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基本から学ぼう!B型肝炎の治療

投稿者プロフィール
くるとん@消化器内科

総合病院

86,237

411

概要

B型肝炎の病態と治療に加え、de novo B型肝炎についてまとめました。

◎目次

・B型肝炎とは?

・B型肝炎の自然経過

・HBVマーカーによる病態把握

・B型肝炎の治療適応

・B型肝炎の治療目標

・B型肝炎の治療薬-ペグインターフェロン-

・B型肝炎の治療薬-核酸アナログ-

・B型肝炎の治療-実践編-

・B型肝炎の治療薬-核酸アナログ-

・B型肝炎の治療-医療費助成-

・de novo B型肝炎

・de novo B型肝炎の予防

・de novo B型肝炎のアルゴリズム

・TAKE HOME MESSAGE

本スライドの対象者

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テキスト全文

B型肝炎の基本と感染経路

#1.

基本から学ぼう︕B型肝炎の治療 くるとん@消化器内科 twitter︓@Dr_Claude_Japan

#2.

B型肝炎とは︖ üB型肝炎ウイルス(HBV)が⾎液・体液を介して,感染し⽣じる疾患である ü感染経路は主に垂直感染(⺟⼦感染)と,それ以外の⽔平感染に分類 *⺟⼦感染防⽌策が取られており,現在新規の⺟⼦感染はほどんどない ü⽔平感染の原因は,性交渉,ピアスの⽳あけ,⼊れ墨などでの不適切な器具 の消毒,⿇薬での注射器の共⽤があるが,性交渉による感染が近年最多 参考⽂献 B型肝炎治療ガイドライン 第3.4版

B型肝炎の自然経過と分類

#3.

B型肝炎の⾃然経過 宿主(患者)の免疫応答とHBV-DNAの増殖から4期に分類 ①免疫寛容期 患者の免疫反応が未発達でHBV-DNA増殖は 活発だが肝炎の活動性はほどんどない ②免疫応答期 免疫反応が活発となり,活動性肝炎となる ③低増殖期 HBe抗原セロコンバージョンにより感染が鎮静化し, HBV-DNAが低値となる ④寛解期 HBs抗原が消失し,HBs抗体が出現する 参考⽂献 B型肝炎治療ガイドライン 第3.4版

#4.

B型肝炎の⾃然経過 乳 幼 児 感 染 HBe抗原陽性 HBV-DNA⾼値 ALT正常 (無症候性キャリア) 免疫応答 HBe抗原陽性 肝炎持続 HBV-DNA⾼値 ALT上昇 HBe抗原陽性 HBV-DNA⾼値 ALT⾼値 (HBe抗原陽性慢性肝炎) 肝硬変 HBe抗原 セロコンバージョン HBe抗原陰性 HBV-DNA低~⾼値 ALT⾼値 (HBe抗原陰性慢性肝炎) 成 HBe抗原陽性 ⼈ 免疫応答 HBV-DNA⾼値 感 ALT上昇 染 (急性肝炎) HBe抗原陰性 HBs抗原陰性 HBV-DNA低値 HBs抗体陽性 ALT正常 HBs抗原 (臨床的寛解) (⾮活動性キャリア) セロコンバージョン 参考⽂献 B型肝炎治療ガイドライン 第3.4版

HBVマーカーによる病態把握と治療適応

#5.

HBVマーカーによる病態把握 HBs抗原 HBs抗体 HBe抗原 HBe抗体 HBc抗体 HBV-DNA 臨床像 (ー) (+) (ー) (ー) 低抗体価 検出感度以下 既感染 (+) (ー) (+) (ー) ⾼抗体価 ⾼値 HBe抗原陽性 無症候性キャリア (+) (ー) (ー) (+) ⾼抗体価 低値 HBe抗体陽性 無症候性キャリア (+) (ー) (+)or(ー) (ー)or(+) ⾼抗体価 ⾼〜低値 B型慢性肝炎 HBs抗原が陽性であった場合には,少なくとも HBe抗原,HBe抗体,HBV-DNAの測定を⾏い,臨床像の把握を⾏う 参考⽂献 B型肝炎治療ガイドライン 第3.4版

#6.

