.
カリウム摂取と生体への影響 1)WHO. Guideline: potassium intake for adults and children. 2012. 2)BMJ. 346: f1378, 2013.
3)Mayo Clin Proc. 91:496-508, 2016. 4) Kidney Int. 86:1205-12, 2014. 5) N Engl J Med. 371:612-23, 2014. 世界保健機関はカリウムの摂取量を成人には1日あたり3,510mg以上と提案している.1)
摂取を推奨する理由は、カリウム摂取により様々な健康上のメリットがあるためである。 収縮期血圧低下 ~5 mmHg2) 脳卒中の
リスク 24%低減2) 全死亡率の
低下5) 骨粗しょう症予防3) 腎結石のリスク低減3) CKD進行抑制4) 高血圧とK摂取に関して少し詳しく紹介します。
#41.
カリウム摂取と血圧への影響 カリウム摂取量と血圧変化の関係のメタアナリシスが2020年に報告されている。 J Am Heart Assoc. 9:e015719, 2020. 90 mmol/day(WHO推奨の約3500 mg)をRefとして、K摂取量が少ないほど血圧は上昇している。
興味深いことに取りすぎても血圧は上がってしまうよう。
#42.
カリウム摂取と血圧への影響 J Am Heart Assoc. 9:e015719, 2020. 高血圧の人ほど、よりK摂取量減少による血圧上昇は顕著であった。
ほかにNa摂取量が多い人ほどK摂取による血圧低下作用は大きく出ていた。
#43.
血清K値と予後 背景疾患 Am J Nephrol. 46: 213-221, 2017.より改変 アメリカの電子医療記録ネットワークを利用した解析で約90万人が解析対象。平均年齢は57.4歳、58%が女性。18か月間での全死亡率をカリウムの値、および併存疾患別に解析した結果。
#44.
血清K値と予後 背景疾患 Am J Nephrol. 46: 213-221, 2017.より改変 アメリカの電子医療記録ネットワークを利用した解析で約90万人が解析対象。平均年齢は57.4歳、58%が女性。18か月間での全死亡率をカリウムの値、および併存疾患別に解析した結果。 カリウムを摂取することは生体にメリットがあるが、あくまで血清カリウムが正常範囲のはなし。
血清カリウム濃度が低値でも高値でも死亡率は上昇し、さらに心不全やCKD、糖尿病の因子があると死亡率の上昇は増加する。
#45.
高K血症に出会ったら
#46.
腎機能が正常かつ薬剤性の要素がない場合,偽性 (溶血、血小板増多(60万/μL以上))が多い. 腎障害の進行と高K血症(K > 5.5 mEq/L)の頻度・相対危険度 ただし
偽性が否定されるまでは本物として扱う 高K血症の真偽 ※血小板増多によるものを疑う場合はヘパリンLi採血管での検査を行うと真の値が出る。経験的にはPlt 80万/mLくらいで0.5 mEq/L程度上昇する印象。 本物の場合は消化管出血,横紋筋融解症,腫瘍崩壊症候群などが多い.
#47.
高K 低K 通常 60代男性透析患者.下肢の脱力を主訴に来院し来院直後に急変.
血圧 70/40 mmHg,K 9.8 mEq/L! 高K血症の心電図変化
#48.
腎不全・透析患者のカリウム制限量は1500mg/日
(K 1500 mg ≒ 40 mEq) 透析3時間後 原因 原因は野菜ジュース・・・ ※他にピーナッツ1袋食べて緊急HDになったCKD患者さんの経験もあります・・・。
#49.
① 再検を提出.
