テキスト全文
#1. 知られざる 産業医研修会の世界 くるとん@消化器内科 twitter︓@Dr_Claude_Japan
#2. はじめに サブスペシャリティとして⼈気資格の産業医ですが,資格取得 のための産業医研修会の情報はあまり出回っていません 今回産業医研修会に潜⼊することができ,無事”産業医“の 資格を取得出来ましたので報告させていただきます
#3. 産業医とは Ø 事業場において労働者が健康で快適な作業環境のも とで仕事が⾏えるよう,専⾨的⽴場から指導・助⾔を⾏ う医師のことです Ø 50⼈以上の労働者がいる事業場では産業医の専任が 義務となり,契約した事業場の専属の“専属産業医”と 普段は医療機関で働きながら,所定の⽇に⾯談や職場巡視 を⾏う“嘱託産業医”に分かれます
#4. 産業医資格を取得するには 皆様ご存知の産業医科⼤学を卒業する以外に ⽇本医師会認定産業医制度に基づく基礎研修会を 計50単位(1時間/1単位)受講する必要があります ⼟⽇や平⽇夜に各地で開催されている研修会でコツコツ単 位を集める⽅法もありますが, 地⽅在住や⼿っ取り早く取得 したい⽅は6,7⽇間の研修会を個⼈的にはオススメします
#5. 産業医研修会(集中講座)とは 有名なものとして 産業医科⼤学が8⽉に連続6⽇間⾏っている夏季集中講座 東京医科⻭科⼤学が連続7⽇間⾏っている産業医研修会 がありますが,各地で開催はされています コロナで中⽌となった年度の登録者が 優先で⾼倍率でした‥ 産業医科⼤学は抽選でもれたため,東京医科⻭科⼤学の 研修会に参加しました
#7. 産業医研修会の概要 会場︓東京医科⻭科⼤学のM&Dタワーの講堂 *御茶ノ⽔駅から徒歩圏内で他県からの参加者は,駅近辺で宿泊先を探すのがオススメ︕ 座席は映画館の様なクッション性の⾼い座席 座席毎にコンセントとLANポート(使⽤できるかは不明)が 付いており,スマホやタブレットの充電が可能
#8. 産業医研修会の概要 計7⽇間,総計50単位(1単位=1時間)の講義が⾏われる ①前期研修(14単位) ⼊⾨的な研修 ②実地研修(10単位) 職場巡視などの実施研修 作業環境管理測定実習などの実務的研修 ③後期研修(26単位) 実務的・やや専⾨的・総括的な研修
#9. 研修会当⽇の流れ ①各⽇最初の講義(初⽇は12時半、2⽇⽬以降は午前9時) の1時間前から受付開始 *必ずしも1時間前に到着の必要はなかったです ②受付で当⽇分の受講証を提出し, テキストを受け取る ③開始時間までに指定の席に着席する ④講義開始 受付時に右半分を 提出します
#10. 研修会当⽇の流れ ⑤基本的に講義時間は2時間で,休憩は10分程度 *トイレは⾮常に混みます ⑥昼休みは50-60分あり,その間に昼⾷を済ます 院内のレストランやコンビニを利⽤できます また会場近くに飲⾷店多数あり,下調べは重要です サイズが⼩さいので紛失注意︕ 保管⽤のファイルもしくは 研修⼿帳を持参しよう︕ ⑦午後の講義は18時頃に終了 認定シール交換証を提出し,受講証明のシールに交換
#11. 服装・持ち物など Ø 服装は⾃由で,ほとんどが私服で短パンやサンダルの⽅も 沢⼭いました Ø テキストに講義の内容は殆ど記載されているので, メモ帳などの持参は不要です Ø 受講証,筆記⽤具があれば⼿ぶらでも可 ⼿元にあれば産業医学研修⼿帳 研修⼿帳の⼊⼿については, 各所属医師会にお問い合わせください
#12. 産業医研修会の実際 Ø 前期研修,後期研修はすべて座学 *講義内容は多岐にわたっており, 本スライドでは 重要キーワードと印象に残った内容のみ説明します Ø 実地研修に関しては各講座の内容を簡単に説明します おそらくみなさんが⼀番知りたいところかと思います ⾃分も研修会前は何をするんだろうと少し不安でした
#13. 前期・後期研修について 前期は⼊⾨的,後期はやや専⾨的という位置づけですが 内容が似通った講義も多かったです 基本となるのが産業医の職務である労働衛⽣管理の3管理で 作業環境管理 場の管理 作業管理 作業の管理 健康管理 ⼈の管理 もちろん全てではありませんが, 各講義この3管理がbaseになります
