テキスト全文
消化器内科の基本とローテーションの意義
#1. 消化器内科の基本 消化器内科をローテする初期研修医へ 長野中央病院 消化器内科 桑原蓮
#3. 「聞いたことがある」状態を作る
カンファ・検査・救急・当直で 話がつながる状態を作る
消化器学習の足掛かりを作る
消化器内科の広がりと学習の足掛かり
#4. 消化器内科は広く・深い領域を担う
広く・浅く・聞いたことあるを作ろう
#6. 6 そもそも消化器内科って? 「消化器内科は広く深い」 消化管および肝・胆・膵疾患を扱い,頻度の高い消化器症候を担う内科領域である(by ChatGPT5.2)
それぞれの領域には,さらに炎症から腫瘍まで幅広い疾患が存在する
#7. 7 そもそも消化器内科って? 「消化器内科は広く深い」 幅が広すぎてとっつきづらい.病院によって担当する領域が大きく異なることも
→「よく分からなくて当然」 急性期 慢性期 良性 悪性 Common disease 稀少疾患
難病 化学療法 緩和ケア
#8. “広く深い消化器内科”の
”広く浅い地図”としてまとめた 「聞いたことがある」状態を作る
カンファ・検査・当直などで話がつながる状態を作る
消化器学習の足掛かりを作る
基礎知識:用語と解剖の重要性
#9. 本スライドの読み方 「すべて覚えなくても大丈夫」 ★最低限知っておくべきこと:Must
●知っておくと便利なこと :Nice to know
▲参考までに :FYI (For your information)
※付録 (後で見返す資料) :Appendix
#10. 基礎知識~用語と解剖~
主要症候とその対応
薬の使い方
特有の検査
癌の診療
#12. ポイント 英語や略語を全て覚える必要なし
「聞いたことがある」でOK 1. 基礎知識~用語と解説~
消化管と肝胆膵の解剖学的理解
#19. 19 ※臓器と英語の一覧 「調べたいときに見返すスライド」 上下部の境界線はトライツ靭帯(Treitz ligament) 画像:「看護roo!(https://www.kango-roo.com/)」より引用 脾臓
(Spleen) 横行結腸
(Transverse colon) 胃(Stomach)
※ドイツ語だとMagen(マーゲン) 下行結腸
(Descending colon) S状結腸
(Sigmoid colon) 食道
(Esophagus) 肝臓
(Liver) 胆のう
(Gallbladder) 膵臓
(Pancreas) 上行結腸
(Ascending colon) 小腸
(Small intestine) 盲腸
(Cecum) 直腸
(Rectum) 虫垂
(Appendix)
よく聞く略語と業界用語の整理
#20. ※よく聞く略語 ~検査編~ 「困ったときに振り返るスライド」 20 EGD : 上部消化管内視鏡 (Esophagogastroduodenoscopy)
CS : 下部消化管内視鏡 (Colonoscopy) ※TCS (Total-)と表記することも
ESD :内視鏡的粘膜下層剝離術 (Endoscopic Submucosal Dissection)
RFA :ラジオ波焼灼療法 (Radiofrequency Ablation)
TACE:肝動脈化学塞栓療法 (Transcatheter Arterial Chemoembolization)
EUS : 超音波内視鏡 (Endoscopic Ultrasonography)
ERCP:内視鏡的逆行性胆管膵管造影 ※胆管のみならERC / 膵管のみならERP
(Endoscopic Retrograde Cholangiopancreatography) 正式名称や英語まで覚える必要なし.聞いたたり見たりしたときにイメージできればOK
#21. ※よく聞く略語 ~病名編~ 「困ったときに振り返るスライド」 21 GERD(ガード):胃食道逆流症(≒逆流性食道炎) (Gastroesophageal Reflux Disease)
IBD :炎症性腸疾患 (Inflammatory Bowel Disease)
UC:潰瘍性大腸炎 (Ulcerative Colitis)
CD:クローン病 (Crohn’s Disease)
IBS :過敏性腸症候群 (Irritable Bowel Syndrome)
UGIB : 上部消化管出血 (Upper Gastrointestinal Bleeding)
LGIB : 下部消化管出血 (Lower Gastrointestinal Bleeding)
LC :肝硬変 (Liver Cirrhosis)
