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歯周病と糖尿病の相互関係
#1. 歯周病は糖尿病の 第6の合併症  a  a  作者 Dr KOTATSU 編者 h n かっぱ@歯科   
 #2. 糖尿病と歯周病は相互に関係 肥満  歯周病  糖尿病  今回のトピックでキーとなる模式図です! 歯周病だと糖尿病が悪化しやすく、糖尿病だと歯周病が重症化しやすいと言われています。 また、肥満は2型糖尿病の最大の危険因子で、糖尿病の前段階である肥満そのものが歯周病にも悪影響 を及ぼします。  今回は、特に糖尿病と歯周病にクローズアップして見ていきます!   
 #3. 歯を失う原因の第一位は歯周病 厚生労働省が実施している「患者調査」の2017年調査によると、 「歯肉炎及び歯周疾患」の総患者数398万3,000人で、 前回の調査よりも66万人以上増加しました。 歯周病には、20代で7割、30〜50代で8割、60代以上で9割の人がかかって いると言われています。 その他 8%  矯正 2% 埋伏 5%  左のグラフは、2018年に全国2300余の歯科医院で  歯周病 37%  破折 18% 虫歯 29%  永久歯の抜歯原因 *1 8020推進財団:第2回永久歯の抜歯原因調査報告書.2018.  行われた全国抜歯原因調査*1です。 なんと歯を失う原因の4割が歯周病なのです。   
 歯周病と全身疾患の関連性
#4. 歯周病と全身疾患 口腔細菌と全身疾患の関連性の、現段階での報告を見ていきましょう!  アルツハイマー型認知症 アルツハイマー型認知症患者の海馬に歯周 病菌が集積、歯周病菌と炎症性サイトカイ ンが病態を増悪させる可能性あり1)。 さらに、歯周病の炎症反応でアルツハイマ ー型認知症患者の脳内にアミロイドβと リン酸化タウの集積が見られた2)。  誤嚥性肺炎 歯周病菌をはじめとする口腔内細菌が飲食 物や唾液を介して誤って気管から肺に 侵入し肺炎を発症3)。  歯周病  関節リウマチ 関節リウマチ患者は歯周病の罹患率が 高く、重症化しやすい1)。  早産・低体重児出産 中等度以上の歯周病に罹患している妊婦は そうでない妊婦に比べ、早産や低体重児出 産のリスクが高い3)。早産を起こした妊 婦の2人に1人の割合で羊水中に細菌が同 定され、最も多かったのが歯周病菌4)。  次に歯周病と糖尿病との関連について説明するよ! 1)特定非営利活動法人 2)  日本歯周病学会編、歯周病と全身の健康  2015.2016.  Ileivski V et al.:Chronic oral application of a periodontal pathogen result in brain inflammation,neurodegeneration and amyloid beta production in wild in type mice,PloS One,13(10):20204941,2018.(PMID 30281647)  3)特定非営利活動法人  日本歯周病学会編  歯周治療の指針2015.2016.  4)Han YW et al.:Uncultivated bacteria as etiologic agents of intra-amniotic inflammation leading to preterm birth,J Clin Micobiol,47(1):38-47,2009.(PMID 18971361)  心血管疾患 歯周病菌が血管に侵入し血管を損傷させた り、歯周病の炎症性サイトカインが血管に 炎症を引き起こして、動脈硬化を 誘発・悪化1)。  糖尿病 糖尿病と歯周病は双方向に関連あり1)。 後ほど解説。  肥満 肥満の人は歯周病になりやすく、内蔵
 #5. 日本糖尿病学会の歯周病の扱い • 2008年  糖尿病治療ガイドに初めて歯周病が合併症の1つとして登場 糖尿病の合併症 糖尿病神経障害 糖尿病網膜症 糖尿病腎症  • • •  • 2016年  ・末梢動脈疾患 ・脳心血管障害  糖尿病診療ガイドラインで  「2型糖尿病患者が歯周病を併発している時、歯周病治療により 血糖が改善する可能性があるため、歯周治療を推奨する」と明言!  その根拠として、 すごい!!  歯周治療後にHbA1cが0.4%〜0.7%低下* →糖尿病経口薬一剤に匹敵する血糖改善作用 *日本糖尿病学会編:糖尿病診療ガイドライン2016.南江堂.東京.2016.   
