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脊髄損傷の疫学と症状の評価 #2.
高齢化社会▶脊髄損傷増加 全外傷の約6%
頸髄損傷が脊損の約75%
60歳以上が約50%
転落・交通事故が多い Burney RE: Arch Surg 1993; 128: 596-9 全国脊髄損傷データベース2018より #3.
脊髄損傷を疑うとき
参考)救急診療指針 第5版 鎖骨上のみの範囲で痛み刺激に顔をしかめる(C4)
肘は屈曲するが、伸展はしない(C5-6)
腹式呼吸(肋間筋が動かない) (C5-Th6)
深部腱反射消失・四肢弛緩・肛門括約筋緊張低下
持続性陰茎勃起症(稀だが、あれば脊髄損傷で特徴的)
血圧低下・徐脈・四肢が暖かい 他の触れ込み(頭部打撲)で来院する脊損を見逃さない! スライド画像)広島大学病院 演者作成 初期対応の流れとABCDアプローチ #4.
初期対応の流れ スライド画像)広島大学病院 演者作成 患部の保護(脊椎固定)
ABCDアプローチー(Secondary survey)ー
神経評価
画像評価
コンサルト #5.
初期対応の流れ スライド画像)広島大学病院 演者作成 患部の保護(脊椎固定)
ABCDアプローチー(Secondary survey)ー
神経評価
画像評価
コンサルト #6.
全身固定の解除(アンパッケージ)は頭部から
参考)日本外傷学会外傷初期診療ガイドライン改訂第6版 スライド画像)広島大学病院 演者作成 体幹部から固定を解除すると頚髄損傷を引き起こす可能性あり #7.
初期対応の流れ スライド画像)広島大学病院 演者作成 患部の保護(脊椎固定)
ABCDアプローチー(Secondary survey)ー
神経評価
画像評価
コンサルト #8.
脊損も ABCDアプローチ
酸素の取り込みの順に評価+介入 脊髄損傷は高エネルギー外傷が多い
(近年では高齢化により、転倒での脊髄損傷も増えている) ABCDアプローチにおける評価方法 #9.
JATECに沿ったABCDアプローチ スライド画像)広島大学病院 演者作成 松山幸弘.脊椎外傷の診断・保存的治療・手術. 2018より抜粋 #11. B(呼吸)の評価 横隔神経( C3-5 )肋間筋( T1-12 )麻痺
効果的排痰能喪失→無気肺・誤嚥
腹式呼吸(肋間筋の麻痺・横隔膜のみの呼吸) C3:横隔神経麻痺
▶気管挿管考慮 Nerve (phrenic) Diaphragm The lining of the heart Chest wall Cancer Research UK, CC BY-SA 4.0 <https://creativecommons.org/licenses/by-sa/4.0 >, via Wikimedia Commons 参考)喉頭鏡の気管挿管頸椎骨折の症状が悪化するのは1000例に1例 #12.
C(循環)の評価 スライド画像)広島大学病院 演者作成 T6以上の脊髄損傷では神経原性ショックを起こす可能性
(交感神経遮断により副交感神経優位)
神経原性ショックの特徴▶低血圧なのに徐脈
T1-4を損傷すると心臓交感神経が遮断される
→心停止の危険 #13.
D(神経)の評価 スライド画像)広島大学病院 演者作成 GCS・瞳孔・対称性
感覚障害、運動障害を調べる
▶重症度や障害レベルを推定 脊髄損傷の重症度評価と分類 #14.
初期対応の流れ スライド画像)広島大学病院 演者作成 患部の保護(脊椎固定)
ABCDアプローチー(Secondary survey)ー
神経評価
画像評価
コンサルト #15.
ASIA International Standards for
Neurological Classification of Spinal Cord Injury (ISNCSCI)
これで評価できればベストだが… スライド画像)広島大学病院 演者作成 #16.
ポイントを押さえた感覚評価でも十分
参照)外傷初期診療ガイドライン 第6版 画像)ASIA International Standards for the Classification of Spinal Cord Injury 2008 #17.
ポイントを押さえた筋力評価でも十分
参照)外傷初期診療ガイドライン 第6版 脊髄損傷では損傷箇所以下全てに影響が出る
「足首動きますか?(L4/5)」▶動けば基本重症の脊損ではない! #18.
Secondary survey スライド画像)広島大学病院 演者作成 病歴再度聴取+Top to bottom含めて系統的に評価
他の有無を確認(麻痺があると疼痛がない)
▶四肢骨折・腹部外傷を見落としがち
●脊髄損傷の重症度を評価 Frankel分類 ASIAスケール(AIS) or ※最近は改良Frankel分類 American Spinal Injury
Association Impairment scale Frankel分類とASIAスケールの解説 #19.
Frankel分類
参考)日本外傷学会外傷初期診療ガイドライン改訂第6版 スライド画像)広島大学病院 演者作成 #20.
改良Frankel分類
参考)日本外傷学会外傷初期診療ガイドライン改訂第6版 スライド画像)広島大学病院 演者作成 #21.
ASIA機能障害スケール(AIS)
参考)日本外傷学会外傷初期診療ガイドライン改訂第6版 膝立てできれば悪くてでも D #22.
初期対応の流れ スライド画像)広島大学病院 演者作成 患部の保護(脊椎固定)
ABCDアプローチー(Secondary survey)ー
神経評価
画像評価
コンサルト 画像検査の重要性とCT・MRIの役割 #24.
画像検査 MRI Traumatic spinal cord injury
Last revised by Daniel J Bell◉ on 12 Oct 2021
断裂・圧迫・出血・浮腫
脊髄病変・椎間板
靭帯などの周辺軟部損傷
T2WIで髄内高信号を呈する
出血:T1→、T2↓
浮腫:T1 ↓、T2↑ 椎体後方のT2高信号
筋損傷や血腫を反映
▶強い受傷起点を示唆 脊髄損傷の診断とコンサルトのポイント #25.
初期対応の流れ スライド画像)広島大学病院 演者作成 患部の保護(脊椎固定)
ABCDアプローチー(Secondary survey)ー
神経評価
画像評価
コンサルト #26.
スライド画像)広島大学病院 演者作成
脊損と関連する既往・年齢性別
ADL・職業
受傷起点・バイタル・他の外傷
神経評価・重症度・画像所見
備考:KPは?抗凝固薬? コンサルトの勘所 #27.
Take home message ●頭部外傷・飲酒後転倒などの病歴で来院する
かくれ脊損を見逃さない!
●ABCを安定化し、鍵となる神経診察を!
●画像検査の選択はとても重要
基本は単純CT・MRI撮影
頚髄損傷▶造影CTの必要性を考慮
●コンサルトまでに患者背景・手術に関連する
情報を収集しておく! スライド画像)広島大学病院 演者作成