irAE :免疫関連有害事象 (Immune-related Adverse Events) 正式名称や英語まで覚える必要なし.聞いたたり見たりしたときにイメージできればOK
他にもAIH(自己免疫性肝炎),PBC(原発性胆汁性胆管炎),PSC(原発性硬化性胆管炎)などあるが都度チェックで
#22. ※よく聞く業界用語 「困ったときに振り返るスライド」 22 MS・NG :経鼻胃管 (マーゲンゾンデ・Nasal-Gastric tube)
スコープ :内視鏡
バイオプシー:生検 (biopsy)
ポリペク :内視鏡的ポリープ切除術 (ポリペクトミー) ※アレペク:あればポリペク
バンド :EVL (Endoscopic Variceal Ligation)など内視鏡による結紮
ケモ :化学療法 (Chemotherapy) ※ケモラジ:化学放射線療法
アジュバント:術後補助化学療法 (Adjuvant chemotherapy)
NAC(ナック):術前補助化学療法 (Neoadjuvant chemotherapy) 病院や地域による差異があるため,わからない用語は都度確認しよう
他にもこれをよく聞くという用語があれば教えてください
主要症候とその対応方法の基本
#23. ※余談 「スコープ」と「ファイバー」 現在の内視鏡は「スコープ」と表現することが多い
内視鏡黎明期から活躍されていた先生方,施設では現在も「ファイバー」を用いることも 23 以前は「光ファイバー:Fiberscope」
現在は「ビデオスコープ:Video scope」
オリンパスの内視鏡機種名には現在も
GIF (Gastrointestinal-Fiberscope)
CF (Colono-Fiberscope)
が使われている
施設によっては略語として現在も
FGS (Fibergastroscopy)や
FCS (Fibercolonoscopy)を用いることも 歴史的な背景 画像:OLYMPUS「胃カメラの誕生 (https://www.olympus.co.jp/technology/museum/gastro.html?page=technology)」より引用
#25. ポイント 初期研修で求められる症候・症例経験のうち,消化器内科の担当範囲は広い
“まず何をするか”と“どう考えるか”を 身に着けよう
疾患ごとの詳しい内容は清書を参照 2. 主要症候とその対応
#26. 本スライドの読み方 「すべて覚えなくても大丈夫」 ★最低限知っておくべきこと:Must
●知っておくと便利なこと :Nice to know
▲参考までに :FYI (For your information)
※付録 (後で見返す資料) :Appendix
#27. 27 医師臨床研修指導ガイドライン 2024年版(厚生労働省研究班) ※参考:初期研修で経験すべき内容のうち消化器の担当範囲は広い
#28. 28 1⃣体重減少
2⃣黄疸
3⃣吐血
4⃣血便
5⃣嘔気・嘔吐
6⃣腹痛
7⃣下痢
8⃣便秘 主要症候 疾患ごとの詳しい内容は清書参照
ここでは症候に対する基本的な考え方や対応方法をまとめます
体重減少・黄疸・吐血の考え方
#29. 29 症候を見たときの考え方 「症候が変わっても考え方は変わらない」 ①基本的な考え方「全体像をつかむ」
common / criticalの度合いや
鑑別の軸を知る ②まず考えること「危険を見逃さない」
まずチェックすることを知る ③初期対応の基本 「実際に動く」
研修医としてやるべき ことを知る ④消化器内科の視点「専門的判断」
専門家としての判断を知る
実際の診療の流れを知る
#30. ④CT陰性でも内視鏡は省略しない
悪性疾患をどう除外するか
実質臓器はCT・管腔臓器は内視鏡
小腸の悪性腫瘍は稀 30 ★1⃣体重減少「悪性疾患を除外するまで安心しない」 ①意図しない体重減少は警告サイン
鑑別の軸:悪性腫瘍
慢性炎症・感染
内分泌・代謝 ②必ず悪性腫瘍を除外する
造影CTで消化管悪性腫瘍は除外できない
→上下部内視鏡まで必要 ③経過の確認と血液検査→画像検査へ
問診:期間・程度・食欲・随伴症状
血液:貧血・血糖・炎症反応
検査:造影CT+上下部内視鏡 考え方 まず考えること 初期対応 専門家の視点
#31. ▲体重減少に関する補足 意図しない体重減少とは一般的に6-12ヵ月で5%以上の減少とされる
消化管悪性腫瘍 (胃癌・大腸癌) はCTで偽陰性のことがある 31 Renuka Gupta, et al. Approach to the patient with unintentional weight loss. Joann G Elmore, ed. UpToDate. Waltham, MA: UpToDate Inc. http://www.uptodate.com.
