S会 MK病院
敗血症に合併した血小板減少症の鑑別診断等について
#血小板減少 #敗血症性ショック #造影剤 #救急・集中治療における終末期医療に関するガイドライン #急性腎傷害
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最終更新:2022年8月22日
実際の症例で学ぶJATECの外傷初期診療
#JATEC #外傷初期診療
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最終更新:2022年12月19日
胸腔ドレーン挿入・管理についてまとめ
#気胸 #人工呼吸器 #胸腔ドレナージ #血胸
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最終更新:2022年8月24日
【SSCG2021準拠】最新の敗血症診療のまとめ【2022年7月最新版】
#救急外来 #救急 #敗血症 #医学生 #研修医 #感染症科 #救急科 #敗血症性ショック #知識をつなぐ2020 #みんなの救命救急科
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最終更新:2022年7月19日
ARDS STANDARD CARE ARDS患者を悪くしないためになにをしたらいいのか?
#敗血症 #呼吸器内科 #研修医 #肺炎 #集中治療 #救急科 #初期研修医 #ARDS #急性呼吸不全 #DRY-LUNGアプローチ #肺保護換気 #PROSEVA試験
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最終更新:2022年2月24日
発熱性好中球減少症のマネジメントと血液内科ローテでレジデントが学ぶべき感染症
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最終更新:2022年2月15日
糖尿病専門医のよく使う薬剤シリーズ②〜SGLT2阻害薬〜
#サルコペニア #インスリン #SGLT2阻害薬 #糖尿病内科 #糖尿病性ケトアシドーシス #1型糖尿病 #ダパグリフロジン
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最終更新:2022年3月2日
薬剤耐性菌(AMR)〜カルバペネム耐性腸内細菌科細菌(CRE)に注意!(ID-Gym2020~感染症治療のイロハ~ vol.4)
#抗菌薬 #岡大GM #薬剤耐性菌 #AMR #CRE #βラクタム系抗菌薬
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最終更新:2021年2月1日
研修医/コメディカルに知ってほしい! 敗血症/敗血症性ショック
#看護師 #敗血症 #研修医 #感染症 #専攻医 #初期
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最終更新:2022年5月4日
COVID-19により浮き彫りとなった日本の医療の問題点
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最終更新:2022年12月16日
低体温症の診療
#低体温 #敗血症 #敗血症性ショック #advanced care planning #低体温症
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最終更新:2022年11月21日
【SSCG2021準拠】最新の敗血症診療のまとめ【2022年7月最新版】
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最終更新:2022年7月19日
2022.6.28時点 サル痘について
#感染症 #サル痘
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最終更新:2022年6月28日
細菌性髄膜炎 - ERでの初期診療
#救急外来 #ER #神経内科 #髄膜炎 #外来診療 #脳神経内科 #神経感染症 #細菌性髄膜炎
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最終更新:2022年2月9日
外傷処置の豆知識 爪脱臼・破トキ・狂犬病ワクチン・オグサワ・外傷性刺青・手袋タニケット・アルギン酸/救外やるなら知っておきたいシリーズPart 2
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最終更新:2022年1月24日
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高血糖&ショックの原因鑑別に難渋した症例 救急症例検討会2022年8月分
