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地方総合病院
骨粗鬆症の基礎知識、骨密度の評価と骨粗鬆症の診断手順、治療介入のタイミングと薬剤の選択をまとめました。
高齢化社会では骨粗鬆症は避けられない疾患。脆弱性骨折を減らすためにも治療ができる知識を身につけよう
◎目次
・今回のスライドのトピック
・骨粗鬆症とは
・骨代謝(骨吸収と骨形成)
・骨密度の評価
・骨粗鬆症の診断手順
・続発性骨粗鬆症は何がある?
・骨粗鬆症の治療介入はいつから?
・薬剤はどれがいいの?
・骨代謝の評価をしよう
・大まかな治療方針
・薬の一覧表
・ビスホスホネート種類多すぎ問題・・・
・ゆるドクの処方例(初回導入の場合)
・TAKE HOME MESSAGE
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今回のスライドのトピック • 基礎知識 骨粗鬆症の • 骨密度の評価と骨粗鬆症の診断手順 • 治療介入のタイミングと薬剤の選択 高齢化社会では骨粗鬆症は避けられない疾患 脆弱性骨折を減らすためにも治療ができる知識を身につけよう
骨粗鬆症とは 骨強度が低下した状態=骨が脆弱になり、骨折のリスクが高い状態 骨強度 = 骨密度 + 二次性石灰度の低下 微細構造の変化 骨吸収の促進 骨形成の低下 エストロゲン欠乏(閉経など) 骨質(構造・材質) 骨基質の変化 酸化ストレス 加齢 ビタミンD,Kの不足 生活習慣病 骨強度の低下は多様な要因によってもたらされる 骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン2015 より抜粋
骨代謝 (骨吸収と骨形成) 骨密度の低下はどうして起こるのか? 骨の新陳代謝機構である骨リモデリングが影響する 骨芽細胞 による 骨形成 骨は常にこのサイクルを回している 骨吸収と骨形成の強度は年齢や閉経、生活習慣、病気などにより変化する 骨吸収が骨形成を上回ると骨密度は低下する 破骨細胞 による 骨吸収
骨密度の評価 DEXA法(Dual energy Xray absorptiometry)が推奨されている YAM(Young adult mean)値を計ろう 腰椎・大腿骨近位・橈骨骨幹部(遠位1/3)・踵骨 など この2つでの測定が推奨されている なぜか? 検診では安価で短時間で済む踵骨での測定が多い スクリーニングとしては十分使える 橈骨と踵骨は治療による変化率が小さいため、治療効果判定が難しい 基本的な方針 腰椎・大腿骨近位で測定 椎体骨折の既往 側弯症による骨硬化 骨折後の手術でインプラントがある 橈骨骨幹部で測定
骨粗鬆症の診断手順 腰痛などの有症者・検診でひっかかた人 原発性と続発性はキチンと区別しよう 骨密度の評価(DEXA法) 精査 鑑別診断 なし YAM値80%以上 YAM値 80-70% 正常 骨量減少 脆弱性骨折の有無 YAM値 70%以下 続発性骨粗鬆症 低骨量になる疾患 あり 大腿骨近位部骨折 椎体骨折 その他の骨折 +YAM値 80%以下 原発性骨粗鬆症 骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン2015 より抜粋
続発性骨粗鬆症は何がある? 内分泌性 副甲状腺機能亢進症 甲状腺機能亢進症 性腺機能不全 クッシング症候群 栄養性 胃切除 食欲不振 ビタミンA,D過剰 ビタミンC.D.K欠乏 脊椎疾患 多発性骨髄腫 脊椎血管腫 化膿性脊椎炎 薬剤性 ステロイド 性ホルモン低下治療 (前立腺癌や乳癌) SSRI 先天性 骨形成不全 マルファン症候群 その他 関節リウマチ 糖尿病 慢性腎不全 アルコール依存症 廃用症候群 などなど 血液検査や尿検査、画像検査で 可能な限りの鑑別をしよう 骨粗鬆症治療に原疾患の治療 が必須な場合がある
