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「脊髄損傷」コレだけは 〜基本的な初期対応〜

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29,910

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2022/1/10
2022/1/10 更新

本スライドの対象者

研修医/専攻医

内容

脊髄損傷の「評価の方法」「手術の是非」「ステロイド大量療法の是非」が学べます。当直などで脊髄損傷が来るとなった時でも焦らずに対応できるよう学んでいきましょう。

◎目次

・今回のスライドで学べること

・脊髄損傷でもまずはABCDE

・バイタルが安定したら脊髄損傷の評価

・高位診断

・損傷高位と達成可能な予後

・脊髄損傷の重症度評価

・脊髄損傷の重症度による予後予測

・脊髄損傷に対する手術治療の是非

・ステロイド大量療法の是非

・脊髄損傷の初期合併症の注意点と対応

・ステミラック注

・TAKE HOME MESSAGE

ゆるドク

地方総合病院


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「脊髄損傷」コレだけは 〜基本的な初期対応〜

  1. 「脊髄損傷」 コレだけは 〜基本的な初期対応〜 ゆるドク@ 整形外科医 日本整形外科専門医・脊椎脊髄病医 Twitter : @yuru_dr

  2. 今回のスライドで学べること • 評価の方法 脊髄損傷の • 手術の是非 • ステロイド大量療法の是非 当直などで脊髄損傷が来るとなった時でも 焦らずに対応できるよう学んでいきましょう

  3. 脊髄損傷でもまずはABCDE 脊髄損傷は交通外傷や転落外傷などの高エネルギー外傷が多い (近年では高齢化により、転倒での脊髄損傷も増えている) まずは JATEC(外傷初期診療ガイドライン)に沿った「救命措置」を! Primary survey で診察すべき生理学的所見 診察項目 対応と判断 A (Airway) 発語・発声の有無、口腔内 Primay survey で診察すべき生理学的所見呼吸数、胸郭の挙上、SpO2 B (Breathing) 気道確保、口腔内吸引、気管挿管 C (Circulation) 脈拍、心拍数、血圧 四肢末梢の冷感の有無 創部外の出血 FAST 胸部・骨盤部のレントゲン 輸血、止血処置 致死的胸部外傷に対する緊急処置 (胸腔ドレナージ、心嚢穿刺) 経カテーテル動脈塞栓術 創外固定 D (Dysfunction of CNS) 意識レベル 頭部CT(脳外科へ連絡) E (Exposure and Environment control) 体温 保温 O2投与、補助換気、気管挿管 松山幸弘. 脊椎外傷の診断・保存的治療・手術. 2018より抜粋

  4. バイタルが安定したら脊髄損傷の評価 何をどう評価したらいいの?? 脊髄損傷の高位と重症度を評価しよう! 高位が分かればどの程度の機能が温存できるか予測できる。 重症度は将来の予後予測のために必要。 ASIA(American Spinal Injury Association)の ISNCSSCI 表を使うのがオススメ

  5. 高位診断 C2-4は感覚で判断 C2 首 C3 鎖骨 C4 鎖骨と乳首の中間 Key Muscle C5 C6 C7 C8 T1 肘の屈筋群 手関節背屈筋群 肘の伸筋群 手指屈筋群 小指外転筋 L2 L3 L4 L5 S1 股関節屈筋群 膝関節伸展群 足関節背屈筋群 長母趾伸筋 足関節底屈筋群

  6. 損傷高位と達成可能な予後 C2 全介助、終日人工呼吸 C3 全介助、睡眠時のみ人工呼吸 横隔膜の障害あり 腹式呼吸になる C4 顎コントロールでの電動車椅子 C5 腕橈骨筋機能なし 電動車椅子 腕橈骨筋機能あり 普通の車椅子 移乗は全介助 C6 普通の車椅子 移乗も部分介助(人によっては移乗可能) 自宅での生活可能 C7 普通の車椅子 ADLはほぼ自立 C8 普通の車椅子 ADLは自立 加藤真介, 佐藤紀. Jpn Rehabil Med. 2018

  7. 脊髄損傷の重症度評価 改良型Frankel分類 A Motor, Sensory complete 運動・感覚とも完全麻痺 B Motor complete, Sensory only B1 損傷高位以下の運動完全麻痺、 肛門周囲のみ触覚残存 C Motor useless B2 同上 肛門周囲以外にも広範な触覚残存 B3 同上 痛覚の残存 C1 下肢筋力 MMT 0〜2 過半数が 2 未満 C2 下肢筋力 MMT 2〜3 過半数が 2 以上 D Motor useful D0 下肢筋力 4〜5 歩行可能だが急性期で評価が難しい D1 屋内10〜100 mくらい歩けるが屋外は困難。 車椅子や下肢装具、杖を利用 D2 杖、手すり、下肢装具を要するが屋外でも安定した歩行 D3 独歩が可能だが、軽度の筋力低下・知覚障害がある E Nomal 筋力低下・感覚障害なし 植田尊善ほか.脊椎脊髄ジャーナル. 1997

