#4.
便秘とブリストル・スケール 毎日排便があっても,
BS 1 or 2であれば便秘
排便日数だけでなく
便の性状にも気を配る
#5.
本当にただの便秘?? ★便秘に限らず、症候について考えるときは必ず上流を探る 便秘 動きが悪い 通過障害 大腸癌 家族歴・食生活 神経疾患 パーキンソン病
#6.
二次性の便秘の原因 器質的要因 機能的要因 大腸癌
大腸・直腸・肛門狭窄
直腸瘤・直腸重責
偽性腸閉塞
巨大結腸 ◎神経疾患
脊髄病変
脳梗塞
パーキンソン病
多発性硬化症 ◎代謝障害
高Ca血症
低K血症
低Mg血症
甲状腺機能低下症
尿毒症
糖尿病 ◎薬剤性
オピオイド
抗コリン薬
Ca拮抗薬
向精神薬
抗ヒスタミン薬etc. ◎その他
アミロイドーシス
強皮症
重金属中毒 ★ここで大切なのは、、
問診(随伴症状、既往、内服、家族歴等)身体診察(直腸診、神経診察等)
採血(電解質、甲状腺、HbA1c、BUN等)
画像(Xp、CT、内視鏡等)
で大体が鑑別可能であること JAMA. 2016;315(2):185-191.
#7.
便秘のRed Flagsを見逃すな ★Red FlagsはBAD NEWS for Family B A D N E W S F Blood Diarrhea:血便、下血 Dysphagia:嚥下困難 Anemia:貧血 Nocturnal Diarrhea:夜間の下痢 Emesis:嘔吐 Steatorrhea:脂肪便 Weight Loss:体重減少 Family history:癌の家族歴 吉長正紘先生 Antaa slideから拝借
#8.
便秘の分類 ★二次性便秘を除外したら、考えるのは3パターン 便秘型
IBS 便回数減少型 排便
困難型
#9.
便意の道も摂取から ~消化編~ 口:咀嚼され、唾液と混ざって胃へ
↓
胃:胃液で一部が消化
↓
十二指腸:胆汁酸・膵液により吸収しやすい形に
↓
小腸:栄養を吸収(胆汁酸の95%も小腸末端で吸収)
↓
大腸:液状の食物残渣から水分奪取して固め作業
不溶性食物繊維がボリュームを、
水溶性食物繊維と胆汁酸刺激で分泌された粘液が滑り気を足す
#10.
便意の道も摂取から ~排便編~ 胃に食物が入って胃結腸反射で 大蠕動が誘発(特に朝食後)
S状結腸まで溜まってた便が 直腸に移動
直腸壁の伸展刺激が仙髄と大脳に伝達され、直腸収縮(排便反射)と便意が生じる
内肛門括約筋の不随意的弛緩と、該肛門括約筋の随意的弛緩で排便 足台等で肛門直腸角を90°に
#11.
便秘治療 ~生活編~ 排便姿勢 運動習慣 食生活 前屈、蹲踞姿勢で直腸と肛門が真っすぐになるように 30分程度の、汗をかくくらいの運動を推奨 ・IBSか機能性便秘かで食事指導が
真逆になることに注意!!
・食物繊維は、もともとの摂取量が
少ない患者にしか効果ない ◎不溶性食物繊維
血糖上昇を抑え、便量を増やし、胆汁酸を運搬する。しかし、腹満を増強し得る。
◎水溶性食物繊維
ゲル状に変化し、便を柔らかくする。
◎乳酸菌、発酵食品、ヨーグルト
腸内環境を整えるが、FODMAPには注意
#12.
食物繊維とFODMAP FODMAP 小腸で消化しづらく、大腸で発酵する短鎖炭水化物
Fermentable(発酵性)
◎Oligosaccharides(オリゴ糖)
小麦、大麦、たまねぎ、にんにく、エンドウ豆etc.
