#4.
脊椎関節炎 (SpA)
#5.
脊椎関節炎 (SpA)
#6.
体軸性脊椎関節炎 (axSpA)のスペクトル
#7.
X線所見を認めない体軸性SpA (nr-axSpA)から 強直性脊椎炎 (AS)への進行: GESPICのデータ その他: MRI炎症所見, HLA-B27+, 喫煙, 男性….
#8.
Road map of the continuum of nr-axSpA through r-axSpA. 必ずしもr-axSpAに進行するわけではない. • • • nr-axSpAは初期のaxSpAだけではなく, 軽症例や非典型例を含んでいる. 米国では1割のnr-axSpAが自然寛解している. nr-axSpAはNY基準のX線基準を満たさないだけで, X線の所見を呈してもよい. Schwartzman S, Ruderman EM. A Road Map of the Axial Spondyloarthritis Continuum. Mayo Clin Proc. 2022 Jan;97(1):134-145.
#9.
SpA診断フローチャート ①問診 • 発症様式・経過 • 部位 炎症性腰背部痛 (IBP)・SpA徴候 • 分布 • 関節外症状 (皮膚・眼・腸) ②診断所見 • 仙腸関節理学所見 • 付着部炎診察 ③検査 • 血液検査: CRP/ESR, HLA-B27, 感染評価 • 画像検査: • 仙腸関節: MRI (Xp) • 付着部炎: US/MRI ④鑑別・除外診断 (DISH, OCI, FMS etc….) ⑤診断: 分類基準はあくまで参考
#10.
SpAの診察ポイント • 末梢性SpAは45歳以降にもみられる. • 末梢関節炎を捉える. • 下肢優位の関節炎 • 付着部炎症候を捉える. • 問診: 動作開始時など, 力がかかった部位に一時的に生じる痛み. • 椅子に座っていると座面にあたる部位が痛い • 診察: 全身の付着部を評価する. • 体軸性関節炎の問診・身体評価 • 炎症性腰痛の症状を問診で聴取する • 仙腸関節ストレス試験で疼痛を確認する • 骨盤部などX線やMRIを確認 (股関節炎や付着部炎評価) • 関節外病変・体質的素因を捉える • 乾癬, 虹彩毛様体炎, 腸疾患の既往・併存, 家族歴 難波先生スライドより
#11.
ASを対象とした付着部圧痛評価の一例 Mander enthesis index 削除
#12.
ASASにおける体軸性の脊椎関節炎分類基準
#13.
ASASにおける体軸性の脊椎関節炎分類基準 測定方法 が変更し た….
#14.
雑談: HLA-B27測定 • そもそも保険適応のある検査ではない. • 保険適応は臓器移植関連に限る. • 今まではHLA A, B Locus (PCR-rSSO法)もしくはAbbVieのHLAB27プログラム(一 部組織のみ)を使用して測定していた. • 2025/12/05よりHLA A B Locusが受託中止し, HLA DNAタイピング (NGS-SBT 法)に変更. • 結果報告が3-5日から9-20日に変更, さらに高精度な解析が可能な反面従来の PCR-rSSO法よりも高額になる傾向…
#15.
axSpAの診断に重要な所見 Poddubnyy D. Classification vs diagnostic criteria: the challenge of diagnosing axial spondyloarthritis. Rheumatology (Oxford). 2020 Oct 1;59(Suppl4):iv6-iv17
#16.
SpA診断フローチャート ①問診 • 発症様式・経過 • 部位 炎症性腰背部痛 (IBP)・SpA徴候 • 分布 • 関節外症状 (皮膚・眼・腸) ②診断所見 • 仙腸関節理学所見 • 付着部炎診察 ③検査 • 血液検査: CRP/ESR, HLA-B27, 感染評価 • 画像検査: • 仙腸関節: MRI (Xp) • 付着部炎: US/MRI ④鑑別・除外診断 (DISH, OCI, FMS etc….) ⑤診断: 分類基準はあくまで参考
#17.
本日のプログラム §1 SpAの基本知識 § §2 典型的な画像所見と鑑別疾患 §3 演習
#18.
axSpA評価における画像モダリティの違い X線 • “構造変化”の評価を目的. • “炎症”は検出しない. • 費用対効果が高い. CT • “構造変化”の評価を目的. 感度はX線より高い. • “炎症”は検出しない. • MRIが使用できない場合に”低線量CT”を施行する. MRI • “炎症”も”構造変化”も検出する. • “早期診断”に重要. • 費用が高い.
#19.
axSpA評価における画像モダリティの違い MRI • “炎症”も”構造変化”も検出する. • “早期診断”に重要. • 費用が高い. EULAR推奨: 若年もしくは症状の持続期間が短い患者の初期画像診断として早期の施行を推奨.