 #6. 歯周病分類に糖尿病の項目追加 19年ぶりに歯周病の分類が改訂され、歯周病をステージとグレードの2つに分類  歯周病  ステージ分類:医科の癌のステージ分類に倣っている。 歯周病の重症度・範囲・複雑性を示す。 グレード分類:歯周炎の進行速度、進行リスク、 治療に対する反応性、全身状態との関係を示す。  グレード分類  1)  歯周炎のグレード 進行の直接証拠  グレードA  グレードB  グレードC  X線画像状の骨吸収または CAL  5年なし  5年で<2mm  5年で 2mm  骨吸収率%/年齢  <0.25  0.25〜1.0  >1.0  症例の表現型  バイオフィルムの量は多い が、組織破壊は少ない  バイオフィルムの量に相当し た組織破壊  喫煙  非喫煙  1日あたりの喫煙本数< 10本  1日あたりの喫煙本数 10本  糖尿病  糖尿病の診断なし 血糖値正常  糖尿病 HbA1c<7.0%  HbA1c7.0%以上の 糖尿病患者  主な基準 進行の間接証拠  グレードの修飾因子  リスクファクター  バイオフィルムの量から予想される 程度を超えた組織破壊 急速進行・早期発症を示唆する特徴 的な臨床像  高血糖が続くと歯周病が進行しやすいという事ですね! 歯周病と糖尿病の関係が数値化されることで、目安にしやすくなった んだなぁ。まずは、糖尿病→歯周病から! 1)日本歯周病学会.歯周病の新分類への対応.2019.   
 糖尿病患者における歯周病の影響
#7. 2型糖尿病患者は歯周病発生率が2.6倍 2.6  2型糖尿病患者は、糖尿病患者でない者 に比べ2.6倍歯周病になりやすい!1)  2.6倍 1.3  0  非糖尿病患者  2型糖尿病患者  HbA1c6.5%以上 血糖コントロール不良 糖尿病患者  歯周病発生率  HbA1c6.5%以下の 非糖尿病患者 血糖コントロール良好な糖尿病患者 と比較すると  歯周病が悪化しやすい! その結果  歯を失う割合が高い!  糖尿病の治療で一般的には食事療法と運動療法から スタートしますが、歯周病で歯を失うとうまく噛めないので 食事療法もうまくいかなくなります・・・ 1)Nelson RG et al.:Periodontal disease and NIDDM inPima Indians.Diabetes Care,13(8):836-840,1990.   
 #8. 200  350  175  52.5 35 17.5 多咀嚼 0  多咀嚼  Σインスリン(μU/ml)  インスリン値(μU/ml)  摂取量(g)  525  0  咀嚼方法によるΣインスリンの比較  70  700  通常  15  30  45  通常 60  90  120  食事経過時間(分)  咀嚼方法と食事の平均時間 ・多咀嚼:33.7分 9.9分 ・通常咀嚼:17.2分 5.4分  BMI25以下の健康な20〜40歳の男性9名が対象群 食事方法の違い 多咀嚼:おにぎり6分割を1口量として1分間に88回の速さで50回以上噛む 通常:食べ方の指示は一切なし 食事内容:おにぎり1個100g(具あり)を満腹感を感じるまで食べ続ける  160  120  80  40  0  多咀嚼  咀嚼方法と食後インスリン値の合計 多咀嚼は通常咀嚼と比較して、 Σインスリン値が有意に低い  つまり、歯がしっかりあればしっかり噛めて、 少しの量でも満腹感を感じる事ができます。 よく噛むことで血糖値上昇が抑えられた結果、 インスリン分泌も低くて済んだということです。 歯って大切でしょ!  松山美和  2019 各論5糖尿病予防の口腔健康管理  医歯薬出版株式会社  歯科衛生士のための糖尿病予防指導マニュアル  Pp.89-102  通常  Σインスリン:各採血時間でのインスリン値の 合計の平均  咀嚼方法と食後インスリン値 多咀嚼は通常咀嚼と比較して 各採血時間でのインスリン 値、ピーク値ともに小さい  咀嚼方法と食事の平均摂取量 ・多咀嚼:528g ・通常咀嚼:693g  と っ ょ 道 り 寄  咀嚼方法による食後平均インスリン値  咀嚼方法と食事量  ち  咀嚼方法とインスリンの関係   
 #9. 糖尿病による歯周病悪化のメカニズム 血糖コントロールの悪い糖尿病が歯周病の発症や進行に関与し、歯周病を悪化させるメカニズムとして、 ①高血糖による脱水傾向で口腔内が乾燥→唾液の自浄作用が低下→歯肉に炎症が起こりやすくなる ②高血糖による白血球の遊走能・貪食能・殺菌能などの機能が低下→歯周病細菌に対する抵抗力が低下 ③過剰な血中ブドウ糖がタンパク質と結び付き作られる最終糖化産物(AGEs) →歯周組織での重要な基質分子であるI型コラーゲンやラミニンなどの機能的な性質を変化 その関係の密接さから歯周病は糖尿病の「第6の合併症」と言われています その他の海外からの報告で注目するものとして、 ・HbA1c7.0%以上の糖尿病患者:歯周病の進行や歯の喪失のリスクが有意に高い ・2型糖尿病は歯周病の発症率が29%上昇、1年あたりの歯の喪失率を9%上昇 日本の報告においても ・HbA1c6.5%以上の2型糖尿病患者は健常者より歯周組織破壊の相対リスクが1.17倍高まる  次は、歯周病→糖尿病です 日本糖尿病学会:糖尿病診療ガイドライン:220.2019   
