テキスト全文
#1. Essential & effortless肝機能障害
#2. 症例: 20歳代 女性 右季肋部~背部痛 著明な低吸収をきたす肝臓
#3. TP H 8.7 g/dl
ALB H 5.4 g/dL
T.BiL H 2.0 mg/dL
AST P 724 U/l
ALT H 188 U/l
ALP H 499 U/l
LDH P 690 U/l
γ-GTP P 1398 U/l
AMY P 863 U/l
CPK 129 U/l
T-Chol H 307 mg/dL
HDL-Chol 64 mg/dL
TG H 695 mg/dL
BUN H 23.1 mg/dL
CRE H 1.79 mg/dL
UA P 16.3 mg/dL
Na L 131 mEq/l
K H 6.3 mEq/l
Cl L 83 mEq/l
Ca L 8.2 mg/dL
血糖 H 22
#5. TP H 8.7 g/dl
T.BiL H 2.0 mg/dL
AST P 724 U/l
ALT H 188 U/l
ALP H 499 U/l
LDH P 690 U/l
γ-GTP P 1398 U/l
AMY P 863 U/l
CPK 129 U/l
T-Chol H 307 mg/dL
HDL-Chol 64 mg/dL
TG H 695 mg/dL
BUN H 23.1 mg/dL
CRE H 1.79 mg/dL
UA P 16.3 mg/dL
Na L 131 mEq/l
K H 6.3 mEq/l
Cl L 83 mEq/l
Ca L 8.2 mg/dL
血糖 H 220 mg/dL
ALB H 5.4 g/dL
A/G
#6.
# アルコール依存症
# アルコール性脂肪肝
# アルコール性肝炎
# アルコール性膵炎
# 拒食症 診断
#7. ちなみにアルコール性肝炎の典型的な病像は?ウイルス性肝炎とはどう違う?
#8. アルコール性肝炎 vs. ウイルス性肝炎 アルコール性肝炎が進行して肝硬変になるのではない。アルコール性肝炎はどのステージからでも発症する「発熱・腹痛をきたす急性熱性疾患」
#9. 症例: 70歳代女性 無症状 血液内科通院中
#10. WBC 3900
Hb 7.9
MCV 87
Plt 18.3
CRP 1.16 T Bil 0.4
AST 54
ALT 45
ALP 444
G-GTP 126
LAP 84
AMY 25 著明な高吸収を示す肝臓CT画像
正球性貧血・軽度の肝機能障害
#11. UIBC L 10 μg/dl
飽和率 96 %
フェリチン精密測定 H 5990 ng/mL
BNP P 1505.9 pg/ml
心エコー:
心尖部血栓を認める:18x27mm
等輝度で内部血流なし 可動性あり
LV wall motion:diffuse hypo EF(bi)=30%
#12. # 骨髄異型性症候群 # 頻回輸血によるヘモクロマトーシス(心・肝) 診断
#13. 症例クイズ 肝機能検査の概略のみからどのような疾患を想定できる? 肝機能障害をどのように
切り分けていくか?
#14. 肝機能検査を5グループにわけてみる AST, ALT 肝細胞障害
T-Bil (D-Bil) 胆汁うっ滞1
ALP, G-GTP 胆汁うっ滞2
PT, APTT, Alb, ChE 肝予備能
血小板 門脈圧亢進(脾腫)
#15. 肝機能障害へのアプローチ 1. AST/ALT 肝細胞障害 Hepatocellular injury:
a. AST 優位かALT優位か: AST優位ならアルコール性や肝硬変
(AST/ALT > 2はアルコール性の可能性が高い)
b. CPKやLDH上昇ないか: 心筋梗塞、横紋筋融解や心不全によるうっ血肝
c. 急性肝障害の原因 ABCDEF+I
・ Acetaminophen, HAV, Autoimmune 自己免疫性肝炎
・ HBV
・ HCV
・ HDV(HBVと2重感染) , Drugs
・ HEV(シカ肉), その他稀な疾患 (BCS, Wilson病)
・ Fatty liver (重症のReye, HELLPを含む)
・ Ischemia (ショック・門脈塞栓・BCSなど: LDH↑↑、画像変化に乏しい)
#16. 肝機能障害へのアプローチ 1. AST/ALT 肝細胞障害 Hepatocellular injury:
d. Fulminant hepatitis (肝性脳症・PT 40%以下)
劇症肝炎をきたす疾患は比較的限られる
薬剤 : 抗結核薬、抗がん剤、アロプリノール、アセトアミノフェン
HBV
虚血
Reye症候群
#17. 肝機能障害へのアプローチ 2.