#20.
axSpA評価における画像モダリティの違い Diekhoff T, Poddubnyy D. The imaging crisis in axial spondyloarthritis. Lancet Rheumatol. 2025 Sep;7(9):e652-e656.
#21.
仙腸関節炎のX線所見のGrade判定 (1996): NewYork Criteria Grade 概要 定義 Grade 0 正常 Grade 1 疑わしい変化 Grade 2 軽度の異常 関節裂隙の変化を伴わない小さな限局性の 骨びらんや硬化 Grade 3 明らかな異常 以下の1つまたは複数の項目を含む中等度 又は進行した仙腸関節炎: 骨びらん, 硬化, 関節裂隙の拡大, 狭小化または部分的な硬 直 Grade 4 重度の異常 完全な強直
#22.
仙腸関節炎のX線所見のGrade判定 (1996): 例 Grade0 Grade3 Grade4
#23.
ASにおける脊椎の典型的なX線上の変化 椎体前面の湾曲が消失 Romanus lesionはMRI上でのTerm 指定難病では仙腸関節と椎体のX線画像の提出を要求されます (忘れないように…)
#24.
EULAR/ASASにおけるMRI推奨シークエンス シーケンス 方法 標的病変 T1強調スピンエコー 斜冠状断 ・脂肪病変 ・骨びらん ・Backfillと強直 脂肪抑制T2強調 (STIRやT2FS) S2椎体の背側骨皮質と平行 骨髄浮腫 骨びらん特異的 (T1FS 2Dもしくは3D) S2椎体の背側骨皮質と平行 関節面のびらん 脂肪抑制T2強調 (STIRやT2FS) 斜横断 骨髄浮腫 • 骨びらん特異的 (T1FS 2Dもしくは3D) • 分解能がCTに近くなる. • 軟部組織などの骨以外の病変の評価は困難. • 脂肪抑制T2強調 (STIR T2FS) • 浮腫が前方・後方の位置にどちらにあるのかを確認する目的.
#25.
axSpAを示唆するMRI陽性所見 ①骨髄浮腫 ②骨びらん ③関節包炎 ④付着部炎 ⑤関節裂隙の拡大
#26.
axSpAを示唆するMRI陽性所見 ①骨髄浮腫 ②骨びらん ③関節包炎 ④付着部炎 ⑤関節裂隙の拡大
#27.
axSpAを示唆するMRI陽性所見: 骨髄浮腫 • • T2強調画像における高信号, もしくはT1強調画像 (ガドリニウム造影後のT1脂肪抑制)における 骨髄の造影効果と定義される. 関節面に隣接した炎症を示唆する画像所見がSpAの特徴. • あまりに関節面から離れた位置の骨髄浮腫の場合は”腫瘍”を考慮する.
#28.
骨髄浮腫の適切な部位: 2019 (解剖学的な側面から) 頭側 滑膜部分 (黄色) →前方に位置 靭帯部分 (青色) →後上方に位置 尾側 靭帯成分の背尾側は SpAの首座とならない. Tsoi C, Griffith JF, Lee RKL, et al. Imaging of sacroiliitis: Current status, limitations and pitfalls. Quant Imaging Med Surg. 2019 Feb;9(2):318-335
#29.
骨髄浮腫の適切な部位: 2025 (解剖学+メカニカルストレスの側面から) 赤色は機械的ストレスがかかる部位である. 2019年の知見と組み合わせるとBの位置で の評価が正しい →背尾側は靭帯成分で, 腹側はメカニカル ストレスが多い. Diekhoff T, Poddubnyy D. The imaging crisis in axial spondyloarthritis. Lancet Rheumatol. 2025 Sep;7(9):e652-e656.
#30.
メカニカルストレスは仙腸関節の前方成分にかかる [研究概要] 22名の軍の新兵が6週間の集中的な身体トレーニングの前後に仙腸関節のMRI検査をう け, 仙腸関節のMRI信号がどの様に変化するかを検討した研究. [研究デザイン] 前向き観察研究 P : 腰痛歴のない健康な軍隊新兵 (平均年齢25歳, 男性19名, 女性3名) I : 6週間の集中的標準化軍事訓練 (CはBaseline時の自己対照) O: 仙腸関節のMRI 骨髄浮腫(BME)所見の変化 (ΔSPARCC score) Diekhoff T, Poddubnyy D. The imaging crisis in axial spondyloarthritis. Lancet Rheumatol. 2025 Sep;7(9):e652-e656.
#31.
メカニカルストレスは仙腸関節の前方成分にかかる 31M after 6wks 仙腸関節の前方成分(腹尾側)に所見が 集中 →仙腸関節の中央には線維軟骨が存在 するため. 機械的変化は前方要素に多い. 仙腸関節は前方が最も可動性が高いため Diekhoff T, Poddubnyy D. The imaging crisis in axial spondyloarthritis. Lancet Rheumatol. 2025 Sep;7(9):e652-e656.
