#4.
導⼊ 症例 ネフローゼ症候群について ネフローゼ症候群 ● ネフローゼ症候群は尿に蛋白がたくさん出る(大量の糸球体性蛋白尿)ために、低ア ルブミン血症や浮腫が出現する腎疾患群である. ● 成人ネフローゼ症候群の診断基準は、尿蛋白3.5g/日以上(随時尿において尿蛋白/ 尿Cre比が3.5g/gCr以上の場合もこれに準ずる)が継続し、血清アルブミン値が 3.0g/dL 以下に低下することである. ● ネフローゼ症候群のうち、糖尿病などの全身性疾患が原因でネフローゼ症候群をき たすものを二次性ネフローゼ症候群といい、明らかな原因疾患がないものが一次性 ネフローゼ症候群である. 難病情報センターHP. ネフローゼ症候群の概要、診断基準等 解説
#5.
導⼊ 症例 解説 症例:59歳 女性 確定診断名(主な病名および副病名) 1. ネフローゼ症候群 2. シェーグレン症候群 【主訴】 浮腫 【現病歴】 入院7年前よりシェーグレン症候群で当院リウマチ科外来フォローをしていたが,眼と口の乾き以外 に特記すべき所見はなかった. 入院2ヶ月前に下腿浮腫が出現し,尿蛋白定量3.38g/gCreを認めたため当科に紹介となり入院1ヶ 月前に腎生検を施行した. 微小変化型ネフローゼ症候群の診断でステロイド加療目的に当科入院となった. 【既往歴】 シェーグレン症候群,高血圧 【家族歴】 特記すべき事項はない 【生活社会歴】 ADLは自立,夫と息子と3人暮らし
#6.
導⼊ 主な⼊院時現症 身体所見 意識 E4V5M6 体温 36.5 ℃ 血圧・脈拍 SpO2・呼吸数 眼瞼・結膜 胸部 146/96 mmHg, 89/分 (整) SpO2 96 %(自発呼吸, room air), 呼吸数 16/分 眼瞼結膜に貧血を認めない,眼球結膜に黄疸を認めない 心音: 心雑音を認めない 呼吸音: 整. cracklesやwheezesを認めない 上下肢に皮疹を認めない. 四肢 下腿に紫斑を認めない. 両下腿に軽度の浮腫を認める. 運動障害や感覚障害を認めない. 症例 解説
#7.
導⼊ 症例 解説 ⾎液検査成績 生化学 血算・凝固 WBC: 3200 /μL TP: 7.0 g/dL LDL-C: 150 mg/dL RBC: 393万 /μL Alb: 2.2 g/dL IgG: 1869 IU/L Hb: 11.5 g/dL AST: 22 IU/L IgA: 362 IU/L Ht: 34.5 % ALT: 16 IU/L IgM: 93 IU/L MCV: 87.8 fl γ-GTP: 47 IU/L FT4: 1.00 ng/dL Plt: 19.1万 /μL LDH: 215 IU/L TSH: 1.61 μIU/mL PT‐INR: 0.89 T-Bil: 0.3 mg/dL APTT: 29 sec BUN 13 mg/dL C3: 76 mg/dL Cr: 0.58 mg/dL C4: 34 mg/dL CK: 73 U/L Na: 138 mEq/L K: 3.8 mEq/L Cl: 105 mEq/L CRP: 0.04 mg/dL
#8.
導⼊ 症例 解説 その他の検査成績 免疫学的検査 尿所見 抗好中球細胞質抗体 (MPO-ANCA): (−) 抗好中球細胞質抗体 (PR3-ANCA): (−) 抗糸球体基底膜抗体: (−) 尿蛋白: 2+ 尿潜血: 1+ 随時尿蛋白定量: 9.06 g/gCre \内科専門医が補足/内科専門医試験こぼれ話 微小変化型の場合、高度の蛋白尿 (膜性腎症や腎炎型ネフローゼより高度)
#9.
