#4.
⽬次 1. 脊髄伝導路とは 2. なぜを伝導路を覚えなければならないのか︖ 3.脊髄輪切り⇨半切りして覚える 4. 代表的な疾患で総仕上げ 〜ブラウン-セカール症候群
#5.
⽬次 1. 脊髄伝導路とは 2. なぜを伝導路を覚えなければならないのか︖ 3.脊髄輪切り⇨半切りして覚える 4. 代表的な疾患で総仕上げ 〜ブラウン-セカール症候群
#6.
脊髄伝導路とは 1 ✔脊髄内を通る神経線維の束で、感覚と運動の情報を脳と末梢に 伝達するための重要な経路です。 ✔上⾏路と下⾏路に⼤別されます。上⾏路は主に感覚情報を 脊髄後部(背側)を通って中枢へ伝え、下⾏路は運動指令を 脊髄前部(腹側)を通って末梢へ伝達します。
#7.
脊髄伝導路とは 2 ✔主要な下⾏路である⽪質脊髄路(随意運動を制御)は、 ⼤脳⽪質から起始し、⼀部は延髄で交叉して反対側の脊髄側索を 下⾏します。 ✔主要な上⾏路である後索(触覚・圧覚・深部感覚を伝える)は、 同側性に上⾏し延髄で交叉します。脊髄視床路は温痛覚と 粗⼤触覚を伝え、脊髄で交叉し反対側を上⾏します。 ✔このような機能を担う脊髄伝導路の理解は、神経疾患の診断や 治療に重要です。
#8.
脊髄のつくり 灰白質は神経細胞の集まり 白質は神経線維が束になっている ✔脊髄は、灰⽩質と⽩質から構成されており、それぞれに異なる機能を持っています。 ✔灰⽩質は神経細胞の集まりであり、⽩質は神経線維が束になっており、前索、側索、後索 に別れます。 伊藤規絵著︓ねころんで読める歩⾏障害 メディカ出版,⼤阪,2023
#9.
脊髄視床路 後索路 後索路は深部感覚 (振動覚および位置覚)を司る 脊髄視床路は温痛覚・ 粗⼤触・圧覚を司る 脊髄視床路は脊髄内で⼊ったニューロンは すぐに乗り換えて交叉して反対側を上⾏する 後索路は下部延髄でニューロンを乗り換えてから 反対側に交叉する 伊藤規絵著︓ねころんで読める歩⾏障害 メディカ出版,⼤阪,2023
#10.
後索路を調べる検査 簡便かつ⾮侵襲的で、脊髄後索の機能評価に有⽤ ・後索路検査では、⾳叉を⽤いて振動覚を評価します。 ・128Hzの⾳叉を脛⾻内果や外果(腓⾻下端)などに当て、被験者が振動を 感じなくなるまでの時間(消失時間)を測定します。 ・正常値は約15秒で、短縮は後索路障害を⽰唆します。 ・両側で⽐較し、左右差を確認します。 伊藤規絵著︓ねころんで読める歩⾏障害 メディカ出版,⼤阪,2023
#11.
⽪質脊髄路 ✔⼤脳⽪質運動野から脊髄へ伸びる主要な 運動制御経路です。 ✔延髄で80-90%が交叉し、反対側の脊髄へ ⾄ります(外側⽪質脊髄路)。 ✔運動野以外の⽪質領域からも起始し、直接・ 間接的に脊髄運動ニューロンに接続します。 ✔霊⻑類で発達し、特にヒトでは随意運動と ⼿指の巧緻運動に重要な役割を果たします。 ✔外側⽪質脊髄路は随意運動、特に巧緻運動 に関連した刺激を伝達します。 ✔前⽪質脊髄路は、頸髄および上部胸髄のみ に存在し、随意運動に関連した刺激を伝達 します。 近藤智善 野元正弘 監修︓イラストでわかる神経徴候ー機能・解剖学から診断へのアプローチ 丸善出版,東京,2012
#12.
Babinski徴候とは 錐体路障害の有無を調べる検査 ✔⾜底の外側を踵から趾の⽅向に刺激した際に、⺟趾が背屈(伸展)する現象を指します。 これは Joseph Babinski が1896年に最初に報告した神経学的徴候です。 ✔ Babinski徴候陽性(⺟趾の背屈)は、⼤脳⽪質から脊髄への運動経路である錐体路 の障害を⽰唆します。 ✔中枢神経系の器質的病変、特に脳卒中や多発性硬化症などの疾患で観察されます。 伊藤規絵著︓ねころんで読める歩⾏障害 メディカ出版,⼤阪,2023
#13.
