テキスト全文
高齢者救急問題の現状と提言
#1. 高齢者救急問題の現状と その対応策についての提言2024 飯塚病院 連携医療 緩和ケア科 石上 雄一郎 1
#3. 日本の高齢者人口の割合 超高齢化社会 2024年 29.3% ↓ 2045年 36.3% 総務省 統計局 高齢者の人口
救急搬送と高齢者の現状
#4. 救急搬送 高齢者が6割 平成30年救急救助の現況
#5. 要介護人口・認知症患者は増加傾向 要介護人口の増加 2025年: 5人に1人が認知症 「日本における認知症の高齢者人口の将来推計に関する研究」(平成26年度厚生 労働科学研究費補助金特別研究事業 九州大学 二宮教授)による速報値 平成30年版高齢社会白書
#6. 高齢者福祉施設からの搬送・85歳以上が増加
高齢者救急に関わる団体と課題
#7. 単身世帯増加・家族の不在 結婚と家族をめぐる基礎データ 内閣府男女共同参画局 令和4年3月2日
#9. 高齢者救急問題の現状とその対応策についての提言 2024 2017年:高齢者救急委員会の立ち上げ 学術集会で高齢者救急に関するセッションを開催して議論 救急領域の学会のみでは、議論が進展せず解決も困難 高齢者救急関連団体「高齢者救急問題を検討する懇話会」を組織 計14団体
#10. 高齢者救急問題の現状とその対応策についての提言 2024 市民を含む 高齢者救急に 関わる色々な団体 課題を認識する
ACPの重要性と提言内容
#11. 高齢者救急問題の現状とその対応策についての提言 2024 人生の最終段階のケアに 焦点を当てた 患者の価値観にあった治療 をシームレスに行うために
#12. 平時から”もしもの時”に備えて、ACPを行いましょう。 市民の方々へ 【提言1】どのような生き方を望むか、どのような医療やケアを受けたいかなどを日頃 から繰り返し話し合いましょう 【提言2】急に状態が悪くなった時に慌てないためにかかりつけ医やご家族等の緊急時 の連絡先を 確認しわかるようにしておきましょう。 【提言3】♯7119 やQ助などを利用して病院受診の相談などもできます。 いざというときに相談などができる公共の手段を調べておきましょう。 高齢者施設管理者・職員の方々へ 【提言1】いざという時のためにご本人(患者さん・ご利用者)とご家族等にアドバン ス・ケア・プ ランニング(ACP)についてご説明いただき、ご本人が最期までどのよ うに過ごしたいか、ご本人の望む医療・ケアや望まれる看取り方について、ご本人とご 家族等の話し合いを支援し、共有できるようにしませんか? 【提言2】高齢者の急変に備えましょう。
病院でのACPと地域連携の必要性
#13. 病院でもACPを行い、価値観に合った治療を行いましょう 急性期〜慢性期病院の方々へ 【提言1】患者さんが今後どのような人生を望むのか、ご本人とご家族等で話し合って いただき、多職種で支援確認しましょう。 【提言2】地域全体で高齢者医療提供体制の再構築が必要です。 【提言3】急変時(救急外来でも)ACP の対話の状況 を確認し、治療とケアのゴール の確認をしましょう。 【提言4】救急外来でも状況に応じた適切な医療・ケアを提供できる体制を整備しまし ょう。 消防職員の方々へ 【提言1】高齢者施設、地域の医療・福祉スタッフと の連携強化をお願いします。 【提言2】搬送依頼を受けて現場に到着したら、傷病者の DNAR が判明した際の体制 整備をお願いします。 【提言3】用語の理解を共に深めましょう。
DNAR指示とBSCの理解
#15. DNAR指示 とは DNAR指示は Do Not Attempt Resuscitation 心停止時に心肺蘇生をしない 指示であり 通常の医療・看護・ケアに影響を与えない 日集中医誌 2017;24:210-5
#16. Best Supportive Care(BSC)とは 「化学療法を中止し、支持療法中心に行うこと」 →「病気を治すことを目的とした積極的治療はしない」の意味?で使われている。 具体的な内容が曖昧 “Best”って何? ゙ 誤解を招きやすい 。 Rapp E et al:J Clin Oncol 6:633‒641,
#17. ACPを行う上で重要なポイント ・どんな人となりか ・どんな状態は許容できないか
#18. 高齢者救急問題の現状とその対応策についての提言 2024 価値観に合わない 治療は行わない 治療を中止することを 医療者が選択肢として 提示できる 4学会合同 治療の中止と差し控えの ガイドライン でも示される予定
#19. 高齢者救急は社会全体の課題 ❖ 超高齢者 ❖ 施設からの搬送 ❖ 看取り目的の搬送 ❖ 在宅との連携 ❖ 社会的入院 ❖ 身寄りがない