導⼊ 画像検査所⾒‧腎⽣検所⾒ 画像所見 心電図 ● 正常範囲内. 胸腹部CT ● 特記すべき所見を認めない 腎生検所見 ● 光学顕微鏡・蛍光抗体法ともに特記すべき所見を認めない. ● 電子顕微鏡で広範な上皮細胞足突起の癒合を認める. \内科専門医が補足/内科専門医試験こぼれ話 ・光学顕微鏡では糸球体の基本構造は正常 ・電子顕微鏡での上皮細胞足突起の消失は有名である 症例 解説
#10.
導⼊ 症例 解説 治療経過 1 ● #1. ネフローゼ症候群 微小変化型ネフローゼ症候群に対してプレドニゾロン50mg(1mg/kg/日)で治療を開始した. ● 徐々に蛋白尿は減少し,入院11日目には完全寛解レベルに達し,下腿浮腫も改善傾向にあった. ● そのため,寛解が得られてからプレドニゾロンの量を1週間に5mgずつ減量した. ● また,同時にニューモシスチス肺炎予防のST合剤や骨粗鬆症予防のビスホスホネートなど各種ステロイド副作 用対策も同時進行で行った. ● 寛解維持しており,プレドニゾロン30mgまで減量でき,ステロイドの副作用も認められなかったため自宅退院・ 当科外来フォローとした. \内科専門医が補足/内科専門医試験こぼれ話 退院時処方 ● ● ● ● ● ● ランソプラゾール15mg/日 テルミサルタン40mg/日 スルファメトキサゾール200mg/日 トリメトプリム 40mg/日 プレドニゾロン30mg/日 アレンドロン酸35mg/週 ・第一選択はプレドニゾロン40~60mg/日より長期漸減 ・初期では小児90%以上,成人60~90%の寛解率 ・免疫抑制剤(シクロスポリン,ミゾリビン)の併用も有効
#11.
導⼊ 症例 解説 ネフローゼの診断基準 成人ネフローゼの診断基準(厚生労働省) 1. 蛋白尿:3.5 g/日以上が持続する. (随時尿において尿蛋白・クレアチニン比が 3.5 g/gCr 以上 の場合もこれに準ずる) 2. 低アルブミン血症:血清アルブミン値 3.0 g/dL 以下.血清総蛋白量 6.0 g/dL 以下も参考になる. 3. 浮腫. 4. 脂質異常症(高 LDL コレステロール血症). 注: 1)上記の尿蛋白量,低アルブミン血症(低蛋白血症)の両所見を認めることが本症候群の診断の必須条件である. 2)浮腫は本症候群の必須条件ではないが,重要な所見である. 3)脂質異常症は本症候群の必須条件ではない. 4)卵円形脂肪体は本症候群の診断の参考となる. 参考:小児ネフローゼの診断基準(日本小児腎臓病学会 小児一次性ネフ ローゼ症候群薬物治療ガイドライン) ・高度蛋白尿(夜間蓄尿で 40 mg/hr/m2 以上)または 早朝尿で尿蛋白・クレアチニン比 2.0 g/gCr 以上 かつ ・低アルブミン血症(血清アルブミン 2.5 g/dL 以下) エビデンスに基づくネフローゼ症候群診療ガイドライン2020. 厚生労働省難治性疾患克服研究事業進行性腎障害に関する 調査研究班 難治性ネフローゼ症候群分科会.ネフローゼ 症候群診療指針.日腎会誌 2011;53:79—122.
#12.
