テキスト全文
#1. 初期研修医/コメディカルに知ってほしい~カルテとプレゼン~
#2. 病棟でのショートプレゼンができるようになる
集中治療でのby systemプレゼン 本日のミッション ショートプレゼンの目的▶︎
#3. プレゼンの型▶︎ ショートプレゼンテーションの目的 ・上級医との情報共有
・今後の方針の決定
#4. 各構成要素を見ていこう▶︎ ショートプレゼンの型 Opening Statement
Overnight event
Subjective
Vitals, Physicals
L/D
Assessment & Plan
Prevention
Future Plan
#5. Overnight event▶︎ Opening Statement どんな人が
なぜ入院していて
どんな治療をしているか
コンパクトに
#6. Subjective▶︎ Overnight event 前回プレゼンしてから
当日までの経過
#7. L/D▶︎ Subjective 治療に必要な患者さんからの
情報を述べる
#8. Assessment & Plan▶︎ L/D バイタルサイン
身体所見
血液検査・生理機能・画像
#9. Prevention▶︎ Assessment & Plan 大事なプロブレムの順
診断名・診断根拠(必要時鑑別疾患)
治療内容と今後の方針
#10. Future plan▶︎ Prevention リハビリ・血栓
潰瘍予防・デバイス
#11. 症例に戻って▶︎ Future plan 退院先
Advanced care planning
多職種カンファの必要性
#13. 腎盂腎炎で入院している高齢女性でやってみます
#14. Overnight event▶︎ Opening statement もともとADLの自立した
糖尿病 HbA1c 7.3%がある78歳女性
腎盂腎炎でCTRX 2g 24時間ごとで治療中
3日目です 年齢・性別・疾患に重要な既往・診断名・治療内容は必須
#15. Subjective▶︎ Overnight event 夜間は38.3度の発熱でクーリング
アセリオ1000mgが投与されました 薬物投与の有無、バイタルサインの変化、症状の変化
#16. Vitals and Physicals▶︎ Subjective 腰痛は改善傾向ですが、発熱のため
倦怠感と食指不振はまだあります 患者さんが言ったことを全て述べる訳ではない
#17. L/D ▶︎ Vitals and Physicals 意識清明、体温37.2度(Tmax 38.3度)、血圧132/78
脈 82回、SpO2 98%(RA)、呼吸数16回
血糖は200以下で保たれています
左のCVA叩打痛は陽性ですが、改善傾向
ルート刺入部の発赤はありません バイタルは読み上げる。身体所見はフォローしているものを中心に
大切な陰性所見とその他のプロブレムとなる身体所見も一緒に
#18. Prevention▶︎ L/D 血液検査は白血球11000、肝胆道系酵素上昇なし
eGFR 72 で腎機能の悪化はありません。CRP 6
尿検査は白血球 1〜4と改善しています
血培2セットは今のところ陰性です 数字は読み上げる。血液、生理、画像の順で
簡単なAssessmentが入ることもある
#19. Assessment & Plan ① #1. 腎盂腎炎
CVA叩打痛陽性、膿尿、発熱があり、尿グラム染色でGNR多数
その他の熱源は身体所見、CT上なく、腎盂腎炎と診断しました
現在CTRX 2g 24時間ごと day3です
尿所見、general共に改善傾向で治療効果はあると判断し
治療を継続する予定です 大事な順で述べる、細かいプロブレム(糖尿病など)をどこまで述べるかは状況次第
#21. Future plan▶︎ Prevention リハビリは今日から開始予定です
血栓予防はしていません
潰瘍予防は元々ランソプラゾール15mg内服中で継続
デバイスは左前腕にルート1本で今のところ問題なしです
#22. By system!!の前に・・・▶︎ Future plan 1週間から10日ほどで軽快すれば自宅退院予定です
夫と2人暮らしで今後ADLの低下がなければ
自宅での生活は可能と思います
#23. Example▶︎ Semantic Qualifier (SQ) 具体的な病歴情報を医学的に分類し
より上位の概念に置き換えて
普遍化した用語
#24. SQにすると▶︎ Semantic Qualifier (SQ) 寝るのは車の中
#25. SQの効果▶︎ Semantic Qualifier (SQ) 車中泊
#26. 使えるようになりたいSQ▶︎ Semantic Qualifier (SQ) ・疾患想起をすることができる
・鑑別疾患の絞り込みが可能である
・文献検索が容易になる
#27. ここでクイズ!▶︎ Semantic Qualifier (SQ) 発症:突発、急性、急速性、亜急性、慢性
部位:単関節、大関節、局所的、片側、近位
経過:発作性、再発性、不規則、持続
#28. SQにすると▶︎ Semantic Qualifier (SQ) 寝返りを打ったら目が回った
#29. クイズ2▶︎ Semantic Qualifier (SQ) 頭位変換時の回転性めまい
#30. SQにすると▶︎ Semantic Qualifier (SQ) 坂道を登ったら息があがる
#31. 最後のミッション!▶︎ Semantic Qualifier (SQ) 労作時呼吸困難
#32. 病棟でのショートプレゼンができるようになる
