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有益な輸液のはなし〜蘇生輸液のコンテクストを読みとく〜

  • 内科

  • 救急科

  • 初期研修医

  • 輸液
  • ICU
  • ショック

33,420

134

2021/12/13
2021/12/14 更新

本スライドの対象者

研修医/専攻医

内容

【本スライドのポイントはこちら】

①循環管理が面白くなる

②乳酸値の解釈ができるようになる

③蘇生輸液に関してどのようなデータを集め、どのように解釈するかを学べる

救急外来や集中治療室においてショック時の対処に必要となる蘇生輸液。

今回は蘇生輸液や循環管理をテーマに輸液のノウハウを丁寧に解説しています。

【本スライドによる配信はこちらから】

https://qa.antaa.jp/stream/contents/246

川上大裕

飯塚病院


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ICUの輸液総論

#輸液 #ICU #集中治療

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最終更新:2019年11月23日




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有益な輸液のはなし〜蘇生輸液のコンテクストを読みとく〜

  1. 有益な輸液のはなし 〜蘇生輸液のコンテクストを読みとく〜 Daisuke Kawakami

  2. 敗血症性ショックでICU入室。 ERで2000mLの輸液負荷、NAD、AVP開始し、 MAP>65mmHgを維持。 Lac 6mmol/Lと高値を推移しており、尿量も少ない。 さらに輸液をすべきか迷っている。 例えば、こんなケース。

  3. なぜ輸液をするのか? - 輸液の目的 - そもそも輸液は必要か? - 輸液必要性の評価 - 何を指標に輸液をするのか? - 輸液反応性の指標 – 1 2 3

  4. 1. なぜ輸液をするのか?

  5. ショック=組織低酸素 酸素需給バランス の破綻 灌流圧の低下

  6. 酸素需給バランス の破綻 VO2が増えるのは… 発熱 感染 体動、リハビリ、不穏 痙攣     などなど… DO2が減ったり、VO2が増えたりすると酸素需給バランスが崩れる。 組織で消費される酸素 組織に運ばれる酸素

  7. 酸素需給バランス の破綻 酸素供給量(DO2)の規定因子を考えてみましょう。 = 動脈血酸素含有量(CaO2)×心拍出量(CO) 1.34×Hb×SaO2(+0.0031×PaO2) Hbにくっついてる酸素 血液そのものに溶けてる酸素 “動脈中の酸素”を  “心臓が押し出す” 酸素供給量は ① CO ② Hb ③ SaO2 で規定されている 小さい値なので無視できる

  8. 酸素需給バランス の破綻 酸素需給バランスが破綻すると・・・ DO2 VO2 乳酸値↑ SvO2, ScvO2↓ SvO2:肺静脈の酸素分圧(スランガンツ必要) ScvO2:上大静脈の酸素分圧(CVC必要) 全身の組織で消費された酸素の“残りカス”であるSvO2, ScvO2が低下する。

  9. 酸素需給バランスまとめ DO2とVO2のバランスのこと DO2はCO、Hb、SaO2で規定される 酸素需給バランスが破綻すると、 SvO2 , ScvO2 ↓ 組織低酸素 ⇨ 乳酸値↑ 酸素需給バランス の破綻

  10. 灌流圧の低下 V1 V2 R I MAP-CVP = CO × SVR オームの法則 V1-V2 = I × R MAP CVP CO SVR (全身血管抵抗) 灌流圧

  11. 灌流圧の低下 𝑉 MAP “autoregulation” 65 mmHg 灌流圧が保たれていると重要臓器(心、脳、腎など)の血流は一定に保たれる(autoregulation) 灌流圧が低いと重要臓器に血流が染み渡らない。

  12. 灌流圧の低下 灌流圧まとめ 灌流圧はMAPに注目! MAP-CVP = CO × SVR 灌流圧が低下すると  重要臓器に血液が流れない

  13. 酸素需給バランスの維持 DO2=1.34×Hb×SaO2×CO 灌流圧の維持 MAPーCVP=CO×SVR 循環の維持のためには、両者がともに維持されていることが必要 例) 心原性ショックでCO↓、SVR↑↑で血圧は維持されている場合 → 酸素需給バランスは障害。灌流圧は維持されている 敗血症やアナフィラキシーの初期でSVR↓↓、CO↑の場合 → 灌流圧は低下。酸素需給バランスは維持されている。

  14. 酸素需給バランスの維持 DO2=1.34×Hb×SaO2×CO 灌流圧の維持 MAPーCVP=CO×SVR 輸液    前負荷↑    CO↑ 「輸液の目的=COを上げるため」 ※CO=HR×SV(一回心拍出量)  SV:前負荷・後負荷・心収縮力 両者には共通してCOが含まれている。

  15. 2. 何を指標に輸液をするのか?

  16. 前負荷 CO 輸液をしたら COが著明に増加 = 輸液反応性がある 輸液をしても CO増加はわずか = 輸液反応性がない ① ② Frank-Starling曲線と輸液反応性

  17. 動的指標 輸液チャレンジ = Gold standard PLR(受動的下肢挙上テスト) PPV、SVV VTI呼吸性変動 IVC呼吸性変動 静的指標 PAWP、CVP 左室拡張末期径 Heart-Lung Interaction 輸液反応性の指標 ※ 輸液反応性指標としては静的指標より動的指標が優れている。   しかし、静的指標は害(肺水腫、臓器うっ血)のモニタリング、   心不全(循環不全)の原因精査を行う上で有用。

  18. 3. そもそも輸液は必要か?