【症例】70歳代男性 【現病歴】某年X月Y日に脳梗塞(左MCA閉塞)のため当院脳神経外科に入院して、抗凝固療法等 の保存的加療を開始。同月Y+12日〜シロスタゾール開始され, X+1月初頭からクロピドグレルに変更。 経過は安定していたが、左片麻痺・失語・嚥下障害残存あり、家族・医療スタッフ間で相談し、 回復期リハビリ病棟転院の方針となっていた。X+1月中旬某日の昼ごろ、リハビリ開始時にsBP 60 mmHgを認めた。 【既往・併存疾患】60歳:脳出血(左片麻痺の後遺症あり), 糖尿病, 脂質異常症 【内服薬】カルベジロール25mg 2T1x朝, クロピドグレル25mg 2T1x朝, デベルザ2.5mg 2T1x朝, アムロジピン5mg 1T1x朝, ロスバスタチン2.5mg 2T1x朝, ゾニサミド100mg 2t2x朝夕 etc. 【身体所見】sBP 80 mmHg程度, JCS 3(GCS E4V1M5), 顔色不良と全身皮膚湿潤あり, 左片麻痺
入院時のperfusionと3DCTA
X+1月初頭のMRI 左上: DWI 左下: T2* 右上: FLAIR
※ Anion Gap=Na-(Cl+HCO3) =151-(113+27)=11 急変直後の採血
Problem List #1急性循環不全 #1-1: 敗血症性ショックの疑い #2高血糖緊急症(高血糖高浸透圧症候群) #3高Na血症 #4急性腎傷害 #5肝機能障害
高血糖緊急症とは 糖尿病の合併症である糖尿病ケトアシドーシス(DKA: diabetic ketoacidosis)と高血糖高浸透圧症候群(HHS: hyperosmolar hyperglysemic state)の総称。 インスリン不足, 侵襲, 感染を契機に発症することが多い。 高血糖による浸透圧利尿→水分と電解質の喪失 DKAとHHSが複合することも稀ではない。 『救急診療指針 改訂第5版』より 適宜抜粋・改編
『救急診療指針 改訂第5版』より 適宜抜粋・改編
経過① インスリン持続点滴 MEPM VCM 頭部CT: 左脳出血 →クロピドグレル中止 体幹部単純CT: 有意病変指摘できず * 3号液 尿グラム染色 * 体幹部造影CT: 病変指摘できず デベルザ(SGLT2阻害薬)中止 Cre 1.28 Na 155→148 CVC挿入 Cre 0.79 Na 148 Cre 0.71 Na 145 ※ 血培2個共に 陰性と判明 AF指摘される ※ 尿培判明: ESBL産生E. coli ヘパリン持続点滴 ランジオロール点滴 血培・痰培・尿培採取 ビソプロロール 経皮薬 BS: Hi~294 BS: 204 BS: 226 BS: 290 BS: 283 BS: 259 BS: 218 A line挿入 5% Glu 1号液
2日目単純CT
4日目造影CT
経過 ② ヘパリン持続点滴 CMZ(15日目まで継続) インスリン:8日目〜皮下注・1日4回測定へ変更 MEPM VCM A line抜去 MAP [mmHg] NAd [μg/kg/min.] メイン:細胞外液
経過 ③ X+2月中旬以後の経過 昼だけ経口摂取(全粥)→摂取量安定のため3食全粥に 頭部CTで血腫消退していたので、リクシアナ 60 mg/day開始
今回の問題点 敗血症を疑ったが、フォーカスが判然としなかった。 失語=主訴が聞けない, 画像でも分からない, 尿のGram染色が「空振り」etc. 放射線科医による読影+総合内科医・感染症専門医による評価があれば…? 培養で耐性菌が検出された。 他の患者でもESBL産生菌や緑膿菌が出ている。 抗菌薬適正使用は当院でも取り組んでいるようだが、実効性を伴っているのか? 循環管理と輸液反応性の評価 過剰なプラスバランスを回避したかったが… NAd投与が長期化してしまった:原因は? エコーでIVCを出しにくかった。IVC径変動の信頼性も微妙。
敗血症性ショックに関する最新論文
敗血症性ショックでの輸液量制限「あり」vs「なし」2022.6.17発表, Meyhoff TS. et al. DOI: 10.1056/NEJMoa2202707 2018/11/27~2021/11/16の間に欧州8カ国・31ヶ所で実施されたランダム化 臨床試験。 敗血症性ショック発症後12時間以内のICU入院中の18歳≦の患者が対象。 ↔︎妊婦, 発症から12時間超過, 重症熱傷, 治験参加同意撤回, 致死的出血は除外 輸液制限「あり」:「なし」=1:1に被験者を振り分けた。 制限あり群:ショック時は250~500 mLの等張晶質液ボーラス投与, 消化管が使えない場合には「1日1L」の水分摂取量を維持する etc. 制限なし群:輸液量の制限はなし。
1,554名の被験者が「制限あり」群764名, 「制限なし」群781名へ割り振られた。 ICU滞在期間中央値: 5日, 「制限あり」3~9日 vs 「制限なし」3~10日 累積輸液投与量中央値: 「制限あり」10,433 mL vs 「制限なし」12,747 mL 結果:90日後の死亡率, ないし 重症有害事象に 有意差はなし。 死亡: 「制限あり」764名中323名(42.3%) vs 「制限なし」781名中329名(42.1%); 差 0.1 percentage point; 95%信頼区間 -4.7~4.9; P=0.96 有害事象1個以上: 「制限あり」751名中221名(29.7%) vs 「制限なし」772名中238名(30.8%); 差 -1.7 percentage point; 99%信頼区間 -7.7~4.3 生存率 青:「制限なし」 黄:「制限あり」
