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足関節捻挫のまとめ【診断と治療を中心に】

投稿者プロフィール
三谷雄己
Award 2023 受賞者

県立広島病院

88,370

104

概要

足関節捻挫の診断と治療

シェアなどしていただいて大丈夫ですが、その際は下記のメールアドレスに一言ご連絡していただけると嬉しいです。

dancingdoctorhouse@gmail.com

本スライドの対象者

研修医/専攻医

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テキスト全文

足関節捻挫の概要と疫学

#1.

-

#2.

内容 はじめに 分類 検査 診断 治療

#3.

はじめに 足関節捻挫= 靱帯、関節包損傷 ⇒前距腓靱帯(ATFL)がメイン 全スポーツ傷害の15~20%   バスケットボール:45%   サッカー:31% (W Petersen. et al, Arch Orthop Trauma Surg 2013) (E Kemler. et al, Sports Med 2011) (P Kannus, P Renstrom. et al, JBJS 1991) 最も発生頻度の高い 運動器外傷の一つ

足関節捻挫の予後と分類

#4.

予後 ・平均休職期間         2.5w ・12w 時点 スポーツ復帰   60~90% (Kerkhoffs GM. et al, BJ Sports Med 2012) ・1yr~ 疼痛残存       5~33% ・1yr時点 不安定感残存    7~42% 大半は3m程度で復帰 3~4割に後遺症 ・2w~8yr 再損傷        3~34% ・アスリート 1yr以内の再損傷 2倍 (van Rijn RM. et al, Am J Med 2008) (W Petersen. et al, Arch Orthop Trauma Surg 2013) (Ross A. et al, Journal of prolotherapy 2011) ・6m 徒手不安定性残存    31% 症状遺残に注意!

#5.

前距腓靭帯(ATFL) ・距骨前方移動を制動 ・底屈17°から張力 ・足関節捻挫の97% 底屈、内反で損傷 (Kerkhoffs GM. et al, The Cochrane Collaboration 2009) (大関 他, MB Orthop 2017)

#6.

分類 重症度に応じ、靱帯損傷に対する 適切なマネジメントが必要!! 再受傷リスク 疼痛、不安定性 残存

足関節捻挫の検査方法と靱帯修復過程

#7.

検査 ・身体所見 内反ストレステスト:    健側3°~ or 距骨傾斜角10°~ ・エコー ・MRI etc… ・レントゲン    前方き出しテスト:      距骨前方移動距離6㎜~ or 左右差3㎜~

#8.

靱帯修復の過程 72 hr ~10d 炎症期 修復期 4w 8w 1yr~ 再構築期 (Ross A. et al, Journal of prolotherapy 2011) (片山 ほか 臨床スポーツ医学 2015) (W Petersen. et al, Arch Orthop Trauma Surg 2013) 生理的な修復過程を妨げない 適切な長さ、十分な強度を再建 ・不安定性改善 ・靱帯強度 60-70% (Ross A. et al, Journal of prolotherapy 2011) (Kerkhoffs GM. et al, BJ Sports Med 2012) 6w 1yr ・12m 経過しても60% (※犬MCL Immobilisation) (Inoue M. et al, Connect Tissue Res 1997)

足関節捻挫の治療法とRICEの重要性

#9.

治療① 外固定? サポーター? いつまで安静?

#10.

治療② 1.RICEの方法、期間 2.Functional treatment とは 3.外固定、サポーター どれが有効?             着用期間は?    ① Immobilisation    ② Ankle taping    ③ Elastic bandage    ④ Ankle brace 4.手術療法? 保存療法?

治療法の進化とFunctional treatmentの概念

#11.

  1.RICE (Kerkhoffs GM. et al, BJ J Sports Med 2012) Rest     (安静) Icing     (冷却) Compression (圧迫) Elevation   (挙上) Icing Compression 単独では△ + + Elevation、Rest ⇒疼痛、機能改善が早い 炎症期(48~72hr)に R・I・C・Eすべてを! 具体的な Restとは…??

#12.

~1990年  4~6w 外固定が主流 ・6w固定 愁訴が残存       拘縮が残存 ・靱帯幅、コラーゲン繊維数の劣化 ・不安定性残存 外固定による弊害 (Ross A. et al, Journal of prolotherapy 2011) (Ruth JC. Et al, JBJS 1961) (Wiles P. Et al, Essentials of Orthop 3rd edition) 2.Functional treatmentとは①

#13.