② 心電図変化があれば①の結果を待たず以下を開始
・カルチコール5 ml 2A + NS 50 ml を5分でdiv
・5分以内に心電図が改善しない場合 同量を再投与
③ GI療法を開始 ※血糖測定を忘れないこと
・50%Glu2A(40 ml)+5%Glu50 ml + HuR 5 U 10分でdiv
希釈せずゆっくりivでも可
効果は2-3分で現れ30-60分持続 希釈せずにivでも可.効果は10-20分で現れ、30-60分で効果のピーク、4-6時間持続
だいたい0.5-1.2 mEq/L の低下
BS 300 mg/dl 以上の場合は、インスリンのみでもよい。
・ その後低血糖予防のため10%Glu 500 ml 100 ml/hr 高K血症の治療の流れ ※当院では看護師がivできないのでdivで行うメニューにしています。
#50.
④ K排泄を促す(効果が出るまで数時間).
・フロセミド 20~100 mg + 5%Glu 50 ml div
・アシドーシスであればメイロン(8.4%) 20 ml メイン混注div
・ロケルマ5 g 2P内服 1日3回2日間で1.3 mEq/L低下する。
・透析患者の場合は透析するしかない。
⑤ 緊急血液透析
・3-5時間の血液透析で40-120 mmolのK+が抜ける。
・1時間の血液透析で1.2-1.5 mEq/L程度の低下が期待できる。
・準備に時間がかかる。
⑥ 原因検索 高K血症の治療の流れ
#51.
④ K排泄を促す(効果が出るまで数時間).
・フロセミド 20~100 mg + 5%Glu 50 ml div
・アシドーシスであればメイロン(8.4%) 20 ml メイン混注div
・ロケルマ5 g 2P内服 1日3回2日間で1.3 mEq/L低下する。
・透析患者の場合は透析するしかない
⑤ 緊急血液透析
・3-5時間の血液透析で40-120 mmolのK+が抜ける。
・1時間の血液透析で1.2-1.5 mEq/L程度の低下が期待できる。
・準備に時間がかかる。
⑥ 原因検索 高K血症の治療の流れ ロケルマの登場により、急性期の高K血症の治療は大きく変わり、緊急透析の必要性がだいぶ減ることになった。理由はそのK低下までの時間が早いことと、低下作用が強いことが挙げられる。 ※添付文書上は緊急の治療を要する高K血症は使用禁止になっているが、実臨床では使用されている。
#52.
2時間後には約0.5 mEq/L低下している! ロケルマによるK低下作用
#53.
ロケルマによるK低下作用 ただ2時間で0.5 mEq/L、24時間で0.8 mEq/L程度なので、これでしのげるかどうかが緊急HDが必要かどうかの判断基準の一つになる。 2時間後には約0.5 mEq/L低下している!
#54.
高K血症の原因
#55.
高K血症の原因 腫瘍崩壊症候群
呼吸性アシドーシス
Crush症候群
βブロッカー
インスリン不足
高浸透圧
細胞内からのシフト アルドステロン分泌低下
アルドステロン作用低下
急性or慢性腎不全
有効循環血漿量低下
Gordon症候群
回腸導管
尿中K排泄低下 400 mmol(15,640 mg)/日の食事でも高K血症を来さないことから、K排泄が正常で、細胞内からのシフトを除けば高K血症を起こすことはまれであるといえる。
#56.
高K血症の原因 400 mmol(15,640 mg)/日の食事でも高K血症を来さないことから、K排泄が正常で、細胞内からのシフトを除けば高K血症を起こすことはまれであるといえる。 腫瘍崩壊症候群
呼吸性アシドーシス
Crush症候群
βブロッカー
インスリン不足
高浸透圧
細胞内からのシフト アルドステロン分泌低下
アルドステロン作用低下
急性or慢性腎不全
有効循環血漿量低下
Gordon症候群
回腸導管
尿中K排泄低下 日常的には慢性腎不全患者、およびACE阻害薬、ARB、MR阻害薬使用による高K血症に遭遇することが多い。
#57.
ガイドラインとRAS阻害薬
#58.
ガイドラインでのRAS阻害薬の位置づけ 2021年 JCS/JHFS ガイドライン フォーカスアップデート版
急性・慢性心不全診療 EFが35~40%未満のHFrEF患者において、ACE阻害薬/ARBとβ遮断薬とMR拮抗薬が推奨されている。
EFが40~50%のHFmrEFの症例では個別に判断となっているがHFrEFで推奨されている薬剤のエビデンスが出現してきている。
#59.