導⼊ 症例 解説 ネフローゼの治療効果判定基準・治療反応による分類 ネフローゼ症候群の治療効果判定基準 治療効果の判定は治療開始後 1 カ月,6 カ月の尿蛋白量定量で行う. ・完全寛解 : 尿蛋白 < 0.3 g/日 ・不完全寛解Ⅰ型: 0.3 g/日 ≦ 尿蛋白 < 1.0 g/日 ・不完全寛解Ⅱ型: 1.0 g/日 ≦ 尿蛋白 < 3.5 g/日 ・無効 注: 1. 2. 3. 4. : 尿蛋白 ≧ 3.5 g/日 ネフローゼ症候群の診断・治療効果判定は 24時間蓄尿により判断すべきであるが,蓄尿ができない場合には,随時尿の尿蛋白・クレアチニン 比(g/gCr)を使用してもよい. 6 カ月の時点で完全寛解,不完全寛解Ⅰ型の判定には,原則と して臨床症状および血清蛋白の改善を含める. 再発は完全寛解から,尿蛋白 1 g/日(1 g/gCr)以上,または (2+)以上の尿蛋白が 2~3 回持続する場合とする. 欧米においては,部分寛解 (partial remission)として尿蛋白の 50%以上の減少と定義することもあるが日本の判定基準には含めない. ネフローゼ症候群の治療反応による分類 ・ステロイド抵抗性ネフローゼ症候群:十分量のステロイドのみで治療して1カ月後の判定で完全寛解または不完全寛解Ⅰ型に至らない場合とする. ・難治性ネフローゼ症候群: ステロイドと免疫抑制薬を含む種々の治療を6カ月行って も,完全寛解または不完全寛解Ⅰ型に至らないものとする. ・ステロイド依存性ネフローゼ症候群:ステロイドを減量または中止後再発を2回以上繰り返すた め,ステロイドを中止できない場合とする. ・頻回再発型ネフローゼ症候群:6 カ月間に2回以上再発する場合とする. ・長期治療依存型ネフローゼ症候群:2年間以上継続してステロイド,免疫抑制薬などで治療されている場合とする. エビデンスに基づくネフローゼ症候群診療ガイドライン2020.
#13.
導⼊ 症例 解説 一次性・二次性ネフローゼ症候群を呈する疾患 一次性ネフローゼ症候群 a b c d 微小変化型ネフローゼ症候群 巣状分節性糸球体硬化症 膜性腎症 増殖性糸球体腎炎:メサンギウム増殖性糸球体腎炎 (IgA腎症を含む),管内増殖性糸球体腎炎,膜性増殖性糸球体腎炎, 半月体形成性 (壊死性)糸球体腎炎 注: 二次性ネフローゼ症候群 a b c d e f g h i 自己免疫疾患:ループス腎炎,紫斑病性腎炎,血管炎 代謝性疾患:糖尿病性腎症,リポ蛋白腎症 パラプロテイン血症:アミロイドーシス,クリオグロブリン,重鎖沈着症,軽鎖沈着症 感染症: 溶連菌,ブドウ球菌感染, B 型・C 型肝炎ウイルス,ヒト免疫不全ウイルス( HIV),パルボウイルス B19,梅毒, 寄生虫(マラ リア,シストゾミア) アレルギー・過敏性疾患:花粉,蜂毒,ブユ刺虫症,ヘビ毒,予防接種 腫瘍:固形癌,多発性骨髄腫,悪性リンパ腫,白血病 薬剤:ブシラミン, D—ペニシラミン,金製剤,非ステロイド性消炎鎮痛薬 その他:妊娠高血圧腎症,放射線腎症,移植腎(拒絶反応,再発性腎炎), collagenofibrotic glomerulonephropathy 遺伝性疾患: Alport 症候群,Fabry 病,nail-patella 症候群,先天性ネフローゼ症候群( Nephrin 異常), ステロイド抵抗性家族性ネフロー ゼ症候群(Podocin,CD2AP,α-ACTN4 異常) エビデンスに基づくネフローゼ症候群診療ガイドライン2020.
#14.
導⼊ 症例 解説 重症度判定基準 一次性ネフローゼ症候群の確定診断がなされた患者において以下のいずれかを満たす場合を重症として対象にする。 ① ネフローゼ症候群の診断後、一度も完全寛解に至らない場合(定義はネフローゼの治療効果判定基準を参照)。 ② ステロイド依存性あるいは頻回再発型を呈する場合(定義はネフローゼの治療効果判定基準と治療反応による分類を参照)。 ③ CKD 重症度分類の赤色の部分の場合(下表)。 ④ 蛋白尿 0.5g/gCr 以上の場合。 蛋白尿区分 尿蛋白定量(g/日) 尿蛋白/Cr比(g/gCr) GFR区分 (mL/分/1.73m2) A1 A2 A3 正常 軽度蛋白尿 高度蛋白尿 0.15未満 0.15~0.49 0.50以上 *18歳未満の患者については、以下ののいずれかに 該当する場合 . ● 半年間で3回以上再発した場合又は1年間に4回以上再 G1 正常または高値 ≧90 G2 正常または軽度低下 60~89 ● 治療で免疫抑制薬又は生物学的製剤を用いる場合. G3a 軽度〜中等度低下 45~59 ● 腎移植を行った場合. G3b 中等度〜高度低下 30~44 G4 高度低下 15~29 G5 末期腎不全(ESKD) <15 発した場合. 難病情報センターHP. 一次性ネフローゼ症候群の概要、診断基準等参照 .