◎Disaccharides(二糖類)
ミルク、カスタード、ヨーグルト
◎Monosaccharides(単糖類)
りんご、なし、マンゴー、チェリー、スイカ、蜂蜜
And
◎Polyols(ポリオール)
りんご、なし、チェリー、もも、プラム、スイカ、
きのこ、カリフラワー
#13.
食物繊維とFODMAP 食物繊維×FODMAPは便秘による苦痛を悪化させる可能性も
#14.
食物繊維とFODMAP 食事指導 ◎便秘型IBS ◎便回数減少型 ◎排便困難型 腹満感を避けて排便を促す
× 不溶性食物繊維
〇水溶性食物繊維
× FODMAP
食物繊維やFODMAPはOK
〇不溶性食物繊維
〇水溶性食物繊維
〇FODMAP
便量は増やしたくない
×不溶性食物繊維
〇水溶性食物繊維
△FODMAP
・キウイフルーツが便秘解消に有用という報告もあるが、そこそこ高価なのがネック
・ヨーグルトはお腹に良さそうだが、FODMAPのOであり、IBSや排便困難型には推奨されない ★便秘のタイプごとに食事指導も変化する
#15.
便秘治療薬を使い分ける ◎浸透圧下剤
・酸化マグネシウム
・マグコロール
・ラクツロース ◎刺激性下剤
・センノシド
・ピコスルファート ◎消化管分泌促進
・アミティーザ
・リンゼス ◎胆汁酸吸収阻害
・グーフィス ◎漢方薬
・麻子仁丸
・大建中湯
・大承気湯 ◎消化管運動改善
・モサプリド
・ネオスチグミン
・エリスロマイシン ◎膨張性下剤
・バルコーゼ
・ポリカルボフィルCa 治療薬多すぎて良くわかんない !!
≪必殺≫酸化Mg×ピコスルファート
#16.
便秘治療アルゴリズム 食物繊維摂取量↑
膨張性下剤 浸透圧性下剤
刺激性下剤 消化管分泌促進 治療奏功 治療奏功 治療継続
or
必要に応じて調整 失敗 他の刺激性下剤もtry 失敗 失敗 治療奏功 失敗 他の分泌促進薬もtry 失敗 大腸肛門機能検査
(ARM or BET) JAMA. 2016;315(2):185-191.
#17.
便秘治療薬を使い分ける 内服薬 漢方薬 坐薬 浣腸 ◎膨張性下剤
カルメロースNa
◎浸透圧性下剤
酸化マグネシウム
ポリエチレングリコール
◎刺激性下剤
センノシド
ピコスルファートNa ◎消化管分泌促進
ルビプロストン
リナクロチド
◎胆汁酸吸収阻害
エロビキシバット
◎消化管運動改善
モサプリドクエン酸 ◎作用強め
大黄甘草湯
麻子仁丸
大承気湯
◎中間~弱め
桂枝加芍薬大黄湯
大建中湯
◎腹部不快感に
桂枝加芍薬湯 テレミンソフト
新レシカルボン坐薬 グリセリン浣腸
#18.
便秘治療薬を使い分ける ◎便秘型IBS ◎便回数減少型 ◎排便困難型 ≪ポイント≫
・腹痛・腹部不快感をターゲット
・腹満を悪化させる治療はダメ
腹痛×便秘:リナクロチド
腹満×便秘:ルビプロストン
●漢方
腹痛:桂枝加芍薬湯
腹部不快感×便秘:大建中湯
腹痛×便秘:桂枝加芍薬大黄湯
※モサプリド追加もアリ ≪ポイント≫
・便量が足りてないなら増量
・期待と滑り気を込める
・気合と刺激でラストスパート
滑り:酸化Mg,PEG
(リナクロチド、ルビプロストン、エロビキシバット)
刺激:センノシド、ピコスルファートNa、大黄入り漢方
※モサプリドも選択肢の一つ ≪ポイント≫
・体勢を立て直す
・硬いものは柔らかく
・増量は更なる渋滞に
・出せないときはいじめない
滑り:酸化Mg,PEG
(リナクロチド、ルビプロストン、エロビキシバット)
直腸停滞:エロビキシバット
→直腸に便塊ある場合は特に ・朝食後に胃結腸反射が起きやすいので、坐薬は朝食後、刺激性下剤は眠前が良い
・排便困難型ではバイオフィードバック療法も推奨される(便秘は保険適応外?)