集中治療でのby systemプレゼン 本日のミッション By systemとは?▶︎
#33. By systemとは? 臓器系(System):
複数の臓器をまとめた1つの機能単位
Systemごとに決まった順で各種
パラメーターや介入状況を評価する なぜ必要か▶︎
#34. なぜBy systemが必要か? 集中治療では複数の致死的な病態が
急激に進行していくため
プロブレムごとの評価では漏れが増えるし
時間もかかるから By systemの型▶︎
#35. Objectiveの例▶︎ By systemの型 全体像 Opening Statement
Overnight event
Objective
Assessment & Plan
#36. Objectiveの例 意識/神経
循環
呼吸
消化器・栄養
代謝内分泌
腎・電解質
血液・凝固
感染
予防・デバイス 単位の確認▶︎
#37. よく使う薬剤の単位の確認 実際のプレゼン▶︎
#39. Over night event▶︎ Opening Statement 元々ADL自立の78歳女性で
腎盂腎炎、Septic shock、人工呼吸器管理中
TAZ/PIPC 4.5g 6時間毎、ノルアドレナリン0.1γ day3の患者さんです
#40. ここからby system▶︎ Over night event 血圧が次第に上昇してきたため
ノルアドレナリン0.2γから0.1γへ漸減
夜間の40度の高熱でアセトアミノフェン1000mg
使用しています 経過表、採血結果を供覧しながら
#41. 循環▶︎ 意識/神経 意識はデクストメトミジン 0.6μg/kg/hr
フェンタニル 20μg/hrの鎮静でGCS E2VTM4
RASS -2程度、鎮痛はBPS 5点 鎮静、鎮痛薬の種類と用量、鎮静の度合い
せん妄の評価、意識障害、痙攣、筋力低下など
#42. 呼吸▶︎ 循環 In 3800 out 1200でプラス2600
メインはソルラクト100ml/hr ノルアド 0.1γ
MAP 70程度、80bpm sinus
心音に異常ありません
エコーでIVCに呼吸性変動あり
レントゲンでの心拡大、胸水貯留ありません 心エコー、循環管理モニター、ショック、不整脈の評価
#43. 消化器・栄養▶︎ 呼吸 挿管人工呼吸管理でPCモード
FiO2 0.4 PC 15 PEEP 10 換気回数 12回
血ガスpH 7.32 PaO2 85 PaCO2 38 Lac 16mg/dL
呼吸音に異常ありません
レントゲンは挿管チューブ位置、肺野異常ありません 酸素化、換気、圧について評価、レントゲン所見も
#44. 代謝内分泌▶︎ 消化器・栄養 消化器・栄養は胃管から
テルミール200ml 3回/day 1200kcalです
肝胆道系酵素に異常ありません
腹部所見は特記ありません 経腸か経静脈か、カロリー、タンパク、脂質
肝機能上昇や下痢についても言及
#45. 腎・電解質/血液凝固▶︎ 代謝内分泌 代謝内分泌ですが、昇圧薬抵抗性septic shockで
ヒドロコルチゾン200mg/dayの投与中です
血糖はスライディングスケール管理で
概ね200mg/dL以下に保たれています 甲状腺、血糖、副腎
特にステロイド適応については一度考える
#46. 感染▶︎ 腎・電解質/血液凝固 腎・電解質は尿量1200ml、1ml/kg/hr
BUN 35 Cre 1.54 Na/K/Clは正常です
血液凝固ですが輸血はありません
WBC 12400 Hb 9.5 Plt 5.2万
PT INR 1.87 APTT 43 Fib 434 FDP 28 Ddimer 18です 腎障害、酸塩基平衡
緊急透析適応、輸血の閾値
ヘパリン、ワルファリンの調整
#47. 予防・デバイス▶︎ 感染 感染症は左腎盂腎炎にTAZ/PIPC 4.5g 6時間毎
Day3です。培養結果は大腸菌で
ESBLスクリーニング は陰性、感受性未着です
尿所見、発熱、炎症反応は改善傾向です 体温、培養結果、治療経過(抗菌薬名、用量、開始日)
必要時のSource control、de-escalationの考慮
#48. Assessment and Plan▶︎ 予防・デバイス 予防はオメプラゾール、ヘパリンカルシウム皮下注
リハビリ介入中です
デバイスは右内頸にCV triple 7Fr、気管挿管中
NGチューブが右鼻腔から、尿道バルーン
それぞれday3で穿刺部に異常所見はありません To do listを意識しよう DVT予防、VAP予防、消化管出血予防
ラインの感染や血栓徴候の有無
不要なラインはないか
#49. Take Home Messages▶︎ Assessment and Plan #1.左腎盂腎炎、敗血症性ショック
・急性呼吸不全、ARDS・急性腎不全・DIC
抗菌薬投与が奏功しており、昇圧剤減量、尿量増加、呼吸、DICいずれも改善傾向です
培養結果次第でde-escalation予定
昇圧剤離脱とヒドロコルチゾン終了を目指します ICUから退室できないか、退室に何をクリアすべきか毎日考える systemごとのポイントを総合してプロブレムごとにアセスメント
#50. Take Home Messages ・型を守ってプレゼンをしよう
・情報共有・治療方針決定のために
プレゼンしていることを意識して
#51. Take Home Messages あなたが患者さんのことを
一番わかっていて
一番考えています
自信を持ってしっかりプレゼンしよう
#53. みんほす!勉強会 Twitter
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