運動 下⾏路(遠⼼性・運動性) ・前索〜前⽪質脊髄路︓随意運動に関連した刺激を伝達する 前庭脊髄路︓抗重⼒筋の筋緊張を維持する 視蓋脊髄路︓姿勢反射運動に関与 網様体脊髄路︓運動制御に関連 ・側索〜外側⽪質脊髄路︓随意運動、特に巧緻運動に 関連した刺激を伝達する ⾚核脊髄路︓屈筋群の筋緊張を促通する 下⾏性⾃律神経線維︓平滑筋・⼼筋・分泌腺・内臓の 調節に関与 感覚 上⾏路(求⼼性・感覚性) ・前索〜前脊髄視床路︓粗⼤な触覚および圧覚を伝える ・側索〜後脊髄⼩脳路︓位置覚、触覚、圧覚の情報を⼩脳に伝達する 前脊髄⼩脳路︓位置覚、触覚、圧覚の情報を⼩脳に伝達する 外側脊髄視床路︓痛覚、温度覚を伝達する ・後索〜後索︓位置覚、振動覚、識別触覚を伝える 後索 外側⽪質脊髄路 (=錐体路の代表格) 外側脊髄視床路 前脊髄視床路 多くの伝導路がありますが、重要な覚えるべき伝導路は⾚⾊としています。
#14.
⽬次 1. 脊髄伝導路とは 2. なぜを伝導路覚えなければならないのか︖ 3.脊髄輪切り⇨半切りして覚える 4. 代表的な疾患で総仕上げ 〜ブラウン-セカール症候群
#15.
神経系の理解に不可⽋ 1 例えばこのような神経症候をどのように解釈しますか︖ 宙づりのように⾒えます 温痛覚消失 病変レベル以下 位置覚および振動覚の消失 直腸膀胱障害 痙性⽚⿇痺 全感覚が消失 温痛覚消失・粗⼤触・圧覚障害 対麻痺 病変レベル以下
#16.
神経系の理解に不可⽋ 2 ✔脊髄は脳と体の各部位をつなぐ重要な経路であり、 脊髄伝導路は、感覚情報 (痛み、温度、触覚、振動覚など)や随意運動の伝達を 担います。 ✔脊髄伝導路(上⾏路と下⾏路)を覚えることは、体の 感覚や運動機能を理解するために重要です。
#17.
神経系の理解に不可⽋ 3 ✔これらの経路を知ることで、どの部分が損傷するとどの機能 が失われるかを理解できます。 ✔特に、脊髄梗塞や脊髄腫瘍、脊髄損傷、脱髄疾患 などの際に、どの経路が障害を受けているかを知ることで、 疾患や外傷などの診断に役⽴ち、適切な治療を⾏うことが 可能となります。
#18.
⽬次 1. 脊髄伝導路とは 2. なぜを伝導路覚えなければならないのか︖ 3.脊髄輪切り⇨半切りして覚える 4. 代表的な疾患で総仕上げ 〜ブラウン-セカール症候群
#19.
全部を⼀気に覚えない。 まず脊髄を輪切りして⇨次に半切りする 脊髄輪切り=横断(Axial) 背側 腹側 次に半切りする 背側 腹側
#20.
脊髄輪切りで覚える疾患 その1 横断性脊髄症 後索 外側⽪質脊髄路 (=錐体路の⼀つ) 外側脊髄視床路 前脊髄視床路 ✔脊髄のすべての上⾏性および下⾏性経路が障害されます(完全病変)。 ✔その結果、病変以下のレベルの対⿇痺および全感覚が消失します。 ✔直腸と膀胱も障害されます。 ✔病変が頸髄C3-C5レベルを含めば、呼吸不全も起こります。
#21.
脊髄輪切りで覚える疾患 横断性脊髄症 その1 例えば 胸髄(T)4レベルでの障害 後索 病変レベル以下 外側⽪質脊髄路 T4 対麻痺 全感覚が消失 外側脊髄視床路 前脊髄視床路 病変レベル以下の対⿇痺 全感覚が消失 膀胱直腸障害 直腸膀胱障害
#22.
脊髄輪切りで覚える疾患 その2 前⽅脊髄損傷症候群 後索 外側⽪質脊髄路 外側脊髄視床路 前脊髄視床路 ✔脊髄の後索を除いた上⾏性および下⾏性経路が障害されます(前⽅障害)。 ✔その結果、病変以下のレベルの対⿇痺および温痛覚が消失します。しかし、後索は 障害されないので、解離性感覚障害が特徴的です。 ✔臨床的に前脊髄動脈症候群に類似しています。
#23.