 #10. 歯周病がインスリンの働きを阻害 歯周病の慢性炎症により、持続的に血管内にLPSや細菌抗原が侵入します。 それらは、肝臓に集積され、肝臓周囲のKupfer細胞や肥大化した脂肪組織が反応 して、IL-6やTNF-αなどの炎症性サイトカインを産生、そのTNF-αがインスリン 抵抗性に関与していると言われています。  歯周病  CRP産生 肝臓における集積  Kupfer細胞 LPS 細菌抗原  産生  IL-6  肝細胞  TNF-α  肝細胞 脂肪細胞  脂肪細胞  インスリン 抵抗性 口から遠く離れたところでもこんな悪さするんだぞ 西村英紀(2005).Ⅴ 歯周病と糖尿病  歯周病と生活習慣病の関係  財団法人8020推進財団  pp.58-66   
 歯周病治療による血糖コントロール改善
#11. インスリン抵抗性と分泌低下の復習 インスリン抵抗性↑ 歯周病  インスリン不足  ドアが開かないよー!  開かずの部屋 グルコースさん 中へどうぞ!  産生  インスリン抵抗性 アップ  インスリン分泌低下 してます!  IL-1,IL-6,TNF-α アディポネクチン 分泌低下 肥大化 脂肪細胞  インスリン抵抗性アップ 結果として  インスリン抵抗性は、インスリン分泌は正常でもインスリンへの 感受性が下がり、グルコースをうまく分解できない状態でしたね。 なので膵臓がインスリンをたくさん出そうとして疲弊してしまい、最終 的には引きずられるようにインスリン分泌が低下してしまいます。   
 #12. 歯周病患者は糖尿病になりやすい ・ヒサヤマ・スタディの研究によると、歯周病患者は糖尿病発症リスクが高くなっている1)  →つまり、歯周病患者は糖尿病になりやすい ・海外の報告によると、HbA1cの悪化しやすさについて  健康(健口)  重度歯周病  非糖尿病患者  かつ  =  軽度の歯周病  あるいは  →つまり、重度歯周病は糖尿病を悪化させる  2)  以上から、歯周病になると糖尿病になりやすく、 さらに歯周病が悪化すると糖尿病も悪化しやすいということが言えます 1)Saito T et al.:The severity if periodontal disease is associated with the development of glucose intolerance in non-diabetics:The Hisayama study.J Dent Pes.,83:485-490,2004. 2)Demmer RT et al.:Periodontal status and A1c change.Logitudinal results from the Study of Health in Pomerania(SHIP).Diabetes Care,33(5):1037-1043,2010.  5   
 #13. 歯周病治療で血糖コントロール改善 歯周病治療の前後で、 炎症マーカーとHbA1cはこれだけ変化する  ①ヒロシマ・スタディの報告2)によると、 歯周病患者のうちCRPが上昇群の平均値は0.19mg/dL。  炎症マーカー(ng/mL)  2000  歯周治療後  1500  1000  HbA1cは7.4%→6.9%まで改善  500  0  治療前  治療後  →歯周治療でCRPが0.13mg/dL低下し、HbA1cは0.5%改善。 Munenaga,20131)より一部改  ②ヒサヤマ・スタディの、高感度CRPと5年間にわたる  7.5  HbA1c(%)  CRPは0.06mg/dLまで低下  糖尿病累積発症率の関係の調査3)によると、  7.4 7.4 7.3  CRPが高い場合 男性:0.08mg/dL以上 女性:0.06mg/dL以上  7.2 7.3 7.1 7.0 7.1 6.9 7.0 0  治療前  治療後  糖尿病の発症が 3倍に増加  →0.1mg/dL未満という極軽微な炎症が糖尿病を誘発する。 Munenaga,20131)より一部改  これらを総合して考えると、、、、  歯周治療がもたらす炎症消退の効果は、糖尿病発症の予防に貢献できるというこ とです。 