T-Bil
肝由来であれば胆汁鬱帯でD-Bil、ALP・GGTP上昇を伴うことが多い.
・ Isolated hyperbilbinemia (他に症状所見のない単独のBil上昇)は
indirect優位で体質性黄疸、溶血や無効造血、巨大血腫が多い
(肝疾患の可能性は少ない)
・ 抱合比と予備能は劇症化の目安になる
#18. 肝機能障害へのアプローチ 3. ALP/GGTP Bil上昇がなければ、不完全な胆道系閉塞を示唆する
a. Infiltration pattern (肉芽腫): 肝内胆管レベルの微小閉塞
粟粒結核・サルコイドーシス・梅毒・レプトスピラ・多発癌転移 etc.
b. 胆管での圧上昇による分泌亢進
PBC 原発性胆汁性肝硬変
ファーター乳頭部癌(総胆管の不完全閉塞)
#19. Bil上昇のないALP, G-GTP上昇3つのパターンの模式図
PBCなどの肝内胆管病変 多発肝肉芽腫性病変 不完全な胆管閉塞
#20. 肝機能障害へのアプローチ 2-3 臨床で良く遭遇する重大な病態 「T-bil上昇 + ALP, G-GTP上昇」 をどう考える?
胆汁うっ滞(Cholestasis)の原因はなにか
→ 機能的胆汁うっ滞(原疾患を加療) なのか
物理的閉塞(ドレナージが必要)なのか
→ まずは腹部エコーで閉塞所見を確認: 肝内~肝外胆管拡張を確認
機能的胆汁うっ滞 ; 敗血症・薬剤・重症ウイルス性肝炎などで起こりえる.
閉塞との鑑別は難しいことも (病歴と経過も重要。次頁)
#21. 肝細胞障害か、胆汁鬱滞か The R value =
[(ALT level ÷ ALT正常上限) / (ALP level ÷ ALP正常上限)]
R value > 5 肝細胞障害を示唆 (単独では判断しない)
R value < 2 胆汁鬱帯を示唆
敗血症による胆汁うっ滞の特徴
T-Bil<10, AST/ATL軽度上昇, ALP正常の3倍程度まで
Nisha Chand Hepatology 2007;45:230-241
World J Hepatol 2021 November 27; 13(11): 1688-
#22. 肝機能障害へのアプローチ 4 - 5.
PT /Alb /コリンエステラーゼ
肝合成予備能
凝固(PT,APTT) 数日間
コリンエステラーゼ 約10日間
アルブミン 2から3週間
5. 血小板減少
門脈圧亢進症 (脾腫); 肝繊維化を反映
HCVでは肝硬変の進展と比較的相関性が高い
(血小板10万以下は肝硬変を示唆)
#23. 雑記帳1. 尿ビリルビン
尿定性検査で尿Bilが陰性なのに血清T-Bilが上昇している場合の解釈は?
尿中BilはD-bil上昇を示す → 尿中Bil陰性ならI-Bilが上昇している
ALP
・ALP単独の上昇(GGTPは正常) → 骨型ALP:成長期や骨折後にみられる
・多発性骨髄腫でALPは上昇する?
→ 原則上昇しない。ALPは骨形成マーカー
多発性骨髄腫はpure osteolytic(骨吸収)
・ALP単独の低下 → 亜鉛欠乏かも(ALPの活性に亜鉛が必要)
#24. 雑記帳2.
アンモニア NH3
Non hepatic hyperammonemia 非肝性高アンモニア血症
肝硬変がなくてもアンモニアは上昇する
・ PS shunt (門脈大循環シャント)
・ アンモニア産生菌による尿路感染
・ バルプロ酸
・ 先天性尿素サイクル異常
・ 多発性骨髄腫の一部
・ 痙攣後 ・ 検体放置
門脈大循環シャントの模式図
#25. 雑記帳3. フェリチンの上昇 : 非特異的炎症に加えて
1. Metabolic syndromeの一部
= DIOS (Dysmetabolic iron overload syndrome)
2. ヘモクロマトーシス
3. 成人スティル病, 血球貪食症候群, マクロファージ活性化症候群
#26. 初動についてのまとめ(概略) 常に薬剤とアルコールを念頭に
#28. 肝機能検査のTake home points AST, ALT 肝細胞障害
T-Bil (D-Bil) 胆汁うっ滞 (強)
ALP, G-GTP 胆汁うっ滞 (弱)
PT, APTT, Alb, ChE 肝合成予備能
血小板 門脈圧亢進(脾腫)
ICG, Child-Pugh
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