骨粗鬆症の治療介入はいつから? 脆弱性骨折とは: 軽微な外力で発生する非外傷性骨折 主な骨折部位: 大腿骨近位・椎体 肋骨・骨盤・上腕骨近位部 橈骨遠位端・下腿骨など ない ない YAM値70-80% FRAXはWHOが出した 骨折リスク評価法 ネットに計算ツールが 転がってるよ 大腿骨近位部骨折 椎体骨折 上記以外の脆弱性骨折 YAM値 70%以下 FRAX®で 骨折リスク15%以上 薬物治療開始 骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン2015 より抜粋 ある ある
薬剤はどれがいいの? 骨芽細胞 による 骨形成 どこに効くのかを整理しよう 破骨細胞 による 骨吸収 ビスホスホネート SERM (選択的エストロゲン受容体モジュレーター) 副甲状腺ホルモン(PTH) 抗スクレロスチン抗体 活性化ビタミンD 抗RANKL抗体 カルシトニン 女性ホルモン 今の患者の骨代謝の状態を確認し、「どこ」に効かせたいのかを考えて処方しよう
骨代謝の評価をしよう 骨代謝を評価するのに使うのが骨代謝マーカー 骨吸収マーカー 血清マーカー 骨形成マーカー TRACP-5b NTX 食事の影響あり CTX DPD BAP P1NP ucOC(ビタミンK不足を確認) 腎機能の影響を受ける 尿中マーカー NTX CTX TRACP-5b:破骨細胞に特異的な酸ホスファターゼ BAP:骨型アルカリフォスファターゼ P1NP:1型プロコラーゲン-N-プロペプチド 食事や腎機能に影響されにくい TRACP-5b・BAP・P1NP がオススメ
大まかな治療方針 骨形成マーカー正常以上 骨吸収マーカー正常以上 骨吸収マーカー正常以下 ビスホスホネート SERM 活性化ビタミンD 抗RANKL抗体 カルシトニン 女性ホルモン 骨形成マーカー正常以下 副甲状腺ホルモン(PTH) 抗スクレロスチン抗体 患者の年齢・骨折の有無・認知症の有無なども考慮して決定する 抗スクレロスチンは心血管障害の副作用もあるため合併症の多い高齢者には使いにくい PTHを毎日注射することは認知症患者には難しい
薬の一覧表 ビスホスホネート (BP) 活性化ビタミンD (Vit D) 女性ホルモン エチドロン酸 (ダイドロネル) エルデカルシトール (エディロール) エストリオール アレンドロン酸 (ボナロン、フォサマック) アルファカルシドール (アルファロール、ワンアルファ) リセドロン酸 (アクトネル、ベネット) カルシトリオール (ロカルトロール) ミノドロン酸 (ボノテオ、リカルボン) カルシトニン イバンドロン酸 (ボンビバ) ゾレドロン酸 (リクラスト) フォルテオ 抗スクレロスチン抗体 ロモソズマブ (イベニティ) SERM (選択的エストロゲン受容体モジュレーター) エビスタ 副甲状腺ホルモン (PTH) テリパラチド エルカトニン (エルシトニン) ビビアント エストラジオール 抗RANKL抗体 デノスマブ (プラリア) 骨粗鬆症財団に写真付き一覧PDFがあるよ https://www.jpof.or.jp/medical/medicaldocument/tabid259.html
ビスホスホネート種類多すぎ問題・・・ ビスホスホネートの中でどれ使えばいいの?? 効果はどれも証明されているから極論どれでもいい 患者の生活スタイルに合わせて選ぼう!(選んでもらおう) 1週間に1度は認知症患者には難しい 施設に入所しているなら月に1回、年に1回など 年に1度は リクラスト(注射)のみ 月に1度は 注射:ボンビバ、ボナロン 内服:ボンビバ、アクトネル、ベネット、ボノテオ、リカルボン ゼリー剤は 週1回のボナロンゼリー (飲みやすさNo.1)
ゆるドクの処方例 (初回導入の場合) 前提:骨粗鬆症と診断されている、腎機能は考慮していない 治療検討の一案 妄信してはダメ 年齢 70歳未満 女性 SERM+Vit D 女性ホルモン 男性 70歳以上 脆弱性骨折なし 脆弱性骨折あり 認知症なし 認知症あり PTH(自己注射) カルシトニン イベニティ BP(点滴) PTH(週1皮下注) 抗RANKL抗体+Ca製剤 BP(内服)+Vit D 除痛効果が期待できる 心血管障害に注意
TAKE HOME MESSAGE • 骨粗鬆症は「脆弱性骨折の有無」と「YAM値」で診断しよう • YAM値は治療効果判定も考慮し「腰椎」と「大腿骨」で測ろう • 治療介入が遅れないように介入時期を意識しよう • 骨代謝を意識して薬を選択しよう