(P Kannus, P Renstrom. et al, JBJS 1991) (Kerkhoffs GM. et al, BJ J Sports Med 2012) (Kerkhoffs GM. et al, The Cochrane Collaboration 2009) 1991年~  内外反制動 + 早期荷重、ROM ・cast 4wより良好な成績 ・受傷前活動レベル復帰 2~4倍早い ・スポーツ復帰数上昇、期間短縮  動かしながら治す時代へ 2.Functional treatmentとは②

サポーターの種類と使用期間について

#14.

3-① Immobilisation 先述の通り 劣 優 10day固定⇒3m 時点で機能改善        (vs. Elastic bandage) (Lamb SE. et al, Lancet 2009) 5~7days 最大10days (W Petersen. et al, Arch Orthop Trauma Surg 2013) 1w U-Splint (栃木 祐樹 日整会誌 2019) 炎症期 短期的に使用 ~10days 5days~2w (吉村 一朗 MB Orthop 2017)

#15.

3-② Ankle taping 皮膚障害リスクが高い     (vs. Elastic bandage) 劣 優  再受傷が低下 (Kerkhoffs GM. et al, BJ J Sports Med 2012) 専門家監修の元、限定的な使用を推奨 (Kerkhoffs GM. et al, BJ J Sports Med 2012) 修復期~再構築期 捻挫癖予防に、是非マスター! (Kerkhoffs GM. et al, BJ J Sports Med 2012)

#16.

3-③ Elastic bandage  スポーツ復帰遅く、不安定性残存      (vs. Semi rigid brace) 劣 優 推奨する根拠に乏しい (Kerkhoffs GM. et al, BJ J Sports Med 2012) (Kerkhoffs GM. et al, BJ J Sports Med 2012)  スポーツ復帰の短縮       (vs. Noncompression stocking) (Bendahou M. et al, Am J Emerg Med 2014) But… 使用基準の設定が困難…

#17.

3-④ Ankle brace 劣勢報告なし 劣 優 I、II度でも使用を推奨 (Kerkhoffs GM. et al, BJ J Sports Med 2012) (Beynnon BD. et al, Am J Sports 2006) ・再受傷が低下 ・Semi rigid brace (vs. Elastic bandage)    スポーツ、仕事復帰が早い    不安定感が少ない ・ Lace Up support   急性期腫脹軽減(vs. Elastic bandage、Taping)    再受傷軽減 (バスケ、フットボールを除く) (Karlsson. et al, Scand J Med Sci Sports 1996) (Bendahou M. et al, Am J Emerg Med 2014) (Kerkhoffs GM. et al, BJ J Sports Med 2012) (W Petersen. et al, Arch Orthop Trauma Surg 2013) 炎症期~再構築期 幅広い適応!

#18.

3.サポーター着用期間 3w (笹原 潤 治療 2015) 6w~3m (吉村 一朗 MB Orthop 2017) 4w~6w (Kerkhoffs GM. et al, BJ J Sports Med 2012) スポーツは6w~8w     ①骨性制動性↓↓     ②底屈位を要するスポーツ は要注意 (栃木 祐樹 日整会誌 2019) 天蓋関節面 内反 距骨滑車 前方被覆不良 ① ②

手術療法と治療プロトコルの考察

#19.

4.手術療法? 保存療法? トップアスリートは手術考慮 (Kerkhoffs GM. et al, BJ J Sports Med 2012) 骨制動性↓↓は手術考慮 (栃木 祐樹 MB Orthop 2017) 一定の見解なし 個々により考慮

#20.

治療プロトコル 72 hr ~10d 炎症期 修復期 4w 8w 1yr~ 再構築期 6w I度 II度 III度 U-splint or Below knee cast Ankle brace Ankle taping Ankle taping or Ope (※患者背景により期間は適宜変更) or Free 3m

足関節捻挫の重要なメッセージと情報提供

#21.

Take home message 足関節捻挫は再損傷、症状遺残に注意 Functional treatmentによる早期運動、荷重 病期に応じた適切な固定、装具、装用期間 III度損傷は患者背景により手術も考慮


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