この論文の背景・考察など これまでの同様な観察研究とランダム化臨床試験では、輸液投与量増加が有害 事象(e.g., 腎傷害悪化, 呼吸不全, 死亡率上昇)と関連していると示していた。 但し最近では輸液量「制限」と「多め」の間で有意差がないことを示すデータ も出ており、これに概ね一致する知見。 ※以下は私の個人的な考え とはいえ、患者ごと, ないし 時期により病態は異なるので、結局は ケースバイケースの判断になるのだろう。 「臨床試験では輸液量制限『あり』と『なし』の片方の群で不利益が 有意に増えた(or 有意に効果が見られた)ということが無かった」 というだけのこと。
SGLT-2阻害薬と高血糖緊急症
Ata F, Yousaf Z, Khan AA. et al. SGLT-2 inhibitors associated euglycemic and hyperglycemic DKA in a multicentric cohort. Sci Rep. (2021) 11:10293 より SGLT-2 (sodium-glucose co-transporter-2) 阻害薬は、Na+-グルコース トランスポーター2に作用し, 腎尿細管からのグルコース再吸収を 阻害することで作用を発揮する。 他方、副作用として尿路感染症のほか, DKAが挙げられる。 SGLT-2阻害薬のDKAリスクは、その他経口糖尿病薬の2~3倍超と 言われている。 SGLT-2阻害薬内服中の患者では、インスリン欠乏状態にも関わらず 尿からの糖排泄が亢進しているので、DKAを来していても随時血糖 が正常になってしまうことがある。
結果 ① SGLT-2阻害薬内服中の患者におけるDKAの有病率, リスクファクターに関する研究 カタール国内の3病院で行われた横断的多施設参加型後向き研究 2015年1月~2020年12月の間に、2型糖尿病でSGLT-2阻害薬内服中に DKAで入院した患者全員が対象。 ↔︎1型糖尿病, 2型糖尿病だがSGLT-2阻害薬以外を使用中, Anion Gap<12でDKA 診断基準に合わない患者は除外。 合計9,940名の2型DM患者がSGLT-2阻害薬を服用していた。 そのうちDKAを発症したのは43名(有病率: 0.43%) この43名のうち25名が正常血糖DKAだった(有病率: 0.25%) 高血糖DKAは18名(有病率: 0.18%)だった。
結果 ② DKAの誘因は? 最多:感染症(32.6%) インスリンコンプライアンス不良:13.7% 膵炎:4.7% 手術:2.3% 正常血糖DKAと高血糖DKAで誘因は同様の傾向を示した。 ↔︎但し感染症は高血糖DKAの方で多かった。
考察 このカタールの研究にて、正常血糖DKAの点有病率は58.1 % (43名のうち25名)だった。 ↔︎過去の1型, 2型DM患者を対象にした同様の研究における点有病率は69.8% 感染症, インスリンコンプライアンス不良が誘因というのは 過去の研究と同様。 なお過去の研究では、絶食が最も多い誘因とする報告もあり。
補足:ESBL産生菌感染症の治療について
そもそも’ESBL’って何? Extended-spectrum beta-lactamaseの略。 βラクタム分解酵素(βラクタマーゼ)のうち、セファロスポリン系 抗菌薬まで分解できるようになったものの総称。 具体的には、 セフタジジム・セフトリアキソン等の第3世代セファロスポリン モノバクタム(アズトレオナム) を分解可能。 特に大腸菌とKlebsiella pneumoniaeで問題になる。 『抗菌薬の考え方、使い方 コロナの時代の差異 Version 5』 (岩田健太郎 著, 中外医学社, 2022年)より
ESBL産生菌感染症の治療薬 最も歴史が長い治療薬:カルバペネム系(≒メロペネム)。 重症感染症, 臨床的にESBL産生菌を疑う場合は第1選択。 ピペラシリン・タゾバクタム, アンピシリン・スルバクタムも選択肢? 「カルバペネムを使わない戦略」① 海外で実施された耐性が想定される大腸菌・K. pneumoniae菌血症に対する メロペネム vs ピペラシリン・タゾバクタムの臨床試験では、死亡率に関し、 メロぺネムが「勝利(≒効果あり)」との結果だった。 セフメタゾール:「カルバペネムを使わない戦略」② 複数の臨床試験でカルバペネムと同等の効果 特に尿路感染で選択肢? 『抗菌薬の考え方、使い方 コロナの時代の差異 Version 5』 (岩田健太郎 著, 中外医学社, 2022年)より
厚労省 院内感染対策サーベイランス事業(JANIS)のデータ−2020年1~12月の福島県の年報より− セファロスポリン耐性大腸菌分離率(入院患者の全検体):2~3%くらい 入院患者尿検体からの分離菌:大腸菌>Enterococcus faecalis>緑膿菌>K. pneumoniae etc.