脊髄輪切りで覚える疾患 その2 前⽅脊髄損傷症候群 後索 例えば 胸髄(T)4レベルでの 障害 病変レベル以下 外側⽪質脊髄路 T4 対麻痺 解離性感覚障害 外側脊髄視床路 前脊髄視床路 病変レベル以下の対⿇痺 解離性感覚障害(深部感覚は障害されない) 膀胱直腸障害 直腸膀胱障害
#24.
脊髄輪切りで覚える疾患 その3 脊髄中⼼部病変 脊髄空洞症や脊髄腫瘍などど関連しています 後索 例えばC4-T4 までの病変 外側⽪質脊髄路 外側脊髄視床路 前脊髄視床路 ✔脊髄の中⼼管周囲に病変(例えば脊髄空洞症や脊髄腫瘍など)や障害があると、 脊髄視床路の交叉性繊維の障害によって、「宙吊り型」の感覚障害になります。 ✔頸髄レベルでは、障害部位は、ショール(肩かけ)の様な分布になります。
#25.
脊髄輪切りで覚える疾患 脊髄中⼼部病変 その3 例えば病変レベルが C4-T4までであれば 宙づりのように⾒えます 後索 温痛覚消失 外側⽪質脊髄路 例えばC4-T4 までの病変 外側脊髄視床路 前脊髄視床路 病変レベルの「宙づり型」の温痛覚消失
#26.
⽬次 1. 脊髄伝導路とは 2. なぜを伝導路覚えなければならないのか︖ 3.脊髄輪切り⇨半切りして覚える 4. 代表的な疾患で総仕上げ 〜ブラウン-セカール症候群
#27.
脊髄半切りで覚える代表的疾患 ブラウン-セカール症候群 ✔ブラウン-セカール症候群は、脊髄の半側が障害されることで⽣じる特徴的な神経症状を ⽰す状態です。 ✔主な症状として、障害側の運動⿇痺と深部感覚障害、反対側の温痛覚障害が⾒られ ます。 ✔原因には、外傷(特に穿通性外傷)、脊髄腫瘍、⾎管障害などがあります。 背側 後索(位置覚や振動覚などの深部感覚) ⽪質脊髄路=錐体路の⼀つ(随意運動) 外側脊髄視床路(温痛覚) 前脊髄視床路(粗⼤触・圧覚) 腹側
#28.
ブラウン-セカール症候群 ①病変レベル以下の同側の位置覚および振動覚の消失(後索障害による) ②病変レベル以下の同側の痙性⽚⿇痺(⽪質脊髄路=錐体路の障害による) ③病変レベル以下の反対側の温痛覚消失・粗⼤触・圧覚障害 (外側脊髄視床路の障害による) *病変レベルの下位運動ニューロン徴候(前⾓細胞障害による)が⾒られることがある 右 ① 左 ② * ③ *前⾓細胞
#29.
ブラウン-セカール症候群 右 ① 左 ② 例えば Th4レベル 左 ②① 位置覚および振動覚の消失 痙性⽚⿇痺 ①深部感覚の後索路は同側を上⾏する ②運動を司る錐体路は同側を下⾏する ③温痛覚・粗⼤触覚を伝える神経線維は 脊髄レベルで交差して反対側を上⾏する ③ 温痛覚消失・粗⼤触・圧覚障害 ③ 右
#30.
【Take Home Message】 1) 全部を⼀気に覚えない。まず脊髄を輪切りして⇨次に半切りする。 2) 次に代表的な脊髄伝導路を思い浮かべる。 上⾏路(求⼼性・感覚性)は主に脊髄の背側(後⽅)に位置し、 体性感覚情報を末梢から中枢へ伝達する。 下⾏路(遠⼼性・運動性)は主に脊髄の腹側(前⽅)に位置し、 運動指令を中枢から末梢へと伝達する。 3) 仕上げ︓ 上⾏路の代表格は脊髄で反対側へ交叉する外側脊髄視床路と延髄で 交叉して反対側へ上⾏する後索路を覚える。 下⾏路の代表格である⽪質脊髄路(錐体路の⼀つ)は、その80-90% が下部延髄で交叉して反対側へ下⾏することを覚える。 よって、⼀側の脊髄レベルでの障害は、同側以下の運動障害(⿇痺)と 深部感覚障害、対側以下の温痛覚・粗⼤触・圧覚障害が起こる。