#15.
導⼊ 症例 解説 一次性ネフローゼ症候群の検査所見 検査 尿所見 測定項目 主な所見 尿量・尿蛋白定量( 24 時間尿 or 随時尿)・蛋白分画・尿潜血・ 尿沈 渣 尿蛋白選択性( IgG とトランスフェリンのクリアランス比) 大量蛋白尿・脂肪円柱・卵円形脂肪体 生化学検査 低下:総蛋白,アルブミン,(ときに) Na,ビタミン D 上昇:(ときに)尿素窒素,クレアチニン 脂質検査 上昇:総コレステロール, LDL‒C 等 凝固検査 上昇:フィブリノゲン, FDP,D‒dimer 低下:アンチトロンビンⅢ,プラスミノゲン 免疫検査 低下:(ときに)免疫グロブリン・補体成分 血液所見 胸部X線 超音波検査 腎生検 (ときに)肋骨横隔膜鈍化 腎,腎血管系,下肢血管系等 腎静脈血栓症,深部静脈血栓症など 光学顕微鏡像,蛍光抗体法,電子顕微鏡像 疾患により様々 エビデンスに基づくネフローゼ症候群診療ガイドライン2020.
#16.
導⼊ 症例 解説 微⼩変化型ネフローゼ症候群(MCNS) 概念 ● 微小変化型ネフローゼ症候群(minimal change nephrotic syndrome:MCNS)は,日本の一次性ネフローゼ症候群 の約 40%を占める.小児では70~80%を占め,年齢とともに割合は低下するが,60歳以上の年代でもも20%以上を 占める. ● 糸球体係蹄の蛋白透過性亢進状態が生じ,選択性の高い蛋白尿を呈する. ● 副腎皮質ステロイド薬に対する反応性は良好であり,90%以上の症例で寛解に至るが,再発が約30~70%程度にみ られ,頻回再発やステロイド依存性を呈する症例が多くみら れることが主要な問題である. 症候 ● 臨床的には急激な発症が特徴であり,突然の浮腫 をきたすことが多い. ● 高度の蛋白尿や低アルブミン血症,脂質異常症が認められ,胸腹水の貯留をきたすこともある. ● 成人において顕微鏡的血尿が観察されることは稀ではなく,約20~30%に報告されている. ● 急性腎障害をきたす症例もあり,そのリスク因子としては,高齢,男性,高血圧,高度蛋白尿が挙げられる. エビデンスに基づくネフローゼ症候群診療ガイドライン2020.
#17.
導⼊ 症例 解説 微⼩変化型ネフローゼ症候群(MCNS) 病因 ● 正確な病因は明らかではない. ● 一因としてT細胞の機能異常による糸球体係蹄の蛋白透過性亢進状態が生じることが想定されている. ● 一方で,リツキシマブが有効な症例が存在することからB細胞も関与する可能性があり,その機序としてはT 細胞が産 生するサイトカイ ンの受容体がB細胞に存在するなどの関連性が示唆されている. ● 多くは一次性であるが,ウイルス感染や非ステロイド系消炎鎮痛薬などの薬剤,ホジキンリンパ腫などの悪性腫瘍や アレルギーなどに合併することがある. 病理 ● 光学顕微鏡所見上,糸球体に明らかな異常は認められず,蛍光抗体法では免疫グロブリンや補体の特異的な沈 着はない. ● 電子顕微鏡ではびまん性の足突 起の消失のみがみられる. 難病情報センターHP. 顕微鏡的多発血管炎の概要、診断基準等参照.
#18.
