#4.
機能性ディスペプシアの病因・病態 ⼼理的社会的要因 幼少期 遺伝 素養 環境 ⽣活上のストレス 性格傾向 ⼼理状態 対処能⼒ 社会的⽀援 多くの因⼦が複合的に関与している 膵酵素・腸内細菌,胃の形状(胃下垂・爆状胃), ⾷物アレルギーの関与も⽰唆されている ⽣理的機能 消化管運動機能 知覚 免疫 炎症 細菌叢の変化 ⾷事内容 機能性消化管疾患 ヘルスケアの活⽤度 ⽇常的機能 QOL ヘルスケアの費⽤
#5.
機能性ディスペプシアの診断 1.以下の項⽬が1つ以上あること a.つらいと感じる⾷後のもたれ感 b.つらいと感じる早期飽満感 c.つらいと感じる⼼窩部痛 d.つらいと感じる⼼窩部灼熱感 および 2.症状の原因となりそうな器質的疾患が確認されない ※6ヶ⽉以上前から症状があり,最近3ヶ⽉は上記の基準を満たしていること
#6.
機能性ディスペプシアの⾃覚症状の特徴 • ⾷後のもたれ感︓⾷べ物がいつまでも胃の中にとどまっているような不快感 • 早期飽満感︓⾷事あとすぐに,⾷べ物で胃がいっぱいになり,それ以上⾷べ れなくなる感じ • ⼼窩部痛︓みぞおちの⾮常につらい不快な痛み • ⼼窩部灼熱感︓みぞおちの熱をもったような不快な感じ
#7.
機能性ディスペプシアの診断 BQ3-1 FDの診断に上部消化管内視鏡検査は必須か︖ ・内視鏡検査は必須ではなく,総合的な判断により診断,治療を開始 ・警告徴候が陽性,器質的疾患を疑う場合には積極的に精査を⾏う 🟰 原因が特定できない体重減少,再発性の嘔吐,出⾎徴候,嚥下困難,⾼齢者
#8.
機能性ディスペプシアの診断 CQ3-1 ⾃⼰記⼊式質問表はFDの診断に有⽤か︖ ・⾃⼰記⼊式質問表はFDの診断に有⽤であり,⾏うことを提案する ・FDの診療は,症状の詳細を把握することが基本となる 質問表は症状の種類・程度を客観的に評価する上で重要 ・GSRS,GOS scale,出雲スケール,Fスケールがある
#9.
機能性ディスペプシアの診断・治療アルゴリズム 慢性的な ディスペプシア 症状患者 + 器質的疾患の疑い 機能性ディスペプシア H.Pylori検査 陰性/症状不変 H.Pylori除菌 ⼀次治療 ⼆次治療 次のスライドから 説明します 治療抵抗性FD 内視鏡検査 症状改善 H.Pylori関連ディスペプシア 腹部エコー,CT, 消化管造影検査 + 他疾患 消化管機能検査 ⼼理社会的因⼦の 評価 ⼼療内科的治療
#10.
治療 ⼀次治療 ⼆次治療 • 酸分泌抑制薬 • 抗不安薬・抗うつ薬 • 消化管運動機能改善薬 • 消化管運動機能改善薬 (アコチアミド) (アコチアミド以外) • 漢⽅薬(六君⼦湯) • 漢⽅薬(六君⼦湯以外)
#11.
治療〜⼀次治療〜 • 酸分泌抑制薬 プロトンポンプ阻害薬(PPI),H2受容体拮抗薬 P-CABのRCTは未施⾏も上記同様に有⽤とされている • アコチアミド FDに対しての唯⼀の保険適⽤薬 • 六君⼦湯 胃運動機能改善作⽤があり,FDの上腹部症状によく使われる
#12.
治療〜アコチアミドの作⽤機序〜 消化管神経叢の副交感神経終末からアセチルコリン(Ach)が遊離 アコチアミドはアセチルコリンエステラーゼ阻害作⽤により,Achの分解を抑制 シナプス間隙におけるAchの量を増加させる 消化管運動機能を改善
#13.
