#4.
AKIの重要な点 l 急速に腎機能が低下する概念 l 診断上は「Cr↑の原因は問わない︕」 ただし、病型によって相談先が違う。腎臓内科に相談するべきは腎性、腎後性は泌尿器科がメイン。 l 基礎疾患の治療が最優先→原因を考える事が重要 4
#5.
AKIの歴史的経緯 l 朝鮮戦争時代のクラッシュ症候群で腎代替療法が発展 ※治療法がない時代はなすすべもなく死亡した症例が多かったはず l 1960年台は妊娠に伴うAKIが多かった(⽇本腎臓学会誌1964年 6 巻 1 号 25-28) l 最近では、敗⾎症、⼼疾患、⼼⾎管の⼿術などに伴うAKIが多い ※敗⾎症に伴う死亡率は依然として10-50%程度と⾼い 5
#6.
AKIの診断基準 l 急激(48 時間以内)に腎機能が低下 ⾎清Crが0.3mg/dLまたは50%以上の上昇 ※ベースラインのeGFRが40未満は%を使った⽅が良い(私⾒) l 急速な尿量の低下を満たすもの ⼊院患者ではこの2つが重要 (1時間あたり0.5mL/Kgの乏尿が6時間持続) l Crが基礎値から1.5倍上昇(7⽇以内) 上記のいずれかを満たすものをAKIと診断 l RIFLE、AKIN、KDIGOの分類があるが、⼀番新しいKDIGOの分類で⼗分(上記) 6
#7.
AKIの診断アルゴリズム AKIに気付く 複合的な要因もあるが、 バイタルの確認 ショック (⾎圧) ⼼不全 腎後性の確認 尿路閉塞 (エコーなど) (尿閉含む) その他の診断 腎臓内科コンサル まずはバイタルを⽴て直し、 尿路の通過障害を解除することが重要 7
#8.
腎前性腎不全 l 平均⾎圧が60mmHg未満で「尿を作れ」は無理 l 低酸素⾎症でも尿を作るのは難しい l 上記が安定しても腎臓がまともに働ける(=尿を作れる)までは半⽇〜数週間かかるこ とがある(尿細管壊死の度合いによる) l ⼤動脈・腎動脈のクランプなども上記の考えに準ずる l 上記から、尿が安定してでているのは極めて臨床上安⼼である(⼗分な⾎流と酸素が⾔ っている証拠) 8
#9.
FENaは役に⽴たない 教科書的にはFENa<1%で腎前性とあることが多いが l 元の腎機能が正常 l 利尿薬などを飲んでいない などの限定されたときにしか役に⽴たない。(病歴で⼗分なレベル) FENa<1%であれば、腎臓はきちんと働けそうだな、と感じるくらい。 9
#10.
腎後性腎不全 l 尿路のどの部位が、どんな理由で閉塞しても起こりうる l 原因︓腫瘍、結⽯の嵌頓、後腹膜線維症、膀胱タンポナーデ、前⽴腺肥⼤の尿閉 l ⽚側ならば理論的にはCrが上がらないはずだが、しばしば⽚側でもAKIになる l 解除までに時間がかかると、慢性的に腎機能低下がおこる、最悪廃絶することがある ※いわゆる実験のUUOモデル l 何時間まで閉塞して⼤丈夫か︖は明確な答えはない 「通過障害を解除して、腎機能戻って良かったね」という話が多い、腎臓が萎縮、⽪質が菲薄化し ていると腎機能は戻らない印象 10
#11.
Postobstructive Diuresis l 尿路閉塞を解除すると利尿がつくこと多い l 場合によっては希釈尿が⼤量に出るので、脱⽔、低K⾎症に注意 定義は200ml/h。⼀晩で10L 以上の利尿がついた経験がある。 l 尿崩症のような病態と捉えている l 概ね24-48時間で改善する l 経⼝補⽔液(あるいは⽔)で⼗分、必要時補液 11
#12.
腎性のAKI l 起きやすいのはANCA関連⾎管炎、抗GBM抗体型⽷球体腎炎、ループス腎炎 ⼤体は⾎清的に診断がつく、間質性腎炎も場合よってはAKIになる l 上記疾患がラッシュに来たときに⼀時的に腎代替療法を有することがある l MCNSも意外とAKIを来す l 上記と判断したら免疫抑制の治療しつつ、⾎液透析の離脱を⽬指す AAV、抗GMB抗体型⽷球体腎炎などでは腎代替療法になる事はしばしばある。(「⽣命は助かったが、腎臓 は助からなかった」のイメージ)この透析離脱できますか︖も参照 12
#13.
RRT 導⼊から離脱までの流れ • RRT(Renal Replacemet Therapy)︓腎代替療法 ⼤体は重症患者 Renal Indicationで 導⼊ 尿が出るまで サポートを続ける 「この透析離脱できますか︖」 も参照 尿が出てきたら 離脱を検討 尿が出ない場合の プランも考えておく
#14.
RRTの基本的な考え⽅ l 腎機能障害で⾝体の恒常性が破綻した際のサポート → Renal Indication l 敗⾎症などのサイトカイン除去 → Non Renal Indication(最近は旗⾊が悪い)
#15.