#19.
膨張性下剤 カルメロースNa ポリカルボフィルCa 膨張性下剤は便秘治療の第一選択、エビデンスレベルは低い
消化管でほぼ吸収されず、 水と混ざって腸内で粘液性のコロイド液となって便塊容積を増やす
12-24時間以内に作用発現し、2-3日投与した後に最大の効果を発揮
下痢や腹痛といった副作用が全然ないのが魅力的
日本では積極的には使用されていないのが現状 便秘への適応はなく、IBS治療に用いられる
高い吸水性と保水性を武器に下痢・便秘どちらにも効く二刀流
便秘型・混合型IBSで腹痛や腹満を改善
Caを脱離して効果発揮するので、薬剤相互作用に注意が必要
#20.
浸透圧性下剤 酸化マグネシウム ポリエチレングリコール 本邦における便秘の第一選択薬(新薬は既存薬で効果不十分な場合に限る)
MgOが胃・腸で反応して、Mg(HCO3)2, MgCO3となり、浸透圧で腸へ水分を誘導
効果発現時間は6-24時間で、効果判定は数日かける
腎排泄のため、腎機能障害者や高齢者では高Mg血症に要注意
PPI、セレコキシブ、ロスバスタチン等との併用で効果減弱する 欧米では慢性便秘症の治療薬として最も一般的に使用される
酸化マグネシウムと比較し,腎障害があっても使いやすい
PEGが水分子と結合して吸収されなくなることで、便容積・便中水分が増大
効果発現は2-3日で、効果判定は2週目以降に行うべきとされている
小児便秘症治療においてPEGがNICEガイドラインで第一選択薬
#21.
刺激性下剤 センノシド ピコスルファートNa アントラキノン系の刺激性下剤
腸内細菌の代謝産物がAuerbach神経叢を直接刺激して蠕動を惹起 水分吸収阻害により便の湿潤作用もある。
8-12時間で効果発現するので、眠前に飲んで朝食後に作用のピークを持ってくる
大腸メラノーシスの原因になるが、安全性・依存性共に基本的には問題ない
妊婦には原則禁忌 ジフェニール系の刺激性下剤
作用機序はアントラキノン系とほぼ同じだが、腸管刺激性低く、効果も緩徐
7-12時間で効果発現するので、やはり眠前内服にする
アントラキノン系と同じく、連用は耐性の観点からお勧めはしない (ジフェニール系では耐性報告ないようだが)
#22.
消化管分泌促進 ルビプロストン リナクロチド 便秘型IBSと慢性便秘症で保険収載
腸管上皮細胞のグアニル酸シクラーゼC受容体を刺激してcGMPを合成 →Cl分泌により腸管内への水分分泌亢進(病原性大腸菌と同じ機序) →cGMPが内臓知覚神経に作用して、痛覚過敏性を抑制し、内臓痛改善
効果発現時間は投与後24時間以内
下痢の副作用が10%程度に見られ、重度の下痢に要注意 小腸上皮のClチャネルを刺激し、Clと水分分泌を促進
悪心が2割程度に見られ、若い女性では特に注意。食直後の内服、 必要最低量の服用、モサプリドやイトプリドとの併用で悪心予防
腹部膨満感を改善し、米国胃腸学会で便秘型IBSへの使用が推奨されている
妊婦、腸閉塞患者では禁忌
#23.