治療〜⼆次治療〜 • 抗不安薬・抗うつ薬 三環系抗うつ薬(エビデンスレベルA),5-HT1A受容体作動薬︓タンドスピロンなど(エ ビデンスレベルB) • 消化管運動機能改善薬(アコチアミド以外) <ドパミンD2受容体拮抗薬> ①メトクロプラミド,ドンペリドン︓錐体外路症状やQT延⻑の恐れあり、短期間使⽤が 望ましい,② スルピリド︓パーキンソン症状などの出現あり⾼齢者への使⽤は注意 <5-HT4受容体作動薬>モサプリドクエン • 漢⽅薬(六君⼦湯以外) 半夏厚朴湯が上腹部痛,消化不良症状の改善に有効であるとの報告はあるが,まと まったエビデンスはない
#14.
治療〜⼼療内科的治療〜 • 認知⾏動療法︓患者が症状出現の状況を⾃ら解析し(認知),症状改 善もしくは回避のためにどのような考え⽅や⾏動をとることが適切であるの かを治療者と協同して考え,認知・⾏動を修正していく治療法 • 催眠療法︓被暗⽰性を⾼め,催眠により顕在意識と潜在意識の両⽅が 存在する状態で,治療暗⽰を与えたり,症状の原因を探したりする治療法 • ⾃律神経訓練法(エビデンスは得られていない)︓⼼⾝ともにリラックスし た状態が,⾃⼒で得られるようになるために,安静練習や四肢の重感練 習,温感練習などを繰り返す⼼理⽣理的訓練法
#15.
治療〜その他〜 治療⽬標 • 患者が満⾜しうる(あるいは⼗分な)症状改善が治療⽬標 満⾜しうる症状改善🟰治療前から50%以上の症状改善 関係構築 • 医師-患者関係を良好に保ち,⼼理社会的な背景も⼗分聴取すること で,患者の満⾜度や治療遵守・治療効果が改善する
#16.
FRQ4-4 治療抵抗性のFD患者はどの時点で治療を変更すべきか︖ • 治療変更時期の⽬安はおおよそ4〜8週間と思われるが,今後の さらなる検討が必要である 治療抵抗性症例に対する変更を考慮すべき適正時期など,明確な指針を⽰す試験などは⾏われていない • FDは慢性疾患であり,短期間治療で改善効果が容易に望めるよ うな易治性の疾患でないことを⼗分に認識する必要がある
#17.
CQ4-1 ⽣活習慣指導や⾷事療法は有⽤か︖ • 満腹まで⾷べずに少量ずつ複数回に分ける • ⾼脂肪⾷を避ける • 禁煙指導を⾏う • 飲酒・コーヒー摂取を避ける ⽣活習慣指導や⾷事療法は有⽤であり,⾏うことを推奨する(エビデンスレベル:B)
#18.
機能性ディスペプシアの合併症・予後 • 過敏性腸症候群,胃⾷道逆流症,機能性便秘,不安障害などが 合併しやすいとされている • 難治例では,早期慢性膵炎の症例が含まれているとの報告がある • 機能性ディスペプシアは(内服治療中⽌群だけでなく,治療継続群に おいても)再発することがあるが,死亡率の増加は報告されていない
#19.
FRQ2-1 膵酵素値・膵機能異常はFDに関連するか︖ • 関連は,現時点では不明であるが今後の解明が望まれる⾼脂肪 ⾷を避ける • 禁煙指導を⾏う • 飲酒・コーヒー摂取を避ける 関連は,現時点では不明であるが今後の解明が望まれる
#20.
BQ1-2 慢性胃炎とFDの関係はどのようになるか︖ • これまでFD患者の多くは慢性胃炎と診断,治療されてきた ▶機能性ディスペプシアという保険病名がなかったことも原因 • 症状により定義されるFDと慢性的な胃粘膜の組織学的炎症によ り定義される慢性胃炎は同⼀の疾患ではない • 胃粘膜の慢性炎症と症状の程度は相関しないという報告が多い
#21.
BQ1-3 ピロリ菌感染とFDの関係はどうなるのか︖ • H.pylori感染を伴うディスペプシア患者は,FDではなくH.pylori関 連ディスペプシアとして取り扱う • H.pylori感染は胃・⼗⼆指腸潰瘍,胃癌,MALTリンパ腫などの 疾患の発症に関与することが明らかであり,禁忌がない限りは積極 的に除菌治療を施⾏すべきである
#22.
TAKE HOME MESSAGE • 診断に内視鏡検査が必須ではないが,器質的疾患が疑われた場 合には積極的に⾏う • 患者が満⾜しうる症状が重要な治療⽬標 • 良好な患者-医師関係を構築することは治療において有⽤