Accessed on January 1, 2026. 悪性腫瘍 造影CT+上下部内視鏡
腫瘍マーカーも便潜血も偽陰性がある
慢性炎症・感染 内分泌・代謝 結核は常に頭に入れる
随伴症状や既往を確認 甲状腺異常はcommon
糖尿病もチェック
他は随伴症状から
#32. ②胆管炎は急ぐ
胆管炎は容易に菌血症に発展する
→発熱+黄疸には要注意
急速に進行した黄疸にも注意 ④減黄処置は必要か?
閉塞性ならERCPなど処置が必要
胆管炎なら急ぐ
緩徐な黄疸なら待機的に 32 ★2⃣黄疸「閉塞性黄疸か否か→胆管炎か否か」 ①分類して考える
肝前(溶血)/肝/胆後(胆道)のどれか
閉塞性黄疸は緊急性が高い
肝前性の頻度は低い ③分類のための情報収集を
問診:急速か緩徐か.腹痛はあるか
血液:ビリルビン・肝胆道系
検査:エコー・造影CT
(胆管拡張をチェック) 初期対応 専門家の視点 考え方 まず考えること
#33. ▲黄疸に関する補足 エコー・CTで肝の形態や胆道拡張を評価することが重要
急性経過か慢性経過か,随伴症状はないかの確認も大切 33 Namita Roy-Chowdhury, et al. Diagnostic approach to the adult with jaundice or asymptomatic hyperbilirubinemia. Joann G Elmore, ed. UpToDate. Waltham, MA: UpToDate Inc. http://www.uptodate.com. Accessed on January 1, 2026. 肝前性(溶血性) 間接ビリルビン優位
溶血の結果ビリルビンが上昇する 肝細胞性(肝実質性) 肝後性(閉塞性) 間接・直接どちらも上がることがある
急性≒肝炎
ウイルスマーカーや自己
抗体(ANA/AMAなど)
慢性≒肝硬変
その他:腫瘍(肝癌/転移)
肝による黄疸の場合,凝固異常や脳症に注意 直接ビリルビン優位
胆道閉塞が原因
①総胆管結石
②胆道腫瘍
③膵頭部癌
#34. ④静脈瘤か非静脈瘤か
静脈瘤なら超緊急
非静脈瘤なら落ち着いて
たまに大動脈破裂・穿通のことも
(CT見ておくと安心) 34 ★3⃣吐血「とにかくVital signの安定を最優先」 ①吐血は上部消化管出血を疑う
criticalな兆候の一つ
Vital signを評価しつつ対応 ②Vital signへの対応
ショックバイタルなら輸液や輸血を
Vital signが安定しないと次はない ③Vital signの安定→内視鏡を想定
問診:最終摂食時間・肝硬変の有無
処置:ルート確保・細胞外液
血液:BUN・Hb・凝固・血液型
検査:上部内視鏡を想定・CT 初期対応 専門家の視点 考え方 まず考えること
血便・嘔気・腹痛・下痢の対応
#35. ※余談:用語の整理 吐血・血便に関する用語は医療現場で誤用されやすい
よくわからなければ,色で言うのが最も間違えない (鮮血便・黒色便) 35
#36. ④吐血よりは急がない
上部の大量出血は急ぐ血便
下部の出血で緊急内視鏡はほぼない
憩室出血では早期の造影CTが重要 36 ★4⃣血便「上部の大量出血でも鮮血便になる」 ①出血源は上部~下部まで広い