1)Munenaga Y et al.:Improvement of glycated hemoglobin in Japanese subjects with 2 diabetes by resolution of periodontal inflammation using adjunct topical antibiotics :Results from the Hiroshima Study.Diabetes Res Clin Practice.,100(1):53-60.2013. 2)Muneta Y et al.:Improbvement of glycated hemoglobin in Japanese subjects with type2 diabetes by resolution of periodontal inflammation using adjunct topical antibiotics:result from the Hiroshima Stud
 HbA1c低下による合併症リスク軽減
#14. HbA1c低下による合併症リスク軽減率 HbA1c1%のすごさ HbA1cがあと0.5%下がれば目標値に なるんだけどなぁ・・ 薬剤の種類変えるか、追加してみるか・・・  末梢血管疾患による手足の切断  微小血管障害  脳卒中  心筋梗塞  心不全  糖尿病関連死 0  13 25 38 HbA1c値1%低下によるリスク軽減率(%)  50  Irene MS,20001)より一部改  あ!そういえば、歯周治療をすると CRPが下がって HbA1cが0.5%下がるんだったな。 あの患者さん、 まずは歯科受診を勧めてみよう!  というように、薬剤の種類の変更や追加の前に、まずは患者さんの直近の歯科受診歴を問診して、 定期的な受診がない場合には歯科受診を勧めてみてはどうでしょうか? 歯科受診する事で、お口の状態も改善し、HbA1cもコントロール良好になれば、一石二鳥ですね✨  1)Irene MS et al.:Association of Glycaemia with macro vascular and micro vascular complications of type 2 diabetes(UKPDS 35):prospective observational study.BMJ.,321:405-412,2000.   
 #15. ここまでのまとめ 悪い影響ばかりに目が行きがちだけど、言い換えるとお互いに良い影響を 及ぼしあえることが見えてくる  ・糖尿病だと歯周病になりやすい  ・糖尿病でも歯科の定期受診で歯周病は予防できる  ・糖尿病は歯周病を悪化させる  ・糖尿病でも歯周病治療で、歯周病は改善できる  ・糖尿病で歯周病が悪化し歯を失うと  ・糖尿病でも歯周病治療で歯を守る事ができ、  咀嚼しにくくなる  しっかり噛めれば食事療法もうまくいく  ・歯周病だと糖尿病になりやすい  ・歯科の定期受診で歯周病がコントロールできれば、 糖尿病の発症リスクを下げる事ができる  ・歯周病だとインスリン抵抗性が上がる  ・歯周病でも歯周病治療を行いコントロールできれば、 糖尿病の血糖コントロールもうまくいく  歯周病についてもちょっと知っておいてほしいな   
 歯肉炎と歯周炎の違いと症状
#16. 歯肉炎と歯周炎は違う! 歯周病はグラム陰性レンサ球菌による細菌感染症です。 炎症の波及度合いにより、大きく2つに分類します。  歯肉炎 :炎症は歯肉に限局。可逆的  歯周病  歯周炎 :炎症は歯槽骨まで波及。不可逆的  健康なお口  健口  歯肉炎  歯肉炎になってもケアすれば健口に戻れます。 でも、いったん歯周炎になると健口には戻れません。 適切なケアをすると安定した状態にはなりますが、 油断するとすぐに歯周炎に逆戻りします  安定状態 歯周炎  だから、歯周炎になる前の  早期発見と定期検診が大切 です   
 #17. 歯肉炎と歯周炎の臨床症状 歯肉炎  歯周炎  重度の歯周炎 進行すると・・  • 歯の表面、歯と歯肉の境界部に歯石 やプラークが付着している  • 歯肉、特に歯間部(歯と歯の間)の 歯肉が赤く腫れている  • 歯ブラシの時に少し出血することも ある  • 口臭 • 自覚症状がないことが多い  • 歯周ポケットの深い所まで歯石や プラークが付着している  • 歯肉が腫れている • 口臭がキツくなる • 歯槽骨が溶け始める • 歯ブラシの時に出血することがある • 歯ブラシなどが当たると痛みを感じ  • 歯肉がブヨブヨに腫れている • 歯槽骨の支えが弱くなり、歯が ぐらぐらする  • 食べ物が噛みにくい • 歯槽骨の減少により、歯が以前より 長くなったように感じる  ることもある  自分にも当てはまる項目があったはず!?   