B型肝炎の治療適応 ①組織学的進展度(慢性肝炎 or 肝硬変, ②ALT値, ③HBV-DNA 上記3項⽬が,治療を選択する上で最も重要な基準となる 慢性肝炎︓HBe抗原の陽性,陰性に関わらず, ALT 31U/L以上かつHBV-DNA 3.3 LogIU/mL(2000IU/mL)以上 が治療対象となる 肝硬変︓HBV-DNAが陽性であれば治療対象となる 参考⽂献 B型肝炎治療ガイドライン 第3.4版

B型肝炎の治療目標と治療薬の概要

#7.

B型肝炎の治療⽬標 治療⽬標は,⽣命予後およびQOLの改善である ⻑期⽬標として,HBs抗原の消失を図る 短期⽬標は ①ALT持続正常化(30U/L以下) ②HBe抗原陰性 かつ HBe抗体陽性 ③HBV-DNA増殖抑制 参考⽂献 B型肝炎治療ガイドライン 第3.4版

#8.

B型肝炎の治療薬-ペグインターフェロン期間を限定(24-48週間)して投与することで,持続的効果を⽬指す治療 慢性肝炎に対する初回治療では,原則として第⼀に検討する 若年者や挙児希望の患者など⻑期投与を避けたい症例で,特に検討する ⻑所︓drug freeで効果持続,⻑期経過でHBs抗原が⾼率に陰性化する 短所︓治療反応例は20-30%程度で,副作⽤の頻度が⾼い 肝硬変に対する保険適⽤はない 参考⽂献 B型肝炎治療ガイドライン 第3.4版

核酸アナログ治療薬の種類と特徴

#9.

B型肝炎の治療薬-核酸アナログB型肝炎の逆転写を阻害する薬物である 原則として,⻑期継続投与が必要である ⻑所︓経⼝薬であり,短期的には副作⽤がほとんどない 肝硬変症例にも投与可能である 短所︓投与中⽌による再燃率が⾼い.耐性変異が出現することがある インターフェロンと⽐較して,HBs抗原量の低下が少ない 参考⽂献 B型肝炎治療ガイドライン 第3.4版

#10.

B型肝炎の治療薬-核酸アナログ現在,本邦で発売されている核酸アナログ製剤は以下の通りである ・ラミブジン(LAM) 商品名︓ゼフィックス® ・アデホビル(ADV) 商品名︓ヘプセラ® ・エンテカビル(ETV) 商品名︓バラクルード® ・テノホビル・ジソプロキシフマル酸塩(TDF) 商品名︓テノゼット® ・テノホビル・アラフェナミド(TAF) 商品名︓ベムリディ® 参考⽂献 B型肝炎治療ガイドライン 第3.4版

B型肝炎治療の実践編と症例紹介

#11.

B型肝炎の治療薬-核酸アナログ・エンテカビル(ETV) 商品名︓バラクルード® ・テノホビル・ジソプロキシフマル酸塩(TDF) 商品名︓テノゼット® ・テノホビル・アラフェナミド(TAF) 商品名︓ベムリディ® 薬剤耐性変異のリスクが低い,上記の3剤が主に使⽤されている バラクルード®,テノゼット®は腎機能低下時には減量が必要であり, バラクルード®は妊婦への投与は不可である 参考⽂献 B型肝炎治療ガイドライン 第3.4版

#12.

B型肝炎の治療-実践編症例:60歳 男性 主訴:なし 検診でHBs抗原陽性, AST 50U/L, ALT 70U/Lと肝機能障害を指摘され, 消化器内科外来を受診 家族歴 ⽗親が肝臓癌で死亡, ⽣活歴 飲酒なし ⾎液検査 HBV-DNA 4.1 LogIU/mL, ⾎⼩板 15万/μL, PT 80%, T-Bil 1.1mg/dL, Cr 1.8mg/dL 腹部US 肝の辺縁はやや鈍化,軽度の脾腫あり 明らかな肝細胞癌なし

治療中止の条件と医療費助成

#13.