黒色便は胃酸の影響か時間経過
鮮血便は下部か大量の上部出血 ②Vital signへの対応
起立性低血圧にも注意
③Vital signの安定→内視鏡を想定
診察:直腸診
処置:ルート確保・細胞外液
血液:BUN・Hb・凝固・血液型
検査:造影CT 初期対応 専門家の視点 考え方 まず考えること
#37. ●血便の主要な鑑別 血便ではCTの重要性が高い (大腸の炎症はCTで評価しやすい+憩室出血ではextraの有無が鍵)
下部出血の2大巨頭は虚血性腸炎と憩室出血 その他感染性腸炎・IBD・直腸潰瘍・痔出血など 37 上部の大量出血 上部の大量出血を疑うなら内視鏡をためらわない
ただし,Vital signが崩れることが多いので安定してから
下部より上部の方が内視鏡をやりやすい 憩室出血 動脈性の出血
ドバっと出て自然に止まる
CTで腸管の変化はない
造影CTでextravasationを捕まえられるかどうかが鍵
良性だが繰り返すので厄介
急いで造影CT→下部内視鏡 虚血性腸炎 静脈性の出血
便秘→腹痛→鮮血便
CTで腸管浮腫がみえる
⇒CTで診断可能
内視鏡は急がない
#38. ③緊急疾患を除外しつつ状態評価
問診:発症様式・便性状・随伴症状
血液:電解質・腎機能
検査:心電図・腹部画像
処置:ルート確保 ④腸管閉塞なら処置が必要
イレウス管・ステントの必要性と
タイミング
常に他領域の疾患除外を考える 38 ★5⃣嘔気・嘔吐「頭・心臓を除外しつつ消化管閉塞を考える」 ①原因は消化管・中枢・代謝と多彩
脱水や電解質の補正をしつつ原因検索
心筋梗塞・尿管結石でも嘔吐する
②脳出血・心筋梗塞・腸閉塞を除外
意識障害・胸痛・持続する嘔吐は危ない
初期対応 専門家の視点 考え方 まず考えること
#39. ③鎮痛しつつ評価
問診:部位・性質・経過
診察:とにかく腹部診察
検査:血液検査・エコー・CT
手術もありえるなら血液型も ④どの臓器に問題があるか
消化管か肝胆膵か
外科コンサルトは必要か 39 ★6⃣腹痛「とにかくおなかを触ってから考える」 ①最もcommonで重症から軽症まで広い
criticalな疾患の除外を優先する
commonな疾患を想起する
②手術が必要か?
腹膜刺激兆候の確認
Vital signの確認
初期対応 専門家の視点 考え方 まず考えること
#40. ③急性か慢性か
問診:経過と便性状・薬剤歴
検査:血液検査・便検査 ④感染性か炎症性か薬剤性か
内視鏡のタイミングと適応
時間をかけて検査を組み立てる
よく使うPPIが下痢を起こすことも
(顕微鏡的大腸炎) 40 ★7⃣下痢「急性か慢性か」 ①criticalなことは少ないがcommon
脱水・電解質異常の補正を
発熱や血便など随伴症状が重要
②Red flagがない
専門家の視点 考え方 まず考えること 初期対応
便秘と薬の使い方の基本
#41. ③急性か慢性か
問診:経過と便性状・薬剤歴
検査:必要によりCTや内視鏡 ④下部内視鏡はやっておきたい
腫瘍性病変は除外したい
良性であればどの緩下剤を使うか
→この後の項目で解説 41 ★8⃣便秘「急性か慢性か」 ①criticalなことは少ないがcommon
ほとんど良性
器質的疾患を除外 ②大腸癌はないか?