ガイドラインでのRAS阻害薬の位置づけ ■CKD診療ガイドライン2023 (75歳未満のCKD患者での推奨降圧薬) 75歳未満のCKD患者での降圧治療薬の第一選択としてステージによらずACE阻害薬、ARBが挙げられている。 ※75歳以上では長期予後を考慮する必要性が少なくなり、副作用出現頻度が高くなり、認知状況、健康状態も幅広いなどの理由からCa拮抗薬が推奨されている。
#60.
ガイドラインでのRAS阻害薬の位置づけ ■CKD診療ガイドライン2023 (75歳未満のCKD患者での推奨降圧薬) 75歳未満のCKD患者での降圧治療薬の第一選択としてステージによらずACE阻害薬、ARBが挙げられている。 ※75歳以上では長期予後を考慮する必要性が少なくなり、副作用出現頻度が高くなり、認知状況、健康状態も幅広いなどの理由からCa拮抗薬が推奨されている。 心不全で治療薬として推奨されているMR拮抗薬はCKDにはどうか?
#61.
MR拮抗薬とCKD 48か国の多施設で行われたに二重盲検比較試験。糖尿病性腎臓病によるCKD患者を対象にFinerenone(MR拮抗薬, n = 3686)とPlacebo(n = 3666)を投与して比較した試験。 ※Primary composite outcome;心血管死、非致死的心筋梗塞、非致死的脳卒中、心不全による入院 主要心血管イベントはFinerenone群で有意に低下が認められた。
副次エンドポイントでもESRDへの進展、eGFR低下、尿中アルブミンなどの項目でもFinerenoneで有意に低下が認められた。 N Engl J Med. 385:2252-63, 2021.
#62.
MR拮抗薬とCKD 48か国の多施設で行われたに二重盲検比較試験。糖尿病性腎臓病によるCKD患者を対象にFinerenone(MR拮抗薬, n = 3686)とPlacebo(n = 3666)を投与して比較した試験。 ※Primary composite outcome;心血管死、非致死的心筋梗塞、非致死的脳卒中、心不全による入院 主要心血管イベントはFinerenone群で有意に低下が認められた。
副次エンドポイントでもESRDへの進展、eGFR低下、尿中アルブミンなどの項目でもFinerenoneで有意に低下が認められた。 N Engl J Med. 385:2252-63, 2021. 糖尿病合併CKDでは2022年からMR拮抗薬(ケレンディア®)は腎保護効果が認められ、保険適応が認められている。
#63.
臨床でのRAS阻害薬使用の実際
#64.
基礎疾患別での高K血症の割合 Clin Kidney J. 15(4):727-737, 2021.
#65.
基礎疾患別での高K血症の割合 Clin Kidney J. 15(4):727-737, 2021. N Engl J Med. 385:2252-63, 2021. RAS阻害薬使用が推奨されるような糖尿病、心不全、AKI、透析患者、透析導入前のCKD患者では、高カリウム血症を合併している割合が高くなっている。とくに腎不全患者ではやはり頻度が非常に高い。
#66.
高K血症でのRAS阻害薬使用量の変化 アメリカの電子医療記録ネットワークを利用した解析で約22万人が解析対象。
平均年齢は62.5歳、53%が女性。
高カリウム血症が発生した前後のRAS阻害薬使用変化を調べたもの。 Am J Manag Care. 21(11 Suppl):S212-20, 2015. 約半数近くは高K血症により、RAS阻害薬は減量もしくは中止されていた。 N Engl J Med. 385:2252-63, 2021.
#67.