  8. 脊髄損傷の重症度による予後予測 Frankl D以上(歩けるようになる) に改善する確率 B1 B2 B3 20% 32% 80% C1 C2 61% 97% (受傷初期評価から6ヶ月以上経過して再評価) 脊髄損傷直後に完全運動麻痺があっても結構動けるようになる! 脊髄損傷だからといって諦めたらダメ!! 福田文雄ほか.リハ医. 2001

  9. 脊髄損傷に対する手術治療の是非 「24時間以内の除圧(手術)」が待機手術よりも麻痺の改善が良い Frhlingd MG, Perrin RG. Spine. 2006 脊髄の圧迫があれば可能な限り早期に手術をしよう (ただし、救命が優先のため、「超緊急」手術ではなく、「準緊急」手術で良い) もし患者が手術を悩んでいる場合は・・・ 「予防的手術」 という考え方も説明しよう Frankel D 以下は転倒リスクが極めて高い 転倒した時に再度脊髄損傷になるリスクがある (もちろん、脊髄圧迫のない非骨傷性頸髄損傷に対する除圧術など不要な手術はNG)

  10. ステロイド大量療法の是非 脊髄損傷後の脊髄浮腫に対して「脊髄保護」という観点からステロイドの投与は行われていた ステロイド大量療法の効果はどうか? 投与6ヶ月後に僅かに運動スコアが良くなる むしろ 投与1年以降の運動スコアに有意な差がない ステロイド大量投与による有害事象を多く認めた 下肢深部静脈血栓症・肺梗塞・創部感染など 脊髄保護目的のステロイド大量投与は否定的な見解が主流

  11. 脊髄損傷の初期合併症の注意点と対応 呼吸器合併症 • C4 髄節以上の損傷では横隔神経の麻痺 肺活量の低下 • C5 以下でも肋間筋や腹筋などの呼吸補助筋の麻痺 人工呼吸が必要な時もある タイミングはO2 投与下でPaO2 50mmHg以下またはPaCO2 60mmHg以上 人工呼吸のタイミングを逃さないためにも急性期は A ラインを確保しておこう • 誤嚥性肺炎と無気肺のリスクが高い 脊髄損傷は交感神経遮断により副交感優位になる (交感神経は脊髄内を通り、副交感神経は脊髄外を通るから) 気道分泌が増加 上記の麻痺で痰の喀出が困難 無気肺 誤嚥性肺炎 松山幸弘. 脊椎外傷の診断・保存的治療・手術. 2018

  12. 脊髄損傷の初期合併症の注意点と対応 循環器合併症 ドーパミン投与で血圧維持 頸髄からT4髄節の障害(完全麻痺)は神経原性ショックになる 脊髄損傷では交感神経遮断により副交感優位になる 徐脈 麻痺領域の血管拡張 高エネルギー外傷のため、出血性ショックとの見分けが重要 特徴は 低血圧なのに「徐脈」 急性期を脱しても起立性低血圧になりやすい 血栓症・肺塞栓のリスクが高い (必要に応じて昇圧剤の継続内服などを考慮) フットポンプ、弾性ストッキング 早期リハビリ 出血のリスクが低い場合は抗凝固薬など 松山幸弘. 脊椎外傷の診断・保存的治療・手術. 2018

  13. ステミラック注 (おまけ) 患者自身の骨髄液から採取した骨髄由来間葉系幹細胞 適応: 外傷性脊髄損傷でASIA機能障害尺度(ほぼFrankelと同じ)がA〜Cの患者に限る 治験結果: 13例の治験 AISが1段階以上改善したのは A群6例中5例 B群2例中2例 C群5例中5例 施設基準: 鬼厳しい。大学病院でもダメと言われるところがあるとかないとか・・・ 以下はゆるドクの独断と偏見です 費用は自分で調べてね (重症度予後予測をもう一度見直して) ステミラック使わなくても結構改善するから無理して使わなくても良い A群には確かに使ってみたい気もする (費用さえ考えなければ) ただ、A ⇨ B の効果のために使うのは気が引ける (費用がね・・・) (AからB1なんて肛門周囲の感覚しか変わってないよ・・・)

  14. TAKE HOME MESSAGE • 予後予測のため高位・重症度の確認を • 脊髄の圧迫があるなら早期に手術をしよう • ステロイド大量投与はしなくて良い

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