RRTの種類 モダリティ 回数 • ⾎液透析(HD) • Intermittent(3-4h) 組み合わせて以下などがある。 • ⾎液ろ過(HF) • Continuous(24h) • IRRT • ⾎液ろ過透析(HDF) ※上記2つの中間として下記 • 腹膜透析(PD) • 腎移植 (1回6-8h、週56回) • EDD (extended daily dialysis) • SLED (sustained low-efficiency dialysis) ※EDDとSLEDは細かくいうと、透析液量が違うが割愛 D︓Dialysis(透析)︓濃度差と透析膜での移動(透析膜の孔の系より⼩さいものが移動できる) 簡単に⾔えば、コヒーフィルターで⾖とコーヒーを分離(これは重⼒、透析は圧で調整) F︓Flitration(拡散)︓濃度差での移動 • CRRT • CHDF • CHD • CHF ※本邦ではCHDFが⼤半
#16.
1時間後にRenal Indicationを満たす時に開始 l AKIKI試験(N Engl J Med 2016;375:122ー133) l ELAIN試験(JAMA 2016;315:2190-2199) l IDEAL-ICU試験(N Engl J Med 2018;379:1431-42) l Start-AKI試験(N Engl J Med 2020;383:240-251) l AKIKI 2試験(Lancet 2021;397:1293-1300) 上記の試験を考えると、早いメリットはないが、粘ると死亡率↑ ただし超重症であり「これは透析になるなぁ」という読みがあればRRT開始しておくことはあ りだと思う。(深夜帯や休⽇の⼈出が少ないときに導⼊する事などを考えると・・・・)
#17.
RRTの中で緊急⾎液透析(HD)の適応 Renal Indication = 破綻した恒常性へのサポート l 利尿剤に反応しない溢⽔ → 主に⼼不全、SpO2>95%を保つ為に>5L FM or FiO2>0.5以上必要な時で フロセミドが⼗分量投与しても利尿がつかないとき l ※フロセミド⼗分量 = Cr値×40mg(経験上) 内科的治療でもK>5.5mmol/L → ⼼電図変化を伴う場合や尿が出ない場合と捉える l 代謝性アシドーシス(pH<7.15) → 代謝性アシドーシス単独で透析の適応になるのは稀な印象、下記の中毒などの場合が多い l ⼀部の中毒 → ⼀般的にはアルブミンと結合しない⽔溶性⼩分⼦が有効。 Ex︓アルコール、エチレングリコール、 カフェイン、アシクロビル、、、
#18.
透析量も それほど 重要ではない ⾎液浄化量 Low vs High→差無し 歴史的には、透析量(⾎液の時間あたりの処理量)を多くすれば 病態が改善するかもと⾔う期待があったが… ATN Study(N Engl J Med 2008; 359:7-20) ✔ Renal Study(N Engl J Med 2009; 361:1627-1638) → 浄化量は20-25ml/kg/hで落ち着いている。 ※慢性維持透析と混同しない、あくまでこれは急性期の話 HDできない状況(バイタル不安定、低⾎圧など)がCRRTの適応 → 患者の状態みて個別判断、現実的には施設の状況なども関係する
#19.
モダリティ︓それほど 重要ではない モダリティ → 差なし l HD vs CRRT(Lancet. 2006 Jul 29;368(9533):379-85) l CRRTは万能の治療ではない︕あくまで恒常性をサポートするため に必要な量だけにするのがベター(理想的には) l 実際には⼈員などの都合により影響される印象 l 原疾患の治療が最優先︕
#20.
AKIについて知っておくべき事 l 低容量ドパミンでAKI予防しない(推奨1、エビデンスA) l ループ利尿薬の投与は推奨しない(推奨1、エビデンスB) 体液量過剰以外で使う必要はない、でない尿量を引っ張る効果はない、と思った⽅が良い
#21.
AKI後CKDは結構な問題 l AKIを起こせば起こすほど腎機能が低下していく Clin Exp Nephrol 2018;22:1281-1293. l AKIでRRTを要した場合には相当の腎機能を失う そのため患者には後⽇に「助かるために相当の腎機能を犠牲にしま したね」と話すことが多い イメージとしては2-3割の腎機能を失うことが多い
#22.
AKIを予想できるマーカーはあるか︖ l NGAL(好中球ゼラチナーゼ結合性リポカリン:Neutrophil Gelatinase-Associated Lipocalin) l KIM-1(Kideny Injury Molecule) などが⽰唆されているが、やはりまだ実⽤レベルにはほど遠い、、、 そうなると、ハイリスク患者に全員状態のチェック(バイタルサイ ン中⼼)にモニタリングして、尿量のチェック程度が現実的 原疾患の治療の最適化が重要
#23.
AKI care bundle l 循環動態の安定 l 体液量の最適化 l 腎毒性物質の回避 l ⾼⾎糖の回避 l NGAL、TIMP-2、IGFBP7などのバイオマーカー を組み合わせるとAKIの発症が減りそうというデータがある。 ※患者をよく⾒て、バイオマーカーも使うという⽴ち位置 Crit Care. 2023 Oct 9;27(1):390