テキスト全文
Tele-simulationの基本概念と歴史
#1. Tele-simulation 遠隔シミュレーション 飯塚病院 連携医療 緩和ケア科 石上 雄一郎 2020/11/16 1
#2. Tele-simulationとは 2016年頃から報告あり 新しいシミュレーションの方法として注目されている AEM Education and Training. 2017;1(2):137-139. AEM Education and Training. 2017;1(2):132-136.
Tele-simulationの実施方法とCOVID-19の影響
#3. Tele-simulationとは インターネットを介してインストラクターと受講者 のシミュレーターをつなぐこと Society for Simulation in Healthcare International Meeting on Simulation in Healthcare 2016 遠隔コミュニケーションとシミュレーションリソースを利用しOff-Site loacation(遠隔地)にいる学習者に教育、トレーニング、評価を提供す るプロセス Off-Site loacation(遠隔地):通信リソースを使用しなければ教育、ト レーニング、評価を行うことができないような遠く離れた場所 Telesimulation: An Innovative Tool for Health Professions Education. Yarris LM, ed. AEM Education and Training. 2017;1(2):132-136.
#5. Tele-simulationとは 学習者:他の学習者と対話し画面上の模擬患者や バイタルサインを元にトレーニングできる。 ファシリテーター:学習者をリアルタイムで遠隔地で観察し 即座にFeedbackできる。 COVID-19により対面型の医学教育プログラム、対面式の シミュレーションは中止されている。 COVID-19中に整備すると平時でも使用できる。
Tele-simulationのメリットと限界
#6. Tele-simulationのメリット シミュレーションセンターの壁を越えて提供できる オフサイトでの学習者の教育・トレーニング・評価が可能 教育コンテンツ配信の距離・時間的制約がない 教育コンテンツ配信の利便性が向上する 個人・プログラム・機関に大幅なコスト削減が提供できる シミュレーション/教育センターに収益をもたらす 医療機関間のネットワーキングとコラボレーションが可能 医学教育における新しいコンテンツの迅速な普及が可能
#7. Tele-simulationの限界 インターネット接続の不安定性 技術的な問題(音や画像など) 現地での技術、シミュレーションサポート 学習者のストレス、認識 時差、言葉の壁
Tele-simulationの準備と実施の具体例
#10. Tele-simulation時の画面表示の一例 The sim must go on: adapting resident education to the COVID-19 pandemic using telesimulation. Advances in Simulation. 2020;5(1).
Tele-simulationのポイントと学習目標設定
#11. Tele-simulationのポイント 1自分の組織で実現可能なツールを選択する。 最低1人ファシリテーターとソフトウエアを遠隔操作する技術者がいる。 模擬患者モニターと音声映像ファイルを準備すると追加機器はあまり ない。参加者が現場に立ち会う必要があるかを確認する。1つのシナリ オに5人以上の参加は難しい。 2対面と比較して遠隔シミュレーションの限界を考慮する。 気道管理などの実践的なスキルはかなり制限される。臨床推論・チー ムコミュニケーションは練習可能。介入や結果はリアルタイムで表示し にくい。CPRやBMVの実技を学習者がパントマイムで行うことで伝わ るが不十分。手技の実施に大きく依存しないものが適している。 Tips for Conducting Telesimulation-Based Medical Education. Cureus. Published online January 4, 2021.
#12. Tele-simulationのポイント 3遠隔シミュレーションに適した学習目標を定める。 2-3個のSMARTな学習目標を考えるのは同じ。スキルベースの”脈 拍確認から10秒以内のhigh quality CPR”はできないが“15回の 圧迫と2回の呼吸の割合で2人用のCPRをおこなようにチームに指 示する”のように目的を変更することはできる。ファシリテーターは遠 隔用に目標を組み直す。 4患者の評価のリアリズムを高めるために、補足的な音声および視 覚資料を準備する。 臨床現場の雰囲気の再現のために”背景”を変更する。発疹がある と口にするより写真がある方が伝わる。聴診の音を聞いたり、痙攣 の動画を見せたりすることができる。 Tips for Conducting Telesimulation-Based Medical Education. Cureus. Published online January 4, 2021.