導⼊ 症例 解説 治療微小変化型ネフローゼ症候群(MCNS)の治療アルゴリズム MCNS 初発例 ステロイド単独・補助療法・支持療法 生活指導・食事指導 寛解維持 寛解 再発 ステロイド抵抗例 ステロイド+免疫抑制薬③・ 補助療法・支持療法† 生活指導・食事指導 ※他疾患の可能性について再考すること ステロイド or ステロイド+免疫抑制薬①・補助療法・支持療法 生活指導・食事指導 寛解 治療抵抗例 寛解 頻回再発例・ステロイド依存例 ステロイド+免疫抑制薬②・補助療法・支持療法 生活指導・食事指導 寛解 治療抵抗例 補助療法・支持療法 生活指導・食事指導 補助療法・支持療法 生活指導・食事指導 免疫抑制薬① シクロスポリン ミゾリピン シクロホスファミド 免疫抑制薬② シクロスポリン ミゾリピン シクロホスファミド リツキシマブ 免疫抑制薬③ シクロスポリン ミゾリピン シクロホスファミド ミコフェノール酸モフェチル アザチオプリン タクロリムス エビデンスに基づくネフローゼ症候群診療ガイドライン2020.
#19.
導⼊ 症例 解説 本症例のポイント • ステロイド加療のみで完全寛解した微小変化型ネフローゼ症候群の症例であった. • ネフローゼ症候群は糸球体性蛋白尿を来し,低アルブミン血症や浮腫が出現する疾患であり,尿蛋白3.5g/日 以上・血清アルブミン値3.0g/dL以下が診断基準である(エビデンスに基づくネフローゼ症候群診療ガイドライン 2020). • 原疾患としては一次性と二次性に分けられ,一次性の主なものとしては微小変化群,膜性腎症,巣状分節性糸 球体硬化症が挙げられる. • 原疾患としての頻度としては微小変化群は若年層に多く,年齢が上昇するにつれて減少し,膜性腎症は40歳未 満では稀であり,60〜70 歳台にピークが存在する. • 巣状分節性糸球体硬化症は,若年層から高齢者層にかけて緩やかな上昇傾向を示す. • また,微小変化群は比較的急性の発症で,膜性腎症は緩徐な発症であることが多い.
#20.
導⼊ 症例 解説 本症例のポイント • 本症例では検査値からネフローゼ症候群と診断し,頻度と経過から微小変化群を疑って腎生検を行い,微小変 化群に矛盾ない結果であった. • 微小変化群は一次性ネフローゼ症候群の約40%を占める疾患で,ステロイド反応性良好(90%以上が寛解)だ が,再発が30-70%程度にあると知られている. • 上記ガイドラインでは食事療法などの補助的な治療に加え,ステロイド単独治療が推奨されている. • 食事としては食塩制限はネフローゼ症候群の浮腫を軽減するために必要であるが,たんぱく質制限食の有効 性に関するエビデンスは十分ではなく,過度のたんぱく質制限は推奨されていない. • 治療効果判定は尿蛋白定量で行い,完全寛解・不完全寛解Ⅰ型Ⅱ型・無効の3種類に分けられる.ステロイド 抵抗例や再発例ではシクロスポリンなどの免疫抑制薬の併用が推奨されている. • 本症例では食事療法に加え,ステロイド治療を開始した.入院11日目に完全寛解レベルに達し,その後も尿蛋 白再増加は認めなかったためステロイドは漸減した.
#21.
導⼊ 症例 解説 本症例のポイント • ステロイド高用量使用者ではニューモシスチス肺炎などの感染症,骨粗鬆症,白内障・緑内障などの合併症を 引き 起こす可能性がある.そのため,ST合剤やビスホスホネートなど可能な範囲での予防内服を開始 した.入 院中に栄養士より自宅退院後の食事療法についての指導を行った.退院後は人混みを避ける,手洗い・うがい などを行うなど感染対策に気をつけるように指導し自宅退院とした.外来ではネフローゼ症候群の再発に注意し ていきたい.
#22.
導⼊ 症例 Take Home Message ネフローゼの診断基準は①蛋白尿: 3.5 g/日以上 ②血清アルブミン値 3.0 g/dL以下が必須 微小変化群は若年層に多く,年齢が上昇するにつれて減少する. 微小変化群は比較的急性の発症である. 微小変化群は一次性ネフローゼ症候群の約40%を占める疾患で,ステロイド反応性良好だが,再発が 30-70%程度ある. 解説