#14. 前期・後期研修について 印象に残った講義内容 Ø 産業医は毎年3000⼈増えているが,会社の数は減っており 競争が始まっている Ø 50-99⼈の事業所の産業医専任状況は80%を切る Ø 職場巡視の際に2,3分でもよいのでひとくち健康講座を⾏う Ø 定期健康診断の有所⾒率は60%近く(30年前は40%)
#15. 実地研修について Ø 研修会3⽇⽬, 4⽇⽬の午後に開催 Ø 受付番号順に6グループ,6部屋に分かれての研修で 席の指定はなし Ø 基本的には座学が中⼼ 苦⼿な⼈には朗報かも‥ *会場,講師にもよるとは思いますが指名もほとんどありませんでした Ø コロナ渦のため,グループディスカッションはなし
#16. 実地研修について-1⽇⽬作業環境管理と作業管理がテーマで計6講座 ①職域の感染症対策 ⿇疹,⾵疹の疫学情報の講義と 実際のケースを⽤いた対応策の検討(事例検討)を⾏いました *質疑応答などはなく,座学のみでした 感染症対策を⾏う上で各感染症の基本情報(感染経路,症状, 潜伏期間,感染⼒,ワクチンや治療薬の有無,ばく露後対策の有 無)を予め準備しておくことが重要とのことでした
#17. 実地研修について-1⽇⽬②有害化学物質のリスク低減措置に関する⼯学的対策 作業環境管理の改善のため9⼿法(有害物質の使⽤中⽌・ 代替,消費量の減少,作業⼯程の改良など)の講義でした ⇨複数の⽅法を組み合わせる⽅が少ないコストで⾼い効果が得られる 換気装置(⼯場の排気システムなど)の動画が提⽰されました *質疑応答などはなく,座学のみでした
#18. 実地研修について-1⽇⽬③作業環境測定と個⼈ばく露測定 前者が化学物質濃度の場の測定であるのに対して,後者は 個⼈のばく露量の測定であること,実際の測定⽅法についての 講義でした 研修としては測定機器を実際に⾒せて頂き,また⼿袋の種類な どを保護具選定のためのケミカルインデックスというツールを⽤い て実際に選定しました *質疑応答などはなく,座学のみでした
#19. 実地研修について-1⽇⽬④熱中症の予防対策と暑さ指数の測定 暑さ指数(WBGT)︓熱中症を予防することを⽬的とした指標 の説明と熱中症の危険信号,作業を中⽌すべきケース,職場に おける熱中症対策などの講義でした 研修としてはWBGT指数の測定器を実際に⼿に取り,講義室 内の測定を⾏いました *質疑応答などはなく,座学のみでした
#20. 実地研修について-1⽇⽬⑤化学物質のリスクアセスメント =危険性や有害性の特定,リスクの⾒積もり,リスク低減措置の内容の検討 事業者⾃らがリスクアセスメントを⾏うことが必要とのこと 研修としては各⾃,SDS(安全データシート)やCREATESIMPLEという⽀援ツールを⽤いて実際の化学物質のリスクア セスメントを⾏いました *質疑応答などはなく,座学のみでした
#21. 実地研修について-1⽇⽬⑥過重労働⾯談事後措置 時間外労働時間が⽉80時間を超えた労働者が対象 研修としては講師の産業医の先⽣が経験した6症例に関して, 産業医としての対応,検討事項などを検討しました *指名はされますが,1⼈1回発⾔するかどうかでした
#22. 実地研修について-2⽇⽬①職場における疲労対策 スポーツトレーナーによる講義で 担当の事業所で指導することで 産業医の信頼度up︕ 職場でできる簡単なエクササイズの実践 *その場に⽴っておこないました ②⾷事指導のポイント 管理栄養⼠による講義で,⾼⾎圧,⾼脂⾎症,腎障害など の⽅に対する⾷事の提案の簡単なポイントの説明 産業医と管理栄養⼠が連携することで具体的⽀援に繋がる *質疑応答などはなく,座学のみでした
#23. 産業医研修会を終えた感想 計7⽇間,50時間という⻑丁場のため達成感がすごいです 講義⾃体は⾯⽩く,また講師の先⽣⽅の“産業医”という仕事 に対する熱い気持ちが伝わって充実の研修会でした ただし貴重な夏休みが犠牲になりますので,個⼈的には初期 研修医時代に参加するのがオススメです
#24. Take Home Message ü 産業医研修会はプラチナチケットであり,参加するのが第⼀関⾨ ü 実地研修はほぼ座学であり,グループディスカッションなどもなし ü 休みの取りやすい初期研修医の時に取得するのがオススメ