急激な便秘・体重減少・血便の有無 専門家の視点 考え方 まず考えること 初期対応
#43. ポイント 消化器内科でよく使う薬について,
“聞いたことがある”状態をつくり,
“何を調べればいいかわかる”ようにする 3. 薬の使い方
#44. 本スライドの読み方 「すべて覚えなくても大丈夫」 ★最低限知っておくべきこと:Must
●知っておくと便利なこと :Nice to know
▲参考までに :FYI (For your information)
※付録 (後で見返す資料) :Appendix
#45. ★PPI (Proton Pump Inhibitor) 「消化器内科で最もよく使う薬」 胃酸分泌を強力に抑制する薬剤
“適応”と”長期投与時の副作用”に注意.漫然と投与しない (といいつつ潰瘍予防では長期に使いたい…) 45 治療 胃潰瘍 :8週間
十二指腸潰瘍:6週間
逆流性食道炎:8週間
維持療法 予防 難治性逆流性食道炎
※潰瘍の維持療法は適応外
(ただしガイドライン*では推奨あり)
低用量アスピリン・NSAIDs使用時の 胃十二指腸潰瘍再発抑制
(ただしガイドライン*では併用薬に関係なく推奨あり) 長期 (数カ月以上) 投与時の副作用 腸管感染症 (CD腸炎など)
Mg,VitB12,鉄,Caの吸収低下
顕微鏡的大腸炎 (特に膠原病性大腸炎) の下痢
腎障害
胃底腺ポリープ *日本消化器病学会 編.消化性潰瘍診療ガイドライン 2020 (改訂第3版).
#46. ▲PPIとH2ブロッカーとP-CAB (Potassium-Competitive Acid Blocker) 実際には施設で採用しているPPIから選ぶしかない.ラベプラゾール,エソメプラゾールがあれば優先
P-CABはPPIより即効性があり,個人差が少なく,酸抑制力が強力 「P-CABは早く強いが高価」 46
特有の検査とその準備
#47. ※余談:消化性潰瘍の治療と予防 ~保険適応とガイドライン~ 全例でピロリ菌検査と除菌を検討することが前提
ガイドラインではNSAIDs・アスピリンにPPI併用が推奨されているが再発抑制でしか保険適応が無い 47 PPI:Proton Pump Inhibitor (オメプラゾール,ランソプラゾールなど);P-CAB:Potassium-Competitive Acid Blocker (ボノプラザン);H2RA:H2ブロッカー (ファモチジンなど).
*日本消化器病学会 編.消化性潰瘍診療ガイドライン 2020 (改訂第3版).
#48. ※余談:逆流性食道炎の治療と予防 ~保険適応とガイドライン~ PPI・P-CABともに難治性逆流性食道炎の維持療法として保険適応あり
内視鏡所見をふまえて方針決定.ガイドラインのフローチャートを一度は見てみよう
48 PPI:Proton Pump Inhibitor (オメプラゾール,ランソプラゾールなど);P-CAB:Potassium-Competitive Acid Blocker (ボノプラザン).
*日本消化器病学会 編.胃食道逆流症(GERD)診療ガイドライン 2021 (改訂第3版).