  19. CO 前負荷 輸液反応性 ≠ 輸液必要性 組織低酸素の所見がある時=輸液必要性がある時に 輸液反応性があれば輸液をする 輸液反応性があれば常に輸液が必要というわけではない。 CO低下による組織低酸素があることが疑わしい場合に、COを上げるために輸液を行うのだ。 それでは「 CO低下による組織低酸素があることが疑わしい」ことをいかに評価するか?

  20. 乳酸 ScvO2 PCO2ギャップ 輸液必要性の評価方法

  21. 乳酸 グルコース ピルビン酸 乳酸 アセチルCoA ミトコンドリア TCA回路 解糖系 2ATP 36ATP 嫌気 好気

  22. グルコース ピルビン酸 乳酸 アセチルCoA ミトコンドリア TCA回路 解糖系 2ATP 36ATP 低酸素 組織低酸素で乳酸値↑ 乳酸値上昇=死亡率↑

  23. グルコース ピルビン酸 乳酸 アセチルCoA ミトコンドリア TCA回路 解糖系 2ATP 36ATP 過度な運動、WOB↑ カテコラミン Sepsis、白血病、ARDS Sepsis Vit B1欠乏 エタノール ケトアシドーシス 肝不全 腎不全 人工心肺手術 組織低酸素がなくても乳酸値↑ NADH+/NAD比↑

  24. 乳酸シャトル 乳酸はそもそもエネルギー源として再利用される Organ-to-organ (Cori回路) Cell-to-cell Intracellular Hernandez G et al. Intensive Care Med. 2019;45:82-5.

  25. Suetrong B et al. CHEST. 2016;149:252-61. 乳酸値=組織低酸素の指標+例外あり! 組織低酸素による

  26. ScvO2 組織 DO2 =1.34×Hb×SaO2×CO VO2 SvO2/ScvO2 SaO2 酸素需給バランスが破綻すると…

  27. SvO2/ScvO2 死亡率 Normal Low High 酸素需給バランスの障害 DO2↓ VO2↑ シャント(ミクロ循環含む) 酸素利用障害 ScvO2=酸素需給バランスの指標+例外あり! ScvO2は高ければいいというわけではない。

  28. PCO2ギャップ VCO2=CO×(CvCO2ーCaCO2) ↓ VCO2=k×CO×P(v-a)CO2 ↓ P(v-a)CO2=k×VCO2/CO COが低下すると、CO2をwash outできない VCO2 VCO2 =動脈血と静脈血(スワンガンツor CVC)のCO2分圧の差 CvCO2 CaCO2 CO

  29. Ltaief Z et al. Crit Care. 2021;25:318. P(v-a)CO2=k×VCO2/CO > 6mmHgで開大! COが低下すると、急激にPCO2ギャップは上昇する =CO(マクロサーキュレーション)の指標

  30. Ospina-Tascon GA. Hemodynamic Monitoring, Lessons from the ICU. Pinsky MR et al.(eds.) 毛細血管レベルの局所的な血流不足 (ミクロ循環の障害) ↓ 組織低酸素 ↓ 同部位でのCO2産生増加 ↓ CO2拡散能が高いため周囲へ染み渡る ↓ PCO2上昇 PCO2ギャップはマクロ(CO)だけでなくミクロ循環の指標でもある = Perfusion(マクロ+ミクロ)の指標

  31. CO2解離曲線 Ltaief Z et al. Crit Care. 2021;25:318. PCO2ギャップ=Perfusionの指標(マクロ+ミクロ) + 例外あり! ホールデン効果(PO2が高いほどCO2を放しやすい=換気に有利)、 高体温、Hb↑、代謝性アシドーシスでは下方偏位 = PCO2ギャップが開いて>6mmHgとなることがある

  32. 乳酸 ScvO2 PCO2ギャップ 組織低酸素 (Type A) + それ以外 (type B) ↓酸素需給バランス + ↑シャント、利用障害 Perfusion (マクロ/ミクロ) + PaO2 ↑ 、体温↑ 、Hb↑ 代謝性アシドーシス まとめると…

  33. ショック 乳酸アシドーシス ScvO2<70% ScvO2>70% PCO2ギャップ PCO2ギャップ >6mmHg <6mmHg >6mmHg <6mmHg CO↓(マクロ) ミクロ循環障害 Hb↓ SaO2↓ CO不十分?(マクロ) ミクロ循環障害 Cytopathic =type B Ltaief Z et al. Crit Care. 2021;25:318.

  34. プロットを増やす 組織低酸素 → 乳酸値上昇 灌流圧低下 → MAP低下 酸素需給バランス破綻 → SvO2/ScvO2低下 Perfusion低下 → PCO2ギャップ>6 「3つの窓」 → ① 皮膚   ② 尿量   ③ 意識 組織低酸素を直接的に測定するものはない。 絶対的な輸液必要性の指標はなく、綜合判断が重要。

  35. なぜ輸液をするのか? COを上げるため そもそも輸液は必要か? 乳酸値/ScvO2/PavCO2ギャップ 何を指標に輸液をするのか? 動的指標と静的指標 1 2 3

  36. もう少し勉強したい方に 来年ぐらいに実践編を出します。

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