#32.
axSpAを示唆するMRI陽性所見 ①骨髄浮腫 ②骨びらん ③関節包炎 ④付着部炎 ⑤関節裂隙の拡大
#33.
骨びらん 定義: • 骨皮質の欠損 画像: • T1 FSで確認する. • T1 low (T2 not low)→骨びらん • T2もlowな場合は硬化像
#34.
骨びらん: 解剖学的に 15例の死体解剖より. 軟骨厚: 仙骨側が腸骨側より2.3倍厚い (1.81 vs 0.80 mm, p<0.001) McLauchlan GJ, Gardner DL. Sacral and iliac articular cartilage thickness and cellularity: relationship to subchondral bone end-plate thickness and cancellous bone density. Rheumatology (Oxford). 2002 Apr;41(4):375-80. PMID: 11961166.
#35.
骨びらん: 解剖学的に 腸骨 仙骨 仙骨は腸骨と比較して軟骨が分厚い びらんは骨皮質の欠損と定義. →関節軟骨が薄い腸骨側から骨びらんが出現する. (仙骨側だけの骨びらん・炎症所見はSpAとは矛盾. 骨折やメカニカルストレスを考慮) McLauchlan GJ, Gardner DL. Sacral and iliac articular cartilage thickness and cellularity: relationship to subchondral bone end-plate thickness and cancellous bone density. Rheumatology (Oxford). 2002 Apr;41(4):375-80. PMID: 11961166.
#36.
骨びらん: 解剖学的に びらんは骨皮質の欠損と定義. →関節軟骨が薄い腸骨側から骨びらんが出現する. (仙骨側だけの骨びらん・炎症所見はSpAとは矛盾. 骨折やメカニカルストレスを考慮) • JIAは小児期に骨びらんが明らかではない症例が多い. →小児期は骨が骨化していないので関節軟骨が分厚いので, 炎症が骨皮質に達しな いため. →逆にCarry overすると骨化するため, 骨びらんが顕在化する.
#37.
axSpAを示唆するMRI陽性所見 ①骨髄浮腫 ②骨びらん ③関節包炎 ④付着部炎 ⑤関節裂隙の拡大
#38.
関節包炎 STIR及びもしくはまたはT1FS post-Gdで関節の周囲に認められる信号増強 骨髄浮腫との鑑別は場所によっては困難.
#39.
axSpAを示唆するMRI陽性所見 ①骨髄浮腫 ②骨びらん ③関節包炎 ④付着部炎 ⑤関節裂隙の拡大
#40.
–付着部炎評価- (造影MRI GD T1 DIXON) 大転子/小転子 削除 坐骨結節 小林東次郎,磯谷俊太郎, 難波 大夫ら.[高CK血症を伴う両下肢痛による起居動作困難で発症した末梢性脊椎関節炎の一例]. 第34回中部リウマチ学会(日本リウマチ学会中部支部学術集会),2024年,長野松本.
#41.
axSpAを示唆するMRI陽性所見 ①骨髄浮腫 ②骨びらん ③関節包炎 ④付着部炎 ⑤関節裂隙の拡大
#42.
関節裂隙開大 コントラスト増強画像で仙腸関節の軟骨部の関節腔に認められる信号増強 (STIRではない)
#43.
脊椎MRIの立ち位置/造影剤の使用について • EULAR推奨では診断目的での椎体の画像検査を推奨していない. • SpAの診断に特異性・感度を付加するものではないため. • ただし診断の信頼性を高めるために役立つ. • Romanus lesion • ただし若年+多発している場合のみ • 高齢者では正常でも出現する. • axPsA (乾癬性関節炎)に関してはGRAPPAではwhole spine MRIによるスクリーニン グを推奨. • axPsAは孤立性に頸椎病変を呈することがある. • 高齢発症例や疼痛を自覚していないことがあるため. • 造影剤の使用はルーチンで不要 • ただし滑膜炎の存在は造影剤を使用しないとわからない (vs 関節液) • STIRは造影効果を”予測”しているだけ • 論文投稿の際は造影しないとreviewerから突っ込みが入る.
#44.
本日のプログラム §1 SpAの基本知識 § §2 典型的な画像所見と鑑別疾患 §3 演習
#45.
Take Home Messages • 画像モダリティの適切な選択が診断の鍵. • 早期診断のためMRI撮影を積極的に考慮し, X線写真は構造変化の評価に用いる. • 解剖学的理解に基づく所見解釈の重要性. • 骨髄浮腫は関節面に隣接した部位で評価し, 骨びらんは軟骨の薄い腸骨側から出現するため, 仙骨側のみの所見はSpAと矛盾する. • 鑑別診断を見逃さない臨床的判断. • 関節面から離れた骨髄浮腫や軟部組織炎症は感染症, 悪性腫瘍を疑う等, 臨床背景と画像所 見を総合的に評価して鑑別を進める.