#49. ★制吐薬 「吐いている理由を考える」 制吐薬は対症療法
使用しつつ原因検索と原因への対処を 49 ドパミン遮断薬 「まず最初に使う薬」
代表:メトクロプラミド
(プリンペラン🄬)
制吐+消化管運動促進
錐体外路症状に注意
抗ヒスタミン薬 セロトニン遮断薬
(5-HT3拮抗薬) 「めまい+嘔気に」
代表:ジフェンヒドラミン
(トラベルミン🄬)
中枢性の嘔気に有効
めまいや動揺病に
眠気・口喝・せん妄に注意 「強力だが出番は限られる」
代表:グラニセトロン
(カイトリル🄬)
中枢性の嘔気に有効
抗がん剤による嘔気に
たまにQT延長
#50. ★緩下剤 「器質的疾患のチェックも忘れずに」 便秘は最もcommonな症候.対症療法として下剤を使いつつ,大腸癌のチェックも忘れずに
研修医のうちはマグミットかモビコールを選択 50 浸透圧性下剤 刺激性下剤 上皮機能変容薬 坐剤・浣腸 直腸内にたまった便を排出する
直腸まで便が降りていないと効果無し 「まず最初に使う薬」
代表:酸化マグネシウム
(マグミット🄬)
ポリエチレングリコール
(モビコール🄬)
腸に水分を引き込む
→水分摂取も重要 「レスキューとして」
代表:センノシド
大腸を直接刺激する
連用で耐性や依存に
毎日使う薬ではない 「浸透圧下剤で不十分な時に」
代表:ルビプロストン
(アミティーザ🄬)
リナクロチド
(リンゼス🄬)
腸管分泌を促進 胆汁酸トランスポーター阻害薬 代表:エロビキシバット (グーフィス🄬)
胆汁酸再吸収を阻害→分泌促進+蠕動促進
浸透圧性の要素あり
#51. ●止痢薬 「整腸剤以外は基本的に使わない」 研修医で使うのは整腸剤だけでよい
化学療法患者を自分でみることになったら,ロペラミドを検討する 51 オピオイド 受容体作動薬 「化学療法中の下痢に」
代表:ロペラミド
最強の止痢薬
蠕動抑制
感染には使わない 腸管吸着薬 整腸剤 「めまい+嘔気に」
代表:タンニン酸アルブミン
天然ケイ酸アルミニウム
おだやかな止痢薬
粘膜の炎症を抑えて水分吸収を促進 「下痢でも便秘でも」
代表:ミヤBM🄬
ラックビー🄬
腸内細菌叢を整える
CD腸炎に対してはガイドラインでも推奨あり
#52. ●肝性脳症治療薬 「脳症増悪の原因検索も忘れずに」 アンモニアは腸内細菌で産生され吸収される→消化管出血・便秘で増悪するため注意
ラクツロースを中心として,排便コントロールをしっかりと 52 「肝性脳症の基本薬」
代表:ラクツロース
腸内のアンモニアの合成や吸収を抑制
→便中排泄を促進
急性期から使用可能
目標は「軟便~毎日排便」
※下痢させすぎない(脱水NG) 非吸収性抗菌薬 分岐鎖アミノ酸 「再発予防の要」
代表:リファキシミン
(リフキシマ🄬)
腸内に到達しアンモニア産生菌を抑制
急性期に単独では使用しない
ラクツロースと併用し再発 予防に 「栄養療法の一環」
代表:リーバクト🄬
→BCAA単独
(16kcal/包)
アミノレバン🄬
→五大栄養素含有
(210kcal/包)
慢性期の管理に
合成二糖類
#53. ★胆汁酸関連薬「ウルソ (DUCA) だけ知っていればOK」 よく使われるウルソが胆汁の流れをよくする薬ということだけでも知っておこう
肝庇護薬は肝炎急性期で使うことくらいは知っておいてもよいかも 53 「胆汁の流れをよくする薬」
基本的に対症療法
急性期の即効性はない
UDCAは胆汁うっ滞を改善
対象 注意点 胆汁うっ滞性肝障害
原発性胆汁性胆管炎 (PBC)
→UDCAが第一選択
著効するため急性期から
胆石症(コレステロール胆石) 閉塞性黄疸には使わない
(そもそも胆汁が流れない)
下痢や軟便に注意
効果判定には週~月単位 基本事項 肝庇護薬 代表薬:グリチロンやグリファーゲン🄬
肝細胞障害に対する抗炎症・肝保護薬.UDCAとは別物.肝炎急性期などで使う
癌の診療と研修医の役割
#55. ポイント “なんのための検査か”
“どんな検査か”
“どんな準備が必要か“を患者に説明できる 4. 特有の検査
#56. 本スライドの読み方 「すべて覚えなくても大丈夫」 ★最低限知っておくべきこと:Must
●知っておくと便利なこと :Nice to know
▲参考までに :FYI (For your information)
※付録 (後で見返す資料) :Appendix
#57. ※食事が消化管を通過するのにかかる時間 内視鏡では食事制限が必要
一般的に,上部内視鏡では前日夜21時以降の絶食 (当日朝食から絶食) が推奨される 57
#58. ③検査に向けた準備
前日21時以降は絶食
飲水は1-2時間前まで可能
※施設ごとの基準を確認しておくこと
キシロカインスプレー or ゼリーによる 咽頭麻酔後に開始 (アレルギー歴確認) ④患者向けの説明
小指の先くらいの太さのカメラを口や鼻から入れます
当日は朝から食事が摂れません
キシロカインで喉の麻酔をします
58 ★上部消化管内視鏡 (胃カメラ,EGD) 「最も基本的な内視鏡」 ①検査の目的
スクリーニング (腫瘍・潰瘍・炎症等)
腫瘍の精査
出血源の検索と止血 ②実際の内容
経路:経口 or 経鼻
対象:(咽頭・)食道・胃・十二指腸
処置:組織採取 (生検) や止血処置も可能
#59. ※スクリーニングとサーベイランス スクリーニングは「無症状集団における病期の早期発見」,サーベイランスは「特定の疾患における経過観察」と異なる
日本ではスクリーニングとして対策型がん検診で上部消化管内視鏡と便潜血検査がある 59 *国立がん研究センター がん対策研究所.有効性評価に基づく大腸がん検診ガイドライン 2024年版.