高K血症でのRAS阻害薬使用量の変化 アメリカの電子医療記録ネットワークを利用した解析で約22万人が解析対象。
平均年齢は62.5歳、53%が女性。
高カリウム血症が発生した前後のRAS阻害薬使用変化を調べたもの。 Am J Manag Care. 21(11 Suppl):S212-20, 2015. 約半数近くは高K血症により、RAS阻害薬は減量もしくは中止されていた。 N Engl J Med. 385:2252-63, 2021. 減量することでRAS阻害薬使用の利点はどうなるのか?
少しでも飲んでいれば効果が得られるのだろうか?
#68.
RAS阻害薬使用量と死亡率 Am J Manag Care. 21(11 Suppl):S212-20, 2015. 平均フォロー期間3.4年間での全死亡率をRAS阻害薬使用量と併存疾患別に解析した結果。 ※AKI、CKD stage G5は除外 全死亡率
#69.
RAS阻害薬使用量と死亡率 Am J Manag Care. 21(11 Suppl):S212-20, 2015. 平均フォロー期間3.4年間での全死亡率をRAS阻害薬使用量と併存疾患別に解析した結果。 ※AKI、CKD stage G5は除外 全死亡率 ARBによる全死亡率の抑制効果は、用量に依存している。
したがってARBのメリットを最大限発揮するには最大投与量が望ましいことになる。 ※その分AKIや高Kなどの副作用も増えていくため、高齢者や動脈硬化が強いような症例では慎重に段階的に増量していくことが必要です。忍容性があるなら最大投与量を目指す。
#70.
K吸着薬を使用してのRAS害薬使用 英国国立医療技術評価機構(NICE) のGuidanceにロケルマ使用が推奨されるケースとして、
CKD stage G3b以上もしくは心不全で高カリウム血症が持続し、高カリウム血症のために適切な量のRAS阻害薬が使用できない場合
を挙げている。
#71.
K吸着薬を使用してのRAS害薬使用 英国国立医療技術評価機構(NICE) のGuidanceにロケルマ使用が推奨されるケースとして、
CKD stage G3b以上もしくは心不全で高カリウム血症が持続し、高カリウム血症のために適切な量のRAS阻害薬が使用できない場合
を挙げている。 高K血症の副作用のみの問題でRAS阻害薬を減量/中止しなければならないのであれば、経口カリウム吸着剤を使用してKをコントロールしつつRAS阻害薬を継続することの方がメリットが得られる。 ※これはまだスタンダートな考え方ではない可能性がありますが、カリウム吸着薬の忍容性(ポリマー製剤なら便秘、ロケルマなら価格)があるなら推奨できると思っています。
#72.
高K血症を発症しやすく、あまり腎機能に余裕のない進行したCKDでARBは安全に使用できるのか?
#73.
進行したCKDでのRAS阻害薬使用
#74.
進行したCKDでのRAS阻害薬使用 Nephrol Dial Transplant. 25(12):3977-82, 2010. 進行したCKD患者52例でACEi/ARBを中止にして経過をみた論文 ACEi/ARB中止1年前 ACEi/ARB中止時 ACEi/ARB中止1年後
#75.
Nephrol Dial Transplant. 25(12):3977-82, 2010. 進行したCKD患者52例でACEi/ARBを中止にして経過をみた論文 ACEi/ARB中止1年前 ACEi/ARB中止時 ACEi/ARB中止1年後 小規模の研究であるがARB中止によりeGFRは回復している症例も多く、進行したCKDでACE阻害薬、ARBを継続していていいのだろうか?
進行したCKDでのRAS阻害薬使用
#76.
J Am Soc Nephrol. 32:424-435, 2021. スウェーデンの腎不全レジストリのデータベースを使用した観察研究。eGFR <30 の10,254人が解析対象となった。平均72歳 女性35% 5年後までのOutcome発生率 ※KRT; 腎代替療法 全死亡率、主要心血管イベントはRAS阻害薬中止群で上昇したものの、
腎代替療法導入に関してはRAS阻害薬中止群で低下していた。 進行したCKDでのRAS阻害薬使用
#77.