B型肝炎の治療-実践編HBs抗原陽性で肝臓癌の家族歴があり,HBVの垂直感染疑い ⾎⼩板は軽度低下も肝予備能は保たれている 画像所⾒と併せて,慢性肝炎>肝硬変と診断する ALT 31U/L以上かつHBV-DNA 3.3 LogIU/mL以上を 満たしており,治療対象と判断 年齢は⾼く,インターフェロンの適応はなく,核酸アナログを選択 腎機能障害あり,ベムリディ® 25mg1T1✖朝⾷後投与とした

#14.

B型肝炎の治療薬-核酸アナログ治療中⽌を検討する場合,再燃を来しにくい症例を判別する必要がある 治療中⽌の必要条件 ü核酸アナログ投与開始後,2年以上経過 肝炎再燃,重症化のリスク について⼗分説明する ü中⽌時,HBV-DNAが検出感度以下 ü中⽌時,HBe抗原が陰性 参考⽂献 B型肝炎治療ガイドライン 第3.4版

de novo B型肝炎の定義と予防策

#15.

B型肝炎の治療-医療費助成厚⽣労働省と各都道府県が,B型肝炎の治療(インターフェロン及び核酸 アナログ製剤)に対する医療費助成を⾏っている 医 療 機 関 4.⾃⼰負担額の ⽀払い 患 者 ' ( 1.申請 保 健 所 , 3.受給者の交付 - 2.審査 世帯の市町村民税(所得割)課税年額 自己負担限度額 (月額) 23500円以上 20,000円 23500円未満 10,000円 都 道 府 県

#16.

de novo B型肝炎

#17.

de novo B型肝炎 B型肝炎ウイルス感染患者において,免疫抑制剤や化学療法により, HBVが再増殖することをHBV再活性化と呼ぶ キャリアからの再活性化と既往感染者(HBs抗原陰性,かつHBc抗体また はHBs抗体陽性)からの再活性化に分類されるが,後者がde novo B型 肝炎と称される 重症化しやすく,原疾患の治療を困難にするため,発症そのものを阻⽌す ることが最も重要である 参考⽂献 B型肝炎治療ガイドライン 第3.4版

#18.

de novo B型肝炎の予防 免疫抑制剤,化学療法の治療前に全例,HBs抗原の測定を⾏う HBs抗原陽性の場合 消化器内科(特に肝臓専⾨医)にコンサルトし,出来るだけ早期に 核酸アナログ製剤を開始する またHBe抗原,HBe抗体,HBV-DNA定量の測定も⾏っておく 参考⽂献 B型肝炎治療ガイドライン 第3.4版

de novo B型肝炎のアルゴリズム

#19.

de novo B型肝炎の予防 HBs抗原陰性の場合 HBc抗体とHBs抗体を測定し,いずれかあるいは両⽅が陽性であれば, HBV-DNA定量を測定する HBV-DNAが陽性であれば出来るだけ早期に核酸アナログ製剤を開始し, 検出感度以下であれば,1-3ヶ⽉に1回HBV-DNA(およびAST/ALT)の 測定を⾏い,陽性となれば治療を⾏う 参考⽂献 B型肝炎治療ガイドライン 第3.4版

#20.

de novo B型肝炎のアルゴリズム 全例 HBs抗原 HBs抗原(+) HBs抗原(ー) HBc抗体, HBs抗体 HBe抗原,HBe抗体 HBV-DNA定量 HBc抗体(+)またはHBs抗体(+) HBc抗体(ー)かつHBs抗体(ー) HBV-DNA定量 1.3LogIU/mL以上 通常の対応 1.3LogIU/mL未満 HBV-DNA定量 1回/1-3ヶ⽉ AST/ALT 1回/1-3ヶ⽉ 1.3LogIU/mL以上 1.3LogIU/mL未満 核酸アナログ投与 参考⽂献 B型肝炎治療ガイドライン 第3.4版

TAKE HOME MESSAGE

#21.

TAKE HOME MESSAGE üHBs抗原陽性の場合は,HBV-DNAまで測定しよう︕ ü核酸アナログは中⽌によって肝炎が増悪することがあり, 基本的には継続が必要である ü免疫抑制剤や化学療法を投与する際には,B型肝炎の 再活性化(de novo B型肝炎)に注意する

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