アメリカ救急医学会のリソースとトライアルの重要性
#14. Tele-simulationのポイント 5遠隔シミュレーションのトライアルを行いファシリテーターの準備をす る。 どのビデオプラットフォームを使うにしても長所短所がある。マネキン やモニターの遠隔操作・ラボや画像の表示タイミングなどトラブル シューティングをしておく。トライアルで参加者からフィードバックを集め 繰り返し行い改善する。 6事前説明を含めて学習者の準備をする。 シナリオ前の全体説明・ビデオ会議プラットフォームの使用方法・セッ ションへの期待など詳しい説明を事前に送る。シナリオは事前に通知 する。(学習者の認知負荷を減らす) Tips for Conducting Telesimulation-Based Medical Education. Cureus. Published online January 4, 2021.
Tele-simulationの事前準備とデブリーフィングの方法
#15. Tele-simulationの事前準備 1シミュレーションの開始時にスクリプトを共有して事前説明 2学習者とファシリの自己紹介をする。シミュレーションにおける 役割、臨床的な背景、トレーニングレベルを説明する。 3 安全な空間であること、他に口外されないことなどルール説明する。 4 技術的プロセスについて説明する。対面に慣れてる人にとっては、 患者を実際に見れない・物理的に触れられない・視覚的な合図の欠如など 限界があることについて認識してもらう。 5 チャットボックスやブレイクアウトルームを使って参加者同士の情報収集や 記録の仕方を共有する。 6ソフトウエアが正常に動作してるか・スクリーン・チャットボックス・ホワイト ボードが見えるか・ファシリテーターが共有した資料が 見えるか(ギャラリーを隠す)確認する。
#16. Tele-simulationのポイント 7「タイムアウト」を設ける。 機器やソフトウエアに問題が起こると学習者はイライラして学習意欲を失う。 タイムアウトにより一旦停止し、参加できる。 参加者がタイムアウトできることをあらかじめ説明する。 8事前にチームの役割とコミュニケーション戦略を決める。 参加時間を最大限に活用するために役割はあらかじめメールで知らせてお く。重要な情報や行動はチャットボックスで記録する。 役割がない学習者は画面の乱れを抑えるためにビデオをオフにする。一度 に複数人喋れない。病歴聴取者はブレイクアウトルームで聴取する・病歴は チャットで聴取する・データの記録はチャットボックス・ホワイトボードを使用す る。 Tips for Conducting Telesimulation-Based Medical Education. Cureus. Published online January 4, 2021.
#17. Tele-simulationのポイント 9デブリーフィングの環境を整える。 シミュレーションが終了したら患者モニターを閉じて、全員ビデオOnに する。遠隔の環境にい慣れてないはずなので、話せるように余分に時 間を取る。Reaction(反応),Description(説明),Analysis(分 析),Application(実臨床でどう適用するか)の デブリーフィングの内容を対面式と同様に行う。 10静かな参加者を巻き込む。 言葉数が元々少ない人はビデオ会議ではより話さない。 事前に声かけすることを伝えておく。観察者にはフィードバックを共有 するようにお願いする。各参加者に持ち帰りポイントを一つは述べても Tips for Conducting Telesimulation-Based Medical Education. Cureus. Published online January 4, 2021. らう。 A. More Than One Way to Debrief. Simulation in Healthcare: The Journal of the Society for Simulation in Healthcare. 2016;11(3):209-217.
#18. Tele-simulationのポイント 11終了後に追加の学習リソースを共有する。 デブリーフィングの時に画面共有する。 ファシリテーターは独自の学習リソースか簡単に共有できる動画など をあらかじめ準備しておく。 チャットボックスや電子メールで後から確認できるようにする。 12フィードバックを収集し、次の遠隔シミュレーションを改善する。 シミュレーション評価フォームを利用する。 QRコードやチャットボックスにリンクを貼り付ける。 Tips for Conducting Telesimulation-Based Medical Education. Cureus. Published online January 4, 2021.
Tele-simulation関連の動画リソース