#60. ③検査に向けた準備
前日21時以降は絶食
当日朝から下剤 (腸管洗浄剤) を服用
午前中に前処置,午後検査のことが多い ④患者向けの説明
カメラを肛門から入れて全大腸を見ます
腸がきれいになるまで下剤を1-2L飲みます
前処置に数時間かかります 60 ★下部消化管内視鏡 (大腸カメラ,CS) 「前処置が大変」 ①検査の目的
スクリーニング (腫瘍・潰瘍・炎症等)
腫瘍の精査
出血源の検索と止血 ②実際の内容
経路:経肛門
対象:直腸~盲腸(~終末回腸)
処置:組織採取 (生検) や止血処置も可能
前処置:下剤 (腸管洗浄剤) を服用
#62. ※大腸内視鏡の前処置 施設ごとに基準が決まっているはずなので確認を 62
#63. 63 日本消化器内視鏡学会.抗血栓薬服用者に対する消化器内視鏡診療ガイドライン (2012年版). ●抗血栓薬と内視鏡手技 抗血栓薬の休薬は,「抗血栓薬の種類」と「血栓リスク」と「出血危険度」で規定される
表を参照しつつ各科とも相談しながら検討する
#64. 64 日本消化器内視鏡学会.抗血栓薬服用者に対する消化器内視鏡診療ガイドライン (2012年版). ●抗血栓薬と内視鏡手技 抗血栓薬の休薬は,「抗血栓薬の種類」と「血栓リスク」と「出血危険度」で規定される
#66. ポイント 癌治療は日々アップデートされる
一人の医師,一つの科では完結しないため, 「共通語」を用いた情報共有が必要
研修医として“どこまで”手を出すか相談を 5. 癌の診療
#67. ★悪性腫瘍をみたときに 研修医として,まずはどんな癌なのか「部位」や「TNM分類」で説明できるように準備
治療方針決定のために,「Performance status (PS)」や「依存症」を確認 67 病期評価 全身状態 方針決定 TNM分類で評価
UICC分類もしくは
癌取り扱い規約を参照 ECOG-PS・ASA分類など
併存症・内服薬も確認 手術・放射線・化学療法を軸に
緩和ケアを早期から導入
消化器内科ローテーションのまとめ
#68. 68 ●ECOG-PS(Eastern Cooperative Oncology Group-Performance status) 他科とも簡便に状態を共有できる分類として,ECOG-PSを最低限押さえておこう
術前評価では麻酔リスク評価として用いられるASA分類もチェック
#69. 「聞いたことがある」状態を作る
カンファ・検査・救急・当直で 話がつながる状態を作る
消化器学習の足掛かりを作る
#70. 消化器内科は広く・深い領域を担う
広く・浅く・聞いたことあるを作ろう
#71. 今回の学習が
少しでもストレスのない消化器内科ローテに
つながれば幸いです
もう少し詳しく知りたい領域や追加してほしい内容などあればお気軽にリクエストください