J Am Soc Nephrol. 32:424-435, 2021. スウェーデンの腎不全レジストリのデータベースを使用した観察研究。eGFR <30 の10,254人が解析対象となった。平均72歳 女性35% 5年後までのOutcome発生率 ※KRT; 腎代替療法 全死亡率、主要心血管イベントはRAS阻害薬中止群で上昇したものの、
腎代替療法導入に関してはRAS阻害薬中止群で低下していた。 大規模の研究であるが後ろ向き研究である。進行したCKDでのACEi/ARB使用のメリット・デメリットをはっきりさせるためには大規模の前向き研究が必要。という空気が強まっていった。 進行したCKDでのRAS阻害薬使用
#78.
イギリスでCKD G4もしくはG5の進行したCKDでACE阻害薬もしくはARBを使用している410名を1:1に振り分け、RAS阻害薬継続した群と中止した群 1:1に振り分け3年間に渡って検証する大規模なRCTが行われた。(STOP-ACEi trial) N Engl J Med. 387:2021-2032, 2022. 進行したCKDでのRAS阻害薬使用
#79.
イギリスでCKD G4もしくはG5の進行したCKDでACE阻害薬もしくはARBを使用している410名を1:1に振り分け、RAS阻害薬継続した群と中止した群 1:1に振り分け3年間に渡って検証する大規模なRCTが行われた。(STOP-ACEi trial) N Engl J Med. 387:2021-2032, 2022. eGFRの低下には有意が認められなかった。 進行したCKDでのRAS阻害薬使用
#80.
イギリスでCKD G4もしくはG5の進行したCKDでACE阻害薬もしくはARBを使用している410名を1:1に振り分け、RAS阻害薬継続した群と中止した群 1:1に振り分け3年間に渡って検証する大規模なRCTが行われた。(STOP-ACEi trial) N Engl J Med. 387:2021-2032, 2022. eGFRの低下には有意が認められなかった。 また全死亡率にも有意差は認められなかった。
このことから、進行したCKDで中止するべきという根拠はないということになった。
※心血管イベントは中止群で108件、継続群で88件と継続群で低い傾向にあったが統計上のpowerがないため検定はされていない。 進行したCKDでのRAS阻害薬使用
#81.
CKDでのK摂取制限は基本的にはStage 3bから開始し、3aまでは一律では推奨されない。理由としてはKが豊富に含まれる果物や野菜など食材を制限することは有害となり得るからである。
以前考えられていたほど食事からのカリウム摂取量と血清カリウム値の相関が高くないことが近年判明しつつある1)。また野菜摂取やナッツの摂取がCKD進行抑制と関連していた報告2)や、透析患者でも野菜や果物摂取が全死亡率低下と関連していた報告3)があり、今後はCKD患者での野菜や果物制限の常識が変わる可能性がある。 CKDでのK摂取制限 1) Nutrients. 16:3, 2023. 2) Am J Kidney Dis. 77:235-244, 2021. 3) Clin J Am Soc Nephrol. 16:1851-1861, 2021.
#82.
加工食品や動物性の食材はK吸収率が高く、植物性の食材はK吸収率が低い。また湯がくことで含まれるKを減らすことができる。動物性や加工食品を上手に減らし、植物性の食材は健康上有益なためなるべく減らさずに済むように栄養指導を行うことが望ましい。 CKDでのK摂取制限 KDIGO 2024 CKD guideline
#83.
おわりに K摂取によっても、細胞内外のKシフトと腎でのK排泄により血液中K濃度は厳密にコントロールされている。
K摂取量が多いと、血圧低下や脳卒中発症低下などの有益な効果が期待されるが、血清Kが上昇した場合は予後不良となる。
高K血症のリスクとなるのは、RAS阻害薬使用や心不全、慢性腎不全などの基礎疾患が挙げられる。
RAS阻害薬は心不全、腎不全において、高カリウム血症を発症した場合でもカリウム吸着薬を使用して継続投与することが検討される。
進行したCKDにおいて、RAS阻害薬使用に関しては副作用には注意しつつ、継続する方向となっている。