胆汁酸吸収阻害・消化管運動改善 エロビキシバット モサプリドクエン酸 胆汁酸トランスポーターを阻害して大腸に流入する胆汁酸を増加させ、水分分泌・消化管運動を促進する
効果発現は5時間前後と早く、食事摂取により胆汁酸が分泌される前に内服するのが良い(つまり食前内服)
直腸感受性の改善につながるため、高齢者の頑固な便秘にも使える 5-HT4受容体(セロトニン受容体)を刺激することで アセチルコリンが分泌され、胃腸の消化管運動が促進される。
胸やけ、悪心・嘔吐といった消化器症状に用いられる
PEGに対する非劣勢が示されたRCTもあり、便秘治療のネクスト・ブレイク
#24.
漢方薬 ≪成分≫
・大黄:センノシドが主成分で、刺激性下剤の効果
・芒硝:硫酸ナトリウムで、浸透圧性下剤の効果
・麻子仁・杏仁:油性成分が便を柔らかく
・芍薬:鎮痛・鎮痙作用
・甘草:抗炎症作用
・山椒:ワサビ受容体TRAP1の活性化で、消化管運動亢進 ◎便秘の漢方薬は大黄(センノシド)が入っているか否かで分類
・大黄入り:大黄甘草湯、麻子仁丸、大承気湯、桂枝加芍薬大黄湯
・大黄なし:大建中湯、桂枝化芍薬湯 麻子仁丸:麻子仁・杏仁・大黄・芍薬入り、高齢者の硬便に有効
大承気湯:大黄・芒硝入り、刺激性×浸透圧性の二刀流
大建中湯:山椒・膠飴が腹痛緩和、5-HT4受容体刺激作用も
桂枝加芍薬湯:芍薬・甘草入り、腹痛を伴い腹直筋が張っている人に有効
※大黄入りの漢方薬の漫然とした使用は避ける
※甘草入りの漢方薬では偽性アルドステロン症による高血圧・低Kに注意
#25.
その他便秘薬 グリセリン浣腸 直腸への物理的刺激と蠕動促進で排便促し,即効性あり
浣腸前に直腸診で糞便塞栓・肛門形態異常・悪性腫瘍の有無を確認
高齢者では特に消化管穿孔に注意 坐薬 ビザコジル坐薬(テレミンソフト):刺激性下剤で効果発現まで15-30分
炭酸水Na(新レシカルボン坐薬):炭酸ガスによる直腸刺激で便意誘発、効果発現まで5-15分で、依存性は低いとされている。 ナルデメジントシル酸塩 オピオイド誘発性便秘の治療薬
消化管の末梢μオピオイド受容体に結合してオピオイド鎮痛薬と拮抗
フェンタニル含め麻薬使用者で積極的に使用
#26.
個人的・タイプ別便秘治療 ◎二次性の除外、特に腸閉塞や大腸癌に要注意.オピオイド使用時はスインプロイク 週1回以上の腹痛 ①FODMAP制限
②アミティーザ 24μg 2T/2x 朝・夕食後(嘔気注意)
③リンゼス 0.5mg 1T/1x 朝食前(下痢注意) 便回数減少・硬便 排便困難 ①食物繊維摂取
②腎障害なし:マグミット 330mg 6T/3x ± ラキソベロン 1回10-15滴 眠前
腎障害あり:モビコール 2包/1x ± ラキソベロン 1回10-15滴 眠前
③アミティーザ or リンゼス 直腸感受性を上げる:グーフィス 5mg 2T/1x 朝食前
→ 排便コントロール難しければ専門施設へ紹介
#27.
おわり ★Take Home Message★
・便秘を見たら、その原因を考える
・便秘は便秘型IBS・便回数減少型・排便困難型に分類
・食事指導と治療薬は便秘のタイプ毎に使い分ける
・便秘がつまらないなんてことはない、奥深し ~おしまい~