テキスト全文
腰痛診療の基本と重要性
#1. 「腰痛診療」 コレだけは 〜たがか腰の痛み、されど腰の痛み〜 ゆるドク@ 整形外科医 日本整形外科専門医・脊椎脊髄病医 Twitter : @yuru_dr
#2. 今回のスライドのトピック • 最低限の知識 急性腰痛の • 診察時の簡単な手順、注意すべき点 • 外来での対応 たかが腰の痛み、されど腰の痛み・・・ 腰痛診療の一歩を踏み出しましょう
腰痛の種類と危険因子
#3. 腰痛とは • 84%の人が腰痛を経験 • 25%の人が1ヶ月以内に腰痛を経験 Cassidy JD. ISSLS. 1997 Hoy D et al. Arthritis Rheum. 2012 厚生労働省:平成22年度国民生活基礎調査より抜粋 腰痛は最も身近にある病状!!!
#4. 絶対にやってはいけない事!! 腰が痛いよ〜!! はい、はい、ぎっくり腰ですね〜 急な腰痛≠ぎっくり腰 腰痛にはどんな病気があるのか??
急性腰痛の診断と注意点
#5. 「急性」 腰痛の種類 運動器由来 内臓由来 脊椎腫瘍 ⇨ 病的骨折 脊椎感染症(化膿性脊椎炎、脊椎カリエス) 椎体骨折 腰椎椎間板ヘルニア 急性硬膜外血腫(黄色靭帯血腫) 腰椎分離骨折 仙腸関節炎 腎尿路系疾患 腎結石、尿路結石、腎盂腎炎 婦人科系疾患 子宮内膜症、子宮外妊娠 血管由来 腹部大動脈瘤 解離性大動脈瘤 心因性 うつ病 ・ ・ ・ ・ 運動器由来ではない腰痛もある 参考文献 腰痛診療ガイドライン 2019 腰痛 知る診る治す 清水克時
#6. 危ない病気の見落としを防ぐコツ 「Red Flag」を頭に入れておこう! • 発症年齢 20歳未満、55歳以上 • 栄養不良 • 時間や活動性に関係しない腰痛 • 体重減少 • 胸部痛 • 広範囲に及ぶ神経症状 • がんの既往 • 構築性脊椎変形 • ステロイド治療の既往 • 発熱 • HIVの既往
腰痛診断の手順と精査
#7. 腰痛の診断手順 腰痛患者 Red flag あり なし 神経症状 あり 画像検査 血液検査 などの精査 なし 非特異的腰痛 4-6週の保存加療 疼痛コントロール 原疾患の特定 可能 原疾患に応じた治療 非特異的腰痛: 画像などで原疾患が特 定できない腰痛 不可 改善なし 改善 画像検査や侵襲的検査 Red flagの再精査 心因性の評価 腰痛診療ガイドラインより引用
#8. 簡略版 「RED FLAG」 を想定した手順 大動脈解離や大動脈瘤のチェック 胸痛・冷や汗の有無 救外用 超簡略版 あり なし 化膿性脊椎炎、腎盂腎炎など感染症をチェック 熱発 あり なし 高齢者・ステロイド・ガンの既往 椎体骨折のチェック あり なし その他の精査 (高血圧+抗凝固剤 ⇨ 硬膜外血腫も想定する) 椎間板ヘルニアや分離骨折などの精査を
椎体骨折の検査と対応
#9. 椎体骨折の検査の注意点 レントゲンの単純撮影で椎体骨折が見つかる割合は 51.5% Z ito et al., Osteoporos Int. 2006 可能であればCTやMRIの撮影を 1つの椎体骨折と思われたが 多発椎体骨折があった症例
#10. 急性腰痛症と思われる時の対応 鎮痛薬+湿布+コルセットでの経過観察 だけど・・・ 「2週間後」も疼痛が続く場合は再診するよう説明 レントゲンだけでは椎体骨折は見落としがある 救急外来の場合、全て検査するのは無理 正直に見落としの可能性に言及しよう! 何もないと言い切ると後で揉めることあり!
急性腰痛の治療薬と生活指導
#11. 急性腰痛症にオススメの薬剤 ① NSAIDs (ロキソニン、セレコックス) ② アセトアミノフェン ③ 弱オピオイド 数字はゆるドクの 「独断的」オススメ度 (カロナール) (トラムセット、ワントラム) ④ ワクシニアウイルス接種兎炎症皮膚抽出液 (ノイロトロピン) ⑤ 筋弛緩薬 (テルネリン、ミオナール)
#12. 患者の生活指導も忘れずに! 腰痛と生活習慣には密接に関係がある • BMI 30以上は腰痛になりやすい • 喫煙者は腰痛になりやすい • アルコールの飲み過ぎは腰痛になりやすい • 運動習慣(3日/週以上)がないと腰痛になりやすい 運動習慣を身につけ、太りにくい体を! 飲酒量や喫煙量は減らすことから勧めましょう!
腰痛診療のまとめと注意点
#13. TAKE HOME MASSAGE • 腰痛は外来でよくみる症状 • 怖い病気も潜んでいるから油断は禁物!! • 「Red flag」を忘れずに!!