 歯周病治療の流れと重要性
#18. 歯科の定期検診に行こう 俺たちグラム陰性レンサ球菌の中でも、有名なのはP.gingivalisだよね! 俺たちのエサは血(Fe)なんだ 血を食べると仲間がどんどん増えていけるんだ。 だから、宿主が歯医者に行かずに歯周病がひどくなって、歯肉からどんどん血を 出してくれれば嬉しいな!  歯周病になると、歯肉から血が出ることがよくあります。 それはまさに、歯周病菌にまき餌をしているようなものです。 でも、歯周病治療をすれば必ず出血は止める事ができ、 歯周病菌を兵糧攻めにできるのです✨  歯周病は治療をすれば必ず効果が出る! 糖尿病患者では歯周病がコントロールできれば血糖コントロールも良好になる! 糖尿病患者は眼科にコンサルするように、歯科にもコンサルするメリットがある!   
 #19. 歯周病治療の流れ 医療面接(初診)  歯周病治療の一般的な流れを説明します。  糖尿病でも歯周病の基本的な流れは同じです。 しかし、HbA1c7.0%以上だと菌血症の問題が出 て来ます。 HbA1c7.0%以上の場合は、術前術後の抗菌薬予防 投与を行います。 しかし、耐性菌の出現のリスクを考えると過剰投 与は避けなければなりません。  歯周病検査、診断、計画立案 浅い歯周ポケット プラークコントロール・スケーリング(歯石取り)など  再評価検査 深い歯周ポケット  そのために必要なこと ・歯周病の早期発見により、歯周病が軽症のうち に治癒もしくは安定状態にすること に治癒もしくは安定状態にすること ・歯周病が再発しないように定期的な歯科受診  ルートプレーニングなど  2016年4月の診療報酬改定により、 医科の保険医療機関または医科歯科併設の医療機 関の医師から診療情報提供を得た場合、糖尿病患 者に対して 歯周ポケットが深い場合には歯周基本治療と並行 して計画的に1ヶ月間歯科用抗生物質製剤の歯周ポ ケットへの局所的な注入が可能になりました。  歯周外科治療  なので、積極的な歯科へのコンサルをすることで、 糖尿病患者にとってのいいことだらけなのです!  メインテナンス/サポーティブペリオドンタルセラピー(SPT)  再評価検査  歯周ポケット の改善  歯周ポケット の改善 再評価検査  治癒/症状安定  五味一博・小松翔 2019 歯周病の分類と歯周炎の基本的な治療 栗原英見(編)月刊糖尿病#118 松山美和(編)2019 歯科衛生士のための糖尿病予防指導マニュアル 医歯薬出版 Pp.32-38  医学出版  Pp.36-45   
 #20. Take Home Message 歯周病の慢性炎症がくすぶっていると、炎症のサイトカインにより インスリン抵抗性が上がる  糖尿病になると歯周病の発症率が2.6倍高くなる  歯周病は自覚症状に乏しく、早期発見早期治療が重要。 3〜6ヶ月に一度の定期検診で歯周ポケットの深さや 虫歯のチェック、歯石取りをしよう